2025/12/03 読売新聞(2025年12月3日朝刊)の関西経済面に、当フォーラム代表取締役・首席研究員である藤島裕三のコメントが掲載されました。

読売新聞(2025年12月3日朝刊)の関西経済面に、当フォーラム代表取締役・首席研究員である藤島裕三のコメントが掲載されました。

MBOにアクティビストが介入する動きが相次いでいる事象について、「企業経営において「上場」の意義を捉え直す必要があるだろう。(中略)上場企業は自らの価値を高め、「自社株」という優良な金融資産を提供しなければならない」としたうえで、アクティビストについて「ほかの株主を含めた市場全体に、本来もたらすべき価値を配分する役割を果たしているとも言える。機関投資家がアクティビストを使った運用を増やしているのも、市場がアクティビストに好意的になっているからだろう」と指摘しています。

2025/12/03 TOB価格引き上げの代償

新聞等でも報道されているとおり、化粧品製造販売のマンダム(東証プライム)は2025年11月27日、MBO(マネジメント・バイアウト)の実現に向けたTOB(株式公開買付)の価格が、1株1,960円から2,520円に引き上げられたことを発表した(同社のリリースはこちら)。同日の株価は2,428円となっており、従来の買付価格ではTOBの成立が危ぶまれていたが、一転して実現に向けて前進することになった。大株主であるアクティビスト2社、国内系のシティインデックスイレブンス(約20%保有)およびシンガポール拠点のひびき・パース・アドバイザーズ(約5%保有)も、今回示された価格による買い付けに応募することに合意しており、今後さらなる好条件の対抗TOBの提案でもない限り、マンダムのMBOが実現する可能性は高い。本事案の経緯は下表のとおり。

2025年9月 英PEファンドCVCキャピタル・パートナーズ(CVC)の支援を受け、1株1,960円でのMBOを目指すことを発表
シティインデックスイレブンス(CI11)が野村絢と共同で大量保有報告書を提出(6.7%)
2025年10月 CI11が継続的に買い増し、10/28時点で18.8%を保有
2025年11月 CI11を主な対象として、大規模買付行為等に関する対応方針(新株予約権の無償交付)を決議、CVC系以外の第三者による買収提案も求めることを公表
ひびき・パース・アドバイザーズ(ひびき)による大量保有が判明(5.0%)
TOB価格を2,520円に引き上げ、ひびき及びCI11との間でTOBに応募する旨の契約を締結

当初のTOB価格1,960円は、過去3か月間の終値平均1,418 円を38.22 %上回っている。また、マンダムのBPS
(1株当たり純資産)は直近期末で1,543.08円であり、TOB価格に基づくPBR(株価純資産倍率:株価がBPSの何倍まで買われているかを示す)は「1.27倍」ということになる。PBRが1倍割れとなるTOB価格によるMBOが資本市場で問題視される中、マンダムの当初TOB価格は著しく低い水準とは言えないだろう。


BPS : 「Book Value Per Share:1株あたり純資産」の略称で、通常は「株主資本÷発行済株式数」により算出される。
PBR : Price Book-value Ratio=株価純資産倍率(株価÷1株当たり株主資本)。株価が1株当たり純資産(BPS:Book value Per Share)の何倍まで買われているか(=1株当たり純資産の何倍の値段が付いているか)を指す。PBRが1.0を大幅に下回る場合、投資家が企業の将来性に疑問を持っていたり、減損リスクのように潜在的な資産の含み損が多額にのぼる可能性が株価に織り込まれていたりすることを示唆する。

一方で、マンダムは実質無借金のキャッシュリッチ企業(自己資本比率が71.68%、総資産に占める現預金の割合が29.87%)であり、・・・

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2025/12/03 TOB価格引き上げの代償(会員限定)

