2024/05/31 2024年5月度チェックテスト第2問解答画面(正解)

正解です。
下請法上の「買いたたき」に該当するかどうかは、下請事業者の給付の内容と同種又は類似の内容の給付に対し「通常支払われる対価」(当該給付と同種又は類似の給付について当該下請事業者の属する取引地域において一般に支払われる対価)に比し著しく低い下請代金の額を不当に定めたのかどうかで判断されます。そのため、「通常支払われる対価」が上昇している状況では、下請代金を「据え置く」だけでも「買いたたき」に該当する可能性があることになります(問題文は誤りです)。

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2024年5月13日 相次ぐ下請法の運用見直し 下請代金支払い手形のサイト短縮を迫られる企業も(会員限定)

2024/05/31 2024年5月度チェックテスト第1問解答画面(正解)

正解です。
社内研修で、自社の業務内容を踏まえて想定される具体的な不正行為や同業他社で発覚した不正行為を従業員に紹介することは、それにより従業員が「どのような行為が法令に違反するか」の具体的なイメージを持つことが可能となり、従業員の規範意識が鈍麻するのを防ぐとともに、不正を見聞きした際に安心して内部通報できるようになると言われています。そのため、公益通報者保護法を所管する消費者庁としても社内研修で不正行為を紹介することを推奨しています(問題文は誤りです)。

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2024年5月9日 内部通報制度の実効的な運用を阻害する5つの要因(会員限定)

2024/05/31 2024年5月度チェックテスト第1問解答画面(不正解)

不正解です。
社内研修で、自社の業務内容を踏まえて想定される具体的な不正行為や同業他社で発覚した不正行為を従業員に紹介することは、それにより従業員が「どのような行為が法令に違反するか」の具体的なイメージを持つことが可能となり、従業員の規範意識が鈍麻するのを防ぐとともに、不正を見聞きした際に安心して内部通報できるようになると言われています。そのため、公益通報者保護法を所管する消費者庁としても社内研修で不正行為を紹介することを推奨しています(問題文は誤りです)。

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2024年5月9日 内部通報制度の実効的な運用を阻害する5つの要因(会員限定)

2024/05/30 【役員会 Good&Bad発言集】配偶者手当の廃止(会員限定)

<解説>
配偶者手当や子供手当への“不満感”が高まる

配偶者がいる従業員に対して支給される手当のことを「配偶者手当」といいます(「扶養手当」「家族手当」などの名称を用いる会社もあります)。配偶者手当の支給にあたり、配偶者の収入による制限を設けるケースが多いのですが、このことが、配偶者が年収を一定額以下に抑えるために就労時間を調整する「就業調整」を行わせる動機になっていると言われています(いわゆる『年収の壁』問題)。政府は、労働力不足の解消を目的として、パートタイム労働で働く配偶者の就業調整につながる配偶者手当(配偶者の収入要件がある配偶者手当)は、配偶者の働き方に中立的な制度となるよう見直しを進めることが望ましいとしています。

「配偶者手当」が注目されている背景には、配偶者の就業調整という「社会全体として解決しなければならないマクロな課題」以外にも、「共働き世帯が増えた」「未婚率が上昇した」といった社会の在り方の変化に伴い、「配偶者手当」をもらえる従業員が減る一方で、「配偶者手当」をもらえない従業員が増え、社内で不公平感が高まっていること(会社内における不公平感の存在といったミクロな課題)も指摘されています。

不公平感の高まりは、子供がいる従業員に対して支給する「子供手当」や配偶者や子供といった「家族」がいる従業員に対して支給する「家族手当」にもあてはまります。ライフスタイルの変化や多様化で晩婚化や少子化が進み、「子供を持たない」選択をする従業員が増えました。「子供を持たない」選択をした従業員からすると、自分がもらうことができない「子供手当」「家族手当」に対して不公平感を抱くのも無理がありません。また、子育てと仕事を両立しやすい環境が徐々に整ってきたことに伴い、職場によっては子育て中の従業員の時短労働や子供の発熱時の急な欠勤などで他の従業員にしわ寄せが生じる機会が増えたため、最近では子供を持つ従業員を「子持ち様」と揶揄する風潮もSNSを中心に広がることになりました。そもそも容易にしわ寄せが生じるような人的リソースが切迫した労働環境であるのであれば、経営者としてはその改善へ向けて早急に取り組まなければなりませんが、仮に労働環境が改善したとしても、「子持ち様」に「子供手当」を支給する制度の手直しが行われない限り、「子供を持たない」選択をした従業員の不公平感が完全に解消されることはないでしょう。

