2025/09/24 サイバーセキュリティ対策において取締役会が担う責任【前編】

株式会社百年創造
代表取締役 横塚 仁士


横塚 仁士 : 日本経済新聞社などで記者として活動した後、大和総研にてシンクタンク研究員として調査・研究に従事し、企業や社会課題の解決に関する知見を蓄積。その後はみずほ銀行、三菱UFJリサーチ&コンサルティングなどで、ガバナンス・リスク・コンプライアンス(GRC)、クロスボーダーM&A、ESG・サステナビリティ、DXなど幅広いテーマで企業を支援。農業系ベンチャー企業では新規事業開発や地方創生案件を担当。2025年6月、「100年続く仕組みを創る」をビジョンに株式会社百年創造を設立。

サイバー攻撃は、いまや日本企業にとって現実的かつ深刻な経営上のリスクとなっている。2024年6月に発生した株式会社ドワンゴが運営する動画共有サービス「ニコニコ」に対するランサムウェア攻撃では、複数のサービスが長期間にわたり停止した(ドワンゴのリリースはこちら)。本件は単なるシステム障害にとどまらず、事業継続や顧客との信頼関係にも影響を及ぼしかねない事象となった。


ランサムウェア : システムへのアクセス等を制限する不正プログラムで、システムの利用者に制限解除のための身代金を要求することを目的とする。感染ルートとしては、メールの添付ファイルを不用意にクリックしてしまったケースや、改ざんされたサイトに誤ってアクセスし、意図せずしてプログラムをダウンロードしてしまったケースなどがある。

帝国データバンクが実施した「サイバー攻撃に関する実態調査(2025年)」 では、有効回答企業(10,645社)のうち 32.0% が「過去にサイバー攻撃を受けた経験がある」としており、規模、業種、地域を問わず日本企業の多くがサイバー攻撃に直面している現状が明らかになっている。

これらの事実は、サイバーセキュリティがもはや「情報システム部門に任せるべき課題」ではなく、取締役会レベルで議論すべき経営上の重要課題になりつつあることを示している。


サイバーセキュリティ : サイバーセキュリティに関する国際規格であるISO/IEC 27032:2012によると、サイバー空間における資産の機密性(Confidentiality)・完全性(Integrity)・可用性(Availability)(略してCIA)を確保するための保護活動とされる。

企業におけるサイバーリスクの高まりを受け、政府はガイドラインや調査報告を相次いで発表し、企業に対応を促している。・・・


サイバーリスク : サイバー攻撃、システム障害等に起因して、情報資産の喪失、サービス停止、金銭的損失、信用失墜等をもたらす可能性のこと。

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2025/09/24 サイバーセキュリティ対策において取締役会が担う責任【前編】(会員限定)

株式会社百年創造
代表取締役 横塚 仁士


横塚 仁士 : 日本経済新聞社などで記者として活動した後、大和総研にてシンクタンク研究員として調査・研究に従事し、企業や社会課題の解決に関する知見を蓄積。その後はみずほ銀行、三菱UFJリサーチ&コンサルティングなどで、ガバナンス・リスク・コンプライアンス(GRC)、クロスボーダーM&A、ESG・サステナビリティ、DXなど幅広いテーマで企業を支援。農業系ベンチャー企業では新規事業開発や地方創生案件を担当。2025年6月、「100年続く仕組みを創る」をビジョンに株式会社百年創造を設立。

サイバー攻撃は、いまや日本企業にとって現実的かつ深刻な経営上のリスクとなっている。2024年6月に発生した株式会社ドワンゴが運営する動画共有サービス「ニコニコ」に対するランサムウェア攻撃では、複数のサービスが長期間にわたり停止した(ドワンゴのリリースはこちら)。本件は単なるシステム障害にとどまらず、事業継続や顧客との信頼関係にも影響を及ぼしかねない事象となった。


ランサムウェア : システムへのアクセス等を制限する不正プログラムで、システムの利用者に制限解除のための身代金を要求することを目的とする。感染ルートとしては、メールの添付ファイルを不用意にクリックしてしまったケースや、改ざんされたサイトに誤ってアクセスし、意図せずしてプログラムをダウンロードしてしまったケースなどがある。

帝国データバンクが実施した「サイバー攻撃に関する実態調査(2025年)」 では、有効回答企業(10,645社)のうち 32.0% が「過去にサイバー攻撃を受けた経験がある」としており、規模、業種、地域を問わず日本企業の多くがサイバー攻撃に直面している現状が明らかになっている。

これらの事実は、サイバーセキュリティがもはや「情報システム部門に任せるべき課題」ではなく、取締役会レベルで議論すべき経営上の重要課題になりつつあることを示している。


