周知のとおり、現在、金融庁の「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」(以下、フォローアップ会議)ではコーポレートガバナンス・コード(以下、CGコード)の改訂議論が進められているが、12月8日に開催が見込まれる次回会合で、一部の論点について早くも“取りまとめ”が示される方向であることが当フォーラムの取材により判明した。
フォローアップ会議の主な検討項目としては以下のものが挙げられている。
※「★」は“取りまとめ”に関係のある項目のみ当フォーラムがピックアップ
| 取締役会の機能発揮 ★独立社外取締役の質・量の向上 ★取締役及びその候補のダイバーシティ |
| 資本コストを意識した経営 |
| 監査の信頼性の確保 |
| グループガバナンスのあり方 |
| 株主総会関係・総会資料の早期提供、総会日程の分散、英文開示、議決権の電子行使・バーチャル株主総会 |
| 中長期的な持続可能性 ★管理職等のダイバーシティ |
| 特にコロナ後の企業の変革に向けた諸課題 |
今回の“取りまとめ”の対象になるとみられるのが「取締役会の構成」と「社内のダイバーシティ」だ。これらは当フォーラムが2020年11月19日のニュース「女性、外国人、中途採用者の管理職への登用状況等を数字で公表要求へ」で改訂CGコードに盛り込まれる方向である旨報じた ①取締役会の「3分の1以上」の独立社外取締役の選任を求める、②「女性」「外国人」「中途採用者」の管理職への登用等の目標・状況を自主的かつ測定可能な形で策定し公表する、という改訂内容を包含するだけに、①②とも改訂CGコードに盛り込まれることはほぼ確定と言ってよいだろう。
独立社外取締役 : 独立役員(一般株主と利益相反が生じるおそれのない社外取締役または社外監査役)として、独立役員届出書により東証に届けを出している社外取締役を指す。
ただし、“取りまとめ”の内容は、前回のフォローアップ会議(第20回:2020年11月18日開催)の論点ペーパー(「取締役会の機能発揮と多様性の確保」18~19ぺージ)も踏まえ、より詳細なものとなることが予想される。
| 第21回フォローアップ会議でご議論いただきたい事項(1) 取締役会の構成を中心とした機能発揮 →企業がコロナ後の諸課題を認識し変化を先取りした迅速・果断な意思決定を行うために、取締役会の構成についてどう考えるか ●コロナ後の企業の変革を先導するためには、従来以上に取締役会における適切な知識・経験・能力の組み合わせを実現すること等が重要と考えられる。多様な経営経験を有する経営人材の選任等、社外取締役の質の向上も含めた取締役会の構成についてどう考えるか。 ●東証1部上場企業においては、独立社外取締役を3分の1以上選任する企業が過半数を超え、独立社外取締役の選任が日本企業にも定着しつつある。一方、諸外国では、独立社外取締役の過半数の選任を求める国が数多く存在。こうした状況も鑑み、独立社外取締役の更なる充実についてどう考えるか。 →最も重要な戦略的意思決定であるCEOの選解任や候補者選定プロセスについて、例えば独立社外取締役を委員の過半数とするなど指名委員会の役割・機能の充実を図ることをはじめ、取締役会の機能発揮に関してどう考えるか。 第21回フォローアップ会議でご議論いただきたい事項(2) |
「取締役会の構成」と「社内のダイバーシティ」に関する改訂CGコード案の早期取りまとめの背景には、新総理が目に見える成果を早く(できれば年内)上げたいという事情もありそうだ。実際、菅総理の所信表明演説や、(2020年)12月1日にとりまとめられたばかりの成長戦略実行計画ではこれらに言及している。
| 五 新たな人の流れをつくる 中略 コーポレートガバナンス改革は、我が国企業の価値を高める鍵となるものです。更なる成長のため、女性、外国人、中途採用者の登用を促進し、多様性のある職場、しがらみにとらわれない経営の実現に向けて、改革を進めます。 |
| 7.コーポレートガバナンス コーポレートガバナンス改革は、企業価値を高める鍵となる。引き続き、取締役会の機能発揮を促すとともに、女性、外国人、異なる企業で働いた経験のある者等による多様性確保を図るなどのため、コーポレートガバナンス・コードの見直しを図る。 |
菅総理の所信表明演説、成長戦略実行計画を見る限り、「取締役会の構成」と「社内のダイバーシティ」は、今回のCGコード改訂でもかなり重要性の高い論点として位置付けられていると言えそうだ。
