2022/10/10 WEBセミナー「企業価値向上に資する知財戦略の立案・実行と開示(第一部)」(会員限定)

概略

【WEBセミナー公開開始日】2022年10月10日

2021年6月にコーポレートガバナンス・コードが改訂され、補充原則3-1③に「上場会社は、(中略)知的財産への投資等についても、自社の経営戦略・経営課題との整合性を意識しつつ分かりやすく具体的に情報を開示・提供すべきである。」、補充原則4-2②に「取締役会は、(中略)知的財産への投資等の重要性に鑑み、これらをはじめとする経営資源の配分や、事業ポートフォリオに関する戦略の実行が、企業の持続的な成長に資するよう、実効的に監督を行うべきである。」が新たに加わりました。また 2022年1月には知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会より「知財・無形資産の投資・活用戦略の開示及びガバナンスに関するガイドライン」が公表され、2022年5月には経済産業省から「企業価値向上に資する知的財産活用事例集」が公表されるなど、企業経営において企業価値向上に向けた知財戦略の活用と開示の重要性が今まで以上に注目を集めています。
もっとも、一部の先進的な企業を除き、知財戦略の重要さを理解しつつも、具体的な経営行動に落とし込めていない企業が大半の状況と言えます。知財戦略を活用して競争優位を実現し、投資家にツボを押さえた説明を行い、企業価値を向上させていくための道筋について、知財戦略の第一人者である TMI 総合法律事務所の弁護士 柴野 相雄 様に丁寧に解説していただきます。(本セミナーは2022年9月12日に開催されたセミナー「企業価値向上に資する知財戦略の立案・実行と開示」 の第一部となります。第二部はこちら)。

【講師】
TMI 総合法律事務所 弁護士 柴野 相雄 様

セミナー資料 第一部:自社の強みをオープンに~開示を見据えた知的財産の権利化と利活用~.pdf
セミナー動画

企業価値向上に資する知財戦略の立案・実行と開示(第一部)
第一部:自社の強みをオープンに~開示を見据えた知的財産の権利化と利活用~

単に動画を閲覧しただけではマイ研修レポートの「閲覧」記録に反映されません。下の「所感登録画面へ」ボタンを押し遷移する画面の右側の「登録」ボタンを押し下げすることではじめてマイ研修レポートの「閲覧」記録に反映されます。「登録」にあたっては、本Webセミナーを閲覧して感じたことや気付いた点(学んだ点、疑問点、自社の課題など)などをぜひご記入ください。マイ研修レポートの所感等記入欄の書き直しもこちらからどうぞ。

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2022/10/10 WEBセミナー「企業価値向上に資する知財戦略の立案・実行と開示 ~最初の第一歩から開示まで~」配信開始!

新型コロナウイルス禍において会員の皆様に必要な情報をいち早くお届けするべく、2022年10月10日(月)より下記のWEBセミナーの配信を開始いたしました。

テーマ 講 師
企業価値向上に資する知財戦略の立案・実行と開示~最初の第一歩から開示まで~
(第一部)自社の強みをオープンに~開示を見据えた知的財産の権利化と利活用~
(第二部)スタートアップビジネスを加速させる知財戦略
TMI 総合法律事務所
(第一部)弁護士 柴野 相雄 様
(第二部)弁理士 村上 晶美 様

