2023/04/20 WEBセミナー『速報 2023年3月株主総会のポイント』(会員限定)

概略

【WEBセミナー公開開始日】2023年4月20日

3月決算会社に続いて社数が多い12月決算会社の3月総会の動向は、6月総会のいわば“前哨戦”であり、3月決算会社にとって参考となる事例が多々あります。それだけに、6月総会に向け準備を進めるうえでは、12月決算会社の3月総会は是非ともチェックしておきたいところです。
本セミナーでは、株主総会実務や株主総会分析の第一人者であり、全国株懇連合会の理事も務める三菱UFJ信託銀行の中川雅博様をお招きし、12月決算会社の2023年3月総会を分析していただきます。2023年3月13日からマスク着用が自主判断となるなどコロナ禍がほぼ収束した中で開催された2023年3月総会の出席株主数、平均所要時間など全般的な傾向、出席者がそれぞれ「+900%」「+150%」と急増した会社がとった施策、株主からの質問の内容やキーワード、株主提案の状況、会社提案議案が否決されたケース、議案の内容を修正のうえ可決されたケース、賛成率が70%に満たない議案と賛成率の低かった議案についてはその要因などをご紹介いただきます。また、株主総会資料の電子提供制度のもとで初めて開催される2023年3月総会における招集通知の発送・開示状況、電子提供措置をとるウェブサイトや自社ウェブサイトURLの遷移先、ウェブサイトへのアクセスを容易にするための工夫、いわゆる一体型アクセス通知の採用状況、交付書面の送付請求への対応方法、電子提供措置に基づく記載省略事項など、株主総会資料の電子提供制度の実務についても解説していただきます。

【講師】
三菱UFJ信託銀行 法人コンサルティング部
中川 雅博 様

セミナー資料 速報 2023年3月株主総会のポイント.pdf
セミナー動画

速報 2023年3月株主総会のポイント(前半)

速報 2023年3月株主総会のポイント(後半)

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2023/04/20 WEBセミナー『速報 2023年3月株主総会のポイント』配信開始!

会員の皆様に必要な情報をいち早くお届けするべく、2023年4月20日(木)より下記のWEBセミナーの配信を開始いたしました。

テーマ 講 師
~2023年6月総会対応の“先行事例”~
速報 2023年3月株主総会のポイント
三菱UFJ信託銀行 法人コンサルティング部
中川 雅博 様

■WEBセミナーの詳細

セミナー
の内容
3月決算会社に続いて社数が多い12月決算会社の3月総会の動向は、6月総会のいわば“前哨戦”であり、3月決算会社にとって参考となる事例が多々あります。それだけに、6月総会に向け準備を進めるうえでは、12月決算会社の3月総会は是非ともチェックしておきたいところです。
本セミナーでは、株主総会実務や株主総会分析の第一人者であり、全国株懇連合会の理事も務める三菱UFJ信託銀行の中川雅博様をお招きし、12月決算会社の2023年3月総会を分析していただきます。2023年3月13日からマスク着用が自主判断となるなどコロナ禍がほぼ収束した中で開催された2023年3月総会の出席株主数、平均所要時間など全般的な傾向、出席者がそれぞれ「+900%」「+150%」と急増した会社がとった施策、株主からの質問の内容やキーワード、株主提案の状況、会社提案議案が否決されたケース、議案の内容を修正のうえ可決されたケース、賛成率が70%に満たない議案と賛成率の低かった議案についてはその要因などをご紹介いただきます。また、株主総会資料の電子提供制度のもとで初めて開催される2023年3月総会における招集通知の発送・開示状況、電子提供措置をとるウェブサイトや自社ウェブサイトURLの遷移先、ウェブサイトへのアクセスを容易にするための工夫、いわゆる一体型アクセス通知の採用状況、交付書面の送付請求への対応方法、電子提供措置に基づく記載省略事項など、株主総会資料の電子提供制度の実務についても解説していただきます。
講師の
ご紹介
中川 雅博(なかがわ まさひろ)様
大阪大学法学部卒、大阪大学大学院法学研究科(修士課程)修了。1990年、東洋信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)に入社。以後、証券代行部門・法人ビジネス部門に所属し、一貫して会社法務に関するコンサルティングを行う。現在、三菱UFJ信託銀行(株)法人コンサルティング部に所属し、全国株懇連合会理事、東京株式懇話会常任幹事(研究部 研究第1部担当)も務める。
ハンドブックシリーズ1「株主総会」(共著:2002年12月・商事法務)、ハンドブックシリーズ2「株式実務」(共著:2003年4月・商事法務)、「委員会等設置会社への移行戦略」(共著:2003年5月・商事法務)、「株券電子化と移行のポイント」(共著:2008年5月・商事法務)、「株券電子化-その実務と移行のすべて」(共著:2008年8月・きんざい)、「全株懇モデル[新訂2版]」(共著:2009年3月・商事法務)、「株式事務の基礎知識」(2009年11月・商事法務)、「株主総会ハンドブック第3版」(共著:2015年3月・商事法務)、「株主総会・取締役会・監査役会の議事録作成」(共著:2015年3月・清文社)、「監査等委員会設置会社の活用戦略」(共著:2015年9月・商事法務)、「新株主総会実務なるほどQ&A」(共著:2017年3月・中央経済社)、「株主総会の準備実務・想定問答」(共著:2018年1月・中央経済社)など著書多数。

