2019/09/06 不正の温床 “隠れ子会社”の有無の確認を(会員限定)

上場企業にとって、「創業家」の存在はメリットとデメリットの両方を併せ持つと言われる。創業時を知る古参の従業員にとって創業者は精神的支柱であり、創業者が引退した後も折に触れて創業家が求心力を発揮するという話はしばしば耳にする。また、創業家が経営に関わる同族経営の方が長期的視野に基づく経営を行いやすく、利益率も高くなる傾向にあることから、創業家の存在は投資家にとっても必ずしもネガティブなものではない(投資家の同族経営に対する評価は2018年11月13日のニュース「オーナー色の強い上場企業に見られる共通点」を参照)。一方で、創業家やその“取り巻き”が会社を私物化し、その結果、ガバナンスが低下するとともに不正を引き起こすリスクが否定できないということは「デメリット」と言える。

創業者である前代表取締役が逮捕されるという衝撃的な事件が起きたすてきナイスグループ(東証一部)では、創業家、とりわけ平田恒一郎前代表取締役会長による経営に対する強い影響力が不正(同社における不正の内容や前代表取締役会長の不正への関与については【失敗学第62回】すてきナイスグループの事例を参照)の原因の一つであったとして、「創業家(平田家)との決別」の方針を固め、「創業家との関係整理委員会」を設置することとなった(同社のリリースはこちら)。創業家が存在することのデメリットが表面化したのが同社のケースと言えよう。

同社の「創業家との関係整理委員会」は外部の弁護士を中心に構成され、今後は以下のような形で創業家との関係の整理を図っていく方針を示している。

・平田家、または同家と密接な関係を有する元取締役および元監査役等の排除
・平田家の当社グループに対する影響力の排除
・平田恒一郎前代表取締役会長が支配している会社(平田氏が実質的に株式を有するエイワグループなど)との取引関係の解消または正常化

「創業家との関係整理委員会」の活動は社外役員の監督に服する。具体的には、同委員会の活動の方針や進捗状況は適宜社外役員に報告され、社外役員が内容をチェックする。

さらに同社では、指名・報酬委員会のメンバーを刷新し、今後は社外取締役2名(うち1名が委員長となる)と現代表取締役社長の合計3名による体制とする。創業家の影響力を排除しつつ、社外役員による監督機能の強化を図る。

日本の上場企業の概ね半数が同族経営の下にあるとされ、このような企業にはすてきナイスグループで起きた問題が生じ得る素地がないとは言い切れない。すてきナイスグループにおける不正の大きな原因となった創業家が実質支配する “隠れ子会社”(自社の持分がゼロで現状は子会社として扱っていないものの、実態を考慮すると連結(ゼロパーセント連結)すべき会社)との取引は存在していないか――管理担当取締役や監査役は定期的に確認しておくべきだろう。

2019/09/05 独立性の説明なければ「独立性なし」と“推定”される恐れ

2019年6月株主総会における国内機関投資家の議決権行使の個別開示結果が概ね出揃った。そこで当フォーラムでは、時価総額上位企業(2019年8月末現在)の株主総会で反対行使(株主提案議案については賛成行使)が目立った議案を分析する。・・・

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2019/09/05 独立性の説明なければ「独立性なし」と“推定”される恐れ(会員限定)

2019年6月株主総会における国内機関投資家の議決権行使の個別開示結果が概ね出揃った。そこで当フォーラムでは、時価総額上位企業(2019年8月末現在)の株主総会で反対行使(株主提案議案については賛成行使)が目立った議案を分析する。

初回は時価総額第1位のトヨタ自動車をとり上げる。

議案 内容 賛成率
第1号議案 取締役9名選任 【会長】内山田竹志 93.08%
【副会長】早川茂 97.11%
【社長】豊田章男 97.45%
小林耕士 96.98%
ディディエ・ルロワ 97.10%
寺師茂樹 97.11%
【社外】菅原郁郎 98.31%
【社外】フィリップ・クレイヴァン 96.91%
【社外】工藤禎子 96.17%
第2号議案 監査役4名選任 加藤治彦 94.74%
小倉克幸 94.71%
【社外】和気洋子 98.34%
【社外】小津博司 98.34%
第3号議案 補欠監査役1名選任 【社外】酒井竜児 87.95%
第4号議案 取締役の報酬額改定(譲渡制限付株式の付与) 付与数:会社業績や職責、成果等を踏まえて毎年設定
譲渡制限期間:3~50年
97.25%

