2019/06/26 監査報告書における「監査上の主要な検討事項(KAM)」とは

概略

2021年3月決算に係る財務諸表の監査から、監査人の監査報告書においてKAM(Key Audit Mattersの略)を記載させる制度がスタートしました。KAMとは「監査上の主要な検討事項」のことです。
KAMの開示により、財務諸表の利用者は監査人がどのような項目に特に注意を払って監査を実施したのかを知ることができるため、監査人が実施した監査の透明性が向上し、監査報告書の情報価値が高まることが期待されています。本講義ではKAMとは何か、監査報告書の透明化が求められる背景を解説したうえで、KAMの実例の分析結果をご紹介します。

【講師】EY新日本有限責任監査法人 菅沼 淳 公認会計士
【講義時間】21分14秒
【目次】 
1 監査基準の改訂の概要
2 実例分析

セミナー資料 監査報告書における「監査上の主要な検討事項(KAM)」とは.pdf
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監査報告書における「監査上の主要な検討事項(KAM)」とは

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2019/06/26 【新任役員向けトレーニングプログラム】監査報告書における「監査上の主要な検討事項(KAM)」とは

概略

2021年3月決算に係る財務諸表の監査から、監査人の監査報告書においてKAM(Key Audit Mattersの略)を記載させる制度がスタートしました。KAMとは「監査上の主要な検討事項」のことです。
KAMの開示により、財務諸表の利用者は監査人がどのような項目に特に注意を払って監査を実施したのかを知ることができるため、監査人が実施した監査の透明性が向上し、監査報告書の情報価値が高まることが期待されています。本講義ではKAMとは何か、監査報告書の透明化が求められる背景を解説したうえで、KAMの実例の分析結果をご紹介します。

【講師】EY新日本有限責任監査法人 菅沼 淳 公認会計士
【講義時間】21分14秒
【目次】
1 監査基準の改訂の概要
2 実例分析

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監査報告書における「監査上の主要な検討事項(KAM)」とは
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2019/06/25 セミナー「長期の個人投資家が集まる企業になるために」および「アセットオーナーとしての企業のスチュワードシップ責任」を2019年9月4日(水)に開催しました。

本セミナーはすでに開催済みですが、会員の方向けにWEBセミナーを配信中です。
WEBセミナー:長期の個人投資家が集まる企業になるために
WEBセミナー:アセットオーナーとしての企業のスチュワードシップ責任

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上場会社役員ガバナンスフォーラムでは、2019年9月4日(水)の14時30分~17時40分に下記のセミナーを開催します。
詳細はこちらもご覧ください。

時 間 テーマ 講 師
第一部
14:30

16:00
~多くの少数株主の参加が企業価値を高めるという
渋沢栄一の「合本主義」の実践~
長期の個人投資家が集まる企業になるために
コモンズ投信株式会社
取締役会長 渋澤 健 様
第二部
16:10

17:40
~スチュワードシップコードの受入れは必須か?
母体企業としてやるべきこととその限界~
アセットオーナーとしての企業の
スチュワードシップ責任
ウイリス・タワーズワトソン
インベストメント部門
(アジア太平洋地域)代表
大海 太郎 様

■第一部の詳細

セミナー
の内容
自社の株式の相当数を保有する特定の株主によって経営がコントロールされるケースは少なくありませんが、かつて、一人の大株主が会社を支配するのではなく、少数株主が大勢参加する形態の方が多数の者に富を還元することができ、国も栄えると説いたのが、新一万円札の肖像に決まった“日本の資本主義の父”と言われる渋沢栄一氏です。渋沢栄一氏は、資本主義ではなく「合本主義」という言葉を使い、株主だけでなく、経営者、従業員、社会、取引先など様々なステークホルダーが力を合わせれば企業価値を大きくできると説きました。本セミナーでは、多くの個人投資家を集め、長期投資に軸足を置いた資産運用を行うことで有名なコモンズ投信の会長で、渋沢栄一氏の玄孫(やしゃご)でもある渋澤健様をお招きし、同社が投資先を選択する際の基準や議決権行使の方針のほか、個人投資家が魅力を感じる企業とはどのような企業か、また、個人投資家を惹きつけるために企業がやるべきことや変わるべき点などについて語っていただきます。

普通の市民が子や孫たちの時代のため、自分の思いを込めたお金を長期投資するというお金の流れが、日本の新しい時代を引き開く原動力になると語る渋澤会長の考え方は、渋沢栄一氏の教えにも通じるものがあります。また、企業にとっても、近年アクティビストによる株主提案が相次ぐ中、自社の“ファン株主”である個人投資家の割合を高めることは、益々重要な経営課題となっています。渋澤会長のお話からは、自社に長期投資してくれる個人投資家を増やすためのヒントが得られることでしょう。