サイバーセキュリティ : サイバーセキュリティに関する国際規格であるISO/IEC 27032:2012によると、サイバー空間における資産の機密性(Confidentiality)・完全性(Integrity)・可用性(Availability)(略してCIA)を確保するための保護活動とされる。

企業におけるサイバーリスクの高まりを受け、政府はガイドラインや調査報告を相次いで発表し、企業に対応を促している。経済産業省と独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が2023年に公表した「サイバーセキュリティ経営ガイドラインVer.3.0」では、経営者が認識すべき三原則として以下を挙げている。


サイバーリスク : サイバー攻撃、システム障害等に起因して、情報資産の喪失、サービス停止、金銭的損失、信用失墜等をもたらす可能性のこと。

1.経営者は、サイバーセキュリティリスクが自社のリスクマネジメントにおける重要課題であることを認識し、自らのリーダーシップのもとで対策を進めることが必要
2.サイバーセキュリティ確保に関する責務を全うするには、自社のみならず、国内外の拠点、ビジネスパートナーや委託先等、サプライチェーン全体にわたるサイバーセキュリティ対策への目配りが必要
3.平時及び緊急時のいずれにおいても、効果的なサイバーセキュリティ対策を実施するためには、関係者との積極的なコミュニケーションが必要

また、金融庁が2024年10月に公表した「金融分野におけるサイバーセキュリティに関するガイドライン」は、金融機関に対して、取締役会等がサイバーセキュリティリスクを組織全体のリスク管理の一部としてとらえ、サイバーセキュリティ管理の基本方針を策定し、必要な管理態勢を整備することを推奨している。詳細は下表のとおり。金融機関のみならず、事業会社においても参考になろう。

基本的な対応事項 取締役会等は、サイバーセキュリティリスクを組織全体のリスク管理の一部としてとらえ、サイバーセキュリティ管理の基本方針を策定すること。サイバーセキュリティ管理の基本方針には、例えば、以下の事項を記載すること。
・ セキュリティ対策の目的や方向性
・ 関係主体等(顧客、地域社会、株主、当局等)からの要求事項への対応及び法規制等への対応
・ 経営陣によるコミットメント
取締役会等は、サイバー攻撃が高度化・巧妙化していることを踏まえ、組織の経営目標にとってのサイバーセキュリティの確保の重要性を認識し、関係主体等からの要求事項や、法規制等の内外環境を踏まえ、必要なサイバーセキュリティ管理態勢を整備すること。また、サイバーセキュリティ管理態勢について少なくとも1年に1回レビューを行うなどにより、十分な検証、議論を行うこと(必要に応じ、外部専門家によるレビューを含む)。
対応が望ましい事項 取締役会等は、サイバーセキュリティリスクを統合的リスク管理の一部として位置づけ、リスク選好度(リスクアペタイト)、リスク耐性度(リスクトレランス)を設定すること
管理・監査部門との連携 リスク管理部門は、サイバーセキュリティ管理の実施状況について、リスク管理担当役員(CRO等)及び取締役会等に報告すること。
内部監査部門は、内部監査で指摘した重要な事項について遅滞なく代表取締役及び取締役会等に報告するとともに、指摘事項の改善状況を的確に把握すること。

ここで重要なのは、いずれのガイドラインもサイバーセキュリティを単に情報システム部門の管理事項とするのではなく、取締役会でも定期的に議題化することで、経営課題として扱うことを求めているということだ。

さらに海外の動向を見ると、米国証券取引委員会(SEC)の開示規則「Cybersecurity Risk Management, Strategy, Governance, and Incident Disclosure」(2023年施行)は、重大インシデントを「重大性を判断した日から4営業日以内」に開示することを義務付けている。また、欧州では、2016年に成立した欧州のNIS指令(Network and Information Security Directive) の改訂版であるNIS2指令(2024年施行)により、経営層が法的に説明責任を負うとともに、サプライチェーン全体に対するリスク管理が義務付けられた。これらのルールは欧米企業のみが対象となるわけではない。米国市場に上場する日本企業にはSEC規則が適用され、欧州に子会社や販売拠点を持つ日本企業はNIS2の規制を受ける。さらに、投資家や取引先の中には、国際的な規制の遵守を投資や取引のベンチマークとしているケースもある。「国際基準を満たしていない企業=投資家からの信頼を失う企業」 という印象を与える恐れがあるので注意が必要だ。


NIS指令 : 欧州連合(EU)が2016年に施行したサイバーセキュリティに関する初の包括的な法令。EU域内のネットワークおよび情報システムのセキュリティ水準を向上させることを目的としている。
NIS2指令 : 2016年に成立した NIS指令(Network and Information Security Directive) の改訂版で、EU全域でサイバーセキュリティの基準を大幅に強化する法律である。