ほぼ全議案が90%以上の賛成率を確保している中で唯一、補欠監査役選任議案の賛成率が80%台と反対票が目立つ結果となった。同議案に対しては、野村アセットマネジメント、三菱UFJ信託銀行、アセットマネジメントOneが反対票を投じたことが確認された。反対の理由として、野村アセットマネジメントは「独立性に対する当社基準を満たさないため」、三菱UFJ信託銀行は「独立性の観点から問題があると考えるため」としている。アセットマネジメントOneは個別議案について反対理由を説明していないが、総論として「企業からの独立性が十分に確保されていない場合」には反対したと説明していることから、本議案もこのケースに該当した可能性が高い。

補欠監査役候補の酒井氏は長島・大野・常松法律事務所のパートナー (現任)で、同議案には独立性について特段の記載はない。そのため、多くの国内機関投資家が「記載なし≒問題なし」と解釈して賛成した一方、上記の3社については「記載なし➜“推定”問題あり」と判断して反対票を投じたものと思われる。上場企業各社は、補欠監査役であっても独立性の説明は欠かせなくなってきているという認識を持つべきだろう。

次に低い賛成率となったのが、取締役会長を候補者とする取締役選任議案だ。もっとも、当フォーラムが調査した範囲では、少なくとも大手の国内機関投資家が同議案に反対したとの個別開示は見受けられない。外国人機関投資家による反対行使が一定以上あったものと推測される。株主総会後の同社取締役会の構成は9名中3名が社外取締役となっているが、3名の社外取締役候補者のうちの1人であった工藤氏はトヨタ自動車のメインバンクである三井住友銀行の常務執行役員であり、同氏の独立性が毀損していると判断した外国人機関投資家が、取締役会が独立性基準(「取締役会の3分の1以上を独立社外取締役が占めていること」など)を満たしていないとして、コーポレートガバナンスの責任者である会長の選任議案に反対した可能性がある。「3分の1基準」は今後、国内機関投資家においても広がることが見込まれており(例えば三菱UFJ信託銀行は来年から導入することを発表済み)、賛成率に対する影響は大きくなることが予想される。

このほか、監査役選任議案においては、2名の社内監査役候補者の賛成率がともに94%台と比較的低水準となっている。本議案についても国内機関投資家が反対したとの個別開示は見受けられなかった。株主総会後の同社監査役会の構成は6名中の3名が社外監査役となっており、監査役会については社外監査役が過半数であることを求める議決権行使助言会社大手・グラスルイスのポリシーに反する。したがって、同社の助言を受けている外国人機関投資家が反対票を投じたと考えられよう。

2019/09/04 英国大手企業の経営トップ報酬について指摘された問題点 (会員限定)

経営者報酬のあり方については、金額、インセンティブ報酬(株式報酬など)の割合、決定プロセス(報酬委員会委員会への諮問など)、さらには2019年3月決算の有価証券報告書から大幅な充実が求められることとなった開示など、検討しなければならない論点は多い(【2019年3月の課題】補充原則4-10①をエクスプレインした企業における報酬委員会に関する開示 参照)。こうした中、欧米における経営者報酬を巡る動向は日本企業にとっても参考になる部分が少なくない。

英国の人事・人材開発の専門機関である人材開発協会(Chartered Institute of Personnel and Development)と独立系シンクタンクHigh Pay Centreは(2019年)8月21日、FTSE100構成企業のCEO報酬に関する最新レポート「Executive Pay in the FTSE 100」(以下、レポート)を公表したが、それによると、CEO報酬の中央値は約4.5億円(3.46百万ポンド)と、前年よりも13%減少したことが分かった。ただ、CEO報酬の中央値はフルタイム従業員の給与の中央値の117倍と依然高水準にある。近年、英国を含む欧米では経営者報酬と従業員の給与の格差が社会問題化している。レポートでも「高額なCEO報酬の妥当性に関する説明が不十分」と指摘されているように、この問題は未だ改善の兆しが見えていない。日本企業ではここまでの格差はないとはいえ、株式報酬の導入などにより日本企業の経営者報酬も上昇傾向にある中、従業員給与との格差は意識しておく必要があろう。

