2024/07/09 【WEBセミナー】2024年6月株主総会の状況

概略

【WEBセミナー公開開始日】2024年7月9日

2023年6月総会では株主提案数が過去最多となりましたが、2024年6月総会はそれをさらに更新しました。また、機関投資家は議決権行使基準をますます厳格に適用するようになっており、上場会社各社にとって、今や株主総会は投資家との意見の違いや、自社のコーポレートガバナンス上の問題点などがつまびらかにされかねない場となっています。
本セミナーでは、株主総会実務や株主総会分析の第一人者であり、全国株懇連合会の理事も務める三菱UFJ信託銀行の中川雅博様に、2024年6月決算総会を分析していただきます。今株主総会の注目ポイントとして、株主提案の内容、可決事例、取り下げ・撤回事例等をご紹介いただくとともに、株主提案の背景、株主提案を受けた場合に会社に求められる対応などについても解説していただきます。逆に会社提案が否決、取り下げ・撤回された事例、経営トップの選任議案が低賛成率となった事例とその原因、在任期間が長期にわたる社外役員の選任議案への賛否状況もご紹介いただきます。
また、機関設計や任意の指名・報酬委員会の設置状況、独立社外取締役や女性役員の選任状況など、ガバナンス上の注目テーマの動向や、株主から寄せられた質問の内容や傾向についても分析していただきます。
このほか、招集通知の電子化の進展状況、株主総会のバーチャル化、株主総会日の分散状況、障害者への「合理的配慮の提供」の義務化を契機とした総会会場案内地図におけるバリアフリールートの記載、ライブ配信時の字幕表示、手話通訳者の入場許容の明示といった株主総会の運営面についても概観していただきます。

【講師】

三菱UFJ信託銀行 法人コンサルティング部
中川 雅博 様

セミナー資料 2024年6月株主総会の状況.pdf
セミナー動画

2024年6月総会の状況(速報版)前編

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2024年6月総会の状況(速報版)後編

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2024/07/09 【WEBセミナー】2024年6月株主総会の状況(会員限定)

概略

【WEBセミナー公開開始日】2024年7月9日

2023年6月総会では株主提案数が過去最多となりましたが、2024年6月総会はそれをさらに更新しました。また、機関投資家は議決権行使基準をますます厳格に適用するようになっており、上場会社各社にとって、今や株主総会は投資家との意見の違いや、自社のコーポレートガバナンス上の問題点などがつまびらかにされかねない場となっています。
本セミナーでは、株主総会実務や株主総会分析の第一人者であり、全国株懇連合会の理事も務める三菱UFJ信託銀行の中川雅博様に、2024年6月決算総会を分析していただきます。今株主総会の注目ポイントとして、株主提案の内容、可決事例、取り下げ・撤回事例等をご紹介いただくとともに、株主提案の背景、株主提案を受けた場合に会社に求められる対応などについても解説していただきます。逆に会社提案が否決、取り下げ・撤回された事例、経営トップの選任議案が低賛成率となった事例とその原因、在任期間が長期にわたる社外役員の選任議案への賛否状況もご紹介いただきます。
また、機関設計や任意の指名・報酬委員会の設置状況、独立社外取締役や女性役員の選任状況など、ガバナンス上の注目テーマの動向や、株主から寄せられた質問の内容や傾向についても分析していただきます。
このほか、招集通知の電子化の進展状況、株主総会のバーチャル化、株主総会日の分散状況、障害者への「合理的配慮の提供」の義務化を契機とした総会会場案内地図におけるバリアフリールートの記載、ライブ配信時の字幕表示、手話通訳者の入場許容の明示といった株主総会の運営面についても概観していただきます。

【講師】

三菱UFJ信託銀行 法人コンサルティング部
中川 雅博 様

セミナー資料 2024年6月株主総会の状況.pdf
セミナー動画

2024年6月総会の状況(速報版)前編

2024年6月総会の状況(速報版)後編

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2024/07/08 役員候補者が株主総会直前に逮捕された場合の対応

2024年6月株主総会でも多くの社外役員が選任(再任)された。社外役員の人選にはどの会社も慎重だが、それでも思わぬ“事故”に遭遇してしまうこともある。例えば社外役員候補者が株主総会直前に逮捕された場合、上場会社としてはどう対応すればよいのだろうか。あまり想定しにくい事例のように見えるが、これはつい最近現実に起きた事例である。・・・