「配偶者手当」「子供手当」「家族手当」の社内制度を立ち上げた当時と比べると、多様化が進んだ現代では従業員のニーズや構成が大きく様変わりしました。会社としてはその変化したニーズを汲み取り、従業員構成の変化に即した対応を行い、従業員の労働意欲の向上につなげていかなければなりません。

配偶者手当の廃止に向けてのステップ

従業員のニーズの変化に対応するため、「配偶者手当」「子供手当」「家族手当」といった手当を廃止しようとしても、実際のところ、その手続きは決して簡単なものではありません。それらの手当は通常は就業規則(会社によっては個別の労働契約や労働協約で定められている場合もあります)に定められており、それらの手当を廃止することは労働者にとって不利益な変更となるため、使用者側が一方的に変更できるものではないからです(労働契約法第9条)。この点につき、厚生労働省の平成28年5月9日付 基発0509 第 1 号「配偶者手当の在り方の検討に関し考慮すべき事項」によると、配偶者手当の見直しに当たっては次の点に留意する必要があるとされています。

基発 : 厚生労働省が労働基準局長名で発する通達のこと

<配偶者手当の見直しに当たっての留意点>
配偶者手当を含めた賃金制度の円滑な見直しに当たっては、労働契約法、判例等に加え、企業事例等を踏まえ、以下に留意する必要がある。
① ニーズの把握など従業員の納得性を高める取組
② 労使の丁寧な話合い・合意
③ 賃金原資総額の維持
④ 必要な経過措置
⑤ 決定後の新制度についての丁寧な説明

なお、就業規則の見直しに関して、労働契約法では次のように定められています。

<労働契約法における就業規則の見直しに関する定め(抜粋)>
(就業規則による労働契約の内容の変更)
第9条 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。
第10条 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第12条に該当する場合を除き、この限りでない。

厚生労働省がまとめた『「配偶者手当」の在り方の検討に向けて~配偶者手当の在り方の検討に関し考慮すべき事項~(実務資料編)』には、上で紹介した基発に記載されている5つの留意点ごとに詳細な具体例が記載されていますので、以下紹介します。

