2021/10/04 低すぎるTOB価格による親子上場解消にアクティビストが再考促す

今年6月に改訂されたコーポレートガバナンス・コードでは、上場子会社に対し、独立社外取締役を含む独立性を有する者で構成された特別委員会の設置を求める補充原則4-8③が新設されるなど、利益相反取引が生じやすい親子上場に対しガバナンスの観点から厳しい視線が注がれる中、今後は親子上場の解消が進むことが予想される。

利益相反取引 : 上場会社とその上場子会社の間に生じがちな利益相反の一般的な例として、親会社の要請を受け、上場子会社のサービスを親会社にだけ一般価格よりも割安の価格で提供した場合、親会社はコストダウンを図ることができる一方で、子会社の収益機会はその分損なわれ、ひいては子会社の一般株主の配当減や株価下落につながることになる。

ただ、親子上場の解消も少数株主との利益を十分に考慮して行われるとは限らない。まさにこの点が問題となったのが、・・・

このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。

続きはこちら
まだログインがお済みでない場合は
ログイン画面に遷移します。
会員登録はこちらから

2021/10/04 低すぎるTOB価格による親子上場解消にアクティビストが再考促す(会員限定)

今年6月に改訂されたコーポレートガバナンス・コードでは、上場子会社に対し、独立社外取締役を含む独立性を有する者で構成された特別委員会の設置を求める補充原則4-8③が新設されるなど、利益相反取引が生じやすい親子上場に対しガバナンスの観点から厳しい視線が注がれる中、今後は親子上場の解消が進むことが予想される。

利益相反取引 : 上場会社とその上場子会社の間に生じがちな利益相反の一般的な例として、親会社の要請を受け、上場子会社のサービスを親会社にだけ一般価格よりも割安の価格で提供した場合、親会社はコストダウンを図ることができる一方で、子会社の収益機会はその分損なわれ、ひいては子会社の一般株主の配当減や株価下落につながることになる。

ただ、親子上場の解消も少数株主との利益を十分に考慮して行われるとは限らない。まさにこの点が問題となったのが、東証一部に上場する道路舗装の最大手 株式会社NIPPOに対するENEOSホールディングス(NIPPOの親会社)とゴールドマン・サックスによるSPCを介したTOB(株式公開買付け)だ(ENEOSホールディングスによるリリースはこちら)。

SPC : 「Special Purpose Company=特別目的会社」の略で、企業が投資家から資金を調達する目的などで設立する会社のこと

NIPPOは特別委員会を設置しており、取締役会および特別委員会による検討プロセスを経て本件TOBへの賛同を表明し、株主に対し株式公開買付けへの応募を推奨した。これに対し、マネックス証券の100%子会社であるカタリスト投資顧問株式会社(以下、カタリスト)は、「NIPPOの取締役会と特別委員会が本件TOBの検討プロセスにおいて、少数株主の利益を考慮して最善の努力を以て交渉および意思決定を行ったとは残念ながら判断できない」とし、NIPPOの取締役会および特別委員会宛に、(2021年)9月24日付で書簡を送っている(カタリストのリリースはこちら)。

カタリストが最も問題視したのは、公開買付価格の妥当性、すなわち、公開買付価格の低さだ。カタリストはそのように判断した根拠として、公開買付価格の算定の前提として使用されたフリー・キャッシュ・フローの金額(約190億円)を挙げている。NIPPOの事業計画によると、2024年3月期における営業利益は450億円が見込まれている。これを踏まえカタリストは、法人税を勘案しても約190億円という額は実態より大幅に低いとし、その理由として、NIPPOが2021年5月11日に策定した「新経営三カ年計画」で多額の設備投資を行うことを前提としているためであることを指摘している。そして、「設備投資を実施するからには投資リターンを期待しているはず」とし、実際、NIPPOが公表している中長期経営ビジョンによれば、2030年度(2031年3月期)には経常利益として550億円が計画値とされていることを取り上げ、「これまでの貴社の経営実績からそのような前提は貴社の経営を過小評価したものであると確信しており、より高い評価がなされて然るべき」と結論付けている。

そのうえでカタリストは、新たな財務アドバイザーを起用し、株式価値算定書およびフェアネス・オピニオンを取得することにより、公開買付価格の公正性について再度検討することを提案している。

