2023/02/02 WEBセミナー『ISS・グラスルイスの2023年版議決権助言方針』配信開始!

新型コロナウイルス禍において会員の皆様に必要な情報をいち早くお届けするべく、2023年2月2日(木)より下記のWEBセミナーの配信を開始いたしました。

テーマ 講 師
ISS・グラスルイスの2023年版議決権助言方針 日本シェアホルダーサービス
研究開発/コンサルティング部 チーフコンサルタント
藤島 裕三(ふじしま ゆうぞう)様

■WEBセミナーの詳細

セミナー
の内容
本セミナーでは、日本シェアホルダーサービス 研究開発/コンサルティング部でチーフコンサルタントを務める藤島裕三 様をお招きし、機関投資家の議決権行使に大きな影響を与えるISSおよびグラスルイスの2023年版議決権助⾔方針について解説していただきます。
2023年には、ISSが取締役会の多様性、気候アカウンタビリティに関するポリシーを、グラスルイスが取締役会の独立性、ジェンダーダイバーシティ、気候変動問題の説明責任、過剰な政策保有株式に関するポリシーを導入・変更します。本セミナーでは、新たなポリシーの内容や導入の背景をご説明いただくほか、剰余金処分、取締役会構成、独立性基準、政策保有株式、クーリングオフ、取締役会への出席率、不祥事、報酬、買収防衛策など、ガバナンス上の主要論点について、ISSとグラスルイスのスタンス、考え方の違いを明らかにしていただきます。また、直近の株主総会でISSやグラスルイスに反対助言を受けた企業の事例と対応、企業とのエンゲージメントに対する両者のスタンスの違い、両者が企業に期待することなどについても語っていただきます。
講師の
ご紹介
藤島 裕三(ふじしま ゆうぞう)様
日本シェアホルダーサービス 研究開発/コンサルティング部 チーフコンサルタント
慶應義塾大学大学院法学研究科修了後、1994年に株式会社大和総研入社。企業調査部アナリスト、同社経営戦略研究所経営戦略研究部 主任研究員 、企業経営コンサルティング部 副部長・シニアコンサルタントを経て2014年、EY総合研究所に入社、未来経営研究部 部長 主席研究員に就任。コーポレートガバナンス改善計画の策定支援、敵対的買収対応に関わる体制整備の支援、IRや株主対応に関する改善支援・アドバイザリーなどに従事。2017年9月より現職。日本証券アナリスト協会検定会員。慶應義塾大学非常勤講師(2003-2005年)、京都大学大学院非常勤講師(2006―2008年)、財務省 財政投融資ガバナンス委員会 委員(2005ー2006年)、経済産業省コーポレート・ガバナンスの対話の在り方分科会 委員(2013年-)。
『コーポレートガバナンス・マニュアル 21世紀日本企業の条件』(中央経済社、第1版 2005年1月、第2版2008年1月):共著、『現代の財務経営1 コーポレートファイナンス』(中央経済社、2009年3月):共著、『ガイダンス コーポレートガバナンス』(中央経済社、2009年10月):共著など著書・論文多数

会員の方は下記URLよりWEBセミナーを視聴いただくことができます。
■会員向けURL(ログインが必要です)
/member/webseminar-webseminar-l/66625/

非会員の方は下記URLよりWEBセミナーの視聴をお申込みいただけます。
■非会員向けURL(グーグルフォームが立ち上がります)
https://forms.gle/7p33LqWt1Ed1aZMc6

<収録月>
2023年1月

<収録時間>
1時間8分

<視聴環境>
ブラウザー上で視聴できます。インターネットエクスプローラー、エッジで再生できない場合は、ChromeまたはFirefoxなど他のブラウザーをお試しください。また、インターネットに接続する際にプライベートネットワークやプロキシサーバーを経由している場合やファイアーウォールのセキュリティレベルが高い場合には、サンプル動画が再生されない可能性があります。
万が一、こちらのサンプル動画が再生されない場合、端末を管理するシステム管理者にお問い合わせください。

2023/02/02 WEBセミナー『ISS・グラスルイスの2023年版議決権助言方針』(会員限定)