新聞等でも報道されているとおり、化粧品製造販売のマンダム(東証プライム)は2025年11月27日、MBO(マネジメント・バイアウト)の実現に向けたTOB(株式公開買付)の価格が、1株1,960円から2,520円に引き上げられたことを発表した(同社のリリースはこちら)。同日の株価は2,428円となっており、従来の買付価格ではTOBの成立が危ぶまれていたが、一転して実現に向けて前進することになった。大株主であるアクティビスト2社、国内系のシティインデックスイレブンス(約20%保有)およびシンガポール拠点のひびき・パース・アドバイザーズ(約5%保有)も、今回示された価格による買い付けに応募することに合意しており、今後さらなる好条件の対抗TOBの提案でもない限り、マンダムのMBOが実現する可能性は高い。本事案の経緯は下表のとおり。

2025年9月 英PEファンドCVCキャピタル・パートナーズ(CVC)の支援を受け、1株1,960円でのMBOを目指すことを発表
シティインデックスイレブンス(CI11)が野村絢と共同で大量保有報告書を提出(6.7%)
2025年10月 CI11が継続的に買い増し、10/28時点で18.8%を保有
2025年11月 CI11を主な対象として、大規模買付行為等に関する対応方針(新株予約権の無償交付)を決議、CVC系以外の第三者による買収提案も求めることを公表
ひびき・パース・アドバイザーズ(ひびき)による大量保有が判明(5.0%)
TOB価格を2,520円に引き上げ、ひびき及びCI11との間でTOBに応募する旨の契約を締結

当初のTOB価格1,960円は、過去3か月間の終値平均1,418 円を38.22 %上回っている。また、マンダムのBPS
(1株当たり純資産)は直近期末で1,543.08円であり、TOB価格に基づくPBR(株価純資産倍率:株価がBPSの何倍まで買われているかを示す)は「1.27倍」ということになる。PBRが1倍割れとなるTOB価格によるMBOが資本市場で問題視される中、マンダムの当初TOB価格は著しく低い水準とは言えない。


BPS : 「Book Value Per Share:1株あたり純資産」の略称で、通常は「株主資本÷発行済株式数」により算出される。
PBR : Price Book-value Ratio=株価純資産倍率(株価÷1株当たり株主資本)。株価が1株当たり純資産(BPS:Book value Per Share)の何倍まで買われているか(=1株当たり純資産の何倍の値段が付いているか)を指す。PBRが1.0を大幅に下回る場合、投資家が企業の将来性に疑問を持っていたり、減損リスクのように潜在的な資産の含み損が多額にのぼる可能性が株価に織り込まれていたりすることを示唆する。

一方で、マンダムは実質無借金のキャッシュリッチ企業(自己資本比率が71.68%、総資産に占める現預金の割合が29.87%)であり、市場の期待に十分に応える規模の自己株取得や増配といった株主還元策に資金を投じるなどして株価を引き上げる策は、MBOする方針を打ち出す前にも容易に検討し得たことは事実だろう。

こうした中、マンダムのMBOはアクティビストの介入を許すことになる。まずシティインデックスイレブンス(CI11)が大量保有を開始、短期間で一気に保有比率を約20%まで高めるに至った。その影響で株価は2,400円前後まで高騰、MBOの成立が危ぶまれる状況に陥ったのは前述のとおりだ。また、本MBOに向けたTOBは成立条件として「総株主の議決権数の56.02%」の取得を下限としているため、これ以上CI11の持株比率が上昇すると、MBOの成否(56.02%に届くかどうか)についてCI11に事実上の決定権を奪われることになりかねない。マンダムが「当社株券等の大規模買付行為等に関する対応方針」を導入し、20%以上の株式買い付けに対して説明や情報提供を求めるとともに、それに従わない場合にはその他の株主に新株予約権を割り当てるという買収防衛策と同様のスキームを整備したのも、CI11にキャスティングボードを握られるという事態を回避するために他ならない。ところが、ほぼ時を同じくして、ひびきも約5%の大量保有報告書を提出。CI11の持分と合わせて約25%をアクティビストに握られるに至り、MBOの成立は極めて難しい状況に追い込まれていた。

