2019/12/27 2019年12月度チェックテスト第2問解答画面(正解)

正解です。
東証が2019年11月29日に公表した上場制度改正案によると、独立役員の「独立性」の判断基準に「過去10年以内に親会社又は兄弟会社に所属していた者でない」旨を追加する案となっています。「独立性」の判断基準が厳格化されたことで、従来の基準では独立役員に該当していた社外役員が独立役員に該当しなくなるケースも生じることになります(問題文は誤りです)。

こちらの記事で再確認!
2019年12月6日 東証、上場子会社のガバナンス強化の姿勢鮮明(会員限定)

2019/12/27 2019年12月度チェックテスト第1問解答画面(正解)

正解です。
定款変更議案の可決には2/3の賛成が必要であるのに対し、剰余金処分議案であれば過半数の賛成で足ります。そのため、問題文のとおり定款で「政策保有株式の早期売却」をうたうよう定款を変更する議案よりも、政策保有株式を現物配当(剰余金分配)することを提案する議案の方が可決される可能性が高いと言えます(問題文は正しいです)。

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2019年12月5日 可決可能性を左右する「株主提案の手法」(会員限定)

2019/12/27 2019年12月度チェックテスト第1問解答画面(不正解)

不正解です。
定款変更議案の可決には2/3の賛成が必要であるのに対し、剰余金処分議案であれば過半数の賛成で足ります。そのため、問題文のとおり定款で「政策保有株式の早期売却」をうたうよう定款を変更する議案よりも、政策保有株式を現物配当(剰余金分配)することを提案する議案の方が可決される可能性が高いと言えます(問題文は正しいです)。

こちらの記事で再確認!
2019年12月5日 可決可能性を左右する「株主提案の手法」(会員限定)

2019/12/26 【失敗学第67回】ナイガイの事例(会員限定)

概要

靴下やストッキングなどレッグウェアに主軸をおくアパレルメーカーのナイガイ(東京証券取引所市場第一部)の連結子会社で不正会計(在庫の水増し等)が発生した(2019年1月期通期で連結営業利益78百万円の水増し)。

経緯

ナイガイが2019年12月13日に東京証券取引所より不適切会計について「改善報告書」の提出を請求されるまでの経緯は次のとおり。

2019年
9月2日:ナイガイは、連結子会社において会計不正が行われていた可能性があることをリリース
9月11日:ナイガイは特別調査委員会を設置し、会計不正の詳細の調査を開始する(リリースはこちら)。
11⽉12⽇:ナイガイが特別調査委員会の調査報告書を公表。
11月15日:ナイガイは、過年度の有価証券報告書や決算短信等の訂正を公表(リリースはこちら)。
11⽉29⽇:ナイガイが再発防止策を公表。
12月13日:東京証券取引所は、ナイガイの不適切会計に対して「公表措置」を実施するとともに、ナイガイに対して「改善報告書」の提出を請求する(こちらを参照)。

内容・原因・改善策

ナイガイが公表した2019年11月12日付の特別調査委員会の調査報告書によると、国内子会社での会計不正の原因、再発防止策は次のとおりとされている(ナイガイでは、国内子会社の会計不正のほか、海外子会社での会計不正も発覚している)。

国内子会社での在庫水増し
内容 ナイガイの国内子会社センティーレワンの前社長は、営業利益の予算を達成させるために、子会社の経理を受託していた親会社(ナイガイ)経理財務課に対して、センティーレワンの在庫金額を水増しして報告していた。この水増しにより在庫管理システムにおけるデータ上の在庫金額と現物在庫の金額との間に乖離が生じるため、 センティーレワンの前社長は実地棚卸の際にゼネラルマネージャーに指示をして架空在庫を計上させ、不正が発覚しないようにしていた。
原因 (1)親会社(ナイガイ)における子会社管理における問題点
役職員のコンプライアンス意識に対する問題