会員の方は下記URLよりWEBセミナーを視聴いただくことができます。
■会員向けURL(ログインが必要です)
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非会員の方は下記URLよりWEBセミナーの視聴をお申込みいただけます。
■非会員向けURL(グーグルフォームが立ち上がります)
https://forms.gle/VnGtW2rXR7YCE3HdA

<収録月>
2023年4月

<収録時間>
前半:約35分
後半:約42分

<視聴環境>
ブラウザー上で視聴できます。インターネットエクスプローラー、エッジで再生できない場合は、ChromeまたはFirefoxなど他のブラウザーをお試しください。また、インターネットに接続する際にプライベートネットワークやプロキシサーバーを経由している場合やファイアーウォールのセキュリティレベルが高い場合には、サンプル動画が再生されない可能性があります。
万が一、こちらのサンプル動画が再生されない場合、端末を管理するシステム管理者にお問い合わせください。

2023/04/20 企業が生物多様性に脅威を与える「ディペンデンシー」と「インパクト」とは?(会員限定)

人間社会、そして企業は自然に大きく依存しているが、世界経済フォーラム2022 年版グローバルリスクレポート によると、今後5~10 年におけるリスクのトップ5に、「気候変動への対応の失敗」を筆頭に、「異常気象」「生物多様性の損失」「天然資源危機」「人為的な環境災害」が挙げられている。これら“自然関連リスク”は、「社会的結束の侵食」「テクノロジー進歩による悪影響」といった社会・経済的な課題を上回るリスクとして認識されており、社会・経済にとって脅威となっている。

世界経済フォーラム : 経済、政治、学究、その他の社会におけるリーダーたちが連携することにより、世界、地域、産業の課題を形成し、世界情勢の改善に取り組むことを目的とし、1971年に発足した非営利財団。世界経済フォーラムが毎年1月に開催する年次総会である「ダボス会議」には、日本の首相を含む各国を代表する政治家や実業家が一堂に会し、世界経済や環境問題など幅広いテーマについて議論するだけに、同会議における決定・公表事項は世界に強い影響力を持つ。スイスの有名な保養地であるダボスで開催されることから「ダボス会議」との名前が付いた。

こうした中、国際社会は自然や生物多様性の保全に向けた動きを加速させており、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に倣う形で、2021年6月にはTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)を発足させているが、そのTNFDは、自然関連リスクを『自然への「ディペンデンシー(dependency=依存)」や「インパクト(影響)」から生じる、組織に対する潜在的な脅威』と定義している。ディペンデンシーとは、企業の財務パフォーマンスが「自然がもたらす生態系サービス」に依存している状態を指し、インパクトとは、企業の経済活動が「自然とそれらがもたらす生態系サービス」を変化させるような影響を与えることを意味する。すなわち、企業は自然に依存し恩恵を受ける一方で、自然に悪影響を与え、その結果、企業自らにリスクをもたらしているということだ。例えば、食品メーカーは原料調達先の水資源が枯渇すれば原料不足となり製造プロセスが成り立たなくなることから、水資源という自然についてリスクを負っていると言える。

