2023/04/05 「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」における要請事項と開示時期(会員限定)

周知のとおり、東証は(2023年)3月31日、上場会社に対して「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応等に関するお願い」を通知している。これは、東証が設置した「市場区分の見直しに関するフォローアップ会議」での議論を踏まえ1月30日に公表された「論点整理を踏まえた今後の東証の対応」の中で「中長期的な企業価値向上に向けた取組の動機付け」として掲げていた施策について、具体的な要請事項を取りまとめたもの。

要請事項は以下の3点であり、それぞれに説明資料が付されている。あくまでも「要請」であり義務ではないが、「投資者からの期待を踏まえ、積極的に実施」することが求められている。以下、各要請事項について解説する。

1. 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応(プライム/スタンダード市場上場会社対象)
資本コストや株価を意識した経営の実現に向けて、①現状分析→②計画策定・開示→③取組みの実行(→①に戻る)のサイクルを確立、実施することを求めている(2ページ参照)。①においては資本コストや資本収益性(資本収益性については2021年11月11日のニュース「ROICではなくROEやROAではダメなのか?」の一番下の表参照)を的確に把握すること、②においては投資者にわかりやすく開示すること、③においては投資家との積極的な対話を実施すること、が必要とされている。また、①②には取締役会の主体的な関与が期待されている。

資本コスト : 「資金提供者(債権者+株主)に対するリターン」のこと(なお、株主に対するリターンには、配当のほかキャピタルゲインも含まれる)。資金提供者に対するリターンが適切にできなければ、債権者は会社に資金の返還を求め、株主は株式を売却(=株価が下落する)せざるを得ない。したがって、会社にとって資本コストは「資金提供者に対するリターンの目標値」と言える。

東証は本要請の背景として、上場会社の多くが「ROE8%未満、PBR1倍割れ」であることが示したうえで(1ページ参照)、①の分析におけるポイントとして、「資本コストを上回る資本収益性を達成できているか」「達成できていない場合にはその要因」「資本コストを上回る資本収益性を達成できていてもPBRが1倍を割れている要因」を挙げている(3ページ参照)。さらに②の開示においては、PBRが1倍を超えていても「更なる向上に向けた目標設定」を開示することが期待されている(4ページの「方針・目標」の3つ目の「・」参照)。「PBR1倍」は上場会社にとって“ゴール”ではないことを示した格好だ。

ROE : Return On Equity=株主資本利益率(当期純利益/株主資本)
PBR : Price Book-value Ratio=株価純資産倍率(株価 ÷1株当たり株主資本)。株価が1株当たり純資産(BPS:Book value Per Share)の何倍まで買われているか(=1株当たり純資産の何倍の値段が付いているか)を指す。PBRが1.0を大幅に下回る場合、投資家が企業の将来性に疑問を持っていたり、減損リスクのように潜在的な資産の含み損が多額にのぼる可能性が株価に織り込まれていたりすることを示唆する。

なお、②の開示を行う書類・フォーマットはないことから、開示の場所として、決算説明資料や自社ウェブサイトなどが例示されている。ただし、参照先のURLなどの閲覧方法をコーポレートガバナンス報告書の「コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示」の記載欄に記載しなければならないとされた(5ページ参照)。その場合、参照方式ではなく、内容自体を直接記載してもよい(コーポレートガバナンス報告書の記載要綱4ページの下部参照)。

2. 株主との対話の推進と開示(プライム市場上場会社対象)
直前事業年度における「経営陣等と株主との対話の実施状況」等について、開示することを求めている。具体的な開示事項としては、対話の対応者、対話を行った株主の概要(国内外の別や投資スタイルなど)、対話のテーマや株主の関心事項(特に、株主から気づきが得られた対話や、経営陣等の説明によって株主の理解が得られた対話の事例)、対話を踏まえて取り入れた事項の内容、などが例示されている。さら、上記1.③による対話(資本コストや株価の改善に向けた取組み等についての投資家との対話)の状況を開示することも期待されている(以上、2ページ参照)。

本事項の開示についても書類の定めはないことから、開示場所としてアニュアルレポートや自社ウェブサイトが例示されており、その場合、コーポレートガバナンス報告書の「コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示」の記載欄に、URLなど閲覧方法を記載するか、内容自体を直接記載する必要がある。なお、開示時期については「できる限り速やか」にとされており、4月以降に開催される定時株主総会後の対応が想定されている(3ページ参照)。