【後編】に続く

2025/09/22 【失敗学第135回】コレックホールディングスの事例(会員限定)

概要

コレックホールディングス(東証スタンダード)において、2024年5月に買収した子会社Aoieが助成金の不正請求の代行をしていたことが発覚した(助成金の水増し額は134百万円)。

経緯

コレックホールディングス(以下、コレックHD)が2025年8月18日に公表した「特別調査委員会の調査報告書」等によると、一連の経緯は次のとおり。

2024年
5月31日:コレックHDは仲介業者を介して太陽光発電設備の販売・工事施工を業とするAoieの株式を取得し、完全子会社とした。

2025年
5月7日:コレックHDは、Aoieより、Aoieの助成金担当者が公益財団法人東京都環境公社(助成金代行申請業務の申請先)から呼び出しを受け、過去に行われた助成金の申請手続の一部で不適切な申請手続が行われた可能性があることを告げられる。
5月28日:コレックHDの取締役会は、特別調査委員会を設置し、本件に関する調査を委嘱することを決議した。
6月27日:Aoieは公益財団法人東京都環境公社より助成金の手続代行者・施工業者・助成対象者の対象外とする措置(1年間)を受ける。
8月13日:特別調査委員会が「特別調査委員会の調査報告書」をコレックHDに提出した。
8月18日:コレックHDは「特別調査委員会の調査報告書」を公表した。

内容・原因・再発防止策

コレックHDが2025年8月18日に公表した「特別調査委員会の調査報告書」等によると、本件不正の内容、原因および再発防止策は次のとおりとされている。

補助金の水増し申請
内容 コレックHDの子会社のAoieにおいて、公益財団法人東京都環境公社への補助金申請代行に当たり水増しを行い、顧客へのキャッシュバックに充当していた。水増し申請の手法として主に下記の2つの手法があった。
① 顧客と合意した対価の総額よりも金額を増額した契約書等に基づく交付申請をすることで、助成金の金額を増大させる行為(総額不一致) ・・・助成金の水増し額90,810千円(225件)
② 顧客と合意した対価の総額に不一致はないものの、顧客と合意した助成対象機器 の購入費や工事費の内訳を調整して申請することで、助成金の金額を増大させる行為、または個別に顧客と助成対象機器の購入費や工事費の内訳額を合意することを避け、交付申請時に助成金額が最大になるように設定して申請することを目的として、契約の締結および助成金の交付申請を実施する行為(総額一致・内訳調整)・・・助成金の水増し額43,422千円(197件)
原因 <動機>
太陽光発電ビジネスの競争環境の激しさにより、 太陽光発電設備設置にかかる顧客の実質負担額をより低額に設定しなければ集客が見込めなかった。とりわけ、Aoieは一括見積サイトを利用して集客を行っており、顧客の価格選好性が強く、顧客の実質負担額を他の事業者と比べて低額に設定する必要があった。そのための手法として、顧客が国や地方自治体の助成金をできるだけ多く受給できるよう本件不正が考案された。
<機会>
コレックHDにおける問題点
1 子会社監督機能および子会社に対するコンプライアンス・リスクマネジメントの不足
2 子会社の経営管理に関する制度的な枠組みの不在
3 役員のコンプライアンスに対する教育の不足および意識の低さ
4 内部監査部門の機能不足
5 内部通報制度の周知不足
6 買収対象選定にあたってのリスク分析の不十分さ
7 M&A プロセスの未熟さ
8 PMIの経験値不足
Aoieにおける問題点
1 コンプライアンスに対する意識の低さ
2 部門ごとの分業体制
3 助成金申請に関するチェック機能の欠如
再発防止策 1 グループガバナンスの強化
 1 コレックHD取締役会における子会社の監督機能の強化
 2 グループガバナンス方針の策定・周知
 3 派遣役員に対する責任と権限の明確化
 4 全子会社の経営会議への参加
 5 コレックHD役員による子会社役職員との面談
2 社外取締役の強化(専門性のある社外取締役の招聘)、増員
3 監査役の強化、増員
4 内部監査の強化
5 三様監査の強化
6 コンプライアンスに対する意識の醸成
 1 全役職員に対する研修
 2 役員に対する研修
 3 経営トップからのメッセージの発信
7 内部通報制度の周知
8 M&Aプロセスの改善
9 Aoie等における改善施策
 1  助成金申請に関する内部統制の整備・運用
 2 助成金管理部署の新設
 3 助成金申請業務のチェック体制の強化
 4 太陽光事業の業務フローのマニュアル化
 5 顧客に対する説明内容の統制
 6 顧客相談窓口の設置
 7 役職員への教育
  (1) 助成金制度に関する教育・研修の継続実施
  (2) 内部統制の整備等に関する啓蒙
  (3) 不明点の照会およびその結果の周知
10 再発防止策の実施のモニタリング
<この事例から学ぶべきこと>