概略

【WEBセミナー公開開始日】2023年2月2日

本セミナーでは、日本シェアホルダーサービス 研究開発/コンサルティング部でチーフコンサルタントを務める藤島裕三 様をお招きし、機関投資家の議決権行使に大きな影響を与えるISSおよびグラスルイスの2023年版議決権助⾔方針について解説していただきます。
2023年には、ISSが取締役会の多様性、気候アカウンタビリティに関するポリシーを、グラスルイスが取締役会の独立性、ジェンダーダイバーシティ、気候変動問題の説明責任、過剰な政策保有株式に関するポリシーを導入・変更します。本セミナーでは、新たなポリシーの内容や導入の背景をご説明いただくほか、剰余金処分、取締役会構成、独立性基準、政策保有株式、クーリングオフ、取締役会への出席率、不祥事、報酬、買収防衛策など、ガバナンス上の主要論点について、ISSとグラスルイスのスタンス、考え方の違いを明らかにしていただきます。また、直近の株主総会でISSやグラスルイスに反対助言を受けた企業の事例と対応、企業とのエンゲージメントに対する両者のスタンスの違い、両者が企業に期待することなどについても語っていただきます。

【講師】
日本シェアホルダーサービス
研究開発/コンサルティング部 チーフコンサルタント
藤島 裕三(ふじしま ゆうぞう)様

セミナー資料 ISS・グラスルイスの2023年版議決権助言方針.pdf
セミナー動画

ISS・グラスルイスの2023年版議決権助言方針

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2023/02/02 速報・改正開示府令 「サステナビリティに関する考え方及び取組」の開示は早期適用可能に

金融庁は2023年1月31日、昨年11月7日に公表しパブリックコメントに付していた「サステナビリティに関する企業の取組みの開示」「コーポレートガバナンスに関する開示」などを盛り込んだ改正開示府令案を確定し、公布・施行した(確定版やパブリックコメントへの回答はこちら)。改正案に対しては延べ351件もの厖大なコメントが寄せられ(改正案の内容は【2022年12月の課題】「サステナビリティに関する企業の取組みの開示」の内容 参照)、これが今回の確定版およびパブリックコメントへの回答の公表が遅れた原因となった。企業にとってまず気になるのは、寄せられたコメントを受け、確定版において改正案からの変更点(特に重要な変更)があったかどうかということだろう。

最も大きな変更点と言えるのが、・・・

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2023/02/02 速報・改正開示府令 「サステナビリティに関する考え方及び取組」の開示は早期適用可能に(会員限定)

金融庁は2023年1月31日、昨年11月7日に公表しパブリックコメントに付していた「サステナビリティに関する企業の取組みの開示」「コーポレートガバナンスに関する開示」などを盛り込んだ改正開示府令案を確定し、公布・施行した(確定版やパブリックコメントへの回答はこちら)。改正案に対しては延べ351件もの厖大なコメントが寄せられ(改正案の内容は【2022年12月の課題】「サステナビリティに関する企業の取組みの開示」の内容 参照)、これが今回の確定版およびパブリックコメントへの回答の公表が遅れた原因となった。企業にとってまず気になるのは、寄せられたコメントを受け、確定版において改正案からの変更点(特に重要な変更)があったかどうかということだろう。

最も大きな変更点と言えるのが、適用時期だ。「2023年3月31日以後に終了する事業年度に係る有価証券報告書等」から適用するということに変更はないものの、施行日(2023年1月31日)以後に提出される有価証券報告書等からの早期適用が可能とされた。これにより、3月決算企業に次いで社数の多い(2022年)12月決算企業は早期適用ができることになる。ただし、注意しなければならないのは、早期適用する開示項目は選べないということだ。例えば、サステナビリティ関連の取り組みに力を入れている企業が今回の改正で追加された【サステナビリティに関する考え方及び取組】について開示を行うのであれば、他の改正項目である【従業員の状況】【コーポレート・ガバナンスの状況等】も開示しなければならない。

このほか、改正案から変更あるいは明確化された主な点は以下のとおりとなっている。

(1)【従業員の状況】
女性活躍推進法や育児・介護休業法(以下、女性活躍推進法等)に基づき、「管理職に占める女性労働者の割合」「男性労働者の育児休業取得率」「労働者の男女の賃金の差異」(以下、3指標)を公表している提出会社及び連結子会社は、3指標を【従業員の状況】において開示することが求められるが、有価証券報告書提出時点で当年度に係る3指標を開示しておらず、前年度の3指標しか開示していない場合は、前年度の3指標(直近で公表されている3指標)を開示すればよいのか、疑問が生じていた。

