2022/11/30 【役員会 Good&Bad発言集】事業ポートフォリオマネジメント(3)

東証プライム市場に上場しているP社では多角化により手を広げた事業の存続の是非が課題になっており、取締役会において先月(【役員会 Good&Bad発言集】事業ポートフォリオマネジメント(2)を参照)に引き続き事業ポートフォリオマネジメントについての議論が行われているところです。事業ポートフォリオマネジメントに関して次の3人が下記の発言を行いました。誰の発言がGood発言でしょうか?

取締役A:「未来を見通すことは非常に困難なことです。実際、わが社の決算短信で開示している業績予想も、毎年のように修正を余儀なくされています。業績予想修正の最大の原因は、各事業部に出してもらう見通しの甘さにあります。事業ポートフォリオマネジメントにおいても、各事業部に出してもらう『成長性』は『希望』『願望』で歪められたデータになる可能性が高いのではないでしょうか。そのようなあやふやな指標を事業ポートフォリオマネジメントの評価軸に採用すべきではないと考えます。」

取締役B:「確かにその通りです。それに対して、資本収益性は事実に基づいた指標なので信頼できます。事業ポートフォリオマネジメントは資本収益性だけで評価すればいいのではないでしょうか。」

取締役C:「『成長性』と言ってもすべてが将来の予測ではなく、過去の『売上高成長率』を時系列で並べることで将来の予測に利用することもできます。第一、『資本収益性』だけでは過去のことしか分かりません。『成長性』という将来の要素を取り込むことで、事業ポートフォリオマネジメントがより深化していきます。もし、各事業部が提出してきた『成長性』が信用できないというのであれば、エビデンスを求めて、継続的に検証していくしかないです。これは事業ポートフォリオマネジメントだけの問題ではなく、業績予想の信用性にもかかわってくる話です。信用できない数値をろくろく検証もせずに会社としての業績予想に使っているから、毎期修正を余儀なくされるのではないでしょうか。」

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2022/11/29 総会資料の電子提供に先立ち「必ずすべき事項」と「推奨される事項」

会社法改正により新たに導入される株主総会資料の電子提供制度(以下、電子提供制度)の開始(2023年3月1日以降に開催される株主総会から適用(*1))まで100日を切った。決算月の関係でこれから株主総会において同制度に対応した定款変更決議を行う上場会社もあるが、整備法にはみなし定款変更の定めがあることから、株主総会での定款変更決議が未了の会社も含めてすべての上場会社が改正会社法の施行日である2022年9月1日時点で電子提供制度を採用したことになる(*2)。

整備法 : 会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律
みなし定款変更 : 上場会社は、施行日を効力発生日とする電子提供措置をとる旨の定款変更決議をしたものとみなす定め(整備法10条2項)

*1 書面交付請求自体はすでに改正会社法の施行日である2022年9月1日から可能となっている。
*2 書面交付請求があった場合に交付すべき書面について、法務省令で定めるものの全部または一部を記載しないこととする場合の定款の定めの新設やインターネット開示に関する定款規定の削除については、みなし定款変更の定めはないことから、株主総会での定款変更決議を経る必要がある。

また、電子提供制度の適用を受ける会社は、制度開始後の株主総会の招集にあたり取締役会において「定款の定めに基づき、交付書面に記載しないこととした電子提供措置事項」(会社法 325条の5第3項)を決議する必要がある(この点については、全株懇定時会員総会第1分科会審議事項「電子提供制度の実務対応」の111ページのQⅢ- 32を参考にされたい)。

以上が、電子提供制度の適用にあたり「必ずすべき事項」となる。

注意したいのは、株式取扱規則(規程)の扱いだ。・・・

株式取扱規則(規程) : 株式会社が自社の発行する株式に関する取扱い事務や株主の権利行使に必要となる諸手続きを定めた社内規程

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2022/11/29 総会資料の電子提供に先立ち「必ずすべき事項」と「推奨される事項」(会員限定)

会社法改正により新たに導入される株主総会資料の電子提供制度(以下、電子提供制度)の開始(2023年3月1日以降に開催される株主総会から適用(*1))まで100日を切った。決算月の関係でこれから株主総会において同制度に対応した定款変更決議を行う上場会社もあるが、整備法にはみなし定款変更の定めがあることから、株主総会での定款変更決議が未了の会社も含めてすべての上場会社が改正会社法の施行日である2022年9月1日時点で電子提供制度を採用したことになる(*2)。

整備法 : 会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律
みなし定款変更 : 上場会社は、施行日を効力発生日とする電子提供措置をとる旨の定款変更決議をしたものとみなす定め(整備法10条2項)

*1 書面交付請求自体はすでに改正会社法の施行日である2022年9月1日から可能となっている。
*2 書面交付請求があった場合に交付すべき書面について、法務省令で定めるものの全部または一部を記載しないこととする場合の定款の定めの新設やインターネット開示に関する定款規定の削除については、みなし定款変更の定めはないことから、株主総会での定款変更決議を経る必要がある。