講師の
ご紹介
渋澤 健(しぶさわ けん)様
1961年 神奈川県生まれ。父の仕事の関係で小学校2年から大学までを米国で過ごす。1983年テキサス大学 BS Chemical Engineering 卒業。1984年(財)日本国際交流センター入社。1987年カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)経営大学院卒業(MBA)。1987年ファースト・ボストン証券会社(NY)入社、外国債券を担当。1988年JPモルガン銀行(東京)を経て、1992年JPモルガン証券会社(東京)入社、国債を担当。1994年ゴールドマン・サックス証券会社(東京)入社、国内株式・デリバティブを担当。1996年ムーア・キャピタル・マネジメント(NY)入社、アジア時間帯トレーディングを担当、1997年東京駐在員事務所設立。2001年シブサワ・アンド・カンパニー株式会社を創業し代表取締役に就任、2007年コモンズ株式会社を創業し、代表取締役に就任。2008年コモンズ投信へ改名し、取締役会会長に就任。“日本の資本主義の父”渋沢栄一氏の5代目の子孫(玄孫)にあたる。

■第二部の詳細

セミナー
の内容
昨年(2018年)6月1日に施行された改訂コーポレートガバナンス・コードでは、上場企業(以下、母体企業)に対し、自社の企業年金がアセットオーナーとして期待される機能を発揮できるよう、どのような取り組みを行っているかを開示することを求める【原則2-6.企業年金のアセットオーナーとしての機能発揮】が新設されたのは周知のとおりです。原則2-6は企業年金がアセットオーナーとしてスチュワードシップ責任を果たすべく、母体企業に意識改革を促すものと言えるでしょう。ただ、母体企業においては、どのようにして自社の企業年金に関与すればよいのか、とまどいも見られます。この点については、「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」(以下、フォローアップ会議)が(2019年)4月24日に公表した意見書「コーポレートガバナンス改革の更なる推進に向けた検討の方向性(4)」(以下、意見書)の中でも、「依然として 、 スチュワードシップ・コードの受入れを行う企業年金は少数に留まっており、その背景として、 企業年金の意義や責任に関する認識不足からスチュワードシップ活動の範囲や程度が十分に理解されていない」といった厳しい指摘も聞かれます。そこで本セミナーでは、これまで多くの年金基金に対し、ガバナンスの構築や運用方針の立案・実施等のコンサルティングを手掛け、企業年金のスチュワードシップ責任にも精通するウイリス・タワーズワトソンインベストメント部門(アジア太平洋地域)代表の大海太郎様をお招きし、企業年金に対し母体企業が負う責任と果たすべき役割、企業年金がスチュワードシップ・コードを受け入れることの意味について解説していただいた上で、母体企業は具体的にどのように企業年金に関わり、何をするべきなのか、逆に母体企業としてできることの限界など、母体企業が知りたいことをリアルに語っていただきます。フォローアップ会議の意見書では「企業年金のスチュワードシップ活動を後押しするための取組みを推進することが重要」との提言がなされており、今後、母体企業へのプレッシャーが高まることが確実視される中、母体企業としての対応を検討する上で有益なセミナーとなるはずです。また、本セミナーでは、確定拠出型年金を採用している企業の責任等についても言及していただきます。
講師の
ご紹介
大海 太郎(おおがい たろう)様
1987年、東京大学経済学部卒業後、日本興業銀行に入行。マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、2003年にウイリス・タワーズワトソンに入社。日本の年金基金を中心とした数多くの機関投資家向けに、ガバナンスの構築や運用方針の立案・実施、運用機関の調査・評価に携わる。

なお、セミナー参加費につきましては、上場会社役員ガバナンスフォーラムの会員のみ無料、それ以外の方は21,600円(税込 ※)となっております。
※セミナーお申込み前に会員登録いただくと、セミナー参加費は無料となります。

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非会員で視聴をご希望の方はjimukyoku@govforum.jpまでご連絡いただければメールにてお申し込み方法をお知らせいたします(有料(22,000円)となります)。

その他、ご不明な点等がございましたら、ご遠慮なく jimukyoku@govforum.jp までお問い合わせください。

<セミナー概要>

  • 第一部 長期の個人投資家が集まる企業になるために
  • 第二部 アセットオーナーとしての企業のスチュワードシップ責任
  • 【日時】2019年9月4日(水)14時30分~17時40分
  • 【会場】六本木ヒルズ森タワー22階 TMI総合法律事務所セミナールーム
  • 【受付】六本木ヒルズ森タワーLL階ロビー 14時00分より
  • 【講師】第一部 コモンズ投信株式会社 取締役会長 渋澤 健 様
        第二部 ウイリス・タワーズワトソンインベストメント部門(アジア太平洋地域) 代表 大海 太郎 様
  • 【セミナー参加費】当フォーラム会員は無料、それ以外の方は22,000円(税込)