この点について金融庁はパブリックコメントへの回答として、「提出会社やその連結子会社が、女性活躍推進法等により当事業年度における女性管理職比率等の公表を行わなければならない会社に該当する場合は、当該公表が行われる前であっても、有価証券報告書等において開示が求められる」ことが明確化された(パブリックコメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方 No.7~10)。

また、3指標を女性活躍推進法等に基づき公表をしていない企業は開示不要とされていたが、昨今の多様性の議論の重要性に鑑み、任意開示を促す趣旨から、下記のとおり文言の変更が行われた(パブリックコメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方 No.33)。

第二号様式(29)従業員の状況d
(注)提出会社やその連結子会社のそれぞれにおける男性労働者の育児休業取得率、労働者の男女の賃金の差異についても同様の修正が行われている。
改正案 提出会社及びその連結子会社それぞれにおける管理職に占める女性労働者の割合(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく一般事業主行動計画等に関する省令(平成27年厚生労働省令第162号。e及びfにおいて「女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画等に関する省令」という。)第19条第1項第1号ホに掲げる事項をいう。以下dにおいて同じ。)を記載すること。ただし、提出会社及びその連結子会社が、管理職に占める女性労働者の割合について、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号。e及びfにおいて「女性活躍推進法」という。)の規定による公表をしていない場合は、この限りでない
確定版 最近事業年度の提出会社及びその連結子会社それぞれにおける管理職に占める女性労働者の割合(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく一般事業主行動計画等に関する省令(平成27年厚生労働省令第162号。e及びfにおいて「女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画等に関する省令」という。)第19条第1項第1号ホに掲げる事項をいう。以下dにおいて同じ。)を記載すること。ただし、提出会社及びその連結子会社が、最近事業年度における管理職に占める女性労働者の割合について、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号。e及びfにおいて「女性活躍推進法」という。)の規定による公表をしない場合は、記載を省略することができる

このほか、3指標を有価証券報告書に記載するのではなく、各社が公表しているウェブサイトを参照することができるのかという疑問が生じていたが、この点についても金融庁により「女性活躍推進法等により個社の数値が求められていることから個社としてのデータも有用であるとの意見があることや、投資家に対して情報の一覧性を確保する観点を踏まえ、企業のウェブサイト等を参照するのではなく、有価証券報告書等に記載する」ことが明確化されている(パブリックコメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方 No.51~53)。

(2)他の公表資料への参照
①URLの変更と訂正報告書

現状、【サステナビリティに関する考え方及び取組】【コーポレート・ガバナンスの概要】の記載事項を補完する詳細な情報については、提出会社が公表した他の書類を参照する旨の記載を行うことができるとされており(開示ガイドライン5-16-4)、参照の方式として、例えばURLを記載することが考えられる。

開示ガイドライン 5-16-4
開示府令第二号様式記載上の注意(30-2)に規定する「サステナビリティに関する考え方及び取組」又は同様式記載上の注意(54)iに規定する「コーポレート・ガバナンスの概要」を記載するに当たっては、同様式記載上の注意(30-2)aからcまで又は同様式記載上の注意(54)iに規定する事項を有価証券届出書に記載した上で、当該記載事項を補完する詳細な情報について、提出会社が公表した他の書類を参照する旨の記載を行うことができる。
また、参照先の書類に虚偽の表示又は誤解を生ずるような表示があっても、当該書類に明らかに重要な虚偽の表示又は誤解を生ずるような表示があることを知りながら参照していた場合等当該書類を参照する旨を記載したこと自体が有価証券届出書の虚偽記載等になり得る場合を除き、直ちに有価証券届出書に係る虚偽記載等の責任を負うものではないことに留意する。

ただ、仮にURLが変更された場合、有価証券報告書から当該他の書類を参照できなくなる。そこで、URLが変更された都度訂正報告書の提出が必要になるかという疑問が生じていた。

この点について金融庁は、「有価証券報告書等の訂正を行うかどうかは、個別事案ごとに実態に即して判断されるべきものですが、必ずしも訂正報告書等の提出を求めるものではない」としつつ、「例えば、参照先の情報が修正され、これに伴い有価証券報告書等の必要的記載事項に変更がある場合には、訂正報告書を提出する必要がある」「参照先のURLが次年度の有価証券報告書が提出されるまでの間に変更された場合には、訂正報告書等を提出することが望ましい」との考えを明らかにしている(パブリックコメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方 No.209~210)。