基発に記載された留意点 実務資料編の具体例
① ニーズの把握など従業員の納得性を高める取組 ① 従業員ニーズ等の情報収集方法
ⅰ)会社側が直接行う収集例
・日頃から職場の実態について直接従業員に確認する。ヒアリングを実施する。
・従業員満足度調査等の自由記述のコメントからニーズを把握する。
・制度変更の対象従業員を複数の少人数グループに分け、意見収集の機会を設ける。
・各部門・事業所の人事担当者からの情報収集や意見交換を実施する。
・各部門のトップ等へのヒアリングを実施する。
ⅱ)労働組合を通じた収集例
・労働組合との団体交渉や協議の場を通じて、労働組合が収集した組合員の声を収集する。
・日頃より労働組合へ届いている意見や要望を取りまとめる。
・個人的なパイプを含め労働組合から従業員の声を収集する。
・部門ごとに賃金制度全般を通した協議の場を持ち、従業員ニーズを分析、把握する。
② 従業員の参画
・手当等の賃金制度の変更が想定される社員を集めて、制度設計に向けた仕事の洗い出しを行う。
・経過措置の期間や内容については、制度設計の段階で、従業員と議論を重ねる中であわせて検討する。
・労働組合がある企業については、早めに協議を行い、制度を一緒に作り上げていく。
③ 中小企業における賃金制度見直しに当たっての取組
・一方的なトップダウンによる制度の施行は納得感が得られにくいため、社員一人一人が参画し、意識を高く持つことで、制度の納得性に繋げ、ひいてはモチベーションの向上や定着率の向上に繋げる。
・50名位までの規模であれば、仕事の洗い出しのため、初動の段階から従業員に関わってもらう。
・100名以上の規模であれば、管理職や次期管理職が想定される社員による委員会を立ち上げ制度設計に関与してもらう。
② 労使の丁寧な話合い・合意 ・制度設計段階からいくつかの案をもって労働組合へ提案。初期の段階から制度の趣旨を伝え、早い段階からコンセプトの共感に繋げる。
・段階を経てプロセスを踏み、従業員への納得性を高め、経過措置の必要性について見いだす。
・団体交渉や協議の場を通して、会社側と労働側の意見をすり合わせ、従業員としても一方的な制度変更とならないようプロセスを進めることで、制度変更の納得性を高める。
・団体交渉や協議の場で繰り返し会社の考えを説明して理解を仰ぎ、組合からの要望も踏まえ修正を行い、最終案を確定する。
・労働組合と交渉を実施し、職場集会にて組合員の意見収集も実施し、労働組合の幹部の理解を得て交渉を行い、導入の主旨を丁寧に説明する。
③ 賃金原資総額の維持 【見直し内容の例】
① 「配偶者手当」を廃止し、基本給等へ組み入れ、他の家族手当の増額、新手当の創設等
・家族手当を廃止し、または配偶者を対象から除外し、相当部分を基本給等に組み入れ
・配偶者に対する手当を廃止し、子どもや障害を持つ家族等に対する手当を増額
・家族手当や住宅手当を廃止し、基礎能力に応じて支給する手当を創設
② 「配偶者手当」を縮小
・配偶者に手厚い支給内容を、扶養家族1人あたり同額に変更
(配偶者に対する手当を減額し、子ども等に対する手当を増額)
・配偶者に対する手当を、一定の年齢(3歳の3月末、小学校卒業)までの子どもがいる場合のみに限定して支給
・管理職及び総合職に対する扶養手当を廃止し、実力、成果、貢献に応じて配分
③ 「配偶者手当」を存続
・他の手当は改廃したものの、生活保障の観点から家族手当は存続
④ 必要な経過措置 ① 経過措置設定までの過程
・経過措置を設けるに当たっては、労働組合や組合員の声を反映する。
② 見直しの内容
・経過措置を長めに設けることで、手当が減少した従業員にも、概ね受け入れられる制度とする。
・制度見直し後に資格取得や昇格等により賃金額が上昇する可能性を勘案して、資格取得に通常必要となる期間等適切な期間を経過措置として設定する。
・半年は旧制度での支給額を維持し、その後、段階的に減額とする。
・旧制度との差額を賞与時に補填する。
・経過措置期間については、企業事例では、2年から3年程度が多いが、1年のものもあれば5年のものもあった。
⑤ 決定後の新制度についての丁寧な説明 ① 説明会の方法・内容
・職場ごとに従業員への説明会を実施する。
・制度変更の対象者全員に対して人事担当者または上長より、資料を配付して丁寧に説明の後、質疑応答の時間を設ける。
・人事担当者が職場ごとに管理職に対して説明を実施する。
・海外の職場も含め人事担当者が出向き、多くの説明会を実施する。
・説明会での欠席者がいる場合、録画した説明会の動画を視聴してもらう。
・説明会後もメール等にて質問を受ける。
(小規模企業における取組)
・全従業員による定例会議の場で制度変更の趣旨等について丁寧に説明し、従業員の理解を深めることに時間をかける。
・社長自ら全従業員へ説明する。
② 説明会以外の方法
・イントラネットに制度概要を掲載し、さらに質疑応答は目安箱のようなものを設定し回答する。
・制度変更に向けた社長メッセージを配信して浸透を図る。
・従業員に対し周知資料の配付を行い、人事部以外にも職場ごとに質問を受け付ける担当者を決め、質疑を受ける。
③ 人事・処遇制度を見直した企業における導入後の取組内容
・制度趣旨の浸透を図り、新たに挙げられた課題について議論
・制度趣旨の浸透を図り、新たに挙げられた課題について議論し見直しを行う。
・制度導入後も人事担当者が講師となり、人事評価制度についての階層別の教育を継続する。
・従業員意識調査の自由記述欄の内容や、評価者・被評価者への研修での被評価者の声を収集する。
・収集した声を、教育や施策等にいかすことで、従業員に受け入れられるようにする。