カタリストはこれまでにも、投資先であるジャフコとのエンゲージメントの結果、同社が保有していた野村総合研究所の株式の約4割の売却ととともに、大規模な自社株式取得を実現させた実績がある。この結果、ジャフコの株価は大きく上昇している。

アクティビストに対し、株式の保有を根拠に過度な株主還元や取締役の交代などを要求してくる強硬な投資家といったイメージを抱く上場会社はいまだ少なくないが、最近は株主総会におけるアクティビストの提案に一定の賛成票が集まるなど、会社に変革を促す良い意味での“外圧”としての存在感が高まっている。アクティビストのタイプにもよるが、自己変革できない会社にとっては、変革に向け背中を押してくれる存在としてアクティビストを活用する時代が到来しつつあると言えよう。

2021/10/01 「パートナーシップ構築宣言」を利用したSDGsウオッシュに懸念の声

下請企業との共存共栄を謳いながら、実際には下請企業を都合よく使っているだけに過ぎない発注元企業は少なくない。そのような発注元企業が襟を正す機会となりえるのが「パートナーシップ構築宣言」だ。

「パートナーシップ構築宣言」とは、内閣府に設置された「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」がひな形を作成し、2020年5月18日開催の同会議で公表したもので、企業が「発注者」の立場で「サプライチェーン全体の共存共栄と新たな連携(企業間連携、IT実装支援、専門人材マッチング、グリーン調達等)」「振興基準の遵守」に重点的に取り組むことを宣言するもの。宣言は代表者名で行われることから、企業トップが内容にコミットする格好になる。宣言を行った企業数は10月1日現在で1,597社(登録がある都度増加)となっている。9月27日時点の1,519社からわずか4日で78社も増えており、今後もさらなる増加が見込まれる。

振興基準 : 下請中小企業振興法に基づく、親事業者と下請事業者との望ましい取引慣行のこと。例えば取引対価決定の際の協議、契約条件の書面交付等が挙げられる。

「パートナーシップ構築宣言」を行った企業名や各社における具体的な宣言の内容は、「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイトで確認可能となっている。「発注者」でさえあれば、宣言を行うにあたり企業規模の大小は問わないこともあり、比較的小規模の企業が目立つが、経済産業省によれば、9月27日時点で宣言を行った1,519社のうち268社が資本金10億円以上の大手企業であった。

例えばトヨタ自動車は、下記の「パートナーシップ構築宣言」を行っている(注釈部分は当フォーラムが追加)。

「パートナーシップ構築宣言」

当社は、サプライチェーンの取引先の皆様や価値創造を図る事業者の皆様との連携・共存共栄を進めることで、新たなパートナーシップを構築するため、以下の項目に重点的に取り組むことを宣言します。

1. サプライチェーン全体の共存共栄と規模・系列等を越えた新たな連携
直接の取引先を通じてその先の取引先に働きかける(「Tier N」から「Tier N+1」へ)ことにより、サプライチェーン全体での付加価値向上に取り組むとともに、既存の取引関係や企業規模等を越えた連携により、取引先との共存共栄の構築を目指します。その際、災害時等の事業継続や働き方改革の観点から、取引先のテレワーク導入など、多様な事情・環境・条件に合わせた業務の実施や BCP(事業継続計画)策定の助言等の支援も進めます。
更に、業界連携による自動車関連企業の資金調達を支援する「助け合いプログラム」に参画し、日本のものづくりに必要不可欠な取引先の技術・人財・技能を守り抜く取組みを進めます。

2. 「振興基準」(*1)の遵守
親事業者と下請事業者との望ましい取引慣行(下請中小企業振興法に基づく「振興基準」)を遵守し、取引先とのパートナーシップ構築の妨げとなる取引慣行や商慣行の是正に積極的に取り組みます。

①価格決定方法
不合理な原価低減要請を行いません。取引対価の決定に当たっては、下請事業者から協議の申入れがあった場合には協議に応じ、労務費の上昇に伴い取引価格見直しの要請があった場合には、十分に協議します。取引対価の決定を含め契約に当たっては、親事業者は契約条件の書面等による明示・交付を行います。