FTSE : ロンドン証券取引所に上場する時価総額上位100銘柄で構成される株価指数である「FTSE100」のほか、FTSE100に次ぎ時価総額が大きい250銘柄で構成される「FTSE250」、FTSE100とFTSE250の両指数の銘柄で構成される「FTSE350」、小型株で構成される「FTSE SmallCap Index」、FTSE350とFTSE SmallCapの両指数の銘柄で構成される「FTSE All Shares」、ロンドン証券取引所の新興市場(AIM)の銘柄で構成される「FTSE AIM」がある。

またレポートでは、CEO報酬の算定方法についても課題を挙げている。具体的には、①CEO報酬の算定根拠となる指標が複雑で、投資家等にとって分かりにくい、②CEOに支給された報酬額は、株価や時価総額などとの関連性はあるものの、「CEO自身」の業績、人材育成やダイバーシティの実現といった非財務指標に基づく評価が不十分――といった点が指摘されている。

これらの課題を改善するため、レポートでは、①報酬制度の簡素化、②報酬額と非財務指標(人材の育成(ex.離職率)やダイバーシティの推進など)との連動性を高めること、③報酬委員会の機能拡大、④開示対象の拡大――を提言している。

このうち①の「報酬制度の簡素化」は一部の日本企業でも指摘されており(2019年5月22日のニュース「業績連動給与を損金算入したい企業におすすめの開示上の工夫」参照)、投資家等の間では万国共通の要望となっている。なかには、報酬制度が複雑すぎて経営者自身がよく理解していないとの指摘もある。こうした中、レポートでは、業績と連動した簡潔な報酬制度が推奨されている。

③の「報酬委員会の機能拡大」においては、CEOの業績・行動のほか、企業文化や従業員の給与を議論の対象とすることや、報酬委員会の委員に従業員などの自社の利害関係者や人事の専門家を加えること、さらに同委員会内に「従業員と文化」に関する委員会を設立するというユニークな提案も盛り込まれている。

④の開示対象の拡大としては、経営幹部や報酬額上位1%の役職員を開示対象とすることが提案されている。

レポート全体を見渡すと、「従業員」に配慮した提言が目に付く。(2019年)8月19日には、JPモルガン・チェースのダイモンCEOが会長を務め、セネラル・モータースのバーラCEOやアマゾン・ドットコムのベソスCEOなど米国の主要企業の経営トップがメンバーとなっている米国の経営者団体「ビジネス・ラウンドテーブル」が、従来の「株主第一主義」を見直し、従業員や地域社会などの利益を尊重した経営に取り組むことを宣言し大きな話題を呼んだところ。その背景には、米国大企業における高額な経営者報酬に象徴される所得格差があるものとみられるが、今回のレポートで、報酬委員会の機能拡大として従業員への配慮を念頭においた提言がなされたことは、同様の流れを汲むものと言えそうだ。さらに英国では、2020年より「従業員250人以上」の上場企業に対し、CEOと従業員の報酬格差の公表が義務付けられる。「従業員」目線に立った経営者報酬規制の強化が欧米で広がった場合、日本企業にも少なからず影響を与える可能性もあろう。

2019/09/04 英国大手企業の経営トップ報酬について指摘された問題点

経営者報酬のあり方については、金額、インセンティブ報酬(株式報酬など)の割合、決定プロセス(報酬委員会委員会への諮問など)、さらには2019年3月決算の有価証券報告書から大幅な充実が求められることとなった開示など、検討しなければならない論点は多い(【2019年3月の課題】補充原則4-10①をエクスプレインした企業における報酬委員会に関する開示 参照)。こうした中、欧米における経営者報酬を巡る動向は日本企業にとっても参考になる部分が少なくない。・・・