助成金の不正受給は昔からある不正であり、助成金に関連したビジネスを営む会社を対象とするM&Aにおいて、買い手は対象会社がそういった不正に関与していないかどうかについて入念なデュー・ディリジェンスをすることが必須となります。コレックHDは、デュー・ディリジェンスの過程で、Aoieが助成金申請代行を行っていること自体は把握できていましたが、助成金の申請フロー等についての調査は特段実施していませんでした。その結果、コレックHDはM&Aにおいて補助金不正受給手続代行の事実に気付くことなく、またそのリスクを価格に織り込まずにAoieの買収価格を決定していたことになり、割高な価格で取得していた可能性があります(実際にコレックHDは、本件不正発覚後、Aoieに関して計上していた連結上ののれん126百万円の減損に追い込まれました)。

本件不正助成金につき一次的に返還義務を負う者は助成対象者(Aoieの顧客。例えば自宅の屋根に太陽光パネルを設置した者など)ですが、助成対象者から交付申請に係る手続の代行依頼を受けた手続代行者(Aoie)についても、偽りその他不正の手段によりクール・ネット東京が定める要綱に規定する手続きを行い、または当該要綱その他法令の規定に違反する行為を行った場合には、当該手続代行者に対し、助成金の返還の請求等の措置を講じることができる旨が定められており、Aoieが負担することが確定しています。特別調査委員会の調査の結果、過大となった助成金額は115百万円とされていますが、公社側の精査が終了しておらず、違約加算金も加算され最終的に異なる金額を請求される可能性があります。コレックHDは金額の見通しが立ち次第特別損失として計上する予定としています。コレックHDは特別調査委員会の調査結果を受けて2025年8月27日に提出した有価証券報告書(2025年2月期)では後発事象として扱っており、引当金は計上していません。これは引当金の要件のうち「金額を合理的に見積もることができる」という要件を、有価証券報告書提出時点では満たしていなかったと会社が判断したためと推測されます。

2025/09/19 欧州CSRD、CSDDD緩和で問われるサステナビリティ対応の本質

ここ数年、欧州は世界でも最も厳格なサステナビリティ規制を次々と導入してきた。その代表例が「企業サステナビリティ報告指令(CSRD)」と「企業持続可能性デューデリジェンス指令(CSDDD)」である。前者は環境や人権などに関する情報を詳細に開示する義務を課すルールであり、後者はサプライチェーン全体にわたり人権侵害や環境破壊がないか調査・監視する義務を定めたもの(2024年9月13日のニュース「欧州のサステナビリティ開示規制に向け日本企業の役員がとるべき対応は?」参照)。要するに、欧州でビジネスをする企業は「環境・人権に関する取り組み状況を公開し、取引先まで含めて問題がないかを証明せよ」と迫られてきたわけだ。

この仕組みは理念的には一定の説得力を持つが、実際に対応する企業にとってはあまりに負担が大きかった。こうした中、欧州委員会自身も「やりすぎた」と認める形で、2025年2月に発表された「オムニバス法案」において規制の簡素化を打ち出している。まずCSRDについては、従業員数や売上規模で適用対象を大幅に絞り込む。具体的には、①EU域内企業であれば「従業員数1,000人以上」、②EU域外企業であれば「EU域内売上高4億5,000万ユーロ超」という適用要件を追加する。その結果、約8割の企業が規制対象外となる見込みだ。CSDDDについても、調査範囲を「直接の取引先」に限定し、間接的な取引先まで追うことは原則として不要とした。さらに、現行ルール上は「毎年」実施することが求められるモニタリングを「5年に一度」とするなど、負担軽減の方向性が示されている。


欧州委員会 : 加盟国の首脳らをメンバーとし、全体的な政治指針と優先課題を決定するEUの政治的最高意思決定機関
オムニバス法案 : 映画や音楽で使われる「オムニバス(複数の短編をまとめた作品集)」と同じ語源であり、ここでは、サステナビリティ関連の複数の異なる規制(CSRD・CSDDD など)の簡素化や調整をパッケージとしてまとめて提案した法案であるため「オムニバス法案」と呼ばれている。

日本企業にとってこれらの変更のインパクトは大きい。これまでは「欧州に子会社がある」「欧州向けに製品を販売している」というだけで、グループ全体の詳細なデータを報告しなければならなかった。たとえ・・・

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2025/09/19 欧州CSRD、CSDDD緩和で問われるサステナビリティ対応の本質(会員限定)