②型管理(*2)などのコスト負担
型の取扱いに関する覚書を参考に取引を行い、型管理の適正化に取組み、不要な型の廃棄を促進するとともに、量産終了後の型の無償保管要請は行わないよう十分に配慮します。

③手形などの支払条件
下請事業者との取引に対する下請代金は、全額現金で支払います。

④知的財産・ノウハウ
契約上知り得た下請事業者の知的財産権やノウハウ等に関して、下請事業者に損失を与えることの無いよう、十分に配慮します。

⑤働き方改革等に伴うしわ寄せ
働き方改革が及ぼす下請事業者への影響に配慮しつつ、取組みを阻害し、不利益となるような取引や要請は 行わないように努め、やむを得ず、短納期又は追加の発注、急な仕様変更などを行う場合には、増加コストを負担するよう努める。災害時等においては、下請事業者に取引上一方的な負担を押し付けないように、また、事業再開時等には、できる限り取引関係の継続等に配慮します。

3.その他
トラック運転者不足に対応し、国民生活や産業活動に必要な物流を安定的に確保するとともに、経済成長に役立つことを目的とした「ホワイト物流」に関する「自主行動宣言」に参画し、取組みを推進します。

2020 年 8 月 26 日

トヨタ自動車株式会社 代表取締役社長 豊田 章男

*1 振興基準とは、下請中小企業の振興を図るため、下請事業者及び親事業者のよるべき一般的な基準として、下請中小企業振興法第3条第1項の規定に基づき定められたものである(振興基準の概要について説明する中小企業庁のサイトはこちら)。振興基準は2021年3月31日に改正され、手形等の支払サイトの短縮化および割引料負担の改善が示された(【役員会 Good&Bad発言集】手形支払い参照)。
*2 型管理については、2020年1月10日のニュース『「型」の保管料を発注側が負担すべき類型と廃棄時期の目安』を参照。

手形等の支払サイト : 手形等の振出日から現金化されるまでの期間のこと。

トヨタ自動車は「下請事業者との取引に対する下請代金は全額現金で支払う」(上記宣言の2③を参照)としている。トヨタ自動車が宣言を行ったのは1年以上前であり、宣言時期の早さからも日本を代表する発注企業としてのリーダーシップを垣間見ることができる。このほか、型管理(上記宣言の2②参照)については「無償保管要請は行わない」、支払手形(同③参照)については「全額現金で支払い」とするなど模範的な姿勢を示しているが、⑤の「働き方改革等に伴うしわ寄せ」では「努める」と述べるにとどまっている。

パートナーシップ構築宣言を行った企業は、事実上政府が公認する「ロゴマーク」の使用が可能となる。ロゴマークを名刺やウェブサイトなどに記載することで、下請企業に対する自社の取り組みをPRすることができる。また、経済産業省が実施する一部の補助金で加点措置を受けられる。さらに、宣言により、SDGsの17の目標のうち実に5つの目標に取り組んでいることになる。こうした利点をまとめたのが下記の図である(経済産業省のサイトより引用)。

59299

上場企業にとって何と言っても大きいのは、宣言によりSDGsの目標を5つもカバーできるという点だろう。これらの目標を既に別の取り組みによりカバーしているという上場企業も少なくないと思われるが、取り組み中の施策として統合報告書などに記載できる項目が増えることは投資家へのアピールとなろう。

ただし、懸念されるのは、“SDGsウォッシュ”を目当てとした宣言が相次ぐことだ。当フォーラムがある上場企業の下請企業を取材したところ、・・・

このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。

続きはこちら
まだログインがお済みでない場合は
ログイン画面に遷移します。
会員登録はこちらから

2021/10/01 「パートナーシップ構築宣言」を利用したSDGsウオッシュに懸念の声(会員限定)

下請企業との共存共栄を謳いながら、実際には下請企業を都合よく使っているだけに過ぎない発注元企業は少なくない。そのような発注元企業が襟を正す機会となりえるのが「パートナーシップ構築宣言」だ。

「パートナーシップ構築宣言」とは、内閣府に設置された「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」がひな形を作成し、2020年5月18日開催の同会議で公表したもので、企業が「発注者」の立場で「サプライチェーン全体の共存共栄と新たな連携(企業間連携、IT実装支援、専門人材マッチング、グリーン調達等)」「振興基準の遵守」に重点的に取り組むことを宣言するもの。宣言は代表者名で行われることから、企業トップが内容にコミットする格好になる。宣言を行った企業数は10月1日現在で1,597社(登録がある都度増加)となっている。9月27日時点の1,519社からわずか4日で78社も増えており、今後もさらなる増加が見込まれる。