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2024/07/08 役員候補者が株主総会直前に逮捕された場合の対応(会員限定)

2024年6月株主総会でも多くの社外役員が選任(再任)された。社外役員の人選にはどの会社も慎重だが、それでも思わぬ“事故”に遭遇してしまうこともある。例えば社外役員候補者が株主総会直前に逮捕された場合、上場会社としてはどう対応すればよいのだろうか。あまり想定しにくい事例のように見えるが、これはつい最近現実に起きた事例である。

2024年6月25日、元検事の北川健太郎弁護士が準強制性交等の疑いで大阪高等検察庁に逮捕されたとのニュースが流れた。最高検察庁監察指導部長、最高検察庁刑事部長、大阪地方検察庁検事正などを務めた“大物”ヤメ検弁護士逮捕のニュースに対し法曹界を中心に驚きの声が広がったが、それ以上に衝撃を受けたのはNCホールディングスとロイヤルホテル(いずれも東証スタンダード市場に上場)の2社であろう。なぜなら、両社とも同氏を役員候補者とする議案を今6月総会で会社提案していたからだ。「役員候補者」と言っても、NCホールディングスでは社外取締役(監査等委員)、ロイヤルホテルでは社外監査役という違いはあるが、両社とも再任で、かつ両社とも逮捕の報道があった日の翌々日(2024年6月27日)に株主総会を控えていたため、非常にタイトな日程の中で対応を迫られることとなった。

両社とも、逮捕の翌日(2024年6月26日=株主総会の前日)にリリースを出しているが、役員候補者の逮捕という異常事態に対して、両社の対応は異なるものとなった。NCホールディングスのリリースは、北川氏の役員選任議案を撤回するというもの。一方、ロイヤルホテルは「現段階では当社として公表できる事項はございませんが、事実関係を確認した上で、厳正に対処してまいります。」とのリリースにとどめ、役員選任議案を撤回しなかった。

役員選任議案を撤回しなかったロイヤルホテルでは、株主総会で北川氏の監査役選任議案がそのまま上程されることになったが、興味深いのは、逮捕報道直後であるにもかかわらず、北川氏の監査役選任議案(第3号議案)が97.95%もの賛成率で可決されたということだ。これは取締役11名の選任議案の中で最も高い賛成率をも上回る。このように高い賛成率になったのは、株主の多くが同氏の逮捕日より前に既に議決権行使を済ませていたことが理由と推測される。

ロイヤルホテルは、6月27日の17時になってようやくTDnetで、同氏の辞任と、別の補欠監査役の監査役就任のリリースを出している。詳細な経緯は明らかにされていないが、ロイヤルホテルは選任議案の撤回をせず北川氏の辞任の意思表明を待つとの判断をしたところ、6月27日の10時から開催された同社の定時株主総会に間に合わなかったため、北川氏がいったん監査役に選任(再任)されたうえで、その後辞任の申し出が行われ、同日17時のリリースにつながったものと思われる。


TDnet : Timely Disclosure networkの略。上場会社が行う適時開示に関する一連のプロセス、すなわち証券取引所への事前説明(開示内容の説明)、報道機関への開示(記者クラブや報道機関の本社の端末への開示資料の伝送)、ファイリング(開示資料のデータベース化)、公衆縦覧(開示資料の適時開示情報閲覧サービスへの掲載)を総合的に電子化したシステム。

もっとも、仮に北川氏の辞任と補欠監査役の就任が同日6月26日に行われたとなると、それはそれで別問題が浮上する。具体的には、補欠監査役の任期は前任の監査役の任期を引き継ぐため、後任の監査役の任期は、就任翌日(6月27日)の株主総会の終結とともに終了してしまうということだ。補欠監査役を残りの任期が1日しかない日程で新監査役として就任させる(そしてその翌日に任期が終了となる)よりも、ひとまず北川氏の再任を確定させ、残り4年()の任期を新監査役に引き継がせた方が望ましいという判断があった可能性もある。

実際には、北川氏の再任後の任期(2028年3月期に係る定時株主総会の終結の時)よりも補欠監査役としての任期が終わる2026年3月期に係る定時株主総会の終結の時の方が早いので、後任の監査役は最初の任期を4年ではなく2年で終えることになる。