■WEBセミナーの詳細

セミナー
の内容
2021年6月にコーポレートガバナンス・コードが改訂され、補充原則3-1③に「上場会社は、(中略)知的財産への投資等についても、自社の経営戦略・経営課題との整合性を意識しつつ分かりやすく具体的に情報を開示・提供すべきである。」、補充原則4-2②に「取締役会は、(中略)知的財産への投資等の重要性に鑑み、これらをはじめとする経営資源の配分や、事業ポートフォリオに関する戦略の実行が、企業の持続的な成長に資するよう、実効的に監督を行うべきである。」が新たに加わりました。また 2022年1月には知財投資・活用戦略の有効な開示及びガバナンスに関する検討会より「知財・無形資産の投資・活用戦略の開示及びガバナンスに関するガイドライン」が公表され、2022年5月には経済産業省から「企業価値向上に資する知的財産活用事例集」が公表されるなど、企業経営において企業価値向上に向けた知財戦略の活用と開示の重要性が今まで以上に注目を集めています。
もっとも、一部の先進的な企業を除き、知財戦略の重要さを理解しつつも、具体的な経営行動に落とし込めていない企業が大半の状況と言えます。知財戦略を活用して競争優位を実現し、投資家にツボを押さえた説明を行い、企業価値を向上させていくための道筋について、知財戦略の第一人者である TMI 総合法律事務所の弁護士 柴野 相雄 様と弁理士 村上 晶美 様に丁寧に解説していただきます。
講師の
ご紹介
(第一部)
柴野 相雄(しばの ともお)様
TMI 総合法律事務所 弁護士
(略歴)
1998 年 3 月 慶應義塾大学法学部法律学科卒業
2001 年 4 月 最高裁判所司法研修所入所
2002 年 10 月 第二東京弁護士会登録
TMI 総合法律事務所勤務
2010 年 6 月 ワシントン大学ロースクール卒業(LL.M., Intellectual Property Law and
Policy コース)
2010 年 9 月 サンフランシスコのモルガン・ルイス&バッキアス LLP 勤務
2011 年 7 月 TMI 総合法律事務所復帰
2014 年 1 月 パートナー就任
2016 年 慶應義塾大学法科大学院 非常勤教員就任
(知的財産法務ワークショップ・プログラム)
2017 年 一般社団法人 日本マーケティング・リサーチ協会
プライバシーマーク審査会 委員就任
2018 年 一橋大学大学院 法学研究科 ビジネスロー専攻
非常勤講師(デジタル時代の著作権法)(隔年)
2019 年 ISO/PC 317 (Consumer protection: Privacy by design for
consumer goods and services) 国内審議委員会 委員就任
2022 年 6 月 一般社団法人 外国映画輸入配給協会 理事就任
デジタル庁 技術検討会議 ガバメントソリューションサービス
タスクフォース 専門委員就任
(取扱分野)
知的財産法、情報の保護に関する法分野、電子商取引に関する法分野を専門としており、
IT、インターネットビジネス、エンタテインメント、広告、メディアに関する裁判、法律
相談等を多く扱う。
<業務の依頼やお見積りに関するお問い合わせは下記まで>
tshibano@tmi.gr.jp
(第二部)
村上 晶美(むらかみ まさみ)様
TMI 総合法律事務所 弁理士
AIPE 認定 知的財産アナリスト
(略歴)
2004 年 3 月 日本大学生産工学部建築工学科卒業
2004 年 4 月 日本コンピューター・システム株式会社(現 NCS&A 株式会社)入社
2013 年 9 月 EY アドバイザリー・アンド・コンサルティング株式会社入社
2015 年 1 月 都内の特許事務所勤務
2016 年 5 月 弁理士登録
2017 年 11 月 TMI 総合法律事務所勤務
2021 年 特許庁知財アクセラレーションプログラム(IPAS)2021 メンター就任
(取扱分野)
特許/出願/鑑定/知財コンサルティング/知財調査・分析
<業務の依頼やお見積りに関するお問い合わせは下記まで>
mmurakami@tmi.gr.jp

会員の方は下記URLよりWEBセミナーを視聴いただくことができます。
■会員向けURL(ログインが必要です)
(第一部)/member/webseminar-webseminar-l/64845/
(第二部)/member/webseminar-webseminar-l/64847/

非会員の方は下記URLよりWEBセミナーの視聴をお申込みいただけます。
■非会員向けURL(グーグルフォームが立ち上がります)
https://forms.gle/nAh2WS2YopGisiDe7

<収録月>
2022年9月

<収録時間>
(第一部)65分
(第二部)61分

<視聴環境>
ブラウザー上で視聴できます。インターネットエクスプローラー、エッジで再生できない場合は、ChromeまたはFirefoxなど他のブラウザーをお試しください。また、インターネットに接続する際にプライベートネットワークやプロキシサーバーを経由している場合やファイアーウォールのセキュリティレベルが高い場合には、サンプル動画が再生されない可能性があります。
万が一、こちらのサンプル動画が再生されない場合、端末を管理するシステム管理者にお問い合わせください。