TCFD : 主要国の金融当局(中央銀行、金融監督当局、財務省)やIMF(国際通貨基金)、世界銀行、BIS(国際決済銀行)、OECD(経済協力開発機構)などで構成される国際的な金融システムの安定を目的とする組織である金融安定理事会(FSB)が設置した組織。TCFDとは「Task Force on Climate-related Financial Disclosures」の略である。TCFDが2017年6月に公表した最終提言は、気候変動リスクに関する情報開示のフレームワーク(枠組み)のグローバルスタンダードとなっている。

実際、人間や企業の活動による影響が主な原因となり、自然のストック(自然資本)は減少し続けている。自然破壊や生物多様性の損失は、自然が提供する生態系サービスを損ない、大気汚染、食糧難、蚊等の動物媒介の感染症蔓延などの問題を生む要因となり得る。また、自然資本の損失は気候変動と表裏一体の関係にあるとされており、気候変動対策を行うためには、生物多様性をはじめとする自然資本の保全が欠かせない要素となっている。

こうしたなか企業には、自社の自然へのディペンデンシーとインパクトの両方を考慮し、自然関連リスクを検証することが迫られているが、自然関連のディペンデンシーやインパクトの測定方法は現段階では統一されておらず、様々な機関・団体による約3,000 もの異なる方法が林立していると言われる。その結果、企業の開示情報は各社異なる測定方法に基づくことになり、セクター間の比較を難しくしている。また、同一企業内でも、使用する測定方法が年々進化しているため、経年比較ができないという問題も生じている。

そこで登場したのが、企業の経済活動による自然へのインパクトの要因を定量的に捉える「インパクト・ドライバー」という概念だ。例えば、農家が使用した農薬によって、受粉活動を行うミツバチという自然資本が失われるという負のインパクトが生じた場合、その要因となった陸上での土地利用の変化をインパクト・ドライバーと呼ぶ。TNFD は、自然に対するインパクト・ドライバーを「土地/海域の利用変化」「気候変動」「直接採取」「汚染」「侵略的外来種」の5つの要因に分類してこれらを測定し、正の影響、負の影響、その影響の緩和策をマッピングして整理することを推奨している。

出典:「TNFD 提言ドラフト・V0.3 」31ページ右上の図参照
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TNFDは今年(2023 年)9 月にも企業による情報開示についての最終提言を公表する予定となっている。その内容は、日本の非財務開示基準にも反映されていくことが予想されるが、多くの企業では、生物多様性や自然関連リスク等に知見を持った専門的な人材がいないか不足しているのが現状だろう。今後は、これらに関する研修を受講させるなどして、専門性を持った社員を育成していくことも求められよう。

2023/04/19 「PBR1倍割れ」問題を巡る空気の変化

東証の市場区分の見直しから1年が経過したが、「見直しの目的が十分に達成されていない」との声は少なくない。こうした中、東証は3月31日、対応策の一つとして、プライム市場およびスタンダード市場上場企業のうちPBR(株価純資産倍率)が継続的に1倍を下回っている企業に対し、改善に向けた方針や目標、具体的な取組みや実施時期の開示と年1回以上のアップデートを要請したのは既報のとおり(2023年4月5日のニュース『「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」における要請事項と開示時期』参照)。PBR1倍割れが問題視されるようになってから・・・

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2023/04/19 「PBR1倍割れ」問題を巡る空気の変化(会員限定)

東証の市場区分の見直しから1年が経過したが、「見直しの目的が十分に達成されていない」との声は少なくない。こうした中、東証は3月31日、対応策の一つとして、プライム市場およびスタンダード市場上場企業のうちPBR(株価純資産倍率)が継続的に1倍を下回っている企業に対し、改善に向けた方針や目標、具体的な取組みや実施時期の開示と年1回以上のアップデートを要請したのは既報のとおり(2023年4月5日のニュース『「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」における要請事項と開示時期』参照)。PBR1倍割れが問題視されるようになってから企業の自社株買いは急増し、2022年度は過去最高を記録しているが、今回の東証の要請により益々自社株買いが加速する可能性がある。