また、「参照先の書類内の情報は、参照方式の有価証券届出書における参照書類とは異なり、基本的には有価証券報告書の一部を構成しない」として、参照される書類の位置付けも明確化されている。

②将来公表する予定の統合報告書等を参照できるか
2022年3月にISSBから公表されたサステナビリティ開示基準の公開草案では、サステナビリティ情報について、財務情報との結合性や、財務諸表と同じ報告期間を対象とすることが求められているが、GHG(温室効果ガス)排出量の算定・開示時期は、決算期末5~6か月後の公表(3月末決算の場合、8月~9月に公表)が一般的であることを踏まえ、1年度前の数値の記載や、追って任意の開示物において公表する旨の記述が許容されるかという疑問が生じていた。

この点についての金融庁の考え方は以下のとおりとなっている(パブリックコメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方 No.238~241)。

有価証券報告書の記載内容を補完する詳細な情報については、前年度の情報が記載された書類や将来公表予定の任意開示書類を参照することも考えられます。もっとも、将来公表予定の書類を参照する際は、投資者に理解しやすいよう公表予定時期や公表方法、記載予定の内容等も併せて記載することが望まれます。一方、各企業において、投資者の投資判断上、重要であると判断した事項については、有価証券報告書に記載する必要があります。そして、有価証券報告書における「サステナビリティに関する考え方及び取組」では、直近の連結会計年度に係る情報を記載する必要がありますが、その記載に当たって、情報の集約・開示が間に合わない箇所がある場合等には、概算値や前年度の情報を記載することも考えられます。この場合には、概算値であることや前年度のデータであることを記載して、投資者に誤解を生じさせないようにする必要があります。また、概算値を記載した場合であって、後日、実際の集計結果が概算値から大きく異なる等、投資家の投資判断に重要な影響を及ぼす場合には、有価証券報告書の訂正を行うことが考えられる。

(3)【サステナビリティに関する考え方及び取組】に何を書くか
改正開示府令における企業の最大の関心事は、やはり【サステナビリティに関する考え方及び取組】において具体的に何を、どの程度書けばよいのかということだろう。この点については多数のパブリックコメントが寄せられていたが、金融庁からの具体的な考え方は示されなかった。金融庁の回答は以下のとおりとなっている(パブリックコメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方 No.80)。

サステナビリティ情報の開示については、改正開示府令に規定のあるとおり、「ガバナンス」、「リスク管理」、「戦略」、「指標及び目標」の4つの構成要素に従った開示をすることが求められていますが、現時点においては我が国における開示基準は定められていないところ、各企業の取組状況に応じて記載していくことが考えられます。
なお、当年度の有価証券報告書について、開示府令が求める開示事項を開示している場合には、翌年度以降、企業においてその開示内容を拡充したとしても、当年度の有価証券報告書について虚偽記載等の責任を負うものではないと考えられます。

上記金融庁の回答や、我が国にはサステナビリティ開示基準が存在しないこと、国際的な開示基準も過渡期にあることを踏まえると、企業はとしては自社の現状の考え方や取り組みの状況を記載しておけばよいだろう。「【2022年12月の課題】「サステナビリティに関する企業の取組みの開示」の内容」でお伝えしたとおり、ISSBが開発中のIFRSS1号「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項」(S1基準案)には、「ガバナンス」「リスク管理」「戦略」「指標及び目標」の4つの柱において記載すべき事項が網羅されている。何を書けばよいか分からないという企業は、S1基準案を参照することをお勧めしたい。

2023/02/01 test「トランジション・ファイナンス」促進に向けた政府の動きが加速(会員限定)

脱炭素化社会への移行(トランジション)に向けた行動を迫られる中、資金面で頭を悩ませている企業も少なくないことだろう。トランジッションは、技術開発等において多額のコストを要するからだ。こうした中、温室効果ガス(GHG)の削減に取り組む企業に対し、その取り組みを支援するための資金供給(ファイナンス)を行う新たなファイナンス手法である「トランジッション・ファイナンス」が注目を集めている。