2022/10/07 非財務開示ルールが3種類に?(会員限定)

企業に複数の異なる非財務開示ルールが適用される恐れが出て来た。

既報のとおり、非財務開示ルールのグローバルな“ベースライン”を策定すべく、IFRS財団はISSB(International Sustainability Standards Board=国際サステナビリティ基準審議会)を設立し(2021年12月1日のニュース「IFRS財団におけるISSBの設立と日本の対応」参照)、今年(2022年)中にも気候変動に関する非財務開示基準をファイナライズ(最終化)し、来年早々にも公表する方向となっている(当初は年内公表とされていたが、若干スケジュールが遅れている模様)。さらに、今後は生物多様性、水資源、人権、人への投資など、様々なテーマの非財務開示基準の策定が見込まれており、年内にも「次のアジェンダ」のコンサルテーションの実施を予定している。

一方、日本では、金融庁・金融審議会のディスクロージャーワーキング・グループ(DWG)が6月13日に確定させた『「ディスクロージャーワーキング・グループ報告」-中長期的な企業価値向上につながる資本市場の構築に向けて-』(以下、DWG報告)を受け、間もなく改正開示府令案が公表されるが、今回の改正開示府令は非財務開示の“大枠”を定めるものに過ぎない(2022年9月12日のニュース「非財務情報開示のルール化、今後の流れ」参照)。今後、日本で非財務開示のルールを定めるのがSSBJだ。周知のとおり、IFRSを策定してるのは、IFRS財団に属する独立の会計基準設定機関であるIASB(The International Accounting Standards Board=国際会計基準審議会)であり、その“日本版”と言えるのが、日本における会計基準の設定主体であるASBJ(Accounting Standards Board of Japan=企業会計基準委員会)だが、このIASBとASBJの関係と、ISSBとSSBJの関係はパラレルとなっている(2021年9月28日のニュース『気候変動など非財務の「開示基準」の行方』参照)。「IASBとASBJ」「ISSBとSSBJ」の関係で大きく異なるのは、IASBが策定するIFRSは「単一のルール」とされており、そこに何らかのルールや文言をプラスしてもマイナスしても「IFRSに準拠している」とは言えなくなるのに対し、ISSBの非財務開示基準は「ブロック・ビルディング方式(いくつかの構成要素を積み上げる方式)」を採用しており、グローバルな“ベースライン”を示すものに過ぎないため、このベースラインに乗っていれば、詳細は各国が自国の実態に合わせて作成することが許容されている(=その場合でも、「IASBの非財務開示基準に準拠している」と言える)という点だ(ブロック・ビルディング方式については2021年6月22日のニュース「サステナビリティ開示の将来像」の図参照)。

SSBJ : 日本における非財務開示の基準を作成する団体。IFRS(国際財務報告基準)の母体であるIFRS財団が「国際サステナビリティ基準審議会(ISSB=International Sustainability Standards Board)」を設立し、非財務開示の国際的な基準「サステナビリティ報告基準」を策定することを受け、日本では財務会計基準機構(FASF)が母体となり、IFRS財団におけるISSBに相当するSSBJ(Sustainability Standards Board of Japan)が設立された。

企業等からは、何をもってベースラインに乗っていると言えるかについて、ISSBにガイダンスの策定を期待する声が挙がっているが、いずれにせよ、具体的にどのような非財務開示のルールを作るかはSSBJに委ねられる。ただし、有価証券報告書で開示を求める内容をSSBJが決めるとなると、SSBJを法令上の枠組みとして位置付ける必要がある。そこでDWG報告では、いわゆる財規および連結財規により「ASBJが作成したルールに則って財務報告を行うよう」定めているのと同様の建付けのデュープロセス(法令に基づく手続き)をSSBJについても設けることを示唆している(DWG報告15ページ最終段落および注釈36参照)。

SSBJが非財務開示のルールを策定することとなった場合、上記のとおりISSBの非財務開示基準をベースとするのがSSBJの設立経緯からしても自然だが、ここに来て、ISSBの非財務開示基準がグローバルなベースラインと言えるのか、雲行きが怪しくなっている。