3. 建設的な対話に資する「エクスプレイン」のポイント・事例
コーポレートガバナンス・コードへの対応において「エクスプレイン」している原則がある場合、その記載が十分なものであるか、「自主的な点検」を求めている(1ページ参照)。「不十分と考えられる」エクスプレインの類型も例示されており、具体的には、①何を実施していない(エクスプレイン)のか、内容が不明確、②単に「検討中」としているのみで、実施しない理由や検討状況などの記載がない、③抽象的な説明(コード文言のつなぎ合わせ)に終始しており、具体的な個別事情を踏まえていない、などの事例が挙げられている(3ページ参照)。

コーポレートガバナンス・コードの各原則への対応はコーポレートガバナンス報告書の記載事項であり、このエクスプレインの自主点検についても、4月以降の定時株主総会に際して更新される同報告書で対応する必要があろう。したがって、上記「2.株主との対話の推進と開示」と、この「3」の要請事項については、3月期決算会社であれば遅くとも6月株主総会をタイムリミットとして開示を行う必要がある。一方、「1.資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」については時間をかけることが許容されるが、その際は原則5-2(経営戦略や経営計画の策定・公表)をエクスプレインすることが望ましいと言えそうだ。

2023/04/04 SSコード、CGコード改訂の代わりに何が行われる?(会員限定)

2023年3月24日のニュース「コーポレートガバナンス改革の行方」では、スチュワードシップ・コード(以下、SSコード)、コーポレートガバナンス・コード(以下、CGコード)のいずれについても、今春において改訂しようという動きが現時点では政府内にないことをお伝えしたところだ。両コードともこれまで3年に1度のサイクルで改訂が行われてきた経緯を踏まえ、少なくとも前回、3年前の2020年3月24日に改訂されたSSコードはそろそろ改訂されるのではないかと考えている上場会社もあるかもしれないが、当フォーラムの取材により、SSコード、CGコードともに2023年中には改訂されない方向であることが判明した。

確かに、3年前に改訂されたSSコードを再改訂するのであれば既にスチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議(以下、フォローアップ会議)等で改訂に向けた議論が結論に至っていなければならないが、改訂に向けた特段の議論は行われていない。2年前に改訂されたCGコードについても、何らかの議論が始まっているはずだが、その形跡がないことも、2023年には両コードが改訂されないことを示している。

その背景には、上記で引用したニュースのように、成長と分配の好循環をどのように実現するかという課題の優先順位が高いということもあるが、改正開示府令(2023年3月31日以後に終了する事業年度に係る有価証券報告書等から適用)によるサステナビリティ情報の開示強化などにより、上場会社の負担が増えているといった事情もあるものとみられる。

ただ、両コードが今年は改訂されないとはいえ、上場会社の企業価値向上に向けた政府の動きが止まるわけではない。4月19日に開催されるフォローアップ会議では、そのための“アクション・プログラム”が示される模様だ。アクション・プログラムには、東証がこのほど示した「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」や「株主との対話の推進と開示」などの方針のほか(下記の【会場型セミナーのお知らせ】を参照)、3月2日に開催された金融審議会総会で諮問された、非友好的買収事例の増加などを背景とした公開買付規制の柔軟化、協働エンゲージメントの広がりや企業と投資家の対話の重要性の高まりなどを背景とした大量保有報告制度()の見直し、「実質株主の透明性」の確保(金融審議会総会の説明資料はこちら)など金融商品取引法の改正を伴うアイテムが含まれる模様。

実質株主 : 株主名簿の背後に存在する運用・議決権行使権限を持つ株主。

 市場の透明性・公正性を高め、投資者保護を図ることを目的として、株券等の大量保有者に対し「大量保有報告書(or変更報告書)」の提出を義務付ける金融商品取引法上の制度。具体的には、①保有割合が5%超となった場合、②その後、保有割合が1%以上増減するなど重要な変更があった場合、それぞれ提出事由が生じた日から5営業日以内に「大量保有報告書(or変更報告書)」の提出が求められる(②の場合に提出するのは「変更報告書」)。大量保有報告制度上、たとえ単独での保有割合が5%以下でも、「保有者との間で、共同して株主としての議決権その他の権利を行使することを合意している者」がいる場合には当該「共同保有者」の保有割合も合算する必要があり、集団的エンゲージメントを行った場合、この合算が求められる可能性がある。そこで、投資家は共同保有とみなされることを避けるため、投資家は議決権行使を含む一切の合意をしないよう注意しなければならないため、大量保有報告制度が集団的エンゲージメントを行う上でのボトルネックとなっている。