振興基準 : 下請中小企業振興法に基づく、親事業者と下請事業者との望ましい取引慣行のこと。例えば取引対価決定の際の協議、契約条件の書面交付等が挙げられる。

「パートナーシップ構築宣言」を行った企業名や各社における具体的な宣言の内容は、「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイトで確認可能となっている。「発注者」でさえあれば、宣言を行うにあたり企業規模の大小は問わないこともあり、比較的小規模の企業が目立つが、経済産業省によれば、9月27日時点で宣言を行った1,519社のうち268社が資本金10億円以上の大手企業であった。

例えばトヨタ自動車は、下記の「パートナーシップ構築宣言」を行っている(注釈部分は当フォーラムが追加)。

「パートナーシップ構築宣言」

当社は、サプライチェーンの取引先の皆様や価値創造を図る事業者の皆様との連携・共存共栄を進めることで、新たなパートナーシップを構築するため、以下の項目に重点的に取り組むことを宣言します。

1. サプライチェーン全体の共存共栄と規模・系列等を越えた新たな連携
直接の取引先を通じてその先の取引先に働きかける(「Tier N」から「Tier N+1」へ)ことにより、サプライチェーン全体での付加価値向上に取り組むとともに、既存の取引関係や企業規模等を越えた連携により、取引先との共存共栄の構築を目指します。その際、災害時等の事業継続や働き方改革の観点から、取引先のテレワーク導入など、多様な事情・環境・条件に合わせた業務の実施や BCP(事業継続計画)策定の助言等の支援も進めます。
更に、業界連携による自動車関連企業の資金調達を支援する「助け合いプログラム」に参画し、日本のものづくりに必要不可欠な取引先の技術・人財・技能を守り抜く取組みを進めます。

2. 「振興基準」(*1)の遵守
親事業者と下請事業者との望ましい取引慣行(下請中小企業振興法に基づく「振興基準」)を遵守し、取引先とのパートナーシップ構築の妨げとなる取引慣行や商慣行の是正に積極的に取り組みます。

①価格決定方法
不合理な原価低減要請を行いません。取引対価の決定に当たっては、下請事業者から協議の申入れがあった場合には協議に応じ、労務費の上昇に伴い取引価格見直しの要請があった場合には、十分に協議します。取引対価の決定を含め契約に当たっては、親事業者は契約条件の書面等による明示・交付を行います。

②型管理(*2)などのコスト負担
型の取扱いに関する覚書を参考に取引を行い、型管理の適正化に取組み、不要な型の廃棄を促進するとともに、量産終了後の型の無償保管要請は行わないよう十分に配慮します。

③手形などの支払条件
下請事業者との取引に対する下請代金は、全額現金で支払います。

④知的財産・ノウハウ
契約上知り得た下請事業者の知的財産権やノウハウ等に関して、下請事業者に損失を与えることの無いよう、十分に配慮します。

⑤働き方改革等に伴うしわ寄せ
働き方改革が及ぼす下請事業者への影響に配慮しつつ、取組みを阻害し、不利益となるような取引や要請は 行わないように努め、やむを得ず、短納期又は追加の発注、急な仕様変更などを行う場合には、増加コストを負担するよう努める。災害時等においては、下請事業者に取引上一方的な負担を押し付けないように、また、事業再開時等には、できる限り取引関係の継続等に配慮します。

3.その他
トラック運転者不足に対応し、国民生活や産業活動に必要な物流を安定的に確保するとともに、経済成長に役立つことを目的とした「ホワイト物流」に関する「自主行動宣言」に参画し、取組みを推進します。

2020 年 8 月 26 日

トヨタ自動車株式会社 代表取締役社長 豊田 章男

*1 振興基準とは、下請中小企業の振興を図るため、下請事業者及び親事業者のよるべき一般的な基準として、下請中小企業振興法第3条第1項の規定に基づき定められたものである(振興基準の概要について説明する中小企業庁のサイトはこちら)。振興基準は2021年3月31日に改正され、手形等の支払サイトの短縮化および割引料負担の改善が示された(【役員会 Good&Bad発言集】手形支払い参照)。
*2 型管理については、2020年1月10日のニュース『「型」の保管料を発注側が負担すべき類型と廃棄時期の目安』を参照。

