正解です。
新型コロナウイルスに「感染の疑いがある者」従業員(例えば、家族が湖北省滞在者と濃厚接触していた従業員など)が就労を希望しているにもかかわらず、拒否した場合には、「使用者の責めに帰すべき事由による休業」ということになり、原則として通常の賃金、たとえ特約(就業規則を含む労働契約における定め)があったとしても通常の6割以上の休業手当を支払わなければなりません(問題文は誤りです)。
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2020年2月7日 新型コロナウイルス、「感染の疑いがある者」への対応(会員限定)
正解です。
新型コロナウイルスに「感染の疑いがある者」従業員(例えば、家族が湖北省滞在者と濃厚接触していた従業員など)が就労を希望しているにもかかわらず、拒否した場合には、「使用者の責めに帰すべき事由による休業」ということになり、原則として通常の賃金、たとえ特約(就業規則を含む労働契約における定め)があったとしても通常の6割以上の休業手当を支払わなければなりません(問題文は誤りです)。
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2020年2月7日 新型コロナウイルス、「感染の疑いがある者」への対応(会員限定)
東証一部上場企業のS社では、ようやくSDGsへの対応に着手することとなりました。S社の取締役会においてはSDGsへの対応方針を巡って議論が紛糾中です。取締役AからCの発言のうち、誰の発言がGood発言でしょうか?
取締役A:「SDGsの17の目標に優劣はない以上、そのすべてに対応するようにしなければ、『できることだけを選択した』と言われかねず、やる気がないと問題視されるのではないでしょうか。」
取締役B:「いったんSDGsに関連したKPIを設けてしまうと、それが独り歩きして自縄自縛に陥り、経営行動に制約を与えかねません。投資家はそのようなことを望んではいないはずです。」
取締役C:「SDGsに関連したKPIを設けることには賛成ですが、それを検証する仕組みはあるのですか?」
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上場企業にとってSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みは、もはや避けて通ることはできません(SDGsについては2017年8月21日のニュース「上場企業の間で徐々に対応が進むSDGs」を参照)。各上場企業がSDGsに関連する目標を掲げて、その実現に向けて着実に駒を進める必要があります。
SDGs(持続可能な開発目標) : 「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略で、「エスディージーズ」と読む。「人間、地球及び繁栄」のための行動計画として国連が掲げる世界共通の目標であり、気候変動対策やジェンダーの平等など17の目標と169のターゲットからなる。2015年9月に開催された「国連持続可能な開発サミット」において150を超える加盟国首脳の参加のもとで採択され、2016年から2030年までの15年間での達成を目指している。
ESG投資が盛んになったことで、SDGsへの取り組みは株価へのインパクトも持ち始めることになりました(ESG投資の隆盛については2019年7月11日のニュース「GPIFによるESG活動の行方」を参照。また、ESG対応については【役員会 Good&Bad発言集】ESGの“E”への対応 を参照)。そうなると、中にはSDGsに真摯に取り組んでいるかのように見せかけることでESG投資を呼び込もうという上場会社も見受けられるようになりました。こういった企業は「SDGsウォッシュ」と称されることもあります。もし、SDGsウォッシュと判断されてしまうと、レピュテーションリスクが高まるだけでなく、ESG投資の投資対象から除外され、株価の下落を招きかねません。
ESG投資 : ESGとは、「Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の頭文字を組み合わせたもので、近年、特にグローバル機関投資家の間で、企業の投資価値を測る評価項目としての地位を確立しつつある。ESG投資とは文字通り「Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」に優れた企業に投資することをいう。
SDGsウォッシュ : SDGsに取り組んでいるように見せかけたり、誇張した表現を用いてアピールしたりするだけで、実態が伴っていない企業を揶揄した表現。自社の環境問題への取り組みを誇張してアピールする企業を揶揄した「グリーンウォッシュ」から転じた言葉。