PBR : Price Book-value Ratio=株価純資産倍率(株価÷1株当たり株主資本)。株価が1株当たり純資産(BPS:Book value Per Share)の何倍まで買われているか(=1株当たり純資産の何倍の値段が付いているか)を指す。PBRが1.0を大幅に下回る場合、投資家が企業の将来性に疑問を持っていたり、減損リスクのように潜在的な資産の含み損が多額にのぼる可能性が株価に織り込まれていたりすることを示唆する。

PBRは「株価÷一株あたりの純資産(株主資本)」によって算出されるため、自社株買いにより、自社株の取得に使った現金や流動資産の分だけPBRの分母である純資産が減少するとともに、市場に出回る株式数は減少し、分子の株価も上がる傾向にある。結果として、PBRは上昇することになる。自社株買いは、配当同様に株主への利益還元、株価の下落防止、敵対的買収からの防衛、ストックオプションとしての活用といった利用法がある資本政策の一つであり多くの企業が実施しているが、自社株買いを自己資本で行うことにより資金繰りが悪化し、成長投資や研究開発投資の資金など経営資源が削られる懸念もある。この点を踏まえると、自社株買いのみによって東証の要請に応えようとするのは本末転倒と言える。

この点については東証も上記要請の中で「自社株買いや増配のみの対応や、一過性の対応を期待するものではなく・・・」と釈明しているが(「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応等に関するお願いについて」の一番下参照)、自社株買いが増加しているという現状を踏まえ、今後も丁寧な説明が必要になろう。

金融庁も、メディア等で「PBR1割れ」ばかりがクローズアップされ、自社株買いへの圧力が強まっていることを懸念しており、あくまでも収益力向上に力点を置く姿勢を打ち出している。それを示すのが、「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」(以下、フォローアップ会議)が約1年ぶりに開催した4月19日の会合に提出された「コーポレートガバナンス改革の実質化に向けたアクション・プログラム(案)」だ(2023年4月18日のニュース『コード改訂「3年に1度」のサイクルにとらわれず コーポレートガバナンス改革の実質化に向けた「アクションプログラム」公表へ』参照)。同案の「具体的取組内容」(2ページ~)では、最初に「A)収益性と成長性を意識した経営」が掲げられており、しかも、ここでは「PBR」には一言も触れていない。これは、「PBR1割れ」の独り歩きを牽制するために“敢えて”触れなかったと考えてよい。

とはいえ、長期間続く「PBR1倍割れ」が、企業経営を通じて資産が有効活用されていない可能性を示唆していることを否定するのは困難だろう。したがって、企業には、PBRの向上に向け、株主資本や有利子負債をどのような投資に充て、どれだけのリスクを負い、どの程度のリターンを見込むのかを考える経営が求められる。PBR は下記の算式のとおり、ROE(自己資本利益率)とPER(株価収益率)の掛け算でもある。

PBR(時価総額/純資産)=ROE(利益/純資産)×PER(時価総額/利益)
※右辺の利益を相殺すれば、「時価総額/純資産」(すなわちPBR)が残る。

ROEを改善するためには、低収益事業からの撤退も検討する必要がある。また、PERの改善には、研究開発やSDGs戦略などを含む長期的な成長ストーリーについて投資家と対話することで株価を上昇させることが求められる。そのうえで資本の有効活用先が見つからない場合に、初めて自社株買い等の株主還元を検討するべきだろう。

SDGs : 「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略で、「エスディージーズ」と読む。「人間、地球及び繁栄」のための行動計画として国連が掲げる世界共通の目標であり、17の目標と169のターゲットからなる。2015年9月に開催された「国連持続可能な開発サミット」において150を超える加盟国首脳の参加のもとで採択され、2016年から2030年までの15年間での達成を目指している。