今回のTOB価格引き上げ、そして両アクティビストとのTOB応募契約の締結により、TOBが成立してマンダムは上場廃止となり、MBOは成功する公算が強い。しかし、約3割も引き上げられたTOB価格は、上場廃止後、MBO成立のために資金を提供した大株主である投資ファンドに報いなければならないハードルとして、創業家はじめ経営陣に重くのしかかることになるだろう。当初のTOB価格であれば、投資ファンドは約4割のプレミアムに見合うリターンで納得した可能性が高い。しかし、今回の価格引き上げにより、8割近いプレミアムを正当化するだけのリターンを実現することが、経営陣に課せられた最低限の使命となった。アクティビストを含む機関投資家の監視下で上場を維持するか、あるいは投資ファンドを支配株主として迎えて非上場化するか、上場会社の経営陣は慎重に見極める必要がありそうだ。


プレミアム : 買収価格と株価の差

2025/12/02 年末年始休業のお知らせ

誠に勝手ながら、2025年12月29日(月)~2026年1月5日(月)は事務局の年末年始休業となります。
ご不便をおかけしますが、何卒ご理解いただきますようお願い致します。

なお、会員登録は冬季休業期間中もオンラインにて可能です。
会員登録はこちら

2025/12/02 【新任役員向けトレーニングプログラム】取適法 の更新

下記の【新任役員向けトレーニングプログラム】につき、法令等の改正や実務動向の変化に対応するため、講義内容(動画およびレジュメの双方)を更新いたしました。本動画は新任役員向けトレーニングプログラムの受講の契約をされている方のみが閲覧可能です。

概略

本講義では、中小受託事業者を使うことが多い上場会社が違反しがちな取適法(2026年1月施行。旧下請法)の適用範囲、委託事業者の義務と禁止行為、制裁措置などについて解説します。

【講師】TMI総合法律事務所 花本 浩一郎 弁護士
【講義時間】37分30秒
【目次】
1.規制趣旨及び適用範囲
2.委託事業者の4つの義務
3.委託事業者の禁止事項
受領拒否、支払遅延、減額、返品、買いたたき、購入・利用強制、報復措置、有償支給原材料等の
対価の早期決済、不当な経済上の利益の提供要請、不当な給付内容の変更及び不当なやり直し、
協議に応じない一方的な代金決定
4.立入検査・指導・助言・勧告・罰則等

講義資料 取適法.pdf
講義

取適法
newseminar17642

新任役員向けトレーニングプログラムの受講者は、資料名や講義画像をクリックすることで、
受講者限定コンテンツ(講義および資料)をご覧いただけます
(まだログインがお済みでない場合はログイン画面になります)。

※本トレーニングプログラムは、上場会社役員ガバナンスフォーラムの会員資格だけでは
ご利用できないオプションのサービスです。
上場会社役員ガバナンスフォーラムの会員は、
本トレーニングプログラムを会員向けの割引価格(会員価格)でご利用できます。
上場会社役員ガバナンスフォーラムの会員ではない方が、
本トレーニングプログラムのみを受講することもできます。
詳細は、下の「お申込み」ボタンを押してご確認ください。
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2025/12/01 【2025年12月の課題】取締役会の実効性向上に必要な解任基準

2025年12月の課題

2025年は、日本で本格的なコーポレートガバナンス改革が始まってから10年目という節目の年でした。これまでの10年間で、コーポレートガバナンスの形式的な枠組みの整備は大きく進展しましたが、次の段階では、取締役会が実効的に機能することが求められています。その鍵を握るのが、経営陣の「解任」に関する実効性です。これまで自社が取り組んできたコーポレートガバナンス改革を振り返りつつ、自社にとってあるべき解任プロセスのあり方について検討してください。

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2025/11/28 2025年11月度チェックテスト第10問解答画面(不正解)