ここ数年、欧州は世界でも最も厳格なサステナビリティ規制を次々と導入してきた。その代表例が「企業サステナビリティ報告指令(CSRD)」と「企業持続可能性デューデリジェンス指令(CSDDD)」である。前者は環境や人権などに関する情報を詳細に開示する義務を課すルールであり、後者はサプライチェーン全体にわたり人権侵害や環境破壊がないか調査・監視する義務を定めたもの(2024年9月13日のニュース「欧州のサステナビリティ開示規制に向け日本企業の役員がとるべき対応は?」参照)。要するに、欧州でビジネスをする企業は「環境・人権に関する取り組み状況を公開し、取引先まで含めて問題がないかを証明せよ」と迫られてきたわけだ。

この仕組みは理念的には一定の説得力を持つが、実際に対応する企業にとってはあまりに負担が大きかった。こうした中、欧州委員会自身も「やりすぎた」と認める形で、2025年2月に発表された「オムニバス法案」において規制の簡素化を打ち出している。まずCSRDについては、従業員数や売上規模で適用対象を大幅に絞り込む。具体的には、①EU域内企業であれば「従業員数1,000人以上」、②EU域外企業であれば「EU域内売上高4億5,000万ユーロ超」という適用要件を追加する。その結果、約8割の企業が規制対象外となる見込みだ。CSDDDについても、調査範囲を「直接の取引先」に限定し、間接的な取引先まで追うことは原則として不要とした。さらに、現行ルール上は「毎年」実施することが求められるモニタリングを「5年に一度」とするなど、負担軽減の方向性が示されている。


欧州委員会 : 加盟国の首脳らをメンバーとし、全体的な政治指針と優先課題を決定するEUの政治的最高意思決定機関
オムニバス法案 : 映画や音楽で使われる「オムニバス(複数の短編をまとめた作品集)」と同じ語源であり、ここでは、サステナビリティ関連の複数の異なる規制(CSRD・CSDDD など)の簡素化や調整をパッケージとしてまとめて提案した法案であるため「オムニバス法案」と呼ばれている。

日本企業にとってこれらの変更のインパクトは大きい。これまでは「欧州に子会社がある」「欧州向けに製品を販売している」というだけで、グループ全体の詳細なデータを報告しなければならなかった。たとえブラジル市場だけに製品を供給する子会社であっても、本社が対象企業であれば報告対象に含まれてしまう。これは企業にとって大きな負担だったが、EFRAG(欧州財務報告諮問グループ)が現在策定中の「非EU企業向け欧州サステナビリティ報告基準(N-ESRS)」では、報告範囲を「EU市場への商品の販売またはサービスの提供に係るもの」に限定できる選択肢が検討されている。これが導入されれば、日本企業の開示負担は大幅に軽くなる。


EFRAG : 「European Financial Reporting Advisory Group」の略で、EUにおける企業報告制度の整備を担う専門機関。財務報告とサステナビリティ報告の両分野において、欧州委員会に技術的助言を行う役割を担っている。
N-ESRS : 「Non-EU European Sustainability Reporting Standards」の略。EU域外に本社を置く企業であっても、EU市場で一定の事業活動を行っている場合に適用される報告基準であり、CSRD(企業サステナビリティ報告指令)の枠組みの一部である。報告対象をEU市場に関連する情報に限定できる。

ただし留意すべきは、規制が緩和されたからといって、欧州市場でのサステナビリティに関する要求が必ずしも弱まるわけではないということだ。投資家も取引先も、法的義務の有無にかかわらず「この企業は環境や人権に真剣に取り組んでいるか」を注視している。つまり、ルールが緩んだからといってサステナビリティ対応も緩めれば、投資家との対話や商談の場で即座に信頼を失うリスクがある。

国連PRIによる最新の調査によれば、PRIに署名している機関の65%が「サステナビリティ成果(sustainability outcomes)」に取り組んでいる。その理由として最も多く挙げられたのは「財務的に重要であるから(financial materiality)」であり、44%がこれを選択している。さらに約4分の1の機関は、財務的なリターンと並行してサステナビリティ成果を追求すること自体に意義があると考えている(2025年版責任投資の世界的動向(Global Responsible Investment Trends 2025)の13ページ参照)。これは、投資家は、単なる理念的な表明や抽象的なコミットメントでは満足せず、財務的な関連性を伴った実効性ある開示を強く求めていることを示している。また、日系企業に対するEYの独自調査によると、「今回の規制緩和によって適用対象ではなくなったとしてもESGプロジェクトを続行する」と回答した企業は約6割に上っている。以上を踏まえると、たとえ今回のルール緩和で規制対象外となる企業であっても、サステナビリティ関連の取り組みは継続すべきであろう。例えば商談の場で、欧州の顧客から「御社はどのようなサステナビリティ対応をしているのか」と問われた際、自社が規制対象になっているかどうかは関係ない。重要なのは「何を続けて、どう改善しているか」を明確に答えられるかどうかだ。技術開発の観点からも、規制が緩和されたところで、省エネ設計やリサイクル対応等は依然として顧客の要求の中心にある。むしろ、規制緩和が進行している今だからこそ、持続可能な技術や製品を打ち出せる企業が競争優位に立つことになる。