一方、東証など規制当局には、企業が自社株買い等の近視眼的な取組みにのみに頼ろうとしていないか、長期的な成長や競争力の向上に取り組んでいるかをモニタリングし、市場の底上げを図ることが求められる。また、工場やインフラ等の資産を抱える企業は、震災等のリスクに備えた遊休資産も必要でありPBRが(分母が大きくなるため)低くなりやすいとの声も聞かれる。全企業一律ではなく、業種・業態に応じた取組みを丁寧に見ていくことも必要であろう。“PBR問題”を受け、自民党などでは上場基準についての問題提起はあるものの、具体化には至っていない。ただ、仮に、プライム市場、スタンダード市場の多くの企業が長期的にPBRを上昇させることが難しいのであれば、上場基準を含め市場のあり方を見直すという議論も一考の余地がありそうだ。

2023/04/18 コード改訂「3年に1度」のサイクルにとらわれず コーポレートガバナンス改革の実質化に向けた「アクションプログラム」公表へ

昨年5月から休止していたスチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議が2023年4月19日午前、おおよそ1年ぶりに開催される。ここで議論されるのが、・・・

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2023/04/18 コード改訂「3年に1度」のサイクルにとらわれず コーポレートガバナンス改革の実質化に向けた「アクションプログラム」公表へ(会員限定)

昨年5月から休止していたスチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議が2023年4月19日午前、おおよそ1年ぶりに開催される。ここで議論されるのが、「コーポレートガバナンス改革の実質化に向けたアクションプログラム」だ。当フォーラムの取材により判明した同プログラムの内容を詳しくお伝えする。

現状の課題と今後の取組みに向けた考え方
コーポレートガバナンス改革については、2021年のコーポレートガバナンス・コード再改訂以降、中間点検などが行われ、さらに岸田首相が昨年9月のニューヨーク証券取引所での演説(2023年3月24日のニュース「コーポレートガバナンス改革の行方」の5段落目参照)において、「世界中の投資家から意見を聞く場を設ける」と表明したことを受け金融庁が設置したジャパン・コーポレート・ガバナンス・フォーラムで集められた意見などを踏まえ、検証が行われてきた。今回のアクションプログラムでは、これらの検証によれば「コーポレートガバナンス改革が企業のパフォーマンスに与える影響については評価が定まっていない」ということを認めつつ、「企業価値向上のために取締役会の機能を高めることが重要との考え方が多くの企業で共有された」との評価や、「良い方向に向かっている」との評価が示される。

そのうえで、現状の課題として、①資本コストを踏まえた収益性・成長性を意識した経営、サステナビリティの取り組みなどの経営上の課題、②指名委員会・報酬委員会の実効性の向上、独立社外取締役の機能発揮に関する課題、③企業と投資家との対話に関する課題を挙げる。特に、企業の持続的成長と中長期的な企業価値の向上というコーポレートガバナンス改革の目的に照らせば、上記①の経営課題を解決することが重要であり、そのためにも②の独立取締役の機能発揮により、経営陣のリスクテイクを支え、実効性ある監督を行うこと、③の企業と投資家との建設的対話による自律的な取り組みの重要性を訴える。

資本コスト : 「資金提供者(債権者+株主)に対するリターン」のこと(なお、株主に対するリターンには、配当のほかキャピタルゲインも含まれる)。資金提供者に対するリターンが適切にできなければ、債権者は会社に資金の返還を求め、株主は株式を売却(=株価が下落する)せざるを得ない。したがって、会社にとって資本コストは「資金提供者に対するリターンの目標値」と言える。

コードについては、これまで形式的な体制整備に貢献してきたと評価する一方で、改訂を重ねるたびに細則化してきたとして「コンプライ・オア・エクスプレインの本来の趣旨を損ない、コーポレートガバナンス改革の形骸化を招くおそれ」があると指摘。企業と投資家との建設的な対話を深度ある実効的なものへと進展させるとともに、企業と投資家の自律的な意識改革を促進する環境の整備が必要とし、以下の具体的な取り組みを順次実施していく。また、コードの改訂はこれまで「3年に1度」というサイクルで行われてきたが、今後は従前のサイクルにとらわれないものとする。