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2019/09/03 フリンジベネフィットの開示

周知のとおり、コーポレートガバナンス関連の開示ルール(開示府令)の見直しの一環で、2019年3月決算の有価証券報告書から役員報酬に関する開示内容の大幅な充実が求められたところだ(【2019年3月の課題】補充原則4-10①をエクスプレインした企業における報酬委員会に関する開示 参照)。

今回の改正では、各取締役の報酬額を社長等に「一任」することについて、金融庁が「たとえ役員報酬の(全体ではなく)一部でも一任している部分があればその旨を開示すべき」との考えを示すなど(「開示府令案に対するパブリックコメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方」のNo.61 参照)、社長等への報酬額決定一任に焦点が当たったが、今後注目を浴びることになりそうなのが・・・

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2019/09/03 フリンジベネフィットの開示(会員限定)

周知のとおり、コーポレートガバナンス関連の開示ルール(開示府令)の見直しの一環で、2019年3月決算の有価証券報告書から役員報酬に関する開示内容の大幅な充実が求められたところだ(【2019年3月の課題】補充原則4-10①をエクスプレインした企業における報酬委員会に関する開示 参照)。

今回の改正では、各取締役の報酬額を社長等に「一任」することについて、金融庁が「たとえ役員報酬の(全体ではなく)一部でも一任している部分があればその旨を開示すべき」との考えを示すなど(「開示府令案に対するパブリックコメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方」のNo.61 参照)、社長等への報酬額決定一任に焦点が当たったが、今後注目を浴びることになりそうなのが「フリンジベネフィット」だ。フリンジベネフィットとは、企業が役員や従業員に対して付与する賃金や給与以外の経済的利益であり、代表的なものとして、通勤費用や住居費などがある。

日本企業でも役員に対し何らかのフリンジベネフィットを付与しているところは少なくないが、これを「役員報酬」として開示対象とするかどうかは、会社法上役員報酬としているかどうかによる。時折、役員社宅に関する経済的利益を役員報酬枠に含め、株主総会に付議している企業を見かけるが、日本企業の場合、このようにフリンジベネフィットを役員報酬とするかどうかは、税務上の取扱いに依拠しているのが実状だ。例えば役員に対して社宅を貸与する場合、役員から「税務上の賃貸料相当額」を上回る家賃を受け取っていれば、たとえ社宅の借上げに要した費用が役員から受け取る家賃を上回っていたとしても、給与として課税されることはない(「税務上の賃貸料相当額」の求め方については国税庁タックスアンサー No.2600 役員に社宅などを貸したとき 参照)。つまり、税務上、役員報酬として課税されないのであれば、会社法上も役員報酬として株主総会に付議することもないというのが、現在の日本企業のプラクティスとなっている。

ただ、このプラクティスは今後変わってくる可能性がある。その背景にあるのが欧米の動向だ。欧州では今年、フリンジベネフィットに関するガイドラインが公表され、実際に企業の開示例が出て来ている。また、米国では以前からフリンジベネフィットに関する開示が進んでいる。

日本の上場企業でも外国人の役員がいるところでは、通勤費用、住居費といった一般的なフリンジベネフィット以外にも、例えばリゾートクラブのメンバーシップなどを付与しているケースがある。また、日本人役員についても、例えば東京在住の役員が東京以外の大都市に転勤になり、その住居費の相当部分を会社が負担することとしたところ、現金報酬や株式報酬を加えると1億円以上になってしまうといった場合、果たしてフリンジベネフィット部分を開示対象としなくてよいのかという疑問がわく。同様に、役員のみ、あるいは役員の中でも一部の幹部だけが利用できる会社施設がある場合、当該施設に関する費用を開示すべきかという問題も起こり得る。

上述のとおり、現在のところ「会社法のルールに従い、(役員報酬に該当するのであれば)開示する」ことになるが、欧米企業ではフリンジベネフィットも開示対象とされていることを踏まえると、日本企業においても、少なくとも報酬委員会(任意のものを含む)で議論の対象とし、取扱い(開示対象とするか否か)を決めるというプロセスを踏むことが、今後のプラクティスになっていくことも考えられる。このように日本企業におけるプラクティスが変化してきた場合、開示ルールの見直し議論に発展する可能性もありそうだ。

2019/09/02 世界的な広がりを見せる環境対策が実はほとんど意味なし?