国連PRI : 国連PRIとは「United Nations Principles for Responsible Investment=国連責任投資原則」の略で、機関投資家に対し、投資判断プロセスにESGを反映することや、投資対象企業にESGに関する情報開示を求めることなどを提唱するプラットフォームである。国連PRIに署名した機関投資家は、国連に投資の状況を報告する義務が生じるため、ESGを重視した投資を実践せざるを得ない。

今回のCSRDやCSDDDの見直しは、日本企業にとって「重荷を下ろす」効果をもたらす一方で、経営戦略を問い直すきっかけにもなる。規制を守るだけの受動的な対応から、自社にとって意味のある領域を選択し、投資家や顧客に分かりやすく示す能動的な対応へと舵を切る好機と捉えることもできよう。

2025/09/18 投資家が求める事業ポートフォリオ戦略の誤り

近年、機関投資家は上場企業に対して様々なエンゲージメントを行っているが、その一つが「事業ポートフォリオ戦略」だ。機関投資家はROIC(投下資本利益率)の高い事業への投資拡大を求める一方、ROICの低い事業については投資の縮小を提案してくることが珍しくない。特にROICが加重平均資本コスト(WACC)を下回るROICの事業については、「撤退」や「売却」を迫ることもある。ただ、事業ポートフォリオ戦略は、各事業の「成長段階」を考慮したうえで、長期的な視点で検討される必要がある。機関投資家にはこの視点が欠けていることが珍しくないので、企業は注意する必要がある。


WACC : 「Weighted Average Cost of Capital=加重平均資本コスト」の略であり、要するに「資本コスト」である。WACCは文字通り負債コスト(金利)と株主資本コスト(配当+キャピタルゲイン)を加重平均して算定される。

若干古典的ではあるが分かり易いPPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)を使って説明しよう。・・・

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2025/09/18 投資家が求める事業ポートフォリオ戦略の誤り(会員限定)

近年、機関投資家は上場企業に対して様々なエンゲージメントを行っているが、その一つが「事業ポートフォリオ戦略」だ。機関投資家はROIC(投下資本利益率)の高い事業への投資拡大を求める一方、ROICの低い事業については投資の縮小を提案してくることが珍しくない。特にROICが加重平均資本コスト(WACC)を下回るROICの事業については、「撤退」や「売却」を迫ることもある。ただ、事業ポートフォリオ戦略は、各事業の「成長段階」を考慮したうえで、長期的な視点で検討される必要がある。機関投資家にはこの視点が欠けていることが珍しくないので、企業は注意する必要がある。


WACC : 「Weighted Average Cost of Capital=加重平均資本コスト」の略であり、要するに「資本コスト」である。WACCは文字通り負債コスト(金利)と株主資本コスト(配当+キャピタルゲイン)を加重平均して算定される。

若干古典的ではあるが分かり易いPPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)を使って説明しよう。

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PPMは、「市場成長率」と「相対市場シェア」から、事業を4つのカテゴリーに分類している。まず、市場成長率が低く、相対市場シェアが高い「金のなる木」は安定したキャッシュフローを創出するため、ROICは高い。「花形」は市場成長率も相対市場シェアも高いため、売上高への寄与は大きいが、競争が激しいことから常に投資を必要とする。この投資資金は、上図の実線の矢印のように「金のなる木」から供給される。売上高の伸び率は高いが、その分投資も必要となるため、ROICは低くなる。しかし、市場が成熟してくると、点線で示した矢印のように「金のなる木」となり、ROICは改善する。「問題児」は、現在シェアは低いものの成長の可能性がある事業であることから、「金のなる木」から資金を供給してもらい(実線矢印)、将来「花形」になることを目指す(点線矢印)。「負け犬」は、市場成長率も相対市場シェアも低い事業なので、できるだけこの事業には投資せず、撤退や売却を検討する。