ISSBは米国のSASBなど乱立していた非財務開示のフレームワークの設定主体を合併し、非財務開示ルールの設定主体としてデファクトスタンダードとなりつつあるように見えるが(2021年6月22日のニュース「サステナビリティ開示の将来像」の図参照)、EUや米国SEC(米国証券取引委員会)は独自の非財務開示ルールの策定にとりかかっており、EUに進出している日本企業や米国で上場している日本企業は、これらのルールの適用対象となる可能性がある。SECのルールは、米国で上場している場合のみが対象となるが、EUのルール(企業サステナビリティ報告指令(CSRD=Corporate Sustainability Reporting Directive))は、たとえEUで上場していなくても(非上場でも)一定の要件を満たせば適用対象となり得る。

SASB : Sustainability Accounting Standards Board(サステナビリティ会計基準審議会)の略称で、2011年に米国サンフランシスコを拠点に設立された非営利団体。企業の情報開示の質向上に寄与し、中長期視点の投資家の意思決定に貢献することを目的に、将来的な財務インパクトが高いと想定されるESG要素に関する開示基準を設定している。2018年11月、11セクター77業種について情報開示に関するスタンダードを作成し、公表した。その後、 IIRC(International Integrated Reporting Council=国際統合報告評議会)と合併し、VRF(=Value Reporting Foundation )となった。

TCFDが開示を求めている「ガバナンス」「リスク管理」「戦略」「指標と目標」の開示のベースとしているという点(詳細は2021年7月7日のニュース「TCFD開示の4要素のうち有報での開示が必須となりそうな2要素とは?」参照)ではどれも変わりはないものの、例えばISSBの非財務開示基準とEUのCSRDではシングル・マテリアリティとダブル・マテリアリティいずれを志向しているかという点で決定的な違いがある。具体的には、ISSBの非財務開示基準は“投資家目線”のシングル・マテリアリティを志向しているが(2021年1月20日のニュース『高まる「ダブル・マテリアリティ」の開示圧力』の3段落目参照)、EUのCSRDは“(市民社会等を含む)マルチステークホルダー目線”のダブル・マテリアリティを志向しており、その結果、求められる開示内容も異なる。

TCFD : 主要国の金融当局(中央銀行、金融監督当局、財務省)やIMF(国際通貨基金)、世界銀行、BIS(国際決済銀行)、OECD(経済協力開発機構)などで構成される国際的な金融システムの安定を目的とする組織である金融安定理事会(FSB)が設置した組織。TCFDとは「Task Force on Climate-related Financial Disclosures」の略である。TCFDが2017年6月に公表した最終提言は、気候変動リスクに関する情報開示のフレームワーク(枠組み)のグローバルスタンダードになっている。
シングル・マテリアリティとダブル・マテリアリティ : マテリアリティとは「重要性」を意味するCSR用語であり、マテリアリティを開示する目的は要するに「自社にとって重要な課題は何か?」を明らかにすることにある。シングル・マテリアリティとは企業が環境や社会から「受ける」影響を示す“投資家目線”のマテリアリティであるのに対し、ダブル・マテリアリティとは、これに企業が環境や社会に「与える」影響を示す “(市民社会等を含む)マルチステークホルダー”目線のマテリアリティを統合したものを指す。

仮に、SSBJがISSB策定のベースラインに沿った非財務開示ルールを作り、有価証券報告書ではそのルールに基づく開示が求められるとともに、EUに進出している企業にはこれとは別にCSRDに基づく開示が、さらに米国で上場している企業にはSECのルールに基づく開示が求められることになれば(しかも求められる開示内容は異なる)、企業の負担は甚大なものとなる。

現時点では、非財務開示ルールの設定主体としてのデファクトスタンダードをどこが取るか分からない状況であり、ISSBは、EUやSECとの対話も視野に入れている模様。その結果次第では、有価証券報告書における非財務開示のルール作りにも影響が及ぶ可能性がありそうだ。