2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の実現を目指す日本政府もトランジション・ファイナンスを促進させるべく、既に2021年1月には、経済産業省が中心となり、金融庁、環境省と合同で「トランジション・ファイナンス環境整備検討会」を発足させている。

ただ、特に排出削減が困難な業種におけるトランジションのための資金調達手段として有効と考えられるトランジッション・ファイナンスも、現段階ではまだ黎明期にある。これは、トランジションは様々なイノベーションを前提としており“リスクマネー”の側面があることや、トランジッションには莫大な費用がかかること、企業側の資金使途が不明確で、実は グリーン・ウォッシュである可能性が捨て切れないなど、資金の出し手である金融機関にとってリスクが大きいことなどに原因がある。政府の取り組みには、トランジッション・ファイナンスの信頼性を確保することで、その地位を確立しようという狙いがある。

グリーン・ウォッシュ : 環境に配慮していることやエコを想起される「グリーン」と、上辺だけを飾ることを意味する「ホワイトウォッシュ」を掛け合わせた造語。一見、環境に配慮しているように見せかけておきながら実態は異なり、環境意識の高い消費者や投資家に誤解を与えることを指す。

トランジション・ファイナンス環境整備検討会は2021年5月に「クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針」(以下、基本指針)を策定し、これにより、資金調達者(債券発行体および融資の受け手)、資金供給者(投融資を実行する銀行、アセットマネージャー、保険会社、年金基金等の金融機関・投資家)等がトランジション・ファイナンスに関する具体的対応を検討する際に参考となるよう、トランジション・ファイナンスの評価にあたって考慮すべき要素を提示している。例えば、トランジション・ファイナンス信頼性を高めるために推奨される重要な開示要素として以下の4要素を示している。

※なお、トランジションに関する指針としては、例えば国際資本市場協会(ICMA=International Capital Market Association)が2020年12月に公表した国際的なトランジション・ファイナンス原則があり、基本指針はこれを踏まえたものとなっている。
要素1:資金調達者のクライメート・トランジション戦略とガバナンス
要素2:ビジネスモデルにおける環境面のマテリアリティ
要素3:科学的根拠のあるクライメート・トランジション戦略(目標と経路を含む)
要素4:実施の透明性

もっとも、EUを中心とするサービス経済化した産業構造の国々と、アジアを中心とした製造業が相当程度残る国々では、トランジションに向けて直面する課題が異なるとの指摘がある。また、製造業の中でも、とりわけ温室効果ガスを多く排出する産業(多排出産業)の着実な低炭素化の取組みを評価して資金供給することも同検討会の重要なテーマとなる。

こうした中、経済産業省は、上記基本指針の公表に続き、2021年8月には「トランジション・ファイナンス推進のためのロードマップ策定検討会」を発足させ、これまで既に9回の会合を重ねている。本検討会では、具体的なトランジションの取組み・戦略が分野(業界)ごとに異なることを踏まえ、多排出産業のトランジション戦略の適格性を判断する際に参照できるよう、分野ごとのロードマップを提示することを目的としている。すなわち、日本としてのカーボンニュートラル目標やその実現のための施策、日本の業界の構造や課題も踏まえて政府が作成した「信頼性の高いロードマップ」を作成し、トランジッション・ファイナンスを必要とする日本企業が自社のトランジッション戦略と比較できるようにすることで、各社のトランジション戦略の説得力を高め、グローバル資金の調達につなげたいという意図がある。既に同検討会からは、鉄鋼化学電力ガス石油セメント製紙・パルプに加え、2022年末には、自動車分野のロードマップ案が示された。これら個別分野のロードマップは、基本指針の添付書類(Annex)と位置づけられている。

また、2022年9月からは、第二期(第5回~)となる「トランジション・ファイナンス環境整備検討会」が開始されている。同検討会では、現状を「基本指針の策定などの結果、トランジション・ファイナンスの活用は順調に推移し、国際的にも、民間および国レベルでも、トランジション・ファイナンスの国際的な位置づけや理解促進が進みつつある」としつつも、「トランジションに対する座礁化の懸念も依然として残る」と評価としている(事務局資料「トランジション・ファイナンスの課題への対応」1ページ参照)。そこで、トランジション・ファイナンスを実施した後の進捗を、資金供給者と調達者の対話等を通じて確認していくことを促すため、今年(2023年)春に「フォローアップガイダンス(仮)」の提示を目指すとの方向性が示された(同12ページ参照)。