具体的な取り組みの内容
具体的な取り組みは、「企業の持続的な成長と企業価値向上に関する課題」と「企業と投資家との対話に関する課題」の2つに分かれる。まず、「企業の持続的な成長と企業価値向上に関する課題」の主な内容は以下のとおり。

A) 収益性と成長性を意識した経営 資本コストの的確な把握やそれを踏まえた収益性・成長性を意識した経営(事業ポートフォリオの見直しや、人的資本や知的財産への投資・設備投資等、適切なリスクテイクに基づく経営資源の配分等を含む)を促進する。
B) 人的投資を含むサステナビリティを意識した経営 サステナビリティ開示の好事例集の公表等を通じて、サステナビリティ課題への取り組みを促進する。
女性役員比率の向上(2030年までに30%以上を目標)等、取締役会や中核人材の多様性向上に向け、企業の取組状況に応じて追加的な施策の検討を進める。
C) 独立社外取締役の機能発揮等 取締役会や指名委員会・報酬委員会等の活動状況に関する実態調査・公表や、独立社外取締役への啓発活動等を通じて、更なる機能発揮を促進する。

「企業と投資家との対話に関する課題」の主な内容は以下のとおり。

A) スチュワードシップ活動の実質化 スチュワードシップ活動における課題(リソース、インセンティブ、アセットオーナーの体制等)の解決に向けて、運用機関・アセットオーナー等の取り組みを促進する。
B) 対話の基礎となる情報開示の充実 対話状況の開示や、エクスプレインの好事例・不十分な事例の明示に取り組む。
投資家が必要とする情報を株主総会前に提供する方策や、投資家との対話の基礎となるよう企業のタイムリーな情報開示を促進する方策について検討を進める。
C) グローバル投資家との対話促進 グローバル投資家の期待に自律的・積極的に応える企業群の見える化や、英文開示の更なる拡充を通じて、グローバル投資家との対話を促進する。
D) 法制度上の課題の解決 大量保有報告制度()における「重要提案行為等」「共同保有者」の範囲、実質株主の透明性、部分買付けに伴う少数株主保護のあり方について検討を進める。

重要提案行為 : 投資先企業の株主総会において、又は、その「役員」に対し、発行者の事業活動に重大な変更を加え、又は重大な影響を及ぼす行為として「一定の事項」を提案する行為。「一定の事項」としては、例えば代表取締役の選解任、株式交換・移転、会社の分割・合併、配当に関する方針の重要な変更、資本政策に関する重要な変更などがある。
共同保有者 : 大量保有報告制度上、たとえ単独での保有割合が5%以下でも、「保有者との間で、共同して株主としての議決権その他の権利を行使することを合意している者」のこと。当該「共同保有者」がいる場合、その保有割合も合算して保有割合を判定する。
実質株主 : 株主名簿の背後に存在する運用・議決権行使権限を持つ株主。
部分買付けに伴う少数株主保護 : 買付後の株券等所有割合が過半数以上となるように上限を設定した公開買付けと「部分買付け」というが、部分買付けでは少数株主が残存する可能性があるため、企業価値を下げる可能性のある買収に応じる強圧性が生じうることが問題視されている。

E) 市場環境上の課題の解決 従属上場会社の情報開示・ガバナンスのあり方について検討を進めるとともに、政策保有株式の縮減の進捗をフォローアップし、必要に応じて更なる検討を進める。

従属上場会社 : 実質的な支配力を持つ株主(支配的な株主)を有する上場会社。

 市場の透明性・公正性を高め、投資者保護を図ることを目的として、株券等の大量保有者に対し「大量保有報告書(or変更報告書)」の提出を義務付ける金融商品取引法上の制度。具体的には、①保有割合が5%超となった場合、②その後、保有割合が1%以上増減するなど重要な変更があった場合、それぞれ提出事由が生じた日から5営業日以内に「大量保有報告書(or変更報告書)」の提出が求められる(②の場合に提出するのは「変更報告書」)。大量保有報告制度上、たとえ単独での保有割合が5%以下でも、「保有者との間で、共同して株主としての議決権その他の権利を行使することを合意している者」がいる場合には当該「共同保有者」の保有割合も合算する必要があり、集団的エンゲージメントを行った場合、この合算が求められる可能性がある。そこで、投資家は共同保有とみなされることを避けるため、投資家は議決権行使を含む一切の合意をしないよう注意しなければならないため、大量保有報告制度が集団的エンゲージメントを行う上でのボトルネックとなっている。