それでは、上場企業は自社がSDGsウオッシュと言われないために、どのような点に注意してSDGsへの取り組みや開示を進めて行けばよいのでしょうか?真剣にSDGsに取り組む企業とSDGsウオッシュ企業の特徴を対比させてみました。
| 項目 | 真剣にSDGsに取り組む企業の特徴 | SDGsウオッシュ企業の特徴 |
| SDGsの目標の設定 | 将来の理想像から逆算(バックキャスティング)したり、企業外部の視点から当該企業に求められる取り組みは何かを考えて(アウトサイド・イン・アプローチ)、長期的な目標やKPIを設定している(SDGsにおけるKPIについては「ESG投資を呼び込むための視点とKPI」。 | 今の現状からできることだけを目標やKPIとして設定している。 |
| SDGsへの各取り組みが整合的である。 | SDGsへの取り組みに矛盾がある。 (例:「後進国に工場を作り、貧困を支援します」と言いつつ、後進国の工場周辺の環境を破壊する) |
|
| SDGsの17の目標のうち自社が選択した目標が企業規模や事業内容と整合している。 | SDGsの17の目標のうち自社が選択した目標が企業規模に比して多すぎ、事業や活動内容との関連性が強引すぎる。 | |
| SDGsへの取り組み | SDGsへの取り組みに関するKPI(数値目標)を掲げている。 (例:「●%削減します。」) |
SDGsへの取り組みに関するKPI(数値目標)がない。 (例:「削減に取り組みます。」) |
| SDGsへの取り組みに責任を持つ組織を特定し、当該組織に明確な権限と責任を付与しており、SDGsへの取り組みに関するKPIの達成をチェックする仕組みも設けている。 (例:「サステナビリティ委員会が実行計画の進捗状況を検証」) |
SDGsへの取り組みに責任を持つ組織があいまいであり、KPIの達成をチェックする仕組みもない。 | |
| SDGsへの取り組みに段階的な期限を設けている。 (例:「●年に●%、■年に■%、▲年に▲%を達成する。」) |
SDGsへの取り組みに期限を設けていない。 (例:「●に着手する。」) |
|
| SDGsへの各取り組みについて社長がコミットしている。 (例:統合報告書におけるCEOインタビューでSDGsへの各取り組みについてコミットするメッセージを発している。また、日常的にも社内報等でメッセージを発している) |
SDGsへの各取り組みは現場任せであり、社長は詳細を知らない。 | |
| SDGsへの各取り組みと経営行動が整合している(首尾が一貫している)。 | SDGsへの各取り組みと経営行動と間に不整合が起きている。 (例:SDGsの目標1「貧困をなくそう」に取り組むとしつつ、後進国の自社工場や外注先工場で工員を低賃金で搾取している) |
|
| SDGsに関する開示 | SDGsへの取り組み内容の表現が具体的である。 (例:「女性管理職を●%にします。」) |
SDGsへの取り組み内容の表現があいまいである。 (例:「女性差別の撤廃に取り組みます。」) |
| SDGsに関する開示にあたり、実際の取り組み状況を撮影した現場写真を用いている。 (例:「自社が実施している植林プロジェクトの写真」) |
SDGsに関する開示にあたり用いる写真が「外部から使用権利を購入したイメージ写真」であり、具体的な取り組みとは直接の関係がない。 (例:「流氷に乗った白熊の写真」) |
|
| 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)へ賛同するだけでなく、TCFD提言が挙げている開示推奨項目に沿った情報開示に積極的に取り組んでいる。→TCFDについては「【2019年9月の課題】企業がとるべき気候変動への対応」を参照 | SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」に取り組むとしつつ、TCFDへの賛同についてはコメントを行わない。 |
SDGsウオッシュ企業の特徴に該当する恐れがある企業はSDG Compass(*)や環境省「持続可能な開発目標(SDGs)活用ガイド」の資料編「PDCAサイクルによるSDGsの取組手順」を参考にしたり、SDGs対応で高い評価を得ている上場企業の統合報告書を分析したりして、「SDGsウオッシュ」の烙印を押されないよう改善を積み重ねる必要があると言えます。
GRI : GRI(Global Reporting Initiative)は地球環境問題の深刻化を背景に1997年、国連傘下のNGOとして設立された。当初は環境報告書の国際基準を策定することを目的にしていたが、その後、「経済」「環境」「社会」の3つの側面から企業を評価するトリプルボトムラインの考え方を採用することで、GRIのガイドラインは持続可能性(サステナビリティ)報告書の指針となった。