今年5月19日から21日まで開催されるG7広島サミットで我が国の戦略への理解を得て、世界のトランジション・ファイナンスの推進に向けた先進国の議論を主導することで、日本企業にグローバル資金をもたらせるのか、トランジション・ファイナンス環境整備検討会の成果が注目される。

2023/02/01 「トランジション・ファイナンス」促進に向けた政府の動きが加速

脱炭素化社会への移行(トランジション)に向けた行動を迫られる中、資金面で頭を悩ませている企業も少なくないことだろう。トランジションは、技術開発等において多額のコストを要するからだ。こうした中、脱炭素社会への長期的な戦略にのっとった温室効果ガス(GHG)の削減に取り組む企業に対し、その取り組みを支援するための資金供給(ファイナンス)を行う新たなファイナンス手法である「トランジション・ファイナンス」が注目を集めている。・・・

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2023/02/01 「トランジション・ファイナンス」促進に向けた政府の動きが加速(会員限定)

脱炭素化社会への移行(トランジション)に向けた行動を迫られる中、資金面で頭を悩ませている企業も少なくないことだろう。トランジションは、技術開発等において多額のコストを要するからだ。こうした中、脱炭素社会への長期的な戦略にのっとった温室効果ガス(GHG)の削減に取り組む企業に対し、その取り組みを支援するための資金供給(ファイナンス)を行う新たなファイナンス手法である「トランジション・ファイナンス」が注目を集めている。

2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の実現を目指す日本政府は、トランジション・ファイナンスを促進させるべく、既に2021年1月には、経済産業省が中心となり、金融庁、環境省と合同で「トランジション・ファイナンス環境整備検討会」を発足させている。

ただ、特に排出削減が困難な業種におけるトランジションのための資金調達手段として有効と考えられるトランジション・ファイナンスも、現段階ではまだ黎明期にある。これは、トランジションには莫大な費用がかかることに加え、様々なイノベーションを前提としており、極めて不確実性の高い“リスクマネー”の側面があることや、企業の脱炭素に向けた戦略の評価が難しくグリーン・ウォッシュである可能性が捨て切れないこと、トランジション・ファイナンスが必要なのは主に多排出産業であり(事業として「脱酸素」の水準にあるとは言えず、グリーン・ファイナンスの対象とはなりにくいため)、トランジション・ファイナンスを実施すれば金融機関のScope3排出量が増加するなど、資金の出し手である金融機関にとってリスクが大きいことなどに原因がある。

グリーン・ウォッシュ : 環境に配慮していることやエコを想起される「グリーン」と、上辺だけを飾ることを意味する「ホワイトウォッシュ」を掛け合わせた造語。一見、環境に配慮しているように見せかけておきながら実態は異なり、環境意識の高い消費者や投資家に誤解を与えることを指す。
グリーン・ファイナンス : 地球温暖化対策や再生可能エネルギー等の環境分野への取組みに特化した資金を調達するための債券(グリーンボンド)や借入(グリーンローン)を指す。
Scope3 : 事業者自ら排出している温室効果ガス(二酸化炭素等)であるScope1、Scope2以外の間接排出、具体的には「事業者の活動に関連する他社」による温室効果ガスの排出のこと。

日本政府の取り組みには、トランジション・ファイナンスの信頼性を確保することで、その地位を確立しようという狙いがある。とりわけ、EUを中心とするサービス経済化した産業構造の国々と、アジアを中心とした製造業が相当程度残る国々では、トランジションに向けて直面する課題が異なると指摘される。製造業全般に強みを持つ我が国企業は、世界的に見れば、実は多排出産業であることが多い。その着実な低炭素化の取組みを評価して資金供給することが、同検討会の重要なテーマである。

トランジション・ファイナンス環境整備検討会は2021年5月に「クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針」(以下、基本指針)を策定し、これにより、資金調達者(債券発行体および融資の受け手等)、資金供給者(投融資を実行する銀行、アセットマネージャー、保険会社、年金基金等の金融機関・投資家等)がトランジション・ファイナンスに関する具体的対応を検討する際に参考となるよう、トランジション・ファイナンスの評価にあたって考慮すべき要素を提示している。例えば、トランジション・ファイナンス信頼性を高めるために推奨される重要な開示要素として以下の4要素を示している。