手形等の支払サイト : 手形等の振出日から現金化されるまでの期間のこと。

トヨタ自動車は「下請事業者との取引に対する下請代金は全額現金で支払う」(上記宣言の2③を参照)としている。トヨタ自動車が宣言を行ったのは1年以上前であり、宣言時期の早さからも日本を代表する発注企業としてのリーダーシップを垣間見ることができる。このほか、型管理(上記宣言の2②参照)については「無償保管要請は行わない」、支払手形(同③参照)については「全額現金で支払い」とするなど模範的な姿勢を示しているが、⑤の「働き方改革等に伴うしわ寄せ」では「努める」と述べるにとどまっている。

パートナーシップ構築宣言を行った企業は、事実上政府が公認する「ロゴマーク」の使用が可能となる。ロゴマークを名刺やウェブサイトなどに記載することで、下請企業に対する自社の取り組みをPRすることができる。また、経済産業省が実施する一部の補助金で加点措置を受けられる。さらに、宣言により、SDGsの17の目標のうち実に5つの目標に取り組んでいることになる。こうした利点をまとめたのが下記の図である(経済産業省のサイトより引用)。

59299

上場企業にとって何と言っても大きいのは、宣言によりSDGsの目標を5つもカバーできるという点だろう。これらの目標を既に別の取り組みによりカバーしているという上場企業も少なくないと思われるが、取り組み中の施策として統合報告書などに記載できる項目が増えることは投資家へのアピールとなろう。

ただし、懸念されるのは、“SDGsウォッシュ”を目当てとした宣言が相次ぐことだ。当フォーラムがある上場企業の下請企業を取材したところ、発注企業である上場企業はパートナーシップ構築宣言で下請代金を「可能な限り現金で支払う」とうたっており、最近、従来の手形払いをやめることになった。これだけを見ると、“共存共栄”を実現できているようだが、実際には手形払いが(現金払いではなく)銀行によるファクタリングに置き換わっただけで、下請企業が手形で支払いを受けていた際のサイト(60日)より早く現金化しようとすると手数料を取られる仕組みとなっていた。当該下請企業の財務担当者は、「結局のところ、パートナーシップ構築宣言の前後で売掛金のサイトは何も変わっていない。『可能な限り』という言葉をつければ何とでも言える。」と嘆く。

ファクタリング : 企業(ここでは下請企業)から売掛債権を買い取り、売掛債権の管理や回収を行う金融サービスのこと。売掛債権の早期現金化が可能となる。

こういったSDGsウオッシュがはびこると、パートナーシップ構築宣言の価値は急速に薄れる恐れがある。パートナーシップ構築宣言に実効性を持たせるには、パートナーシップ構築宣言ポータルサイトに「下請企業による告発窓口」を設置するなどし、SDGsウオッシュを当局が把握する体制を構築すべきとの声も上がっている。また、ESG投資家もパートナーシップ構築宣言を無条件に信用するのではなく、宣言の中に「可能な限り」「できる限り」「必要に応じて」「努める」といった“便利ワード”が多用されていないか、留意する必要がありそうだ。

2021/09/30 2021年9月度チェックテスト

解答をご覧になるには会員登録(※有料)が必要です。会員登録はこちら

【問題1】

英文開示の実績がない上場会社は、海外の機関投資家のニーズに応えるため、まずは株主総会招集通知の英文化を優先して取り組むべきである。


正しい
間違い
【問題2】

2022年4月4日からスタートする東証の新市場区分の上場維持基準を充たしていない上場会社は、選択申請時に併せて「上場維持基準への適合に向けた計画書」を提出・開示することで、「当分の間」は経過措置として“緩和された上場維持基準”が適用されることになるが、この「当分の間」の終了時期は現時点では定まっていない。