また、電子提供制度の適用を受ける会社は、制度開始後の株主総会の招集にあたり取締役会において「定款の定めに基づき、交付書面に記載しないこととした電子提供措置事項」(会社法 325条の5第3項)を決議する必要がある(この点については、全株懇定時会員総会第1分科会審議事項「電子提供制度の実務対応」の111ページのQⅢ- 32を参考にされたい)。

以上が、電子提供制度の適用にあたり「必ずすべき事項」となる。

注意したいのは、株式取扱規則(規程)の扱いだ。上記のとおり、すべての上場会社が改正会社法の施行日である2022年9月1日時点で電子提供制度を採用したことになっており、信託銀行等ではすでに書面交付請求の受付がスタートしている以上、本来であれば同日までに電子提供制度に対応して株式取扱規則(規程)も改定しておくことが望ましい。具体的には、株式取扱規則(規程)に少なくとも「書面交付請求の手続きは書面を用いて行うこと」と「異議申述の方法」を記載することで、書面交付請求に関するルールの根拠が明文化されることとなる(電話や対面での口頭による書面交付請求や異議申述を認めると、会社が事後的に書面交付請求や異議申述の有無を確認することが困難となるため。規程変更の詳細については全株懇の株式取扱規程モデル(2022年4月8日全株懇理事会決定)」を参照)。とくに全株懇の株式取扱規則(規程)モデルをそのまま使っている上場会社は要注意だ()。

株式取扱規則(規程) : 株式会社が自社の発行する株式に関する取扱い事務や株主の権利行使に必要となる諸手続きを定めた社内規程
異議申述 : 書面交付請求をした株主がある場合において、その書面交付請求の日から一年を経過したときは、株式会社は、当該株主に対し、書面交付を終了する旨を通知し、かつ、これに異議のある場合には一定の期間(催告期間)内に異議を述べるべき旨を催告することができる。そして、催告期間内に株主が「書面交付を終了すること」につき会社法325条の5(書面交付請求)第4項および第5項に基づき異議を述べれば、書面交付を終了させることはできない(翌年以降、同様に催告をすることはできる)。この異議を申し立てることを異議申述と言う。もし、株主が催告期間内に異議申述をしなければ、株主の書面交付請求は効力を失う(株主は催告期間経過後に改めて書面交付を請求することはできる)。

 株式取扱規則(規程)を改定していなくても会社法違反になる訳ではない。また、実務上は株主が信託銀行等に書面で請求する流れになるので株式取扱規則(規程)を改定しなくても直ちに弊害が生じる場面は想定しにくい。とは言え、明文のルールを作っておくことは、万が一電話等で書面交付請求をしてきた株主とのトラブルに備えることができるというメリットがある。なお、株式取扱規則(規程)にすでに「株主による請求は、当会社の定める書式によるものとする」といった定めが盛り込まれていれば、とくに対応しなくても問題は生じない。

そのほか「必ずすべき事項」には該当しないものの、株主総会資料の電子提供制度の開始に備え是非取り組んでおきたい事項(推奨される事項)としてまず挙げられるのが、機関投資家向けの議決権電子行使プラットフォームの利用および個人投資家向けの電磁的方法による議決権の行使システムの利用だ。2022年3月末時点で、全上場会社のうち議決権電子行使プラットフォームを利用している会社は55.9%、個人投資家向けの電磁的方法による議決権の行使システムを利用している会社は76.5%となっており(東証の「コーポレートガバナンス・コードへの対応状況(2022年7月14日時点)」の20ページを参照)、取り組みが未了の会社も相当数ある。未了であることが会社法に反しているわけではないが、せっかく電子提供制度がスタートするにもかかわらず、議決権の電子行使ができないとなると、株主に不便をかける(株主総会資料の電子的な閲覧から議決権行使までをシームレスに実行できない)こととなり、「IT化が遅れている会社」との烙印を押されかねない。とりわけプライム市場上場会社は、2021年6月のコーポレートガバナンス・コードの改訂により補充原則1-2④に追加された「特に、プライム市場上場会社は、少なくとも機関投資家向けに議決権電子行使プラットフォームを利用可能とすべきである」との一文をコンプライするため、議決権電子行使プラットフォームを利用できるようにすることが望まれる。

また、電子提供制度開始後は、電子提供された株主総会資料に“一工夫”加えることも検討したい。例えば、役員候補者を紹介する動画や事業報告の内容についてアニメーションなどを使って分かりやすく解説する動画を提供することや、株主総会資料を任意開示書類にリンクさせることなどが考えられる。ただし、会社法上、株主総会資料をインターネット上のウェブサイトに掲載する方法(=株主総会資料の電子提供制度)は、「受信者がファイルへの記録を出力することにより書面を作成することができるものでなければならない」ため(会社法施行規則 222 条2項)、「動画のみではこれに該当せず、プリントアウトすることができる方法でウェブサイトに掲載される必要がある」(全株懇の「電子提供制度の実務対応」17ページ参照)点、注意したい。逆に言えば、ウェブサイトから招集通知等をプリントアウトできる仕組みを提供しておけば、役員候補者の紹介動画等を追加しても会社法上の問題は生じない。