なお、北川氏の場合、まだ「逮捕」されただけであり、裁判はこれからとなる。本人の事実認否も不明、かつ、株主総会の日程が目前となる中で、難しい対応を迫られる事案となった。

NCホールディングスの場合、北川氏の選任議案を撤回してもなお、監査等委員である取締役の人数は3人おり、かつ全員が社外取締役と、会社法331条6項が定める要件(取締役の人数が3人以上で,その過半数が社外取締役であること)は満たしていた。また、ロイヤルホテルも、北川氏が退任し、後任の補欠監査役が監査役に就任した状態で監査役は4名、かつ、そのうち2名が社外監査役であり、会社法335条3項が定める要件(監査役会設置会社では、監査役の人数が3人以上で、半数以上が社外監査役であること)を満たしている。規模が大きくない上場会社では補欠の役員を選任していないところも少なくないが、そのような会社が役員を法定(あるいは定款で定めた人数)ぎりぎりの人数しか就任させていないとなると、急な辞任があった場合にいきなり欠員が生じることになる。そうなれば、臨時株主総会を開催して後任の役員を選任するか、裁判所に仮の役員の選任を請求する必要があるが、どちらも手間がかかる。上場会社は、役員の数を余裕のある人数にしておくとともに、あわせて補欠役員も選任しておくようにしたい。


半数 : 監査役会設置会社における社外監査役の人数の要件は、監査等委員会設置会社における社外取締役(監査等委員)の人数の要件と異なり、「過半数」ではなく「半数以上」となる。

2024/07/05 コンサルに数千万円はザラ 中堅以下の上場企業がサステナビリティ分野で“全方位戦略”を取ることの是非

株式会社レクタスパートナーズ 代表取締役 藤澤正路

ここ数年、発行体企業・機関投資家の双方においてサステナビリティという概念の存在感が大きくなっている。このことに疑問の余地はないだろう。 世界中でESG投資という言葉がニュースを駆け巡り、日本でも気候変動に関する株主提案が上程され、欧州では人権デューデリジェンス等の実施が義務化される法案が承認された。なかでも気候変動対応の負荷があまりにも大きかったこともあり、「次は何か?」と戦々恐々としている発行体企業等も少なくない。一方、サステナビリティという概念を咀嚼することで、自社が本来なすべきことは何かを真剣に考え直したという発行体企業もある。


ESG投資 : 「Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」に優れた企業に投資すること。(文責:上場会社役員ガバナンスフォーラム)
人権デューデリジェンス : 企業活動を通じて引き起こしあるいは助長し、またはその取引関係によって企業の事業、商品またはサービスに直接関係する人権への負の影響を特定したうえで、それをどのように防止・軽減するかについて責任を持つこと。自社の社員のみならず、仕入先(直接仕入先だけでなく間接仕入先も含む)や販売先、最終顧客も人権デュー・ディリジェンスの対象とすることが望ましいとされている。(文責:上場会社役員ガバナンスフォーラム)

周知のとおり、財務会計の世界的基準であるIFRSを開発しているIASB(国際会計基準審議会)の監督団体はIFRS財団であり、そのIFRS財団の傘下には、サステナビリティ開示基準を開発しているISSB(国際サステナビリティ基準審議会)が存在する。ISSBは2024年4月まで、「気候変動の“次”に基準を作るべきテーマは何か?」について議論していた。 候補として挙がっていたのが、「生物多様性・生態系・生態系サービス」「人的資本」「人権」「報告における統合」の4つのテーマだ。そして、パブリックコンサルテーションを通じ、「生物多様性・生態系・生態系サービス」「人的資本」の2つを次テーマの候補として調査を進めることが決まる一方で、「人権」は“中長期的な検討事項”として先送りとなった。 ただし同時に、今後2年間は既に発効済みの基準の浸透に集中することも発表され、“次”のテーマの確定までには時間があることが明確になった。発行体企業にとっては、備えるべき項目にアタリがつくとともに、時間的な猶予も生まれたということになる。


ISSB : International Sustainability Standards Board(国際サステナビリティ基準審議会)」の略称。資本市場向けのサステナビリティ開示の包括的なグローバル・ベースラインを開発するため、IFRS財団が2021年11月に設立した団体。(文責:上場会社役員ガバナンスフォーラム)