UNGC : United Nations Global Compactの略。1999年に開催されたダボス会議で当時のコフィー・アナン国連事務総長が提唱したイニシアティブ。
WBCSD : World Business Council for Sustainable Developmentの略。持続可能な開発のための世界経済人会議。
さて、以上の解説をご覧いただければ、誰の発言がGOOD発言か、もうお分かりですね。正解は以下のとおり。
取締役C:「SDGsに関連したKPIを設けることには賛成ですが、それを検証する仕組みはあるのですか?」
(コメント:目標値を掲げても、それを検証し、目標値に達していなかったら原因を分析して、改善行動に繋げていく仕組みがない限り、画餅に帰すと言えます。Cの発言はそのような仕組みの有無を問いただすGood発言です。)
政府は、70歳までの就業機会確保を図るための「高齢者雇用安定法」の改正法案を既に今国会に提出、2020年3月末までには成立する見込みとなっています(施行は2021年4月1日~を予定)。
同改正法は事業主に「努力義務」を課すものですが、人材採用等にも影響を与える“企業イメージ”を重視する上場企業では、一定の対応を図るところが多いものと思われます。70歳までの就業機会確保措置の一つに70歳までの定年延長がありますが、人件費にも限りがある中、慎重な経営判断が求められるでしょう。
自社としてどのような対応をすべきか、検討してみてください。
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不正解です。
有価証券報告書の記述情報において、実際にはやっていないことをさもやっているかのように記載したのであれば、それは虚偽記載にほかなりません(問題文は正しいです)。実際にJASDAQに上場する日本フォームサービスが有価証券報告書の虚偽記載で課徴金を課された際にも、このような記述情報の虚偽記載が理由の一つに掲げられていました。
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2020年2月5日 有報のCG状況の虚偽記載に初の課徴金、上場会社が今とるべき対策(会員限定)
正解です。
有価証券報告書の記述情報において、実際にはやっていないことをさもやっているかのように記載したのであれば、それは虚偽記載にほかなりません(問題文は正しいです)。実際にJASDAQに上場する日本フォームサービスが有価証券報告書の虚偽記載で課徴金を課された際にも、このような記述情報の虚偽記載が理由の一つに掲げられていました。
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2020年2月5日 有報のCG状況の虚偽記載に初の課徴金、上場会社が今とるべき対策(会員限定)
不正解です。
経済産業省の「事業再編研究会」は2020年6月末を目途に「事業再編に関する実務指針(仮称)」を公表する予定であり、それに向けて2020年1月31日より議論を開始しています。「事業再編に関する実務指針(仮称)」は、問題文のとおり企業における「ノンコア事業」の切り出しの促進を図ることを目的とした実務指針となる見込みです(問題文は正しいです)。
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2020年2月4日 経産省、CGSガイドライン等と“並列”の「事業再編に関する実務指針」取りまとめへ(会員限定)
正解です。
経済産業省の「事業再編研究会」は2020年6月末を目途に「事業再編に関する実務指針(仮称)」を公表する予定であり、それに向けて2020年1月31日より議論を開始しています。「事業再編に関する実務指針(仮称)」は、問題文のとおり企業における「ノンコア事業」の切り出しの促進を図ることを目的とした実務指針となる見込みです(問題文は正しいです)。
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2020年2月4日 経産省、CGSガイドライン等と“並列”の「事業再編に関する実務指針」取りまとめへ(会員限定)
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日本フォームサービス(JASDAQ)で売上の先行計上や費用の後ろ倒し計上があり、利益が不正に多く計上されていた。
証券取引等監視委員会が、2019年12月6日に金融庁に対して「日本フォームサービス株式会社における有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令勧告」を行うまでの経緯は次のとおり。