当該アクション・プログラムが上場会社に及ぼす影響は小さくないものとみられる。本件については近く続報したい。

【会場型セミナーのお知らせ】
上場会社役員ガバナンスフォーラムでは2023年4月11日(火)、東京証券取引所の菊池 教之 上場部長をお招きし、「上場会社の企業価値向上に向けた東証の対応について」と題したセミナーを開催します。当日は質疑応答の時間も設ける予定です。東京証券取引所の考え方を直接聞くことができる貴重な機会となりますので、ご参加を推奨いたします。
参加のお申込みはこちらからお願いいたします(当フォーラム会員様は無料で参加できます)。

2023/04/03 役員の業績連動報酬の「事後調整」を行う場合の論点

「不確実性の時代」と言われるここ数年、役員への業績連動報酬の支給額についてもボラティリティ(変動率)が高まっている。年度末を迎え、期初には予測出来なかった外的要因(為替の変動、エネルギー・原材料価格の高騰等)により業績が振るわず、役員に対する業績連動報酬の支給率が予想外に少なくなってしまった、という企業も多いことだろう。

こういったケースにおいては、各社の報酬委員会等において、「事後的」に、業績連動報酬の支給率の調整ができないか、という議論になることがある。“後出しジャンケン”という批判を受けるリスクは否定できないものの、業績不振が外的要因によるものであって、経営陣の責任に帰すものではないのであれば、何らかの形で報酬を事後的に調整することができないか、という議論があってもおかしくはないはずだ。

そして、結論から言えば、報酬の事後調整を行うこと自体は可能である。しかしながら、実際に調整を行う場合には、いくつかの論点を踏まえたうえで、慎重な検討を行う必要がある。具体的には以下のとおりだ。・・・

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2023/04/03 役員の業績連動報酬の「事後調整」を行う場合の論点(会員限定)

「不確実性の時代」と言われるここ数年、役員への業績連動報酬の支給額についてもボラティリティ(変動率)が高まっている。年度末を迎え、期初には予測出来なかった外的要因(為替の変動、エネルギー・原材料価格の高騰等)により業績が振るわず、役員に対する業績連動報酬の支給率が予想外に少なくなってしまった、という企業も多いことだろう。

こういったケースにおいては、各社の報酬委員会等において、「事後的」に、業績連動報酬の支給率の調整ができないか、という議論になることがある。“後出しジャンケン”という批判を受けるリスクは否定できないものの、業績不振が外的要因によるものであって、経営陣の責任に帰すものではないのであれば、何らかの形で報酬を事後的に調整することができないか、という議論があってもおかしくはないはずだ。

そして、結論から言えば、報酬の事後調整を行うこと自体は可能である。しかしながら、実際に調整を行う場合には、いくつかの論点を踏まえたうえで、慎重な検討を行う必要がある。具体的には以下のとおりだ。

論点(1)意思決定プロセスが公明正大なものとなっているか
報酬の事後調整を行うためには、報酬に関する意思決定プロセスの客観性が保たれていることが大前提となる。具体的には、報酬委員会において、社外取締役を中心とした委員が中立な立場から議論を行い、かつ、それを外部にも開示していることが重要となる。

近年、役員報酬の支給実績や、報酬委員会の活動内容の開示要件が強化されているが、これには企業側の負担が増加した側面もある一方、裏を返せば、企業にとって、報酬の事後調整の正当性を外部に説明する機会が十分に与えられた、と解釈することもできる。説明を受ける側、例えば機関投資家も、事後調整を全て「悪」としているわけではなく、報酬委員会において合理的な裁量判断がなされたかどうか、対外的に適切に説明されているかどうか等を個別に確認したうえで賛否を判断しているケースが多い。欧米においては、報酬の事後調整が受け入れられるかどうか、事前にエンゲージメントの機会を設定することで、サウンディングを行う事例もある。