一方、機関投資家に目を移すと、重要な組織としてUN PRI(国連責任投資原則)が旗振り役となっているイニシアティブがある。例えば、人権をテーマとして取り扱うイニシアティブは「Advance」 と呼ばれ、世界で265の機関投資家等が参加している(2024年6月末時点)。 Advanceは、人権およびその他の社会課題の解決を目指す機関投資家による協働イニシアティブとして2022年12月1日に発足した。参加している機関投資家は、協働エンゲージメントへの参加等を通して、労働者や事業活動を行う地域社会における人権問題の解決に向けた取り組みを投資先企業等に促す、としている。なお、Advanceには生保や一部大手機関投資家等、計23の日系団体が参加している。Advanceの“生物多様性版”と言えるのが「Spring」だ。2024年6月時点で、Springへの賛同者は204社に上り、そのうち12社は日系の生保や一部大手機関投資家となっている。


UN PRI :(UN=国連)PRIとは「(United Nations) Principles for Responsible Investment」の略で、機関投資家に対し、投資判断プロセスにESGを反映することや、投資対象企業にESGに関する情報開示を求めることなどを提唱するESG投資の世界的なプラットフォーム。PRIに署名した機関投資家は、国連に投資の状況を報告する義務が生じるため、ESGを重視した投資を実践せざるを得ない。(文責:上場会社役員ガバナンスフォーラム)
協働エンゲージメント :複数の投資家が協調して個別の投資先企業に対し特定のテーマについて対話を行うエンゲージメントのこと。各投資家の質的・量的なリソース不足を補い、対話の実効性を高めると言われている。(文責:上場会社役員ガバナンスフォーラム)

これら2つのイニシアティブへの参加団体のリストを確認すると、共通する特徴に気付く。それは、・・・

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2024/07/05 コンサルに数千万円はザラ 中堅以下の上場企業がサステナビリティ分野で“全方位戦略”を取ることの是非(会員限定)

株式会社レクタスパートナーズ 代表取締役 藤澤正路

ここ数年、発行体企業・機関投資家の双方においてサステナビリティという概念の存在感が大きくなっている。このことに疑問の余地はないだろう。 世界中でESG投資という言葉がニュースを駆け巡り、日本でも気候変動に関する株主提案が上程され、欧州では人権デューデリジェンス等の実施が義務化される法案が承認された。なかでも気候変動対応の負荷があまりにも大きかったこともあり、「次は何か?」と戦々恐々としている発行体企業等も少なくない。一方、サステナビリティという概念を咀嚼することで、自社が本来なすべきことは何かを真剣に考え直したという発行体企業もある。


ESG投資 : 「Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」に優れた企業に投資すること。(文責:上場会社役員ガバナンスフォーラム)
人権デューデリジェンス : 企業活動を通じて引き起こしあるいは助長し、またはその取引関係によって企業の事業、商品またはサービスに直接関係する人権への負の影響を特定したうえで、それをどのように防止・軽減するかについて責任を持つこと。自社の社員のみならず、仕入先(直接仕入先だけでなく間接仕入先も含む)や販売先、最終顧客も人権デュー・ディリジェンスの対象とすることが望ましいとされている。(文責:上場会社役員ガバナンスフォーラム)

周知のとおり、財務会計の世界的基準であるIFRSを開発しているIASB(国際会計基準審議会)の監督団体はIFRS財団であり、そのIFRS財団の傘下には、サステナビリティ開示基準を開発しているISSB(国際サステナビリティ基準審議会)が存在する。ISSBは2024年4月まで、「気候変動の“次”に基準を作るべきテーマは何か?」について議論していた。 候補として挙がっていたのが、「生物多様性・生態系・生態系サービス」「人的資本」「人権」「報告における統合」の4つのテーマだ。そして、パブリックコンサルテーションを通じ、「生物多様性・生態系・生態系サービス」「人的資本」の2つを次テーマの候補として調査を進めることが決まる一方で、「人権」は“中長期的な検討事項”として先送りとなった。ただし同時に、今後2年間は既に発効済みの基準の浸透に集中することも発表され、“次”のテーマの確定までには時間があることが明確になった。発行体企業にとっては、備えるべき項目にアタリがつくとともに、時間的な猶予も生まれたということになる。


ISSB : International Sustainability Standards Board(国際サステナビリティ基準審議会)」の略称。資本市場向けのサステナビリティ開示の包括的なグローバル・ベースラインを開発するため、IFRS財団が2021年11月に設立した団体。(文責:上場会社役員ガバナンスフォーラム)