これら具体的な取組みのメニューは、既に東京証券取引所が公表し、2023年春からの実施が決まっているものもあれば(2023年4月5日のニュース『「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」における要請事項と開示時期』参照)、今後検討していく内容も含まれている。特に「追加的な施策」が検討されている事項や、開示関連事項、法制度や市場環境上の課題などについては、19日のフォローアップ会議のみならず、それ以降、別の場での検討が行われることが見込まれる。

上場企業は、それぞれの取り組みの検討状況、実施スケジュールをにらみながら、対応を検討していくことが求められよう。

2023/04/17 「PBR1倍割れ」が役員報酬の設計に与える影響

PBR(株価純資産倍率)1倍未満の企業に対するプレッシャーが高まっている。プライムおよびスタンダード市場に上場する全企業約3,300社を対象として、資本コストや成長性の改善に向けた具体的な取り組みや進捗状況の開示を通じて、企業価値向上に対する経営者の意識改革が強く迫られている。まだ検討段階にあった頃からメディア等の関心も非常に高く、東証から正式な通知のあった2023年3月31日以降は(通知の内容については2023年4月5日のニュース『「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」における要請事項と開示時期』参照)、多くの新聞記事等でも、その必然性や前向きな期待が述べられている。4月14日には英語版も公表されており、欧米の市場環境が軒並み芳しくない中、海外の機関投資家が日本市場に投資機会を見出し、企業に改革を迫る一つの観点を与えることになるだろう。

PBR : Price Book-value Ratio=株価純資産倍率(株価÷1株当たり株主資本)。株価が1株当たり純資産(BPS:Book value Per Share)の何倍まで買われているか(=1株当たり純資産の何倍の値段が付いているか)を指す。PBRが1.0を大幅に下回る場合、投資家が企業の将来性に疑問を持っていたり、減損リスクのように潜在的な資産の含み損が多額にのぼる可能性が株価に織り込まれていたりすることを示唆する。
資本コスト : 「資金提供者(債権者+株主)に対するリターン」のこと(なお、株主に対するリターンには、配当のほかキャピタルゲインも含まれる)。資金提供者に対するリターンが適切にできなければ、債権者は会社に資金の返還を求め、株主は株式を売却(=株価が下落する)せざるを得ない。したがって、会社にとって資本コストは「資金提供者に対するリターンの目標値」と言える。

こうした動向は、今後、役員報酬にも影響を及ぼすことが容易に想像される。経営陣の意識改革とインセンティブ付け・評価の問題は常に表裏一体にあるからだ。特に影響を受けるのは中長期インセンティブ、株式報酬だろう。

企業価値向上への意識付けを更に高めていくためには、まず・・・

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2023/04/17 「PBR1倍割れ」が役員報酬の設計に与える影響(会員限定)

PBR(株価純資産倍率)1倍未満の企業に対するプレッシャーが高まっている。プライムおよびスタンダード市場に上場する全企業約3,300社を対象として、資本コストや成長性の改善に向けた具体的な取り組みや進捗状況の開示を通じて、企業価値向上に対する経営者の意識改革が強く迫られている。まだ検討段階にあった頃からメディア等の関心も非常に高く、東証から正式な通知のあった2023年3月31日以降は(通知の内容については2023年4月5日のニュース『「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」における要請事項と開示時期』参照)、多くの新聞記事等でも、その必然性や前向きな期待が述べられている。4月14日には英語版も公表されており、欧米の市場環境が軒並み芳しくない中、海外の機関投資家が日本市場に投資機会を見出し、企業に改革を迫る一つの観点を与えることになるだろう。