2022/10/06 東証が新市場区分について意見募集開始、PBR1倍割れや経過措置適用への意見が相次ぐ可能性

2022年4月4日に東京証券取引所における市場区分が再編され、「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」という3つの新たな市場が誕生してから半年が経過する中、東証は2022年9月30日、市場区分の見直しに関するフォローアップに係る意見の募集を開始した(10月31日まで)。東証では既に新市場区分についてフォローアップしていくべき論点や経過措置の在り方などについて「フォローアップ会議」を設置して検討を開始しているが(フォローアップ会議の立ち上げについては2022年8月4日のニュース「東証が“フォローアップ会議”立ち上げ、メンバーの多くが経過措置の期限に言及」を参照)、今回の意見募集はフォローアップ会議における議論やそれを踏まえた東証内部での検討の参考にするため、幅広く市場関係者からの意見を募るという趣旨で実施されている。

「市場関係者」の中心となるのは国内外の機関投資家や証券会社だが、そこには上場企業も当然含まれる。東証は市場区分の再編に先立ち、2018年12月にも今回と同様の「市場関係者に対する意見募集」を行ったが、その際に国内外から寄せられた約90件の意見のうち上場企業からの意見は1割にも満たなかった(9%。意見提出主体の属性分布については「市場構造の在り方等に関する市場関係者からのご意見の概要」を参照)。自社が上場する市場が大きく変わろうとしている局面で、その当事者である上場企業からほとんど声が上がらなかった背景には、・・・

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2022/10/06 東証が新市場区分について意見募集開始、PBR1倍割れや経過措置適用への意見が相次ぐ可能性(会員限定)

2022年4月4日に東京証券取引所における市場区分が再編され、「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」という3つの新たな市場が誕生してから半年が経過する中、東証は2022年9月30日、市場区分の見直しに関するフォローアップに係る意見の募集を開始した(10月31日まで)。東証では既に新市場区分についてフォローアップしていくべき論点や経過措置の在り方などについて「フォローアップ会議」を設置して検討を開始しているが(フォローアップ会議の立ち上げについては2022年8月4日のニュース「東証が“フォローアップ会議”立ち上げ、メンバーの多くが経過措置の期限に言及」を参照)、今回の意見募集はフォローアップ会議における議論やそれを踏まえた東証内部での検討の参考にするため、幅広く市場関係者からの意見を募るという趣旨で実施されている。

「市場関係者」の中心となるのは国内外の機関投資家や証券会社だが、そこには上場企業も当然含まれる。東証は市場区分の再編に先立ち、2018年12月にも今回と同様の「市場関係者に対する意見募集」を行ったが、その際に国内外から寄せられた約90件の意見のうち上場企業からの意見は1割にも満たなかった(9%。意見提出主体の属性分布については「市場構造の在り方等に関する市場関係者からのご意見の概要」を参照)。自社が上場する市場が大きく変わろうとしている局面で、その当事者である上場企業からほとんど声が上がらなかった背景には、上場企業における「市場への関心の低さ」があると言わざるを得ない。投資家からは、「株式市場からの便益は最大限享受したいが、義務の履行は最低限にとどめたい」という意識の低い上場企業が少なくないとの指摘も聞かれる。そのことを端的に示しているのが、PBR1倍割れ企業、および各市場の(上場維持基準に関する)経過措置適用企業の多さだ。

PBR : Price Book-value Ratio=株価純資産倍率(株価 ÷1株当たり株主資本)。株価が1株当たり純資産(BPS:Book value Per Share)の何倍まで買われているか(=1株当たり純資産の何倍の値段が付いているか)を指す。PBRが1.0を大幅に下回る場合、投資家が企業の将来性に疑問を持っていたり、減損リスクのように潜在的な資産の含み損が多額にのぼる可能性が株価に織り込まれていたりすることを示唆する。

東証の意見募集要領によると、前回同様、今回もある程度論点を絞った形で意見を募っている。例えば、プライム市場については「たとえば、上場企業における企業価値向上に向けた取組の動機付け、投資家との対話の促進などの観点からどう考えるか」、(上場維持基準に関する)経過措置については「今後の経過措置の在り方についてどう考えるか」といったシンプルな質問内容となっている。これらとは異なる切り口による意見の提出も可能とされているが、今回の意見募集では、フォローアップ会議でも議論が集中した「PBR1倍割れ企業を減らすための方策」「上場維持基準の経過措置の年限」に機関投資家から厳しい意見が相次ぐことが予想される(PBR1倍割れ企業に関する議論については2022年9月14日のニュース『PBR1倍割れ企業に「ロードマップ」の公表が求められる可能性』を参照)。