一方、機関投資家に目を移すと、重要な組織としてUN PRI(国連責任投資原則)が旗振り役となっているイニシアティブがある。例えば、人権をテーマとして取り扱うイニシアティブは「Advance」 と呼ばれ、世界で265の機関投資家等が参加している(2024年6月末時点)。 Advanceは、人権およびその他の社会課題の解決を目指す機関投資家による協働イニシアティブとして2022年12月1日に発足した。参加している機関投資家は、協働エンゲージメントへの参加等を通して、労働者や事業活動を行う地域社会における人権問題の解決に向けた取り組みを投資先企業等に促す、としている。なお、Advanceには生保や一部大手機関投資家等、計23の日系団体が参加している。Advanceの“生物多様性版”と言えるのが「Spring」だ。2024年6月時点で、Springへの賛同者は204社に上り、そのうち12社は日系の生保や一部大手機関投資家となっている。


UN PRI :(UN=国連)PRIとは「(United Nations) Principles for Responsible Investment」の略で、機関投資家に対し、投資判断プロセスにESGを反映することや、投資対象企業にESGに関する情報開示を求めることなどを提唱するESG投資の世界的なプラットフォーム。PRIに署名した機関投資家は、国連に投資の状況を報告する義務が生じるため、ESGを重視した投資を実践せざるを得ない。(文責:上場会社役員ガバナンスフォーラム)
協働エンゲージメント :複数の投資家が協調して個別の投資先企業に対し特定のテーマについて対話を行うエンゲージメントのこと。各投資家の質的・量的なリソース不足を補い、対話の実効性を高めると言われている。(文責:上場会社役員ガバナンスフォーラム)

これら2つのイニシアティブへの参加団体のリストを確認すると、共通する特徴に気付く。それは、圧倒的に欧州系の投資家の存在感が強く、逆に米系の投資家の存在感が薄いということだ。気候変動対応に機関投資家が動いた際には、Climate Action 100+(以下、CA100+)というイニシアティブが大きな役割を果たした。CA100+には、ブラックロック、ステートストリート、JPモルガンと、大手の米系投資家も多く名を連ねていた(これら3社は現在はCA100+を離脱or加入組織を変更済み)。 米系投資家を含む機関投資家は気候変動に関する情報開示を投資先企業に求め、議決権行使基準にもその旨を反映した。それらの活動は投資先企業の取締役会に直接的に影響を与え、企業活動に大きな変革をもたらした。


Climate Action 100+ : 機関投資家が、温室効果ガスを排出する世界最大級の企業と協力し、こうした企業が気候変動に関するガバナンスを改善するとともに、排出量を抑制し、気候関連の財務情報の開示を促進するために設立された団体。(文責:上場会社役員ガバナンスフォーラム)

しかし、現在は気候変動がブームとなった頃とは大きく状況が変わっており(この点については2023年10月20日のニュース『米国の反ESG州法が金融機関に強いプレッシャー、危うさ増す「2050年ネットゼロ」の実現』参照 引用:上場会社役員ガバナンスフォーラム)、人権や生物多様性のイニシアティブであるAdvanceやSpringに名を連ねる機関投資家は気候変動の時とは大分色合いが異なる。これらのテーマが議決権行使基準にまで落とし込まれるか?という点も不透明な状況だ。したがって、企業が受ける投資家を通じたプレッシャーという面では、気候変動の時と違った形になることを想定するのが妥当であろう。

また、新たなトピックへの自社の対応状況を精査し、開示にまで繋げるのは企業にとって重労働となる。気候変動一つとっても、数千万円かけてコンサルティング会社に外注する企業はザラだった。自社の事業と照らしてみて、それが本当に大事な活動であれば数千万円どころでなくもっと資金と人員を投入すべきかもしれない。とはいえ、ヒトもカネも有限なのが実情であろう。 時価総額が兆円台に乗り人的リソースも豊富な巨大企業ならまだしも、中堅以下の上場企業が変化の激しいサステナビリティの分野で“全方位戦略”を取るのは得策とは言えない。議決権行使やESG関連の対話の実務は不透明な点が多く、そこで出て来る一つ一つのテーマが本当に重要なのか?どれくらい大事なのか?は判断が難しい。

最近は、大手機関投資家で議決権行使やESG関連の対話を担当していた者が独立して設立したアドバイザリーファームも出現してきている。 特に中堅以下の上場企業にとっては、このようなプロフェッショナルにも話を聞きながら、客観的な影響力はどの程度か?自社の状況を踏まえて重要性は高いのか?といった点を見定めることが重要となろう。

2024/07/04 新任社外取締役に対する研修・トレーニング時間の相場は?