本件に関わった⼀部役職員のコンプライアンス意識が希薄であり、重ねて基礎的な経理の知識も不足していた。また、予算達成へ過度に執着する一方で、意図的な売上調整や在庫調整などの不適切な会計操作が重大なコンプライアンス違反に該当する旨の認識に欠けていた。

子会社担当役員制の実効性の問題
ナイガイでは子会社の監督体制として、取締役、執行役員による子会社担当制を導入しているものの、実質的には、子会社の経営は子会社社長に一任されており、現場に対する具体的な監督やサポートが不足していたため、有効に機能していなかった。

経理部門における子会社経理チェック体制の不備
ナイガイの経理部門における子会社決算チェック体制については、人員が慢性的に不足しており、子会社の決算チェックに十分な体制が整えられていなかった。また、ナイガイ経理部員の子会社事業特有の商流に対する理解、認識が不足しており、業務フロー上の問題点の発見に至る可能性が低かった。さらに、子会社から提出される在庫内容等の数値に対する実在性および証憑書類等の確認作業が不足していた。

子会社に対する内部監査の不備
ナイガイでは内部監査部員の⼈員不足により子会社監査に対する十分な体制が整えられていなかったことで、内部監査機能が十分に働いていなかった。

子会社社長の選任・再任に関する問題
ナイガイでは子会社社長の選解任基準および任期、再任基準についての明確な規定がなく、一部子会社では同一人物による長期にわたる社長在任を許す結果となり、子会社社長への権限の集中と、経営のブラックボックス化を生じさせる可能性を見過ごしていた。

(2)国内子会社(センティーレワン株式会社)における問題点
ガバナンス体制の不備

センティーレワンでは社長の在任期間が長期にわたるとともに全権限が社長に集中しており、社内牽制がまったく効いていなかった。また、ナイガイよりアサインされた非常勤取締役、監査役による監督も十分ではなかった。

組織・人事の問題
管理部門機能が不存在で、経理知識に乏しい少人数の業務課社員が社長の指示で決算対応をしていた結果、すべての経理処理判断は事実上社長の一任で行われており、さらに、縦割り組織の弊害で従業員の他部門への関心が薄く、問題・疑問を感じたとしても、あえて声を上げる者がおらず、社員間の相互牽制機能が働かなかった。

管理会計および会計システムの不備
センティーレワンには管理会計制度がなく、事業進捗に係るKPIもないため、業績管理は社長のみが知る体制となっており、他の役職員によるチェック機能が欠落していたこと。また、在庫管理のシステムと販売管理のシステムが別々に存在しており、自動連携機能がなかったため、仕入れ~販売~在庫の一連の商流を一元的に把握する仕組みとなっていなかった。さらに、システム操作責任者が在庫管理のシステムデータを容易に改竄できる環境にあった。これらの要因が複合的に重なり、不適切な会計処理を容易に行える環境となっていた。

子会社社長による不正の実行
社長自身が独断で予算利益達成のための在庫操作を実行していたため、牽制が効きにくかった。

再発防止策 (1)親会社(ナイガイ)における再発防止策
コンプライアンス意識の醸成と企業風土改革

・全従業員に対するコンプライアンスが予算達成に優先するという意識付けの徹底
・部ごとに定期的な対話会を実施し、部内コミュニケーションの促進を図るとともに、相互牽制効果を醸成
・イントラネット上に身近な疑問に答える「コンプライアンス相談室(仮称)」を設置
・経営トップによる定期的な浸透度モニタリングラウンドの実施(改革の定着化)
・コンプライアンス違反による処罰規定の見直しと周知を図り、不正行為に対する抑止効果を醸成
・内部通報制度の利用方法等について、全役職員へ周知徹底を図るとともに、海外子会社においても内部通報制度を利用できる仕組みを構築

親会社の執行役員、子会社社長の選任、再任方法の見直し
親会社の執行役員、子会社社長の選任、再任人事は次のプロセスを経るようにする。
・親会社の代表取締役社長が候補者を指名
  ↓
・監査等委員である取締役により、資質、業績成果、任期期間等の妥当性について面談審査を行う
  ↓
・監査等委員会の同意を得た人事に限り、取締役会において決定