このように配偶者手当の廃止・減額とそれに代わる別の制度の設計には、多大な労力や時間が掛かることになります。それだけに現状維持の判断を続けてきた企業も少なくありません。しかし、現状維持という判断は、変化した従業員のニーズを無視することを意味するため、中長期的には従業員の離反やモチベーション低下による生産性低下といった問題を引き起こしかねません。給与体系に完成形はないことから、上表の具体例などを参考にしながら、労使間で丁寧に議論を重ね、従業員のニーズを汲み取りつつ、従業員の満足度がより向上する給与体系になるよう日常的に取組みを続ける必要があると言えるでしょう。

さて、以上の解説をご覧いただければ、誰の発言がGOOD発言か、もうお分かりですね。正解は以下のとおり。

<正解>
GOOD発言はこちら

取締役C:「仮に配偶者手当を廃止または減額するとなれば、それは従業員にとって不利益となる変更なので、労使でよく話し合うべきです。配偶者手当の廃止または減額により浮いた資金をどう分配するのかが重要になってきますね。」
コメント:取締役Cの発言は、配偶者手当の廃止や減額は従業員にとって不利益変更となるため、実施に先立ち労使間での合意が必要となることを理解できている点がGOODです。また、配偶者手当の廃止や減額を従業員に納得してもらうには、配偶者手当の廃止または減額により浮いた資金をどう分配するのかも重要になってきますが、それについてもコメントできている点がGOODです。

BAD発言はこちら

取締役A:「いわゆる『年収の壁』問題ですね。パート従業員を多数活用しているような業態であれば『年収の壁』問題は深刻のようですが、当社にはパート従業員がほとんどいないので『年収の壁』問題の影響はないです。」
コメント:確かに配偶者手当は『年収の壁』問題の一因として廃止が望ましいとやり玉にあげられがちな手当ですが、社会全体(マクロ)としての議論と、各社(ミクロ)における議論は分けて考える必要があります。「パート従業員が就業調整をすることで労働力が不足するので配偶者手当を廃止すべき」という話は社会全体としての議論(マクロな課題)で出てくる話です。一方、各社において配偶者手当の是非を議論する際には、従業員の配偶者の就業調整の話はさほど論点にはならず(配偶者がパート従業員として勤務したとしても通常は別の会社で勤務するため)、むしろ配偶者手当の恩恵にあずかれない従業員の持つ不公平感(ミクロな課題)をどうやって解消するのかが重要となります。取締役Aの発言は社会全体としての議論と各社における議論の区別ができていないBAD発言です。

取締役B:「そういえば、当社でも配偶者のいる従業員の割合は以前と比べるとずいぶんと減りました。配偶者手当の見直しが必要かもしれませんね。配偶者手当を定めている規程の該当の条項を削るようにしましょう。」
コメント:配偶者のいる従業員の割合が減ったという事実から配偶者手当の見直しを提案している点はGOODですが、「配偶者手当を定めている規程の該当の条項を削る」という一方的で安易な手続きしか想定できていない点が、「労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない」とする労働契約法上の不利益変更の禁止についての定めを考慮しているとは言えず、BADです。

取締役D:「配偶者のいない従業員から配偶者手当への不満を聞いたことは一度や二度ではありません。従業員の不満は早急に改善してあげるのが経営陣の務めであり、来月分の給与から配偶者手当を廃止すべきです。」
コメント: 「配偶者手当」の廃止は労働者にとって不利益変更となるので、丁寧なプロセスを経て労使間で合意に至るべき性質のものです。合意に至るまでの時間や周知期間などを考えると、数年かけて取り組む話となります。「思い立ったら来月から実施」するような話ではないので、取締役Dの発言は 「配偶者手当」の廃止に向けての実務的なスケジュール感を理解していないBAD発言です。