※なお、トランジションに関する指針としては、例えば国際資本市場協会(ICMA=International Capital Market Association)が2020年12月に公表した国際的なトランジション・ファイナンス原則があり、基本指針はこれを踏まえたものとなっている。
要素1:資金調達者のクライメート・トランジション戦略とガバナンス
要素2:ビジネスモデルにおける環境面のマテリアリティ
要素3:科学的根拠のあるクライメート・トランジション戦略(目標と経路を含む)
要素4:実施の透明性

経済産業省は、上記基本指針の公表に続き、2021年8月には「トランジション・ファイナンス推進のためのロードマップ策定検討会」を発足させ、これまで既に9回の会合を重ねている。本検討会では、具体的なトランジションの取組み・戦略が分野(業界)ごとに異なることを踏まえ、多排出産業のトランジション戦略の適格性を判断する際に参照できるよう、分野ごとのロードマップを提示することを目的としている。すなわち、日本としてのカーボンニュートラル目標やその実現のための施策、日本の業界の構造や課題も踏まえて政府が作成した「信頼性の高いロードマップ」を作成し、トランジション・ファイナンスを必要とする日本企業が自社のトランジション戦略と比較できるようにすることで、各社のトランジション戦略の説得力を高め、グローバル資金の調達につなげたいという意図がある。既に同検討会からは、鉄鋼化学電力ガス石油セメント製紙・パルプに加え、2022年末には、自動車分野のロードマップ案が示された。これら個別分野のロードマップは、基本指針の添付書類(Annex)と位置づけられている。

また、2022年9月からは、第二期(第5回~)となる「トランジション・ファイナンス環境整備検討会」が開始されている。同検討会では、現状を「基本指針の策定などの結果、トランジション・ファイナンスの活用は順調に推移し、国際的にも、民間および国レベルでも、トランジション・ファイナンスの国際的な位置づけや理解促進が進みつつある」としつつも、「トランジションに対する座礁化の懸念も依然として残る」と評価としている(事務局資料「トランジション・ファイナンスの課題への対応」1ページ参照)。そこで、トランジション・ファイナンスを実施した後の進捗を、資金供給者と調達者の対話等を通じて確認していくことを促すため、今年(2023年)春に「フォローアップガイダンス(仮)」の提示を目指すとの方向性が示された(同12ページ参照)。

今年5月19日から21日まで開催されるG7広島サミットで我が国の戦略への理解を得て、世界のトランジション・ファイナンスの推進に向けた先進国の議論を主導することで、日本企業にグローバル資金をもたらせるのか、トランジション・ファイナンス環境整備検討会の成果が注目される。

2023/01/31 2023年1月度チェックテスト第3問解答画面(正解)

正解です。
金融庁が2022年12月15日に公表した「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準」の改正案によると、内部統制と、ガバナンスおよび全社的なリスク管理は“一体的に”整備・運用されることの重要性が強調されています(問題文は誤りです)。

こちらの記事で再確認!
2023年1月16日 (新用語・難解用語)3線モデル(会員限定)

2023/01/31 2023年1月度チェックテスト第10問解答画面(不正解)

不正解です。
日本取引所グループが2023年1月20日に公表した「TCFD提言に沿った情報開示の実態調査(2022年度)」では、TCFD開示推奨項目11項目のいずれか1~3項目だけを開示している企業群では、問題文のとおり「スコープ1、2の排出量」に該当する情報の開示が最も多いことが分かりました(問題文は正しいです)。TCFD提言に沿った任意開示に取り掛かろうとしている上場会社では参考にしたいところです。

こちらの記事で再確認!
2023年1月24日 11個のTCFD開示推奨項目、任意開示における優先順位(会員限定)

2023/01/31 2023年1月度チェックテスト第10問解答画面(正解)

正解です。
日本取引所グループが2023年1月20日に公表した「TCFD提言に沿った情報開示の実態調査(2022年度)」では、TCFD開示推奨項目11項目のいずれか1~3項目だけを開示している企業群では、問題文のとおり「スコープ1、2の排出量」に該当する情報の開示が最も多いことが分かりました(問題文は正しいです)。TCFD提言に沿った任意開示に取り掛かろうとしている上場会社では参考にしたいところです。

こちらの記事で再確認!
2023年1月24日 11個のTCFD開示推奨項目、任意開示における優先順位(会員限定)