ただ、たとえ会社法上の問題はなくても、そのような動画が広くインターネットを経由して閲覧できるようになること自体を好まない役員候補者も少なからずいるだろう。この点、電子提供制度では、誰でもアクセスできるようにしなければならない電子公告とは異なり、「株主が情報の提供を受けることができる状態に置けば足りる」ことから(会社法325条の2前段)、アクセス通知にパスワードを記載しておき、電子提供の対象となる情報の閲覧にあたりパスワードの入力を求める仕組みとすることも考えられる(全株懇の「電子提供制度の実務対応」17ページ参照)。あるいは、動画データのみにパスワードを付すこともできる。このようなシステム構築を伴う仕組みの導入を考えている会社は、システム構築に要する時間と電子提供制度開始までに残された時間を比較衡量しながら準備に取り組みたい。

電子提供制度の適用初年度は、制度が株主に浸透しておらず、理解が不十分な株主からのクレームも予想される。そこで、例えば招集通知発送後に交付書面の送付を電話等で要請した株主に対しては、例外的に当該株主に電子提供措置事項記載書面を任意で送付するなど(全株懇の「電子提供制度の実務対応」53ページ参照)、電子提供制度の適用初年度限定の対応方針を事前に決めておくことも検討すべきだろう。

なお、電子提供制度への全般的な対応方針や、電子提供制度下の招集通知のひな形については下記のモデルや記事を参照されたい。

・全株懇の「書面交付請求対応指針
2022年11月2日のニュース「期中株式取得者は株主総会資料の書面交付請求ができなくなるケースも
・全株懇の「電子提供制度における招集通知モデル(電子提供措置事項の一部を含んだ一体型アクセス通知)」および株主総会資料の電子提供制度に対応した「会社法施行規則及び会社計算規則による株式会社の各種書類のひな型」(経団連ひな型)の改訂版
2022年11月10日のニュース『電子提供制度下の新たな招集通知モデル 「一体型アクセス通知」とは?

2022/11/28 【失敗学第101回】東海リースの事例(会員限定)

概要

東海リース(東証スタンダード市場に上場)の連結子会社の東海ハウスにおいて、親会社の目が届いていないことをいいことに、東海ハウスの社長ら数名が、仕入取引の商流に自らが設立したプライベートカンパニーを介在させてさや抜きをしたり、趣味(ゴルフ)を楽しむために会社資金で会社の裏手にゴルフ練習場を造成したり、スクラップ代金で裏金を作ったりするなど、会社の私物化が横行していた。

経緯

東海リースが2022年11月11日に公表した「外部調査委員会の調査報告書」等によると、一連の経緯は次のとおり。

2013年
11月:東海リースはA氏を子会社の東海ハウスに常勤の取締役として送り込んだ。

2014年
6月:A氏は東海ハウスの代表取締役社長に就任した。

2016年
12月:東海ハウスの北側敷地において資材置場の造成工事が行われた(2017年1月に完成)。その際、当該土地の一部に緑化事業の一環において、福利厚生施設の名目でゴルフ練習場(グリーン、バンカー等)やゴルフ工房が建てられた。

2019年
5月:東海リースはA氏を東海リースに戻して、東海ハウスの非常勤取締役とし、東海リースの大株主(約1%保有)であるB氏を東海ハウスの代表取締役に選任した。
6月:東海ハウスはC氏を常勤取締役に選任した。
9月26日:A氏らが実質的に経営するエコ・プラント社が設立された。

2020年
7月:東海ハウスで、エコ・プラント社を東海ハウスの部材外注加工に関する取引に介在させることにより、エコ・プラント社に利益を落とす取引が開始した。

2021年
9月:エコ・プラントは A氏を含めた出資者4名全員に配当を行う。

2022年
7月下旬:東海ハウスで、エコ・プラント社を不正に介在させる取引が発覚した。
7月26日:東海リースの社外取締役および顧問弁護士3名からなる社内調査委員会が設置され調査を開始した。
9月22日:東海リースの取締役会は外部調査委員会の設置を決定し、更なる調査を行うこととする。
11月11日:東海リースは「外部調査委員会の調査報告書」を公表する。