PBR : Price Book-value Ratio=株価純資産倍率(株価÷1株当たり株主資本)。株価が1株当たり純資産(BPS:Book value Per Share)の何倍まで買われているか(=1株当たり純資産の何倍の値段が付いているか)を指す。PBRが1.0を大幅に下回る場合、投資家が企業の将来性に疑問を持っていたり、減損リスクのように潜在的な資産の含み損が多額にのぼる可能性が株価に織り込まれていたりすることを示唆する。
資本コスト : 「資金提供者(債権者+株主)に対するリターン」のこと(なお、株主に対するリターンには、配当のほかキャピタルゲインも含まれる)。資金提供者に対するリターンが適切にできなければ、債権者は会社に資金の返還を求め、株主は株式を売却(=株価が下落する)せざるを得ない。したがって、会社にとって資本コストは「資金提供者に対するリターンの目標値」と言える。

こうした動向は、今後、役員報酬にも影響を及ぼすことが容易に想像される。経営陣の意識改革とインセンティブ付け・評価の問題は常に表裏一体にあるからだ。特に影響を受けるのは中長期インセンティブ、株式報酬だろう。

企業価値向上への意識付けを更に高めていくためには、まずボリュームやウエイトを大胆に見直す必要がある。既に日本においても、グローバルを志向する一部企業のCEOは基本報酬と株式報酬が同程度のウエイトとなっている。一方、欧米企業やアジアの一部大手企業の株式報酬は基本報酬の2~3倍が標準的であり、グローバル投資家から信頼を得るためには、日本企業も中長期的にはこのレベルまで株式報酬を引き上げることを想定しておく必要があるだろう。

一部の米国企業の「7~8倍」という数値を“異常値”と見る向きは以前から少なくないが、それによって各企業が実際に高い資本収益性(資本収益性については2021年11月11日のニュース「ROICではなくROEやROAではダメなのか?」の一番下の表参照)を維持し、経済全体の成長をもたらしている現実を見れば、もはやこれを感覚論で直ちに選択肢の外に置く時代ではないかもしれない。日本企業であっても、挑戦的な価値創造目標の下、更に“上”を目指すフィロソフィーが受け入れられる余地は十分にあるだろう(実際、ソニーグループのCEOの株式報酬は基本報酬の6倍弱のウエイトであることが、2022年度の個別報酬開示から推察される)。

次に問題となるのが、株式報酬の評価指標だ。当然ながら、今後は資本収益性指標やTSRを無視して検討を進めることはできない。企業価値向上の視点から経営に求められているのは、超過収益を生むビジネスモデルを構想したうえで、イノベーションのために無形資産を含めた投資を実行し、不採算事業を果断に整理しながら、中長期的に資本コストを上回る資本収益性を維持・伸長させていていくことである。「ROEROICEPSは資本構成の調整や自社株買いで影響を受けるため、インセンティブ指標として望ましくない」という経営側のズレた意見はますます受け入れられなくなってくるだろう。

ROE : Return On Equity=株主資本利益率(当期純利益/株主資本)
EPS :1株当たり利益(Earnings Per Share)のことで、「当期純利益÷発行済株式数」によって計算される。

一方で、TSRは、こうした企業の資本収益性向上に向けた取り組みをマーケットの視点から客観的に測るものと整理でき、既に日本企業においても比較的導入が進んでいる。ただ、多くの企業の現況は、TSRが株式報酬における唯一の指標となっていたり、TOPIXのようなインデックス指標とのパフォーマンス比較にとどまった単純な報酬設計となっている。つまり、マーケット評価の反映という意味では優れているが、あくまで受動的なものであり、経営陣の意識改革を迫るほどのパワフルなメッセージ性はない。今後はその発展形として、他の戦略上の重要指標や資本収益性指標との組み合わせにおいてTSR指標を用いる、TSRのパフォーマンスを同業他社・ピアグループのTSRと比較するなど、自社の事業戦略を資本収益性と企業価値の向上につなげていくための更なる工夫の余地がありそうだ。

ピアグループ : 同業種、同規模等の比較対象企業群