相対市場シェア : ある企業の市場シェアを最大手の競合他社の市場シェアと比較して算出する指標。企業の競争力や業界内での立ち位置を把握するために活用される。具体的には、「相対市場シェア = 自社の市場シェア÷最大の競合他社の市場シェア」により算出される。 例えば、自社の市場シェアが20%、最大の競合他社の市場シェアが40%の場合、「20÷40%=0.5」により、自社のシェアが競合他社の半分であることを意味する。また、自社のシェアが40%で市場1位で、2位の競合他社のシェアが30%の場合、「40%÷30%=1.33」と、相対市場シェアが1を超えるため、自社が市場リーダーであることを示す。

PPMから明らかなことは、ROICが高い事業は「金のなる木」だけであり、「花形」「問題児」「負け犬」はいずれもROICが低いということだ。ただし、「花形」と「問題児」は企業の将来の成長には必要な事業であり、ROICが低いからという理由でこれらの事業への追加投資を抑えれば、企業の長期的成長を阻害することになる。すなわち、ROICが低く、投資の縮小・撤退・売却の対象とされるべきは「負け犬」のみということになる。

昨今の投資家の事業ポートフォリオ戦略に関するエンゲージメントを見ていると、「花形」や「問題児」への積極的な投資を縮小させることにより浮いた資金が投資家還元に使われているのではないかと危惧している。「金のなる木」だけでは、企業の長期的な成長は達成できない。上場企業は、自社の成長戦略の阻害となるようなエンゲージメントを受け入れるべきではなく、自社の成長戦略を投資家に根気よく説明する必要がある。

2025/09/17 有価証券報告書の“統合報告書化”は進むか

昨日(2025年9月16日)の日経平均株価は一時初の4万5000円台を付けたが、PBRが1倍を切っている企業はいまだ相当数に上るものと見られる。日本企業の企業価値が低く評価されている一因として、 情報開示媒体(有価証券報告書、事業報告、計算書類、コーポレート・ガバナンス報告書、統合報告書など)が多すぎて投資家が企業の実態を把握しづらいとの指摘がある。こうした問題意識の下、経済産業省が2024年6月に公表した「企業情報開示のあり方に関する懇談会-課題と今後の方向性(中間報告)」では、今後数十年を見据え、法定開示と任意開示の情報開示体系の方向性について、下表のとおり2つの「イメージの案」が示されたところだ。


PBR : Price Book-value Ratio=株価純資産倍率(株価÷1株当たり株主資本)。株価が1株当たり純資産(BPS:Book value Per Share)の何倍まで買われているか(=1株当たり純資産の何倍の値段が付いているか)を指す。PBRが1.0を大幅に下回る場合、投資家が企業の将来性に疑問を持っていたり、減損リスクのように潜在的な資産の含み損が多額にのぼる可能性が株価に織り込まれていたりすることを示唆する。

法定or任意 イメージ案1 イメージ案2
法定開示 ・「過去の財務情報」が中心
・有報、事業報告、計算書類、CG報告書などを一体化
「一体化」+「価値創造プロセス、ビジネスモデル、トップメッセージなども含めた統合的報告」
任意開示 価値創造ストーリーや将来戦略といった「未来志向の情報」 法定開示書類の要約・詳細データ集として位置付け、法定開示書類を補完

イメージ案1は、法定開示書類を一体化して「過去情報」に特化した新たな法定開示書類を創設しつつ、「未来志向の情報」は任意開示に任せるというもの。両者の役割を明確に分けることで、情報の混乱を避ける狙いがある。一方、イメージ案2は、現行の統合報告書で開示されている情報も法定開示書類に含め、任意開示書類はそれを補完するものと位置付けている。

企業情報開示のあり方に関する懇談会で支持が多かったのはイメージ案2の方だ。ただ、決算後3か月以内という現行の有報の提出期限の中で開示内容が大幅に増えることに対しては、企業の負担増加を懸念する声もある。

ところが、最近の有価証券報告書を調査すると、・・・

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2025/09/17 有価証券報告書の“統合報告書化”は進むか(会員限定)

昨日(2025年9月16日)の日経平均株価は一時初の4万5000円台を付けたが、PBRが1倍を切っている企業はいまだ相当数に上るものと見られる。日本企業の企業価値が低く評価されている一因として、 情報開示媒体(有価証券報告書、事業報告、計算書類、コーポレート・ガバナンス報告書、統合報告書など)が多すぎて投資家が企業の実態を把握しづらいとの指摘がある。こうした問題意識の下、経済産業省が2024年6月に公表した「企業情報開示のあり方に関する懇談会-課題と今後の方向性(中間報告)」では、今後数十年を見据え、法定開示と任意開示の情報開示体系の方向性について、下表のとおり2つの「イメージの案」が示されたところだ。