内容・原因・改善策

東海リースが2022年11月11日に公表した「外部調査委員会の調査報告書」によると、調査により判明した事実ならびに原因および改善策は次のとおりとされている。

仕入取引の商流に私的会社を介在させてさや抜きを実施
内容 2019年9月にA氏(2019年5月に東海ハウスの代表取締役社長を退任後は同社の代表権のない取締役)がB氏(2019年5月に東海ハウスの代表取締役社長に就任)、C氏(東海ハウスの取締役副社長)および D氏(東海ハウスの総務部長)にも出資を求め実質的に経営(形式的には他人の名義で出資し、役員も他人名義)するエコ・プラント社を設立した。
A氏等は2020年7月頃から、東海ハウスの鉄骨部材の加工の外注先である高田工業との取引にエコ・プラント社を介在させ、これにより商流は東海ハウス→エコ・プラント社→高田工業となった。そして、エコ・プラント社は概ね1割の差益を受け取っていたため、東海ハウスはエコ・プラント社が受け取る差益分(合計13,923,179円)だけ割高で仕入れることとなり、同額の損害を被った。
東海ハウスの取締役であったA氏、B氏およびC氏にとってエコ・プラント社を介在させる取引は利益相反取引に該当することとなり、A氏らは利益相反取引によって生じた損害を賠償する責任を負う。また、当該不正行為は特別背任罪の構成要件に該当し得る。
D氏は、利益相反取引に加担したものとして、雇用契約上の付随義務違反(債務不履行)または不法行為として損害を賠償する責任を負う。
原因 <ワンマン経営>
A氏は、親会社である東海リースの取締役であるだけでなく、5年間も東海ハウスの社長であった。A氏は、東海ハウスの社長であった期間、「自らの指示・命令を絶対的なものとする、いわゆるワンマン経営を徹底し、自らの意見を頭ごなしに押し付けることを常とし、その指示・命令に逆らうことを許さなかった」(外部調査委員会の調査報告書の13ページを参照)。A氏が東海ハウスの社長に就任した当初は、「東海ハウスの役職員の中には、A氏の専横行為に反論する者もいたが、これらの者の中には、左遷、降格、退職勧奨など人事・待遇面で不利益を受ける者もあり、A氏による人事権の濫用をおそれ、東海ハウスの役職員が A氏に逆らうことは極めて困難な職場環境が醸成されていった」(外部調査委員会の調査報告書の13ページを参照)。

<A氏の意を酌む子会社経営陣>
東海ハウスの経営陣はA氏の意向に沿う者で固められていた。
まず、B氏は、東海ハウスの経理・財務を担当しており、その分野では独立性を有していたものの、その他の業務(制作・加工業務などを含む)ではA氏の意向に反対することはなく、追随することも多かった。B氏は2019年5月に東海ハウスの社長になった後も、A氏の意向に反対することはなかった。
C氏は、東海リースからの在籍出向者であったが、東海ハウスに出向後は、A氏に最も近い部下となってA氏と連携し、その指示・了解を受けながら仕事をするようになった。なお、C氏が課長から部長に昇格したのは当時の社長であったA氏の意向であった。そして、C氏は、A氏の意向を汲んで、それを具現化し、実行する役割を担っていた。
D氏は、A氏の意向のもと、他と比較して高額な役付手当を受け取っており、A氏の指示については異論を挟むことなく無批判に従っていた。

<東海ハウスの内部統制の無効化>
東海ハウスの制作・加工部門は、A氏が統括し、C氏が実務を取り仕切っていた。
他方、東海ハウスの経理・財務は、B氏が統括し、D氏が実務を取り仕切っていた。
しかも、本件不正行為が行われていた期間の社長はA氏とB氏であった。
そのため、A氏らが共謀して不正行為を行った場合は、他の従業員・取締役は、その事実に気づくこと自体が容易ではなく、また、不正行為を指摘して中止させることは極めて困難な状況にあり、東海ハウスの内部統制は無効化されていた。

改善策 1 東海リース及び東海リースグループにおける内部統制システムの整備
(1) コンプライアンス体制及びリスクマネジメント体制の整備
(2) グループコンプライアンス体制及びグループリスクマネジメント体制の整備
2 内部監査部門による場所往査の実施
3 監査等委員会監査の再構築
4 コンプライアンス意識の向上
ゴルフ練習場の造成・維持管理
内容 2016年12月から2017年1月にかけて、東海ハウスの北側敷地について資材置場の造成工事が施行された際、当該土地の一部に緑化事業の一環として福利厚生施設の名目でゴルフ練習場(グリーン、バンカー等)やゴルフ工房が作られた(ゴルフ練習場の造成費用は、2,389,881円)。ゴルフ練習場に併設されたゴルフ工房は、もっぱらA氏が自らの趣味であるゴルフクラブのフィッティングのためだけに使用されていた。
その後、ゴルフ練習場の維持管理のために芝のメンテナンス等に6,584,365円、その他の費用として少なくとも5,447,469円が支出された。なお、当該支出は東海ハウスの福利厚生費からは支出されておらず、後述するスクラップの売却によって捻出された裏金の口座から支出されていた(後述の「スクラップ売却代金を用いた裏金作り」を参照)。
原因 <会社の私物化>
A氏は、ゴルフを趣味としていた。
なお、C氏もゴルフを趣味とするが、ゴルフ練習場はC氏が東海ハウスに着任した段階ではすでに出来ており、その後のメンテナンスにも関与していなかった。
また、B氏はそもそもゴルフをしないし、D氏もA氏から誘われてゴルフをするようになったにすぎなかった。
また、従業員の多くは、ゴルフ練習場について無用の施設であると考えており、A氏がその趣味を楽しむためだけにゴルフ練習場を造成・維持管理していると受け止めていた。