一方、上場企業にとっても、「市場関係者」の一員として市場再編に対し声を上げる絶好の機会と言える。特に、自社が上場している市場のあり方や経過措置の適用期限切れ時点で上場維持基準を満たせなかった場合の受け皿市場については自社に直結する問題であるため、投資家に言われるがままではなく、上場企業として意見も発信すべきだ。今回寄せられた意見は、今後のコーポレートガバナンス・コードの改訂に反映される可能性もある。ただし、意見の内容は、企業名とともに、今後、フォローアップ会議における資料を通じて公表されることも考えられるため、投資家から「後ろ向き」と評されかねない意見は提出しづらいという企業もあろう。ただ、たとえ意見の提出にまでは踏み切れなくても、特にPBR1倍割れ企業や経過措置適用企業の経営陣は、今回の意見募集では、まさに自社のことが問題視されているという「当事者意識」を持つ必要がある。そのうえで、早急に「PBR1倍割れから脱却するための方策」(PBRの向上については【役員会 Good&Bad発言集】PBRの向上を参照)や「上場維持基準の経過措置から外れるための取り組みの加速化」について社内で議論を深めることが求められていると言えよう。

2022/10/05 四半期決算短信の任意提出、レビュー対象化の行方

2022年10月3日のニュース「10月5日からDWGが再開、見えて来た第2四半期報告書の取扱い、第1・第3四半期決算短信へのエンフォースメントの行方」で既にお伝えしたとおり、10月5日に再開した金融庁の金融審議会・ディスクロージャーワーキング・グループ(以下、DWG)では、四半期開示がテーマとなった。第1四半期報告書、第3四半期報告書の廃止が既定路線となる中、第2四半期報告書の取扱いに注目が集まっていたが、当フォーラムが報じたように、・・・

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2022/10/05 四半期決算短信の任意提出、レビュー対象化の行方(会員限定)

2022年10月3日のニュース「10月5日からDWGが再開、見えて来た第2四半期報告書の取扱い、第1・第3四半期決算短信へのエンフォースメントの行方」で既にお伝えしたとおり、10月5日に再開した金融庁の金融審議会・ディスクロージャーワーキング・グループ(以下、DWG)では、四半期開示がテーマとなった。第1四半期報告書、第3四半期報告書の廃止が既定路線となる中、第2四半期報告書の取扱いに注目が集まっていたが、当フォーラムが報じたように、たとえ名称は「半期報告書」となったとしても、これまで通り第2四半期報告書を作成し、その対象期間(3月決算企業であれば7~9月)についてのみ監査法人のレビューを受ければよいということは、同日に配布された事務局資料でも強く示唆されている。具体的には、47ページ「ご議論いただきたい事項③」の「半期報告書・中間監査のあり方」における「四半期報告書の廃止に伴い、上場企業の半期報告書の記載内容をどう考えるか。また、上場企業が半期報告書を提出することになることを踏まえて、半期報告書の提出時期をどう考えるか。」との問いかけに対し、38ページの「半期報告書と第2四半期報告書の比較(非財務情報)」では「半期報告書と第2四半期報告書の非財務情報の開示事項は、・・・概ね、同様のものとなっている」、39ページの「半期報告書と第2四半期報告書の比較(財務情報)」では「半期報告書の財務情報は、有価証券報告書の財務情報に近い内容となっており、・・・」とあり、非財務情報については第2四半期報告書で、財務情報については有価証券報告書があれば足りることが示されている。また、41ページでは「半期報告書作成と中間監査等のスケジュールのイメージ」が図解されており、半期報告書作成を作成して中間監査を受ければ、第2四半期報告書を作成して四半期レビューを受けるよりも情報開示が大幅に遅れることが示されている。これらの資料は、従来通り第2四半期報告書を作成し、第2四半期報告書のみについてレビューを受ければよいという金融庁のスタンスを裏付けるものと言える。