PBR : Price Book-value Ratio=株価純資産倍率(株価÷1株当たり株主資本)。株価が1株当たり純資産(BPS:Book value Per Share)の何倍まで買われているか(=1株当たり純資産の何倍の値段が付いているか)を指す。PBRが1.0を大幅に下回る場合、投資家が企業の将来性に疑問を持っていたり、減損リスクのように潜在的な資産の含み損が多額にのぼる可能性が株価に織り込まれていたりすることを示唆する。

法定or任意 イメージ案1 イメージ案2
法定開示 ・「過去の財務情報」が中心
・有報、事業報告、計算書類、CG報告書などを一体化
「一体化」+「価値創造プロセス、ビジネスモデル、トップメッセージなども含めた統合的報告」
任意開示 価値創造ストーリーや将来戦略といった「未来志向の情報」 法定開示書類の要約・詳細データ集として位置付け、法定開示書類を補完

イメージ案1は、法定開示書類を一体化して「過去情報」に特化した新たな法定開示書類を創設しつつ、「未来志向の情報」は任意開示に任せるというもの。両者の役割を明確に分けることで、情報の混乱を避ける狙いがある。一方、イメージ案2は、現行の統合報告書で開示されている情報も法定開示書類に含め、任意開示書類はそれを補完するものと位置付けている。

企業情報開示のあり方に関する懇談会で支持が多かったのはイメージ案2の方だ。ただ、決算後3か月以内という現行の有報の提出期限の中で開示内容が大幅に増えることに対しては、企業の負担増加を懸念する声もある。

ところが、最近の有価証券報告書を調査すると、イメージ案2を先取りするような事例が確認できる。特に注目されるのが、カゴメの2024年12月期有価証券報告書大和ハウス工業の2025年3月期有価証券報告書だ。

カゴメの有報の【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】を見ると、代表取締役社長が「次の10年」や「2035年ビジョン」といった長期的な経営の方向性や、企業の価値創造ストーリーを自らの言葉で明確に語っている。また、【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】ではCFO/CROが、資本効率を重視した成長について説明している。大和ハウス工業の有報の【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】では、創業100周年に売上高10兆円を実現するための取り組みをCEO(代表取締役会長)が語るところから始まり、続いてCEOとCOO(代表取締役社長)の対談、さらには創業100周年に向けたCOOのメッセージと、まるで統合報告書のような未来志向の情報が開示されている。両社の有報全体における統合報告書的情報の分布は下表のとおり。


CRO : 「Chief Revenue Officer(最高収益責任者)」のの略称。企業の売上や収益の最大化をミッションとし、営業・マーケティング・事業開発・カスタマーサクセスなど、収益に関わる全ての部門を横断的に統括する。

掲載箇所 カゴメ
2024年12月期有報
大和ハウス工業
2025年3月期有報
【表紙】 ・創業者の言葉
【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 ・代表取締役社長メッセージ
・価値創造プロセス
・代表取締役会長メッセージ
・代表取締役会長と代表取締役社長の対談
・代表取締役社長メッセージ
マテリアリティ
【サステナビリティに関する考え方及び取組】 ・経営企画室メッセージ
・マテリアリティ及びマテリアリティ特定プロセス
・価値創造プロセス
【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 ・CFO/CROメッセージ ・CFOメッセージ


マテリアリティ : 企業の価値創造や持続可能性に重大な影響を与える課題や要素のことであり、統合報告書では、投資家との対話に資する重要情報として位置付けられる。

経済産業省が中間報告を公表したのが2024年6月であることからすると、カゴメや大和ハウスの取り組みは中間報告でイメージ案2を支持する声が多かったことを踏まえたものと推測され、今後の企業情報開示の方向性を示す動きと言える。

有価証券報告書は、虚偽記載に対する金融商品取引法上の厳しい罰則規定によりその信頼性が担保されている一方、企業側には「法令遵守のための書類」「ミニマム開示(最小限の情報を記載するもの)」という固定観念があり、将来の見通しや独自性ある戦略など不確実性を伴う情報を積極的に記載することに対しては依然として躊躇が見られる。そのため、投資家が本来最も知りたいはずの企業の将来像や成長戦略は、訴訟リスクの低い統合報告書やサステナビリティレポートといった任意開示書類で語られ、最も信頼性の高い有価証券報告書は“過去情報のデータベース”としての役割にとどまっているという現状がある。しかし、こうした法定開示と任意開示の使い分けは、投資家から見ると、信頼性の高い過去情報と戦略的な将来情報が異なるタイミング・形式・言葉で開示されることを意味し、企業実態の正確な理解を妨げる要因となっている。

有価証券報告書が過去の財務情報を記録する「法令遵守のための書類」から「戦略的なコミュニケーション情報媒体」へと進化したとき、企業と投資家の対話はより建設的なものになり、日本企業が適正に評価される可能性も高まることになろう。