<内部統制システムの不備>
(1) 東海リースおよび東海リースグループにおける内部統制システムの不備
東海リースは、コンプライアンス規程やリスクマネジメント規程を制定しておらず、かつ、コンプライアンス委員会やリスクマネジメント委員会も設置しておらず、コンプライアンス体制およびリスクマネジメント体制の整備を決定していなかった。そのため、コンプライアンス・マニュアルが作成されて役職員に配布されたことはなく、また、コンプライアンス・プログラムも策定されたことはなかった。役職員に対するコンプライアンス研修として、数年前から全取締役に役員の義務と責任をテーマにしたセミナーを受けさせていたものの、それに留まっていた。
また、東海リースでは、グループコンプライアンス体制およびグループリスクマネジメント体制の整備を決定していなかった。
さらに、東海リースでは、関係会社管理規程に基づき東海リースグループの企業集団としての業務の適正と効率性を確保することが定められているものの、関係会社管理規程は1987年に制定されて以降、内容が更新されていなかった。
このような東海リースグループにおける内部統制システムの不備が、本不正行為を可能とする機会を与えていた。
(2) 内部監査部門による監査の不十分さ
東海リースの内部監査は、東海ハウスを訪問して内部監査を行うこと(いわゆる場所往査)は行っていなかった。
(3) 監査役監査の一部未実施・監査等委員会監査の不備
3 コンプライアンス意識の欠如・低さ

改善策 (上記の「仕入取引の商流に私的会社を介在させてさや抜きを実施」を参照)
スクラップ売却代金を用いた裏金作り
内容 C氏は、薄板の鉄板等のスクラップ代金(月額20万円から30万円程度)を東海ハウスの正規の口座に入金し、残りの厚物の鉄板等のスクラップ売却金額を親睦会口座に入金するよう、D氏に指示をしていた。
そして、A氏はD氏から、毎月3万円ないし8万円の現金を受領していた。
C氏とD氏は、親睦会口座の資金を私的な家電製品の購入(少なくとも911,994円)にも使用していた(業務上横領罪の構成要件に該当し得る)。
原因 <契機>
2016年頃、東海リースの役員会に出席したA氏は、監査役から、東海ハウスでのスクラップ売却代金が高額すぎるのではないかと指摘された。その後、A氏は、東海ハウスのスクラップ売却代金を少なく見せるため、スクラップ売却代金の一部を別口座へ入金することを考え、B氏を通じて、D氏にそのための口座(親睦会口)を開設するよう指示をした。

<動機>
A氏はゴルフ用品購入代などに使える自由な裏金が欲しかった。

<機会>
親睦会口は秘密裏に開設されていたことから、当該口座を知るものは A氏らのみであった。

<正当化>
C氏は、賞与が思った金額ではなかったことを契機として、賞与を補填する意味で私的使用を始めた。
D氏は、A氏の私的使用に関与しているうちに、違法であることの感覚が麻痺してしまった。

改善策 (上記の「仕入取引の商流に私的会社を介在させてさや抜きを実施」を参照)
<この事例から学ぶべきこと>

上場会社の子会社は、比較的ガバナンスの効いた親会社と比べると、どうしてもガバナンス・コンプライアンスが緩めになりがちであり、人的リソースも十分でないことから、ガバナンス・コンプライアンスの確保が親会社頼みとなることは否めません。また、本事例とは関係なく一般論ではありますが、社内の政治闘争のあおりにより親会社から子会社にスピンアウトさせられた子会社社長が「これくらいの贅沢はさせてもらわないと」といった「正当化」によりタガが緩んでしまう事例も散見されるようです。そのような状況下で親会社からの監督が十分でないと、子会社社長の資質にもよりますが、子会社社長がワンマン経営に陥り暴走したとしても誰も止める者がいない状況になりかねません。

東海リースでは、関係会社管理規程を1987年に制定して以降、一度も内容を更新していませんでした。アクティブな規程であれば、会社の外部環境の変化(法令等の改正、トレンドの変化など)や内部環境の変化(ビジネスモデルの変更、組織図の変更、業務手順の変更など)に伴い、実態との管理を防ぐために修正が行われるのが通常です。逆に、数十年更新されていない規程は実態との乖離が生じても誰も気に留めないほど使われていない規程と言っても過言ではありません。「使われていない」イコール「機能していない」を意味するため、監査においては各規程の最終更新日を確認することで、当該規程が実質的に機能しているかどうかを簡易的に判断できると言えます。

一般的に工場ではスクラップ代金が裏金作りに使われやすいと言われています。スクラップの発生について内部牽制を効かせた形で記録に残すとともに、担当者のローテーションなど裏金作りをさせないような内部統制の構築が求められます。