親会社の執行役員、子会社社長および子会社常勤役員に対する教育
親会社の執行役員、子会社常勤役員に就任する者に対しては、コンプライアンス教育、経営管理教育を十分に行い、ナイガイ取締役会において、定期的な経営管理状況のモニタリング(ヒアリング等)を行い、適宜継続的な指導を行う。

親会社管理部門による子会社管理機能強化
経理部員を増員し、子会社担当者を明確に定めた上で、決算報告書内容の正確性を必ずチェックする。
海外子会社については事業監督を務める事業担当役員とは別に、子会社の決算を監督する経理担当役員を任命し、子会社決算のプロセスおよび適正性をチェックし、指導を行う。
国内子会社のすべてにおいて、監査役をナイガイの常勤監査等委員である取締役が務める。
当社の子会社担当役員は、子会社社長の監督並びにガバナンス体制の監督に責務を負うことを明確にして、親会社取締役会で定期的に報告する。

内部監査機能の強化
内部監査部員の増員による子会社監査専任者の任命と子会社監査のルーティン化を行い、グループ内部統制監査の実効性を強化する。

(2)子会社(センティーレワン株式会社)における再発防止策
経営ガバナンス体制の刷新

取締役会の実効性改善のために、取締役会を四半期ごと開催から月次開催に改めるとともに、取締役のほか、オブザーバーとして管理職を出席させ、現場実態の報告をさせることで情報共有を促進し、事業進捗のモニタリング体制を整えて実行する。
子会社担当役員によるサポート・監督の実効性を担保するため、当社子会社担当役員が子会社の営業会議等へ出席し現場実態を定期的にモニタリングする。

管理部門機能の設置と人員強化
親会社経理部所属部員を経理担当者として現地に配置することで、管理会計資料の作成および決算帳簿の作成管理を行わせる組織体制とする。
経理担当者が、自ら取締役会および親会社経理部への月次報告を行うようにする。

管理会計制度の導入による相互牽制体制の構築
管理会計フォーマットを作成し、月次決算進捗を全役職員と社内共有し、営業会議で相互モニタリングができる仕組みを構築する。
経理処理の業務フローを明文化し、決算チェックポイントを管理職以上で共有する。
全役職員に経理処理のルール教育を実施し、無知、無理解による不適切な経理処理の見逃しを予防できる組織知見を醸成する。

会計管理ITシステムの再構築
仕入れ・販売・在庫の一元管理システムを構築し、人為的な操作やミスが起こらないIT環境を整える。
親会社(ナイガイ)のシステム部門において、子会社のIT統制監視を行うルールを定め、データアクセス権限等セキュリティー管理を徹底する。

職場環境・風土の改革
定期的な計画人事ローテーションを行い、組織・人事の硬直化、属人化を回避し、活性化を図ることで社内の風通しをよくし、相互協力および牽制機能を回復させる風土改革に取り組む。

<この失敗から学ぶべきこと>

ナイガイでは、子会社社長による「予算への執着」が会計不正の契機となり、ガバナンスの不在や内部統制の不備が会計不正を許す結果となってしまいました。「予算への執着」は目標達成に向けてのモチベーションになる一方で、度が過ぎると「多少の不正をしてでも・・・」という発想になりがちです。攻めのガバナンスの観点からは、予算への執着を適度に持たせるためのかじ取りが重要となってきます。

改善策で注目したいのは「取締役会を四半期ごと開催から⽉次開催に変更」です。子会社では取締役会の開催を会社法の要請のギリギリの水準である四半期ごとに留めている会社が少なくありません。しかし、親会社から監査役を出している以上、ガバナンス(親会社による子会社管理)の実効性を高めるためには子会社における取締役会の開催頻度も重要となってきます。