サウンディング : 対話により相手方の意見を把握したり情報収集を行ったりする手法のこと。

論点(2)リスク管理上の問題はなかったか
では、論点(1)を前提としたうえで、どういったケースであれば、報酬の事後調整の正当性について説明がつくのだろうか。

近年、サステナビリティの観点からも、経営陣には高度なリスクマネジメントが求められている。そのような中で報酬の事後調整が正当化され得るのは、一定レベル以上のリスクマネジメントを行い、なおかつ、期初には予測出来なかった事象が起こった場合(かつ、それが経営陣の責任に帰するものではない場合)に限られるだろう。ここに、事後調整の説明の難しさがある。例えば、COVID-19のパンデミックは予測不可能な事象の典型例だったが、それでも、ウィズ・コロナの時代に移行するにつれて、経営陣にはCOVID-19の影響を織り込んだ経営計画を立てることが求められるようになっており、それに伴い、COVID-19の影響について「予測できなかった」という言い訳は必ずしも通用しなくなりつつある。

そもそも、何が起きたら報酬を調整してよいのかということについて事前にルール化することは難しい。ある程度予測ができる事象ならば、はじめからそれを織り込んだ上でリスク管理や目標設定をしておくべきだった、という話で終わってしまいかねない。したがって、報酬委員会としては、その事象が事前に予測できたかどうか、事後調整が納得のいくものであるか、外部に説明可能なものなのかを、株主や投資家、従業員等のステークホルダーの立場に立って判断していくことになろう。

論点(3)業績連動報酬の趣旨に適っているか
また、一般的に、事後調整は「年次賞与」では一定程度認められるが、長期インセンティブ報酬(LTI=Long Term Incentive)では認められにくい、という傾向がある。これは、両者の業績連動報酬としての性質の違いに由来している。

年次賞与は、結果としての業績のみならず、(企業価値の向上に向けた)毎期の取り組みや経営努力自体を評価する、という部分にも力点が置かれていることが多い。一方、LTIは、毎期の取り組みの積み重ねが結果という形でしっかり結実したか(企業価値を向上させたか)を評価するもの、と認識されている。言い換えれば、短期的には調整は認められても、中長期的には、しっかり結果を出していない限り説明が難しい、ということである。

論点(4)事後調整ありきの制度設計になってはいないか
最後に、当然のことながら、こういった事後調整を行うのが当たり前になってしまうのはよろしくない。報酬委員会としては、仮に事後調整を検討するとしても、常に緊張感のある議論を行う必要があり、また、できるだけ制度設計自体を工夫することにより、遡及的な調整は避けることが望ましい。

制度設計上の工夫の例としては、例えば、業績連動報酬に定性評価部分を導入し、(数値では測れない)経営陣の努力を評価することや、一過性の特殊要因等の影響を排除した調整後指標を予めKPIとして設定しておくことなどが考えられる。より技術的には、インセンティブ報酬の支給率の算定に用いるKPIの上限値・下限値の幅(インセンティブゾーン)を広くとっておくことも選択肢になり得るだろう。

上記のように、事後調整の議論は奥が深く、特に、報酬を増額する方向での調整を行うケースや、調整の度合いが定量的に数値化出来ないケースにおいては、報酬委員会はより難しい判断を求められる。上場企業の経営陣や報酬委員会としては、そのような難しい局面を迎える前に、自社の報酬制度が不確実性やリスクに耐えられるものとなっているかどうか、いま一度点検してみるべきだろう。

2023/03/31 2023年3月度チェックテスト

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【問題1】

アクティビストから解任を求められた社外取締役が、解任される前に辞任を選択したとしても、社外取締役としての責任に何らかの変化が生じるわけではない。


正しい
間違い
【問題2】

議決権行使助言会社の影響力の増加の背景には、パッシブ・インデックス運用を行うファンドの増加があると言われている。


正しい
間違い
【問題3】

2023年秋に子会社からの配当を予定している親会社では、配当の効力発生日が「2023年9月30日まで」か「2023年10月1日以降」かで約20%も手取額が変わることになるため注意が必要である。

正しい
間違い
【問題4】

CEOの変動報酬のKPIにおいてROA、ROE、ROIC等の指標の設定がなく、かつ、同業他社等との相対評価(TSR等)も実施していない、という場合には、DJSI(Dow Jones Sustainability Index)によるスコアがその分下がってしまう可能性がある。

DJSI : 米国のS&P Dow Jones Indices社とスイスのRobecoSAM社が共同開発した投資家向けのインデックス。開発されたのが1999年と、ESGインデックスの中では最も古く、権威があるとされる。主要企業をESGの観点から評価し、総合評価の高い企業がDJSI銘柄に選定される。