東海ハウスではA氏がもっぱら自分の趣味のために、会社の敷地内にゴルフ練習場やゴルフ工房を建設していました。親会社の東海リースでは、「2016年以降、東海ハウスに対し監査役監査・監査等委員会監査を全くしていなかった」とのことでしたが、仮に監査役監査・監査等委員会監査を実施していたとしても、それがコロナ禍で急速に普及したリモート監査であり、かつ、単に会議室同士を繋いで実施するだけであれば、監査によりゴルフ練習場やゴルフ工房の存在に気付く可能性は小さかったかもしれません。監査役監査・監査等委員会監査をリモート監査で実施する際には、事前に固定資産台帳の閲覧などをしておき、監査役等が気になる資産があればカメラを移動して撮影してもらうなどの工夫も必要になるものと思われます。

2022/11/25 四半期開示に関する議論が事実上決着、「四半期決算短信を任意に」は誤解

サステナビリティ開示とともに金融庁の金融審議会・ディスクロージャーワーキング・グループ(DWG)のメイン・テーマとなってきた四半期開示の見直しの内容が、本日11月25日に開催されたDWGで事実上決着した。見直しの内容は事務局資料1の最終ページに集約されている。結論から言えば、おおむね当フォーラムで報じてきたとおりとなっているが(2022年10月3日のニュース「10月5日からDWGが再開、見えて来た第2四半期報告書の取扱い、第1・第3四半期決算短信へのエンフォースメントの行方」、2022年10月5日のニュース「四半期決算短信の任意提出、レビュー対象化の行方」参照)」、今回新たに判明した事項、当フォーラムの追加取材で判明した情報とともに整理する。

まず主な論点については下記の内容となった。・・・

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2022/11/25 四半期開示に関する議論が事実上決着、「四半期決算短信を任意に」は誤解(会員限定)

サステナビリティ開示とともに金融庁の金融審議会・ディスクロージャーワーキング・グループ(DWG)のメイン・テーマとなってきた四半期開示の見直しの内容が、本日11月25日に開催されたDWGで事実上決着した。見直しの内容は事務局資料1の最終ページに集約されている。結論から言えば、おおむね当フォーラムで報じてきたとおりとなっているが(2022年10月3日のニュース「10月5日からDWGが再開、見えて来た第2四半期報告書の取扱い、第1・第3四半期決算短信へのエンフォースメントの行方」、2022年10月5日のニュース「四半期決算短信の任意提出、レビュー対象化の行方」参照)」、今回新たに判明した事項、当フォーラムの追加取材で判明した情報とともに整理する。

まず主な論点については下記の内容となった。

(1)第1・第3四半期報告書は廃止。第2四半期報告書は「半期報告書」と呼ばれるようになるものの、報告および監査法人のレビューの対象期間は従来通り「第2四半期」で変わらず(=半期ではない)。
※なお、半期報告書の提出期限は「決算後45日以内」とされたが、これは従来の四半期報告書と変わらない。
(2)四半期決算短信を公表したことを臨時報告書でも公表させることで、金融商品取引法の適用対象とする(エンフォースメント)案は見送り。
(3)四半期決算短信の任意化は実施されず。

このうち(2)については、ここ最近になって投資家サイドから「決算短信のエンフォースメントはやはり必要なのではないか」との声が再び高まっていたが(2022年11月15日のニュース「四半期決算短信のエンフォースメント、投資家の声受け“揺り戻し”も」参照)、結局は予定どおり「見送り」となった。

(3)については、昨日、日本経済新聞の一面に「四半期決算短信を任意に」との見出しの記事が掲載されたことから一部に誤解が広がっているが、当フォーラムがお伝えしていたとおり、四半期決算短信の任意化は実施されない。

次に、本日のDWGの事務局資料で判明した事項や当フォーラムの取材により新たに判明した情報を整理しておこう。

論点 見直しの内容およびポイント
四半期決算短信の記載内容 第1四半期報告書、第3四半期報告書の廃止に伴い、第1四半期決算短信、第3四半期決算短信の記載内容が若干増える。具体的には、投資家からの要望が特に強い「セグメント情報」と「キャッシュフローの情報」等を追加(事務局資料1の最終ページの表の上から3番目参照)。東証が上場規則を改正することになる。
適時開示のルールの見直し 包括条項(バスケット条項)における軽微基準(クリックして開いた先にあるエクセル「適時開示チェックリスト」を参照)を撤廃する(事務局資料1の8ページ参照)。想定していなかった事態に弾力的に対応する等のために存在するバスケット条項に軽微基準を設けるのは違和感がある(企業が自ら判断すればよいのではないか)との指摘を受けた見直し。また、重要な変更があった事項について臨時報告書の提出を求めることとする。以上は東証が上場規則を改正することにより実施。

包括条項(バスケット条項) : 規制の対象となる事実を細かく列挙して定める際に、広く網をかけるために最後に設置される「その他●●なもの」といった規定のこと。状況の変化や当初想定していなかった事態が生じた際にも弾力的に対応できるメリットがある。