第1四半期報告書、第3四半期報告書の廃止に伴い、第1四半期、第3四半期については東証の四半期決算短信の開示のみにとどまることから、四半期決算短信を公表したことを金商法上の臨時報告書で開示させることにより、四半期決算短信による開示を金商法の対象に取り込み、同法上の罰則等の対象とする(エンフォースメント)ことの是非については、47ページ「ご議論いただきたい事項③」の「四半期決算短信の虚偽記載に対するエンフォースメント」で問いを投げかけている。これに対しては、34ページの「虚偽記載に係る課徴金納付命令及び取引所のエンフォースメント」で、第1・第3四半期の四半期報告書のみを対象とした虚偽記載に係る課徴金納付命令勧告事案の少なさ(1件)が示されており、第1・第3四半期決算短信をエンフォースメントの対象とする意義の薄さが強調されている。すなわち、エンフォースメントは「ない」ということである。

エンフォースメント : 法や規則といったルールを執行すること

また、今回のDWGでは、四半期決算短信のあり方もテーマとなった。メインの論点は、四半期決算短信の任意化(45ページ「ご議論いただきたい事項①」の「四半期決算短信の義務付けの有無」)、四半期決算短信の開示内容、四半期決算短信に対する監査人によるレビューの有無(いずれも46ページ「ご議論いただきたい事項②」)だ。まず四半期決算短信の任意化については、「実施されない」と断言してよいだろう。これは、今回の事務局資料(12ページ)で、(2022年)6月13日にDWGが確定した『「ディスクロージャーワーキング・グループ報告」-中長期的な企業価値向上につながる資本市場の構築に向けて-』(以下、DWG報告)から下記の部分が引用されていることからうかがうことができる。

DWG報告28ページ最終段落より
日本企業がより積極的に適時開示を行い、企業の取り巻く環境変化を踏まえた経営方針、収益への影響の可能性等を市場参加者に伝えることで、海外の機関投資家を含む幅広い資金を取り込むことができる環境を確立することができれば、必ずしも一律に四半期開示を求めなくても、投資家に充実した情報が提供されることになるとの指摘もある。

「日本企業がより積極的に適時開示を行い」「確立することができれば」といった書き振りは、要するに日本企業では未だ適時開示が不十分であると言っているに等しい。すなわち、四半期決算短信の任意化の前にまずは適時開示を充実させるべき、というのが金融庁のスタンスとみてよい。

上記で挙げた四半期決算短信に関するの2つ目のテーマ「四半期決算短信の開示内容」はこの適時開示と密接に関連している。事務局資料では、「四半期決算短信と四半期報告書の比較(非財務情報)」として、四半期報告書で記載が求められている『「事業等のリスク」「経営上の重要な契約等」「研究開発活動の状況」に重要な変更があった場合の記載』が四半期決算短信では求められていないことを指摘しているが(23ページ参照)、当フォーラムの取材により、この指摘は四半期決算短信の開示内容を増やすことを意図しているわけではないことが確認されている。これらは「適時開示」により開示されるべきというのが金融庁の基本的なスタンスであることから、四半期決算短信の開示内容は“現状維持”ということになる可能性が高いが、投資家からの要望が特に強い情報については四半期決算短信に盛り込まれることも考えられる。

四半期決算短信に関する3つ目のテーマ「四半期決算短信に対する監査人によるレビューの有無」についても、「レビューの対象となることはない」と断言してよいだろう。事務局資料では「四半期決算短信と四半期報告書の開示のタイミングの差」(31ページ参照)として、監査法人のレビューにより四半期報告書の開示のタイミングが遅くなることが指摘されている。これは、仮に四半期決算短信もレビューの対象とすれば、四半期決算短信の趣旨である速報性が失われることを指摘するものと言える。

以上のとおり、四半期開示に関しては、全体的に企業の負担が減少する方向で決着したと総括できるだろう。

2022/10/04 CEOの個人評価を役員報酬に反映するメリット

社外取締役が毎年「経営トップ」を個人評価し、報酬(主に年次賞与の支給率)に反映させる――欧米企業においては一般的なプラクティスだが、日本企業でも、ここ数年、こうした取り組みを実施するケースが増えてきた。その背景には、2015年のコーポレートガバナンス・コードの施行以降、欧米企業同様に日本企業でも、社外取締役を中心とした報酬委員会の設置が進んできたことがある。