また、「経営トップによる定期的な浸透度モニタリングラウンドの実施」も目を引く改善策です。不正が起きたあと、単に改善項目を列挙するだけの会社が少なくない中、改善に向けての進捗状況をPDCAで管理していく姿勢は、不正を起こしていない企業でも自社の弱点を改善するにあたって見習いたい施策と言えます。

2019/12/26 勉強会「コニカミノルタのコーポレートガバナンスと取締役会の事務局運営」開催のお知らせ

2020 年1 月17 日(金) 16:00〜17:30(講演40 分、フリーディスカッション50 分)

日本コーポレートガバナンス研究所(JCGR)の勉強会 第1回「コニカミノルタのコーポレートガバナンスと取締役会の事務局運営」が開催されます(講師:コニカミノルタ株式会社 取締役会室長 齊田 隆 氏)。

上場会社役員ガバナンスフォーラムの会員は参加費が割引(5千円→3千円)になります。

定員30名となっておりますので、参加ご希望の方はお早目にお申し込みください。

詳細はこちら

お申し込みは、お名前、会社名等、上場会社役員ガバナンスフォーラムの会員である旨(参加費の割引のため)を記載の上、日本コーポレートガバナンス研究所 藤島 様 fujishima@jcgr.org にメールをお送りください。

どうぞよろしくお願い致します。

2019/12/25 CGコードの一部が強制適用の可能性、ジャスダック企業にもフル適用へ

日本シェアホルダーサービス株式会社
シニアアナリスト 水嶋 創

 
金融庁の金融審議会は12月27日、東京証券取引所の市場構造の見直しの方向性をとりまとめた報告書(金融審議会市場ワーキング・グループ 市場構造専門グループ報告書)を公表する。12月24日には同報告書案が公表されているが、12月25日に開催された市場構造専門グループの第6回会合(以下、第6回会合)を踏まえ若干の修正(後述)が行われる予定となっているものの、ほぼ「案」のとおりの内容になるものと思われる。

東証の株式市場は「プライム」「スタンダード」「グロース」の3つに再編されるが(新市場のコンセプト等については2019年12月20日のニュース「東証市場改革、“背伸び”を選択した企業に課される負荷」参照 引用:上場会社役員ガバナンスフォーラム)、このうちプライム市場に上場するには、流通時価総額(100億円目途)と流通株式比率(現行35%)の2つの基準をクリアする必要がある(同案3~4ページの脚注3参照)。

流通時価総額 : 流通株式数(上場株式数から「役員所有株式数」「自己株式数」「上場株式数の10%以上を所有する者が所有する株式数」を控除した数を流通株式数)に時価を乗じた額(文責;上場会社役員ガバナンスフォーラム)
流通株式比率 : 流通株式数を上場株式数で除した値(文責;上場会社役員ガバナンスフォーラム)

もっとも、これらの基準には「経過措置」が設けられており、まず・・・

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2019/12/25 CGコードの一部が強制適用の可能性、ジャスダック企業にもフル適用へ(会員限定)

日本シェアホルダーサービス株式会社
シニアアナリスト 水嶋 創

 
金融庁の金融審議会は12月27日、東京証券取引所の市場構造の見直しの方向性をとりまとめた報告書(金融審議会市場ワーキング・グループ 市場構造専門グループ報告書)を公表する。12月24日には同報告書案が公表されているが、12月25日に開催された市場構造専門グループの第6回会合(以下、第6回会合)を踏まえ若干の修正(後述)が行われる予定となっているものの、ほぼ「案」のとおりの内容になるものと思われる。

東証の株式市場は「プライム」「スタンダード」「グロース」の3つに再編されるが(新市場のコンセプト等については2019年12月20日のニュース「東証市場改革、“背伸び”を選択した企業に課される負荷」参照 引用:上場会社役員ガバナンスフォーラム)、このうちプライム市場に上場するには、流通時価総額(100億円目途)と流通株式比率(現行35%)の2つの基準をクリアする必要がある(同案3~4ページの脚注3参照)。