2019年
3月11日:日本フォームサービスは外部から、2017年9月期決算における仮払金10,000千円の計上、未払金8,000 千円の未計上、2018年9月期決算における資産73,000千円の計上、在庫計上等61,000千円の適正性等について指摘を受けて検証作業を行った。その結果、より専門的かつ独立した立場から、これらの事項の事実関係につき客観的な調査が必要との判断に至る。
4月5日:日本フォームサービスは利害関係のない弁護士および公認会計士による第三者委員会を設置し、過年度決算の会計処理の適正性に関する調査を依頼。
6月21日:日本フォームサービスは、第三者委員会の調査報告書を公表する。
7月26日:日本フォームサービスは、会計監査人である監査法人大手門会計事務所より会計監査人を退任する旨の連絡を受ける(リリースはこちら)。
8月23日:日本フォームサービスは、史彩監査法人を一時会計監査人に選任(リリースはこちら)。
9月26日:日本フォームサービスは臨時株主総会を開催し、役員全員を入れ替え(旧役員全員の辞任と新役員の選任)。
12月6日:証券取引等監視委員会が2019年12月6日に金融庁に対して日本フォームサービス株式会社における有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令勧告を行う。
日本フォームサービスが公表した2019年6月21日付の第三者委員会の調査報告書によると、本件不正行為の原因、再発防止策は次のとおりとされている(下記は代表的な不正行為であり、すべてではない)。
| 内容 | 日本フォームサービスの子会社であるフォービスリンクは、収益認識の会計基準として工事完成基準(工事が完成して初めて売上を計上できる)を採用しているものの、2018年9月期において工事が完成していない太陽光設備設置工事について、契約金額の70パーセント相当の68,180千円の売上を計上していた。売上計上のエビデンスとして、工事発注者から「機器搬入、設置」等の内訳の部分的な「検収書」を入手していた。もっとも、本件は一式発注案件である以上、たとえ依頼主から部分的な「検収書」を入手したとしても、プロジェクト全体を一括して売上を計上すべきであり、部分検収による一部売上を認めるべきではなかった。 |
| 原因 | 検収書の入手 当初、フォービスリンクでは、工事の完成を待って一括で売上計上を行う予定であったが、2017年9月期の決算における利益が不足していたことから、工事完成前に前倒しで売上を計上することを画策した。2017年9月末において機器の搬入は終了し、契約金額の70パーセントまでの請求・入金は完了していたことから、期末において、依頼主から「機器搬入、設置」を内訳とする2017年9月29日付の「検収書」を入手し、契約金額の70パーセント相当の68,180千円の売上を先行計上した。なお、対応する売上原価に関しては、2017年9月期においてより多くの利益が計上できるように、その大部分を2017年10月以降の期間に繰り延べる操作を行った。 社長指示による会計不正とガバナンスの不在 ・本件不正行為は、経営トップである山下社長(当時。以下、同じ)が主導し、取締役を始めとする会社幹部がこれに従って、組織ぐるみで行われた。山下社長は、主に社長ミーティングや経営会議において、「どうするんだ?3Qで調整をした上で50,000千円もマイナスがある。」「乙、来週の社長ミーティングまでに今期の経常利益をプラスマイナスゼロにまで持っていく案を出してくれ。」旨発言(2017年8月26日開催の経営会議での発言)するなど、各会計年度期末決算が近づいた社長ミーティングや経営会議において、各事業部部長や子会社を含む各部門の担当者に粉飾の案を出すよう指示していた。他の取締役は、山下社長が期首に設定した過大な売上目標等を期末時点で達成できないと、それが自己の責任であるとの負い目を感じるところがあり、また、山下社長の指示に従わなければ解任や降格等人事上の制裁を受けるとの気持ちもあって、粉飾指示に従っていた。経理責任者も同様であった。 <財務制限条項の存在> ・日本フォームサービスでは、取引銀行3行との間で連結決算に関する財務制限条項(同社と取引銀行3行との間で締結された金銭消費貸借契約には、連結損益計算書の経常損益が損失になる等の要件を満たせば、借入金の期限の利益がなくなるというもの。借入金の期限の利益がなくなれば、日本フォームサービスは借入金の期限前弁済を迫られる可能性があった)を課されていたことから、山下社長は取引銀行3行との関係を良好に保つためには黒字決算の維持へのプレッシャーが強かった。 <コンプライアンスの欠如> ・山下社長が第三者委員会に対して「この当時は、赤字を出さないことを重視するあまり、コンプライアンス面の優先順位が低くなってしまっていた。」「私の部下は、金融庁や東京証券取引所から指摘を受けるほどの重大なことだとは受け止めておらず、小手先だけで数字をいじることは大きな問題ではないと考えていたと思う。」と述べるなど、日本フォームサービスでは社長を筆頭にコンプライアンス意識が欠如しており、社内には「発覚しなければ嘘の報告をしても構わない」という組織風土があった。山下社長を始めとする役員や幹部は、本件粉飾決算以外でも、例えば、取締役会が社内規程に従って運営されておらず、監査役会は開催すらされていないこと、これらの開催回数等について有価証券報告書やホームページに、コーポレート・ガバナンス体制として事実と異なる記載をしていることについても、全く気にしていなかった。 <社長一人への権限集中> 山下社長は、創業社長の後を継いだ二代目社長であり、1997年12月以降約20年間にわたって社長の座にあり、社長ミーティングや経営会議では取締役や幹部に高圧的な口調で叱咤し、反対意見に耳を傾けることが少ないなど、いわゆるワンマン社長であった。しかも、山下社長は、日本フォームサービス株式を38.7パーセント保有する大株主である上、親族を含めると合計約67.6パーセントの株式を保有しているため、同社における山下社長の支配力は絶大であり、権限が山下社長一人に集中していた。 <取締役会・取締役による業務執行部門に対する監督機能の欠如> ・日本フォームサービスの取締役は、山下社長とその他社内取締役2名の計3名だけであり、社外取締役は置かれていない。取締役会は、社内規程上、少なくとも定時取締役会を毎月1回開催することとされているが、実際は、年3回(株主総会に引き続いて開催するもの取締役会のほか、第2四半期決算短信公表時(5月)および本決算短信公表時(11月))しか開催されていなかった。常勤監査役1名と非常勤監査役2名は、年間3回開催される取締役会に2回ないし3回出席していたが、取締役会において格別の発言はしていなかった。本来取締役会でなされるべき業務執行上重要な事項は、社長ミーティングにおいて山下社長が決定し(取締役会の形骸化)、他の取締役はそれぞれ一執行部門の事業部長として山下社長の指示に従うだけであった(他の取締役には取締役会の構成員として他部門の業務執行に関する監督機能を果たすとの自覚は全くなかった)。一方で、開催されていない取締役会についても、総務部員が社長ミーティング等で討議された事項や前年の取締役会議事録に記載されている内容等を参考にして取締役会議事録を作成していた。取締役および常勤監査役は、こうして作られた虚偽の取締役会議事録に自ら押印しており、社外監査役の印鑑は総務部員が自ら保管している社外監査役名の印鑑が使用されていた。取締役会がこのような実態であったことから、2018年9月期の有価証券報告書の「コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のある「原則月1回開催の定例の取締役会において、重要事項は全て付議されている」旨の記載が虚偽記載になっていた。 ・日本フォームサービスには社外取締役がいなかった。2016年9月期以降の有価証券報告書には、社外取締役を選任していない理由を、「取締役会を重要な業務執行について議論し実質的かつ具体的な決定をも行う機関と位置づけ、必要があれば、臨機応変に会合を開催し、実質的な議論を行っておりますので、社外取締役に社内取締役と同等の役割を求めるのは過度な負担となり、無理に社外取締役を導入すると取締役会の機能を低下させるおそれがある」としているが、これも同社の実態とは大きく異なるものであった。 <内部監査部門・監査役会・監査役の監査機能の欠如> ・日本フォームサービスでは内部監査が実施されたことはなかった。 ・常勤監査役は経営会議にも出席していたが、常勤監査役が非常勤監査役 2 名に経営会議の情報を共有することはなかった。経営会議の席上で本件会計操作の一端がやり取りされたことがあったが、常勤監査役は事実を確認しないまま放置し、非常勤監査役には何も伝えず、会計監査人に情報共有することもしなかった。非常勤監査役 2 名は、年3回の取締役会に出席する以外には監査役としての活動はしておらず、常勤監査役と連絡を取ることもしていない。監査役らは、期首に作成すべき監査計画を作成せず、重点監査事項の策定や、監査の方針、職務の分担等を定めたこともなかった。期末決算において、会計監査人と接触を持つこともなく、情報交換も全くしていなかった。 ・事業報告には、非常勤監査役の主な活動状況として、監査役が当期期間中に開催された取締役会12回に出席するとともに、監査役会に4回出席し、専門分野の知見から議案、審議等において適宜質問し意見を述べるなど、必要に応じて発言している旨記載されていたが、この内容も事実ではない。