ただし、一般的に個人評価の難易度は高い。財務指標や株価等を用いた評価と異なり、ある程度は評価者の主観的な判断に頼らざるを得ないからだ。したがって、個人評価を報酬に反映する場合、いかに客観性を担保するかが課題となる。この課題をクリアするためには、・・・

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2022/10/04 CEOの個人評価を役員報酬に反映するメリット(会員限定)

社外取締役が毎年「経営トップ」を個人評価し、報酬(主に年次賞与の支給率)に反映させる――欧米企業においては一般的なプラクティスだが、日本企業でも、ここ数年、こうした取り組みを実施するケースが増えてきた。その背景には、2015年のコーポレートガバナンス・コードの施行以降、欧米企業同様に日本企業でも、社外取締役を中心とした報酬委員会の設置が進んできたことがある。

ただし、一般的に個人評価の難易度は高い。財務指標や株価等を用いた評価と異なり、ある程度は評価者の主観的な判断に頼らざるを得ないからだ。したがって、個人評価を報酬に反映する場合、いかに客観性を担保するかが課題となる。この課題をクリアするためには、公明正大な報酬決定プロセス(社外取締役を中心とした報酬委員会の設置等)や、充実した開示(報酬委員会の活動内容の開示等)が欠かせない。そのうえで、評価者としての社外取締役の資質や、コミットメントの度合い(報酬委員会の開催回数や拘束時間等を含む)も問われてくる。逆に言うと、上記のような形で一定の客観性を担保できる企業であれば、CEOの個人評価(の報酬への反映)を積極的に検討するべきだ。

もっとも、CEOを個人評価するメリットを企業側が感じなければ、導入も進まないであろう。CEOを個人評価するメリットとして第一に挙げられるのは、一朝一夕には結果の出ないCEOの取り組みに光を当てることができる、ということである。例えば、研究開発への投資、事業再編、企業文化の改革、後継者計画の策定など、長期的に見れば自社の行く末を左右するCEOの取り組みは、直ちに売上や株価の向上に結びつかないことも多い。個人評価を通じて、そういった取り組みを後押しすることにつながる可能性がある。

第二に、数値に表せない価値を評価できるということである。これは、個人評価の定性的な性質上、当然のことではあるものの、ESGやサステナビリティ関連情報のような非財務情報の重要性が注目される中で、改めて強調したいポイントと言える。特にESGについては数値での評価が難しいことが多く、それを強引に何らかの数値に落とし込もうとすること自体が、ミスリーディングとなってしまうこともある。そこで、まずは個人評価の枠組みで、CEOがイニシアチブをとって全社的なESGへの取り組みを推進しているかどうか総合的に評価してみる、ということを考えてみてもよいだろう。

第三に、逆境下におけるCEOの努力やリーダーシップを評価できることである。ここ数年、新型コロナウイルスのパンデミック、ロシアによるウクライナ侵攻、記録的な円安など、先が読めない状況が続いているが、こうした外部要因にも関わらず、CEOが会社の業績の悪化を最小限にとどめ、社員の雇用を守った、というようなことがあれば、仮に期初に立てた財務目標が達成できなかったとしても、個人評価の枠組みの中でその努力に報いることが可能となる。

最後は、「指名」の領域との相互補完性である。指名の領域においては、仮にCEOのパフォーマンスが芳しくなかった場合、「解任」という選択肢が視野に入るが、それはあくまで“最後の手段”となる。まずは、解任よりも手前の段階で、年次賞与の個人評価を低くすることで、報酬を通じて相応のメッセージをCEOに伝えることができる。これは、社外取締役とCEOの間のコミュニケーションを促すという観点からも重要である。

以上のとおり、CEOの個人評価を報酬に反映するメリットは大きい。もちろん、個人評価は、客観性という面では、財務指標や株価等を用いた評価に数段劣る。そのため、年次賞与全体に占める個人評価の割合としては、20~30%程度が一般的であろう。それでも、この20~30%のために社外取締役が(これまで以上に)CEOの評価に真摯に取り組み、喧々諤々の議論が巻き起こるならば、それだけでも、自社にとって十分なメリットがあると言えるのではないだろうか。