地球温暖化や海洋汚染といった環境問題に対する世間の関心が高まる中、企業にとって、環境問題に取り組む姿勢の如何が自社商品や自社そのもののブランド価値をも左右するようになりつつある。既に行動を起こしている企業も少なくないが、それが実際に環境問題の改善に貢献しているかというと、そうとは限らない。それを象徴するのが、・・・

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2019/09/02 世界的な広がりを見せる環境対策が実はほとんど意味なし?(会員限定)

地球温暖化や海洋汚染といった環境問題に対する世間の関心が高まる中、企業にとって、環境問題に取り組む姿勢の如何が自社商品や自社そのもののブランド価値をも左右するようになりつつある。既に行動を起こしている企業も少なくないが、それが実際に環境問題の改善に貢献しているかというと、そうとは限らない。それを象徴するのが、欧米や日本など各国の企業で広がるプラスチック製ストロー廃止の流れだ(2018年11月2日のニュース「情報漏洩企業も対象に “気候変動以外”の投資撤退要因」参照)。

プラスチック製ストローは、鼻にストローが刺さったウミガメの動画がSNSにより拡散したことも手伝い、海洋汚染の“象徴”として世界的な批判を浴びることとなった。こうした批判を受け、コーヒーチェーンやファミレスなどの外食産業をはじめ、航空会社、ホテル、エンターテイメント企業など、国内外の様々な業界の企業の間で、プラスチック製ストローの廃止、紙製ストローへの切り替えといった動きが広がりを見せている。

確かに、推計で毎年1千万トンが海に流れ込んでいると言われるプラスチックごみが海洋汚染、さらには海洋生態系に与える影響は決して小さくないが、実は他のプラスチック製品を含む海洋ごみ全体に占めるプラスチック製ストローが占める割合は0.1%にも満たない。すなわち、海洋汚染の改善という意味では、プラスチック製ストローを廃止するインパクトは極めて小さいというのが現実だ。

ESGの専門家からは、現状、環境問題に対する企業のアプローチは、コストをかけずに自社のイメージアップを図るための表面的な対応に過ぎないものが少なくないとの指摘も聞かれる。ESG投資の広がりや環境問題に対する関心の高まりを踏まえ、統合報告書等で「E(環境)」への対応をアピールする企業が増えているが、形だけの取り組みは投資家にもいずれ見抜かれることになる。コスト面を考え、つい“手軽な”取り組みを選択しがちな企業の心理も理解できるが、環境問題への対応が待ったなしの状況となる中、企業にはより本質的な取り組みが求められることになるだろう。ここでいう「本質的な取り組み」とは、例えば自社の商品の製造プロセスや原材料そのものを見直したり、原材料の伐採、収穫、採掘などをやめたりといったことであり、その方がプラスチック製ストローを廃止するよりも環境問題改善へのインパクトははるかに大きい。

ESG : ESGとは、「Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の頭文字を組み合わせたもので、近年、特にグローバル機関投資家の間で、企業の投資価値を測る評価項目としての地位を確立しつつある。
ESG投資 : 「Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」に優れた企業に投資することをいう。

コストの制約の中で、自社が何をいつまでにどの程度達成することができるのか、経営陣は真剣に議論する時期に来ていると言えよう。

2019/09/01 消費税増税に伴う会費の変更について

2019年10月1日に予定している消費税増税に伴い、税込価格の会費が変更になります。
<変更後の価格>
毎月払いの場合  3,850円(消費税込)
年払いの場合  38,500円(消費税込)

なお、2018年8月31日以前にご入会いただいた会員様におかれましては下記のとおりとなります。
<変更後の価格>
毎月払いの場合  2,200円(消費税込)
年払いの場合  22,000円(消費税込)