流通時価総額 : 流通株式数(上場株式数から「役員所有株式数」「自己株式数」「上場株式数の10%以上を所有する者が所有する株式数」を控除した数を流通株式数)に時価を乗じた額(文責;上場会社役員ガバナンスフォーラム)
流通株式比率 : 流通株式数を上場株式数で除した値(文責;上場会社役員ガバナンスフォーラム)

もっとも、これらの基準には「経過措置」が設けられており、まず流通時価総額の基準については、たとえこれを満たしていなくても、「より高いガバナンスについてのコミットメントを行う限りにおいて」、現1部上場企業が希望すればプライム市場への上場およびその維持が認められる。プライム市場への上場を希望する現1部上場企業には、コーポレートガバナンスコードの各原則について、コンプライするか十分なエクスプレインをすることが求められることになる。一方、もう一つの基準である流通株式比率を満たさない現1部上場企業がプライム市場への上場を希望する場合には、流通株式比率向上に向けた取組等の策定・開示が必要になる。逆に言うと、例えば流通時価総額 、流通株式比率の両方の基準とも満たしていなくても、「ガバナンスへのコミット」と「開示」により、“プライム市場上場企業”となることができるということだ(同案5ページ下部の「③経過措置」参照)。要するに、現1部上場企業を事実上格下げするようなドラスティックな市場構造改革はやはり難しかったということだろう。

ただし、その分、「ガバナンス」については相当程度の強化が見込まれる点、企業としては要注意だ。実際、12月25日に開催された第6回会合において中心となったテーマも「ガバナンス」であった。まず注目されるのは、コーポレートガバナンス・コード(以下、CGコード)の一部の原則の強制適用だ。第6回会合でも「上場基準として具体的に規定することが適切かどうか」という点が議論となっている。この点について市場構造専門グループの委員の1人からは、「CGコードの原則は、必ずしも全ての企業に適用することがふさわしくないからこそ、法律ではなくコードとして規定され、Comply or Explainの考え方が採用されているのであり、例えば特定の原則について、Explainの可能性を排除して強制適用することは望ましくない」旨の意見もあった一方、「プライム市場のコンセプト(多くの機関投資家の投資対象になりうる高いガバナンス水準を備えている等)を踏まえると、特に海外投資家が重視している項目については、上場基準として強制適用していくこともありうる」との意見も出ている(一例として、「役員の報酬決定に関する委員会の設置」が示された)。報告書案にも「プライム市場にふさわしいガバナンスの内容として最低限満たすべき事項については、上場基準で規定すべきではないか、との意見があった。」と明記されている(同案5ページの脚注7参照)。報告書案は25日の議論を踏まえて若干の修正が行われる予定となっており、この問題については「両論併記」となることが見込まれている。

また、現在、ジャスダック上場企業にはガバナンスコードの「基本原則」のみが適用されているが、現2部市場とジャスダック・スタンダード市場を合体させるイメージで創設される「スタンダード市場」では、CGコードがフル適用される点にも要注意だ(同案7ページの一番上参照)。

仮にCGコードのうち一部の原則が上場基準に組み込まれ「強制適用」となった場合、従来のコーポレートガバナンス報告書上の記載も再検討する必要が出て来る可能性もある。企業としては、27日に公表される報告書を受け、今後は東証に検討の場が移る株式市場構造の見直し議論の動向と併せて、来年以降のCGコード改訂の検討状況を注視する必要がある。また、今のうちから、上場基準に組み込まれる可能性のある「機関投資家が重視するガバナンス項目」は何かという視点をもってCGコード対応にあたるべきであろう。

2019/12/24 CFA協会調査で判明 いまだ根強い改正外為法への“疑念”