6月の株主総会が終わり、新任の社外取締役が数多く誕生した。新任社外取締役は、一部の例外を除けば、自社の事業内容や業界環境などに精通しているわけではなく、また、取締役に求められるコーポレートガバナンスやファイナンスなどの基礎知識のアップデートが必要な場合もあるだろう。業務日数が限られる社外取締役を新たに迎える取締役会事務局などには、いかに効率的に各種のインプットを実施するかが問われることになる。

その手段として、研修・トレーニングは欠かせないものとなっているが、「新任」とは言っても社外取締役は本業や兼任などで多忙なことが多く、自社が提供する研修・トレーニングにどれだけ時間を割いてもらえるのか、事務局などにとっては懸念されるところだろう。こうした場合に参考になるのが、他の上場企業における社外取締役の活動時間や研修時間だ。・・・

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2024/07/04 新任社外取締役に対する研修・トレーニング時間の相場は?(会員限定)

6月の株主総会が終わり、新任の社外取締役が数多く誕生した。新任社外取締役は、一部の例外を除けば、自社の事業内容や業界環境などに精通しているわけではなく、また、取締役に求められるコーポレートガバナンスやファイナンスなどの基礎知識のアップデートが必要な場合もあるだろう。業務日数が限られる社外取締役を新たに迎える取締役会事務局などには、いかに効率的に各種のインプットを実施するかが問われることになる。

その手段として、研修・トレーニングは欠かせないものとなっているが、「新任」とは言っても社外取締役は本業や兼任などで多忙なことが多く、自社が提供する研修・トレーニングにどれだけ時間を割いてもらえるのか、事務局などにとっては懸念されるところだろう。こうした場合に参考になるのが、他の上場企業における社外取締役の活動時間や研修時間だ。

まず社外取締役の活動時間は、経済産業省のCGS研究会で参考資料とされた「社外取締役の現状について(アンケート調査の結果概要)」にデータが掲載されている。この資料の7ページには、「取締役会の出席時間を除き、1ヶ月で5時間以下が32.2%、10時間以下が64.3%」とある。逆に言えば、全体の67.8%は「1ヶ月に5時間以上」、(1社の)社外取締役としての業務にコミットしていることになる。

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社外取締役の研修・トレーニング時間については、経済産業省がとりまとめた「社外取締役向け研修・トレーニングの活用の8つのポイント」の参考資料である「社外取締役に対する研修等に関するアンケート調査結果」の36ページに「研修等にかけることの出来る1カ月あたりの時間」がグラフで示されている。それによれば、「1か月に3時間超」の時間をかけることができる社外取締役が全体の59%を占めている。

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以上を踏まえると、社外取締役の6~7割は1ヶ月に5時間以上の時間を社外取締役としての業務にコミットし、そのうち3時間超は研修等に充てることができる、というのが一つのコンセンサスと捉えることができそうだ。そうすると、週に1度、毎回1時間の研修プログラム等の受講を求めることは決して過大とは言えないだろう。

なお、同じく「社外取締役に対する研修等に関するアンケート調査結果」(36ページ)によると、社外取締役としての経験年数が1年未満(新任者が大部分と想定される)の場合、「3時間以内」とする回答が相対的に多く、経験年数が1~2年になると「3時間以内」との回答割合は大幅に減少している。これは、社外取締役を1年間務めてみたところ、研修等の時間の不足を実感したケースが多いことを表していると見ることもできよう。事務局としては新任社外取締役が難色を示すような場合であっても、本稿で引用したデータなどを後ろ盾にしつつ、積極的に研修・トレーニングプログラム等を提供したいところだ。

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2024/07/03 株高でアクティビストのターゲットに変化