監査報告書は、総務部員が作成し、これを常勤監査役が了承して押印していた。 <会計監査人との連携欠如> ・会計監査人は、取締役の職務執行に法令違反等があることを発見したときは監査役会に報告し(会社法397条1項・3項)、他方、監査役は、会計監査人に監査に関する報告を求めることができる(同条2項)とされ、両者が緊密に連携して監査成果を高めることが求められている。しかし、日本フォームサービスでは、会計監査人と監査役は意識して接触を持とうともしておらず、このような連携を行っていたと認められる形跡はなかった。また、本来であれば、会計監査人の選任・再任は監査役会が決定し(同法 344条1項・3項)、会計監査人の報酬額の決定には監査役会の同意が必要であるが(同法399条1項・2項)、日本フォームサービスでは、監査役会は開催されておらず、山下社長の意向で決めていた。 <内部通報> ・日本フォームサービスは、規程上は総務部に内部通報窓口を設置している旨定めていたが、規程の存在を社内で容易に確認できる状態にしておらず、制度そのものを社内に周知したこともなかったため、利用実績はなかった。 |
| 再発防止策 | <山下社長の影響力の排除> 本件粉飾決算は山下社長主導の下に行われていたことから、不正な会計操作の再発を防止するためには、山下社長の影響力を排除する方策をとる必要がある。 <取締役会の活性化> <監査役会の活性化> <会計監査体制の再構築と会計監査人との連携> <内部通報制度を含めたコンプライアンス体制の再構築> <法令遵守、コンプライアンス意識の醸成と新たな企業風土の創設> |
| 内容 | 日本フォームサービスが、2018年10月以降の期間に対応する収益を2018年9月期の第4四半期に意図的に前倒しで計上する会計操作を行っていた。 |
| 原因 | 上記「太陽光設備設置工事売上の先行計上」を参照 |
| 再発防止策 | 上記「太陽光設備設置工事売上の先行計上」を参照 |
| 内容 | 日本フォームサービスは、2016年9月期の第4四半期において、得意先から「製品保管依頼書」を入手できたことから、預かり在庫売上を計上しているが、当該製品は同期末現在未完成であった。 |
| 原因 | ・日本フォームサービスでは、顧客からの注文に従って製造を行ったにもかかわらず、顧客都合で製品の出荷が延期になった場合に備えて、製造が終了し、いつでも出荷できる状態にあることを前提として、顧客から「製品保管依頼書」を入手することにより、売上(預かり在庫売上)の計上を認める実務を採用している。日本フォームサービスは、預かり在庫売上の収益計上要件を定めた文書を作成していないが、経理担当者に対するヒアリング結果から判断すると、売上計上の要件は、(a) 製造が完了していること、(b) 出荷可能な状態にあること、(c) 顧客事情による出荷延期であること、(d) 「製品保管依頼書」を入手していることである。 ・日本フォームサービスでは、預かり在庫売上においては、「製品保管依頼書」の入手が最重要課題であり、製品完成の確認作業は必ずしも徹底されていなかった。そのため、顧客担当者に依頼して「製品保管依頼書」を入手することができれば、製造完了前でも預かり在庫売上を意図的に計上することが可能であった。 ・期末において、製品の空箱を用意し、それらと実箱を混在させることにより、数百箱の預かり在庫が存在するかのように見せかける偽装工作が行われたことがあった。 |
| 再発防止策 | 上記「太陽光設備設置工事売上の先行計上」を参照 |
| 内容 | 日本フォームサービスは、月次にて、月初の棚卸資産残高に当月の仕入高を加算し、月末の棚卸資産残高を控除する方法(棚卸計算法)により、売上原価を算出している。本調査において、乙が、実際の仕入購買データを削除することにより、仕入金額を過少に修正していることが確認された。具体的には、特定の子会社からの仕入に関する会計システム上のデータを事後的に削除する操作を行っていた。この仕入金額の減額操作により、棚卸計算法で算出される日本フォームサービスの売上原価は同額だけ減少し、利益が同額だけ増加した。この売上原価の操作に関し、売上高に修正は加えられていない。 |
| 原因 | 日本フォームサービスの決算上では、この仕入購買データの削除に伴い、対応する買掛金残高(仕入金額プラス消費税)も減少することになる。日本フォームサービスは、その後、買掛金残高の少なさを会計監査人から不審に思われ、過去の会計操作を隠ぺいするために、買掛金残高の増額操作を行う必要が生じ、相手勘定として建物および棚卸資産を使用し、買掛金の積み増し処理を行った。相手勘定として利用された建物および棚卸資産に関しては、資産計上後、すぐに減損および棚卸資産処分損(ともに、特別損失項目)を計上して減額処理を行っている。 |