正しい
間違い
【問題3】

2021年6月のコーポレートガバナンス・コードの改訂により、上場会社では役員のスキルマトリックスの開示が必須になった。


正しい
間違い
【問題4】

上場会社においては、役員に対して「役員持株会を通じて取得する株式の購入資金を月額報酬に上乗せして支給する報酬」を一人当たり1億円以上支給することができる。


正しい
間違い
【問題5】

内部公益通報があった場合、取締役会がすべての情報を入手したうえで実権をもって対応しようとすると、各取締役が「公益通報対応業務従事者」になる。


正しい
間違い
【問題6】

従業員が新型コロナウイルスに感染した場合、退院後(または自宅療養終了後)の出社に先立ち検査を受けさせて「陰性証明」を求めるべきである。


正しい
間違い
【問題7】

独立監査人の監査報告書にKAMの記載が全く存在しない上場会社は今のところない。


正しい
間違い
【問題8】

株価連動型賞与を支給された取締役は、株価が低迷した時には「頑張っても仕方ない」というマインドになりかねない。


正しい
間違い
【問題9】

「IFRSを任意適用していること」はプライム市場に上場するための要件の一つである。


正しい
間違い
【問題10】

事業年度の末日を変更する場合における変更後の最初の事業年度については、1年を超えてはならない。


正しい
間違い

2021/09/30 2021年9月度チェックテスト第10問解答画面(不正解)

不正解です。
会社計算規則59条によると、事業年度は1年を超えてはならないのが原則としつつも、事業年度の末日を変更する場合における変更後の最初の事業年度については「1年6箇月を超えることができない」(つまり最長で18か月決算)とされています。たとえば6月決算会社が決算期を12月に変更する場合、変更した期に限り、6か月決算(7月から12月)でも18か月決算(7月から翌年の12月)でもよいというわけです。18か月決算をする場合、四半期決算を5回公表したり、途中で法人税を申告したりする必要が生じることには留意しなければなりません。

こちらの記事で再確認!
2021年9月27日 取締役の任期、役員報酬限度額などとの関係は?決算期変更により事業年度が1年を超えることになった場合の留意点(会員限定)

2021/09/30 2021年9月度チェックテスト第10問解答画面(正解)

正解です。
会社計算規則59条によると、事業年度は1年を超えてはならないのが原則としつつも、事業年度の末日を変更する場合における変更後の最初の事業年度については「1年6箇月を超えることができない」(つまり最長で18か月決算)とされています。たとえば6月決算会社が決算期を12月に変更する場合、変更した期に限り、6か月決算(7月から12月)でも18か月決算(7月から翌年の12月)でもよいというわけです。18か月決算をする場合、四半期決算を5回公表したり、途中で法人税を申告したりする必要が生じることには留意しなければなりません。

こちらの記事で再確認!
2021年9月27日 取締役の任期、役員報酬限度額などとの関係は?決算期変更により事業年度が1年を超えることになった場合の留意点(会員限定)

2021/09/30 2021年9月度チェックテスト第9問解答画面(正解)

正解です。
「IFRSを任意適用していること」はプライム市場に上場するための要件ではありません(問題文は誤りです)が、プライム市場内でIFRSを任意適用している上場会社(とりわけ比較対象にされやすいライバル会社)が増えるほど、これまで以上にIFRSを任意適用することについて、投資家からのプレッシャーが強まる可能性があります。

こちらの記事で再確認!
2021年9月17日 海外展開していない企業にも迫られるIFRS適用(会員限定)

2021/09/30 2021年9月度チェックテスト第9問解答画面(不正解)

不正解です。
「IFRSを任意適用していること」はプライム市場に上場するための要件ではありません(問題文は誤りです)が、プライム市場内でIFRSを任意適用している上場会社(とりわけ比較対象にされやすいライバル会社)が増えるほど、これまで以上にIFRSを任意適用することについて、投資家からのプレッシャーが強まる可能性があります。

こちらの記事で再確認!
2021年9月17日 海外展開していない企業にも迫られるIFRS適用(会員限定)

2021/09/30 2021年9月度チェックテスト第8問解答画面(不正解)

不正解です。
株価連動型賞与には、支給後に株価が下がった場合、取締役が「頑張っても仕方ない」というマインドになりかねないという問題があります(問題文は正しいです)。

こちらの記事で再確認!
2021年9月15日 株価連動型賞与に対する投資家の評価(会員限定)