不正解です。
近年のサプライチェーンは原材料の供給、部品の製造、最終製品の組み立てといった多層構造で形成されており、素材・電子部品・加工部材の由来まで遡れば、中国・台湾地域を経由しているケースが非常に多いと言えます。物流網や港湾、海上輸送ルートも考慮すると、台湾有事の際には、中国や台湾に拠点を有していない企業であっても何らかの影響を受けることが予想されます。サプライチェーンのどこか一か所が途切れれば、国内で完結しているかのように見える事業であっても生産停止や納期遅延という事態に追い込まれる恐れがあります。それに備えて、中国・台湾に拠点がない企業であっても、同地域への依存が存在する部分を特定しておく必要があります。

こちらの記事で再確認!
2025年11月19日 台湾有事に備え企業が講じるべき対応(会員限定)

2025/11/28 2025年11月度チェックテスト第10問解答画面(正解)

正解です。
近年のサプライチェーンは原材料の供給、部品の製造、最終製品の組み立てといった多層構造で形成されており、素材・電子部品・加工部材の由来まで遡れば、中国・台湾地域を経由しているケースが非常に多いと言えます。物流網や港湾、海上輸送ルートも考慮すると、台湾有事の際には、中国や台湾に拠点を有していない企業であっても何らかの影響を受けることが予想されます。サプライチェーンのどこか一か所が途切れれば、国内で完結しているかのように見える事業であっても生産停止や納期遅延という事態に追い込まれる恐れがあります。それに備えて、中国・台湾に拠点がない企業であっても、同地域への依存が存在する部分を特定しておく必要があります。

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2025年11月19日 台湾有事に備え企業が講じるべき対応(会員限定)

2025/11/28 2025年11月度チェックテスト第9問解答画面(不正解)

不正解です。
カーケア製品大手のソフト99コーポレーション(以下、ソフト99)において、創業家によるMBO(マネジメント・バイアウト)が不成立となる一方、シンガポールに拠点を置くアクティビストであるエフィッシモ・キャピタル・マネージメントによる対抗TOB(公開買付け)が成立しました。そのきっかけになったのは、シンプレクスによるKeePer技研へソフト99株式の売却でした。シンプレクスは2014年12月に大量保有報告書を提出して以来、KeePer技研に売却するまで10年以上にわたってソフト99の長期保有株主として存在していました。しかし、ソフト99のROEは過去5年平均で4.53%、直近期でも5.24%にとどまっており、PBRは0.5-0.7のレンジで推移するなど、投資パフォーマンスは長らく低迷していました。ソフト99の事案は、長期投資家に報いることができなかった場合、その保有株式がまとめて競合企業、さらにはアクティビストに渡るリスクを改めて示したと言えます。

こちらの記事で再確認!
2025年11月18日 ソフト99の事案で顕在化 長期投資家に報いることができなかった場合のリスク(会員限定)

2025/11/28 2025年11月度チェックテスト第9問解答画面(正解)

正解です。
カーケア製品大手のソフト99コーポレーション(以下、ソフト99)において、創業家によるMBO(マネジメント・バイアウト)が不成立となる一方、シンガポールに拠点を置くアクティビストであるエフィッシモ・キャピタル・マネージメントによる対抗TOB(公開買付け)が成立しました。そのきっかけになったのは、シンプレクスによるKeePer技研へソフト99株式の売却でした。シンプレクスは2014年12月に大量保有報告書を提出して以来、KeePer技研に売却するまで10年以上にわたってソフト99の長期保有株主として存在していました。しかし、ソフト99のROEは過去5年平均で4.53%、直近期でも5.24%にとどまっており、PBRは0.5-0.7のレンジで推移するなど、投資パフォーマンスは長らく低迷していました。ソフト99の事案は、長期投資家に報いることができなかった場合、その保有株式がまとめて競合企業、さらにはアクティビストに渡るリスクを改めて示したと言えます。

こちらの記事で再確認!
2025年11月18日 ソフト99の事案で顕在化 長期投資家に報いることができなかった場合のリスク(会員限定)