| 再発防止策 | 上記「太陽光設備設置工事売上の先行計上」を参照 |
| 内容 | 日本フォームサービスやフォービステクノの営業在庫(製品・商品)や千葉工場の棚卸資産(原材料・仕掛品)の金額を水増しして会計システムにデータ入力していたことが確認された。具体的には、本来、実際の棚卸表の金額に基づいて会計システムにデータ入力を行うべきところ、営業在庫(製品・商品)に関して、実際の棚卸表の金額とは異なった金額(水増しした金額)を会計システムに入力することにより、また、補助材料に関して、実際の棚卸表の金額に単純に一定額を上乗した金額(水増しした金額)を会計システムに入力することにより、さらに、原材料・仕掛品に関しては、棚卸表の数量を増加処理して棚卸金額を増額させることにより、実態よりも多額の棚卸資産を会計システムに入力していた。 |
| 原因 | 日本フォームサービスの決算上では、この仕入購買データの削除に伴い、対応する買掛金残高(仕入金額プラス消費税)も減少することになる。日本フォームサービスは、その後、買掛金残高の少なさを会計監査人から不審に思われ、過去の会計操作を隠ぺいするために、買掛金残高の増額操作を行う必要が生じ、相手勘定として建物および棚卸資産を使用し、買掛金の積み増し処理を行った。相手勘定として利用された建物および棚卸資産に関しては、資産計上後、すぐに減損および棚卸資産処分損(ともに、特別損失項目)を計上して減額処理を行っている。 |
| 再発防止策 | 上記「太陽光設備設置工事売上の先行計上」を参照 |
| 内容 | 日本フォームサービスでは、支払手数料、運賃、業務委託費、雑費等の一部の本社関連・介護事業関係の費用が計上せずに放置していた。例えば、一部の水道光熱費を月遅れで計上したり、介護事業部においては、一部社員の給与の支給を遅らせることにより、期末月の人件費の計上を翌期に先送りする操作も行われていた。さらに、修繕費が固定資産の増加として処理されるケースも存在した。 |
| 原因 | 損失を縮小し利益を捻出するため |
| 再発防止策 | 上記「太陽光設備設置工事売上の先行計上」を参照 |
| 内容 | 賞与引当金の計上金額を意図的に減額する操作が行われていた。具体的には、2018年12月の賞与の支給額が10,000千円以上に達することが想定されながら、6,000千円以上の不足金額を特別賞与等の名目で処理し、10月から12月の3か月間で費用の追加計上をして積み立てることを前提に、2018年9月末の賞与引当金の計上額を4,000千円に減額して計上することとした。なお、昨年度末の賞与引当金は、10,000千円であった。2018年12月に実際に支給された賞与の金額は、13,922千円であった。 |
| 原因 | 損失を縮小し利益を捻出するため。 |
| 再発防止策 | 上記「太陽光設備設置工事売上の先行計上」を参照 |
| 内容 | 日本フォームサービスの会計担当者は、2018年9月期、2017年9月期および2018年9月期に、子会社に生じた利益を親会社の利益に付け替える処理を行っていた |
| 原因 | 親会社単体の損益を実態より良く見せるため。なお、連結損益への影響はなし。 |
| 再発防止策 | 上記「太陽光設備設置工事売上の先行計上」を参照 |
2020年2月5日のニュース「有報のCG状況の虚偽記載に初の課徴金、上場会社が今とるべき対策」でお伝えした通り、日本フォームサービスは本不正会計に加えて有価証券報告書の【コーポレート・ガバナンスの状況等】にも虚偽記載があったとして、課徴金を課されています。【コーポレート・ガバナンスの状況等】の記述の虚偽をもって課徴金が課せられたのは今回が初のケースとなります。「やっていないことは書かない」という基本原則を徹底して守るようにしなければなりません。
日本フォームサービスの第三者調査委員会は報告書で「本件粉飾決算は、監査の専門職である会計監査人がその業務を適切に行っていれば発見できたものもあったのではないかと考えられるが、会計監査人の監査の適否に対する調査は当委員会の目的外であるため、これに対する評価は加えない。」としています。同社の会計監査人(同社の有報が問題となった事業年度の当時の会計監査人)は監査法人大手門会計事務所であり、本事件発覚後、公認会計士・監査審査会は同監査法人の運営が著しく不当なものと認められるとして、金融庁に処分勧告を行っています(公認会計士・監査審査会のリリースはこちら)。社外取締役を選任していない日本フォームサービスでは、監査法人が唯一の「外部の目」として機能することができただけに、残念としか言いようがありません。