正しい
間違い
【問題5】

抜き打ちの内部監査は不正の告発があった時だけで充分である。


正しい
間違い
【問題6】

アクティブ投資家にとっての投資チャンスは、一転すれば企業にとって売却リスクになる。


正しい
間違い
【問題7】

昨今、海外の機関投資家から「株式保有ガイドライン」の策定について、株主提案や対話・エンゲージメントを求められる日本企業が増えている。


正しい
間違い
【問題8】

賃上げの効果測定には、分母に「労働時間」を用いた労働生産性分析が有用である。


正しい
間違い
【問題9】

マルチステークホルダー方針とはパートナーシップ構築宣言の別名称である。


正しい
間違い
【問題10】

従業員が私生活で犯罪を行ったことが発覚した場合、それを理由に当該従業員を懲戒処分に付しても問題はない。


正しい
間違い

2023/03/31 2023年3月度チェックテスト第10問解答画面(不正解)

不正解です。
会社が懲戒権を行使できるのは「職場の秩序・規律の維持」に限られており、「職場」とは異なる「私生活」における犯罪行為(それが事実であったとしても)を理由として会社が懲戒処分を科すことは基本的には認められません。以上より、問題文は誤りです。ちなみに、会社が懲戒処分を科すことができるのは、その行為によって会社が有形または無形の損害を被った場合に限られます。さらに、それは社会通念上相当なものでなければなりません(労働契約法15条)。

こちらの記事で再確認!
2023年3月28日 従業員が逮捕された場合の対応(会員限定)

2023/03/31 2023年3月度チェックテスト第10問解答画面(正解)

正解です。
会社が懲戒権を行使できるのは「職場の秩序・規律の維持」に限られており、「職場」とは異なる「私生活」における犯罪行為(それが事実であったとしても)を理由として会社が懲戒処分を科すことは基本的には認められません。以上より、問題文は誤りです。ちなみに、会社が懲戒処分を科すことができるのは、その行為によって会社が有形または無形の損害を被った場合に限られます。さらに、それは社会通念上相当なものでなければなりません(労働契約法15条)。

こちらの記事で再確認!
2023年3月28日 従業員が逮捕された場合の対応(会員限定)

2023/03/31 2023年3月度チェックテスト第9問解答画面(不正解)

不正解です。
マルチステークホルダー方針とは、「法人が事業を行う上での、従業員や取引先等の様々なステークホルダーとの関係の構築の方針として、賃金引上げ、教育訓練等の実施、取引先との適切な関係の構築、等の方針を記載したもの」であり、これを制定して公表することが、賃上げ税制の適用要件の一つとされています。一方、パートナーシップ構築宣言は、親事業者と下請事業者との望ましい取引慣行の遵守を宣言するものです。パートナーシップ構築宣言は社会的要請としてより多くの親事業者による宣言が求められるのに対し、マルチステークホルダー方針は、あくまでも賃上げ税制の適用を希望する企業のみが、その適用要件を満たすために公表することが求められる(=賃上げ税制の適用を受けない企業は公表する必要がない)という点で、パートナーシップ構築宣言とは異なります。よって、「マルチステークホルダー方針はパートナーシップ構築宣言の別名称である」とする問題文は誤りです。

こちらの記事で再確認!
2023年3月22日 自社の経営理念とマルチステークホルダー方針のギャップ(会員限定)

2023/03/31 2023年3月度チェックテスト第9問解答画面(正解)

正解です。
マルチステークホルダー方針とは、「法人が事業を行う上での、従業員や取引先等の様々なステークホルダーとの関係の構築の方針として、賃金引上げ、教育訓練等の実施、取引先との適切な関係の構築、等の方針を記載したもの」であり、これを制定して公表することが、賃上げ税制の適用要件の一つとされています。一方、パートナーシップ構築宣言は、親事業者と下請事業者との望ましい取引慣行の遵守を宣言するものです。パートナーシップ構築宣言は社会的要請としてより多くの親事業者による宣言が求められるのに対し、マルチステークホルダー方針は、あくまでも賃上げ税制の適用を希望する企業のみが、その適用要件を満たすために公表することが求められる(=賃上げ税制の適用を受けない企業は公表する必要がない)という点で、パートナーシップ構築宣言とは異なります。よって、「マルチステークホルダー方針はパートナーシップ構築宣言の別名称である」とする問題文は誤りです。

こちらの記事で再確認!
2023年3月22日 自社の経営理念とマルチステークホルダー方針のギャップ(会員限定)