安全保障上重要な日本企業に対する外国資本の出資・買収を規制する外為法(外国為替及び外国貿易法)改正案が(2019年)11月22日、国会で成立したが、この改正に対しては、「海外からの投資意欲を減退させる」との批判の声があることは既報のとおり(2019年11月1日のニュース「外国資本の出資等を規制する外為法改正案についてACGAが財務省にレター」参照)。こうした中、機関投資家の中にも取得者が多い国際的な投資プロフェッショナル資格「CFA(Chartered Financial Analyst)」の運営団体である日本CFA協会とCFA協会(アジアパシフィック)は12月16日、同法案に対する投資家等の意識調査(11月15日~27日において実施)の結果を公表した(「外国為替及び外国貿易法(FEFTA)の一部を改正する法律案」に関する日本CFA協会とCFA協会(APAC)による共同調査結果について)。それによると、・・・

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2019/12/24 CFA協会調査で判明 いまだ根強い改正外為法への“疑念”(会員限定)

安全保障上重要な日本企業に対する外国資本の出資・買収を規制する外為法(外国為替及び外国貿易法)改正案が(2019年)11月22日、国会で成立したが、この改正に対しては、「海外からの投資意欲を減退させる」との批判の声があることは既報のとおり(2019年11月1日のニュース「外国資本の出資等を規制する外為法改正案についてACGAが財務省にレター」参照)。こうした中、機関投資家の中にも取得者が多い国際的な投資プロフェッショナル資格「CFA(Chartered Financial Analyst)」の運営団体である日本CFA協会とCFA協会(アジアパシフィック)は12月16日、同法案に対する投資家等の意識調査(11月15日~27日において実施)の結果を公表した(「外国為替及び外国貿易法(FEFTA)の一部を改正する法律案」に関する日本CFA協会とCFA協会(APAC)による共同調査結果について)。それによると、115件の回答中70%が同法の改正に反対、86%は日本株市場に対する投資にネガティブなインパクトを与えると回答した。

今回の外為法改正は「安全保障上重要な日本企業への出資規制の強化」が目的とされているが、要するに外国人投資家に課される「株式保有の事前届出」の条件変更であり、改正後は事前届出が必要となる株式の保有割合がこれまでの10%から一気に「1%」へと引き下げられる。「1%」とは株主総会において株主提案を行うために必要となる議決権割合であり、しかも改正外為法では、日本企業の株式の1%以上の株式を保有する外国人投資家がこの事前届出を免除されるための条件として「重要な事業の売却や役員の選任を提案しないこと」が挙げられているため、一部の外国人投資家の間では「この外為法改正は安全保障以外のこと(例えばアクティビストの排除)を目的にしているのではないか」と疑う声が聞かれる。今回のCFA協会の調査に対し回答があった115件の半数はアセット・マネージャー(運用機関)、そのうち4割は外国人投資家であり、上記調査結果は、改正外為法に対する外国人投資家の懸念を改めて示す格好となった。6件の回答者は「取締役選任や企業戦略に対する株主提案権は重要な株主の権利であり、本改正はそのような権利を縛る試みではないか」とし、「本改正は企業へのエンゲージメントを抑制する影響をもたらす」と述べている。

財務省による「外国銀⾏、外国保険会社及び外国運⽤会社が⾏う取引は、対象銘柄に関わらず、事前届出免除の対象とする」ことや(「外国為替及び外国貿易法の⼀部を改正する法律案」について 令和元年10⽉25⽇改訂 6ページ参照)、「事前届出対象業種の追加はない」(外為法改正案についてのよくある質問 Q1参照)といった説明を受け、外為法改正を巡る“騒動”も以前よりは落ち着きを見せているものの、財務省の説明がリリースされた後に実施(11月15日~27日)された本調査結果が示すように、いまだ外国人投資家の懸念は根強い。

改正外為法は公布の日(2019年11月29日)から起算して6か月を超えない範囲内で施行されることになっており、2020年春には施行される見込み。日本企業への投資が細ることのないよう、財務省をはじめとする関係機関には、外国人投資家に対するさらなる周知活動が期待される。