2024年6月の株主総会シーズンが終了した。

機関投資家等から株主提案を受けた上場企業は46社と、社数では過去最多となった。もっとも、2023年は43社、2022年も45社が機関投資家等から株主提案を受けている。2021年は17社に過ぎなかったことを考えると、機関投資家等から株主提案受ける企業数は45社前後で“高止まり”しているのが近年の傾向と言えるだろう。ちなみに、機関投資家等から株主提案を受けた議案数は。47(2021年)→132(2022年)→112(2023年)、そして2024年は124となっており、株主提案を受ける企業数に比例して議案数も近年高水準が続いている。

今年、株主提案を受けた企業数や議案数以上に注目されるのが、・・・

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2024/07/03 株高でアクティビストのターゲットに変化(会員限定)

2024年6月の株主総会シーズンが終了した。

機関投資家等から株主提案を受けた上場企業は46社と、社数では過去最多となった。もっとも、2023年は43社、2022年も45社が機関投資家等から株主提案を受けている。2021年は17社に過ぎなかったことを考えると、機関投資家等から株主提案受ける企業数は45社前後で“高止まり”しているのが近年の傾向と言えるだろう。ちなみに、機関投資家等から株主提案を受けた議案数は、47(2021年)→132(2022年)→112(2023年)、そして2024年は124となっており、株主提案を受ける企業数に比例して議案数も近年高水準が続いている。

今年、株主提案を受けた企業数や議案数以上に注目されるのが、株主提案を受けた企業の「時価総額」の分布だ。従来、株主提案を受けるのは、機関投資家等が多くの議決権を獲得しやすい時価総額の低い企業が中心となる傾向にあった。しかし、今年は市場全体の株価上昇という要因もあって、下表のとおり、時価総額が「1,000億円超~5,000億円」の企業が株主提案を受けるケースが急増している。今後も株高がしばらく続くとすれば、時価総額が1,000億円を超える企業が株主提案を受けるケースは一般的になっていくだろう。

総会年 時価総額(単位:円)
100億以下 100億超
~1,000億
1,000億超
~5,000億
5,000億円
~1兆
1兆超
2022年6月 14.0% 72.1% 14.0%
2023年6月 11.6% 55.8% 23.3% 2.3% 7.0%
2024年6月 8.7% 39.1% 32.6% 8.7% 10.9%

また、時価総額5,000億円超の企業への株主提案は、2022年6月総会ではゼロであったところ、2024年6月総会では株主提案全体の20%近くにのぼった点も注目される。いずれにせよ、2024年6月総会では株主提案を受けた企業のうち71.7%が時価総額が「100億超~5,000億」のレンジに収まっており、時価総額がこのレンジにある企業がアクティビストのメインターゲットであることに変わりはない。

また、同じ時価総額でも、PBRROEが低い企業は、アクティビストから株価が割安で、資本効率の改善提案や経営介入によって株価が上昇する余地があると判断されやすいため、株主提案を受ける可能性が一層高まる。市場全体の株価が上昇している中で迎えた2024年6月株主総会シーズンにおいても、株主提案を受けた企業の58.7%がPBR1倍未満であった(ちなみに、市場全体の株価が低かった2022年・2023年6月株主総会シーズンにおいては、株主提案を受けた企業のうちそれぞれ90.7%、79.1%がPBR1倍未満)。時価総額が「100億超~5,000億」のレンジにあり、かつPBRやROEの低い企業はアクティビストに隙をみせないガバナンス体制の構築が特に求められよう。


PBR : Price Book-value Ratio=株価純資産倍率(株価÷1株当たり株主資本)。株価が1株当たり純資産(BPS:Book value Per Share)の何倍まで買われているか(=1株当たり純資産の何倍の値段が付いているか)を指す。PBRが1.0を大幅に下回る場合、投資家が企業の将来性に疑問を持っていたり、減損リスクのように潜在的な資産の含み損が多額にのぼる可能性が株価に織り込まれていたりすることを示唆する。
ROE : Return On Equity=株主資本利益率(当期純利益/株主資本)

機関投資家等から株主提案を受けた企業を業種別に見ると、「建設業」「化学」の7社が突出して多く、これに「鉄鋼」「輸送用機器」「金属製品」「卸売業」の3社、「電気機器」「食料品」「機械」「不動産業」「サービス業」の2社、「情報・通信業」「銀行業」の1社が続いている。また、これら以外の業種(「パルプ・紙」「小売業」など)に属する企業も8社が株主提案を受けている。株主提案のターゲットとなる業種には毎年変動が見られるものの、業種の裾野は拡大する傾向にある点、留意したい。