「一本化」後の四半期決算短信や半期報告書への現行会計基準・監査基準の適用 現行の会計基準・監査基準を、「一本化」後の四半期決算短信や半期報告書にも適用できるようにする。ただし、「四半期」基準を「半期」基準というタイトルに書き換える必要はあるものの、内容が大きく変わることはない。
第1・3四半期に対する監査人のレビュー 第1・3四半期については監査人のレビューを任意とするが、会計不正等が起こった場合には、取引所の規則により、監査人によるレビューを一定期間義務付ける。
冒頭の(2)のとおり、臨時報告書によるエンフォースメント案が見送られたことで、第1・3四半期について監査人のレビューを受ける企業は少数にとどまることが予想される。特にIFRS適用企業は、レビューを受けるとなればIFRS34号(中間財務報告)に沿った対応が必要になり、膨大な注記が求められることから、レビューを選択する可能性は低い。
半期報告書及び臨時報告書の公衆縦覧期間 半期報告書及び臨時報告書の公衆縦覧期間(現行では、半期報告書は3年、臨時報告書は1年)を、年次報告書の公衆縦覧期間及び課徴金の除斥期間である5年間に延長。この見直しの背景には、これまでに課徴金対象となった虚偽記載の事案で、過去4年間の虚偽記載が発覚し、会社は4年分の四半期報告書を訂正したが、四半期報告書の公衆縦覧期間が3年間であったため、そのうち縦覧期間が終了した四半期報告書の訂正報告について、公衆縦覧されなかったような事例(事務局資料1の34ページ一番下の囲み参照)の存在がある。ただし、単にEDINETにおける掲載が継続するだけであり、企業の事務負担はない。

このほか、事務局資料1の最終ページには、「継続的に検討」「将来的に検討」といった文言の付された項目があるが、これらは基本的に「見送り」を意味するということが当フォーラムの取材により確認されている。具体的には以下の項目である。

・四半期決算短信の任意化
・重要な適時開示事項(企業が公表する重要な財務情報)を臨時報告書の提出事由とすることを検討
・重要な適時開示事項(企業が公表する重要な財務情報)を臨時報告書の提出事由とする場合には、四半期決算短信に含まれる情報も重要な適時開示事項に含むことについて今後検討
・適時開示を細則主義からプリンシプルベースにする(=全面的にプリンシプルベースにする)

プリンシプルベース : 大まかな原理・原則だけを定め、細かな運用は現場の判断に任せるという規制方法のこと。「原則主義」とも呼ばれる。プリンシプルベース(原則主義)の反意語は「ルールベース(細則主義)」である。






2022/11/24 IR優良企業賞2022 受賞理由において目に付いたキーワードは?

日本IR協議会(以下、JIRA)は11月17日、「IR優良企業賞 2022」受賞企業を公表した。JIRAでは、会員企業から応募を受けた「調査票」をアナリストや投資家、報道機関などで構成される審査委員会が審査し、優れたIR活動を実施している企業に「IR優良企業賞」、IRに熱心な中・小型株企業に「奨励賞」、長期間にわたって優れたIRを継続している企業や顕著なIRを実施していた企業に「特別賞」、そして優良企業賞の受賞が3回目となる企業に「大賞」を授与、表彰している。

本年度の受賞企業は以下のとおり。
●IR優良企業大賞:アサヒグループホールディングス、日本電信電話
●IR優良企業賞:味の素、荏原製作所、テクノプロ・ホールディングス、日立製作所、富士電機、三井化学
●IR優良企業特別賞:アドバンテスト、村田製作所、横河電機
●IR優良企業奨励賞:新日本科学、東京エレクトロン デバイス

審査においては主に以下の点が重視された。・・・

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2022/11/24 IR優良企業賞2022 受賞理由において目に付いたキーワードは?(会員限定)

日本IR協議会(以下、JIRA)は11月17日、「IR優良企業賞 2022」受賞企業を公表した。JIRAでは、会員企業から応募を受けた「調査票」をアナリストや投資家、報道機関などで構成される審査委員会が審査し、優れたIR活動を実施している企業に「IR優良企業賞」、IRに熱心な中・小型株企業に「奨励賞」、長期間にわたって優れたIRを継続している企業や顕著なIRを実施していた企業に「特別賞」、そして優良企業賞の受賞が3回目となる企業に「大賞」を授与、表彰している。

本年度の受賞企業は以下のとおり。
●IR優良企業大賞:アサヒグループホールディングス、日本電信電話
●IR優良企業賞:味の素、荏原製作所、テクノプロ・ホールディングス、日立製作所、富士電機、三井化学
●IR優良企業特別賞:アドバンテスト、村田製作所、横河電機
●IR優良企業奨励賞:新日本科学、東京エレクトロン デバイス

審査においては主に以下の点が重視された。

環境変化を踏まえた経営戦略の実行 物価上昇や為替変動(円安)、金融政策(ゼロ金利)の動向、ウクライナ情勢などを踏まえた経営戦略の実行とタイムリーな情報開示
賃上げ、サプライチェーンマネジメント、DX(デジタル・トランスフォーメーション)などを組み込み、企業価値を高める取り組み
事業ポートフォリオの変革と建設的な対話 長期ビジョン(パーパス)をベースに事業ポートフォリオを改革し、事業部門責任者や社外取締役、社外監査役による対話機会を設けて実現可能性を高める取り組み
サステナビリティ情報開示の拡充 気候変動対応や人的資本への投資などサステナビリティ(持続可能性)関連の情報開示を拡充・対話する取り組み
株主・投資家とステークホルダーとの結びつけ ステークホルダーと協働して企業価値向上につなげる道筋を、定量的な指標や活動例の紹介などを通じて説明・対話する取り組み
投資行動を根付かせ、新たな株主層を開拓 投資に関心を持つ個人の投資行動を根付かせ、機関投資家の情報ニーズを踏まえて新たな株主層を開拓する取り組み
リスクの早期認識と対応 先行きの見通しが難しいなか、リスクの認識を早めに示し、対応していることを示す取り組み

「環境変化を踏まえた経営戦略の実行」については、「タイムリーな情報開示」という点でアサヒグループHD、「企業価値を高める取り組み」という点でテクノプロHDなどが評価された。

〇アサヒグループHD
コロナやウクライナ侵攻が業績に与える影響を説明しようとする姿勢も評価が高い
〇テクノプロHD
企業価値のドライバーとして落としこまれているKPIを活用した議論や、自社のみならず業界の全体像を説明する取り組みなども評価されている

「事業ポートフォリオの変革と建設的な対話」については、社外取締役と資本市場関係者の対話に積極的な荏原製作所などが評価された。

〇荏原製作所
コーポレート・ガバナンス改革の一環として、社外取締役と資本市場関係者とのミーティングに力を入れている
参加した投資家からは、社外取締役が企業価値向上に寄与していることを理解できる機会となっていると評価されている

「サステナビリティ情報開示の拡充」については、「人的資本への投資」の情報開示という点で日立製作所などが評価された。

〇日立製作所
人的投資などを含む非財務のテーマについても、統合報告書などを通じて積極的に説明している

「株主・投資家とステークホルダーとの結びつけ」については、「ステークホルダーと協働して企業価値向上につなげる道筋」を示しているという点で富士電機などが評価された。

〇富士電機
温室効果ガス排出削減計画の開示はもとより、削減に向けた自社製品による貢献度や、それが事業戦略の柱であることなどを説得力を伴って説明している

「投資行動を根付かせ、新たな株主層を開拓」している企業としては、「個人の投資行動」については横河電機、「機関投資家の情報ニーズ」については味の素などが評価された。

〇横河電機
本社や工場所在地で個人投資家向け説明会を開くなど、会社のファンとして長期投資家を増やす活動も注目されている
〇味の素
IR部門も資本市場のニーズを理解して活動している

「リスクの早期認識と対応」では、アドバンテストなどが評価された。

〇アドバンテスト
市場環境が不透明な中、業績に影響を与えるリスクを定量的に開示しようとする姿勢も評価できる

これらの着眼点に加え、各社の選定理由(評価された点)を見ると、「経営トップ」に関する記載が10か所にも及ぶ。経営トップは「IRは自身のミッションである」ことを認識し、主体的にIR活動の改善に取り組むことが求められていると言えよう。

〇NTT
経営トップがIRに関与し、グループ再編を含む成長戦略を明解に説明している
〇三井化学
経営トップが説明会で積極的に発言し、投資家との対話機会も設けている

2022/11/22 速報 ESG評価・データ提供機関の行動規範案の修正事項

ESGの評価機関・データ提供機関に対する企業側の不満の声が高まる中、金融庁は、同庁に設置された「ESG評価・データ提供機関等に係る専門分科会」(以下、専門分科会)が7月にとりまとめた「ESG評価・データ提供機関等に係る専門分科会報告書-ESG 評価・データの質の更なる向上を通じた市場の発展に向けて-」(2022年6月27日のニュース「ESG評価・データ提供機関の行動規範、コンプライorエクスプレイン方式に」参照)に基づき作成した「ESG評価・データ提供機関に係る行動規範(案)」を公表し、7月12日から9月5日までパブリックコメントに付していたが、このほどパブリックコメントの概要が11月10日に開催された専門分科会に報告された。

金融当局主導によるESG評価・データ提供機関の行動のグローバルな規範づくりは世界でも珍しく、パブリックコメントには国内外の45の個人・団体から209件もの意見が寄せられたとのことであり、事務局は嬉しい悲鳴を上げているようだ。今回寄せられた意見を踏まえ、行動規範(案)には、次のような修正が加えられ、最終化・公表される見込みであることが当フォーラムの取材により判明した。具体的には以下のとおり。・・・

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