2019/06/25 上場子会社の役員人事

2019年6月11日のニュース「子会社役員人事の決定プロセス」では、親会社は子会社の役員人事に関与するべきであるとし、主要な子会社の社長の選任については・・・

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2019/06/25 上場子会社の役員人事(会員限定)

2019年6月11日のニュース「子会社役員人事の決定プロセス」では、親会社は子会社の役員人事に関与するべきであるとし、主要な子会社の社長の選任については持株会社である親会社の指名委員会に諮ったうえで、さらに親会社の取締役会でも決議しているという企業グループなどを紹介したが、ここでいう子会社とはあくまで親会社の100%子会社を指しており、これが「上場子会社」となると話は変わってくる。

昨今、上場子会社の利益相反構造を投資家等が問題視しているのは既報のとおりだが(2019年5月7日のニュース「グループ・ガバナンス実務指針案、上場子会社の扱いに“特段の配慮”」、2019年6月18日のニュース「子会社上場を維持するかどうかの判断基準」参照)、親会社との利益相反を疑われないようにするためにも、上場子会社の役員は、上場子会社自身が指名することが基本となる。

その際に大きな役割を果たすことになるのが、社外取締役だ。ある指名委員会等設置会社は上場子会社であるが、指名委員会の委員4人のうち3人は親会社から独立した社外取締役が占めており、そこで社長の後継者計画を含めた取締役人事について議論しているという。また、ある監査役会設置会社も、上場子会社であっても上場会社であることに変わりはない以上、社長の指名については候補者の適正性やプロセスの透明性をきちんと確保する必要があるとの考えの下、任意の指名委員会を設置し、4人の委員のうち、委員長を含む3人は親会社から独立した社外取締役を起用している。この監査役会設置会社では、取締役を選任する場合、親会社とコンフリクトがないか等の調整は行っているものの、あくまでも自社の指名委員会で議論したうえで、自社において選任を決定しているという。

このほか、社長人事の原案を自社で作成した後、“非公式”に親会社の社長に報告はしているが、その後は自社の指名委員会および取締役会で決議しているという上場子会社もある。社長をはじめとする取締役人事は最終的には取締役会で決議する以上、指名委員会のみならず取締役会においても、社外取締役(親会社から独立した者)が一定割合を占める必要があろう。8人中3人、10人中3人など、3人以上の「親会社から独立した社外取締役」を置いている上場子会社も見受けられる。ある上場子会社では、取締役会の構成について事前に親会社と相談はしているものの、最終決定はあくまでも上場子会社側で行っており、親会社の反対を受けることもないという。さらに、このようにして選任された社外取締役が、親会社による自社(上場子会社)への取締役派遣に強硬に反対し、これを阻止した事例も出て来ている。引き続き上場子会社の上場維持を選択するのであれば、役員人事において社外取締役が果たすべき役割は益々重要性を増すことになりそうだ。

2019/06/24 買収防衛策の廃止を目的とした株主提案を裁判所が否定

(2019年)6月17日、自動車サスペンション部品の大手メーカー「ヨロズ」の定時株主総会が開催された。同社の臨時報告書によると、創業家出身である志藤会長の選任議案への賛成率は82%、会長の子息である志藤社長の同議案への賛成率は83%にとどまった。アクティビストであるレノが同社株式を5.1%保有しており(5月1日時点)、経営トップをはじめ社内取締役の選任議案に反対票を投じたものと推測される。賛成率が90%を大きく割り込んでいることから、少なからぬ投資家がレノに同調した可能性がある(ROEが直近で0.5%、5期平均で3.8%と低水準であることも、多くの反対票が投じられた一因と考えられる)。

レノは本株主総会に先立ち、買収防衛策の廃止を目的とする株主提案を要請していた。これに対してヨロズは、「当該株主提案の適法性について疑義がある」として、株主総会でとり上げることを拒否した。「適法性について疑義がある」ことの明確な理由の説明はないが、同社が公表した「株主からのレター受領に関するお知らせ」の「6.これまでの経緯について」では、2014~15年に強圧的な株主還元を要求されていたこと、他社事例に照らしても真摯に自社の中長期的な企業価値の向上を検討しているかは疑わしいことなどが指摘されており、ヨロズはレノの株主提案を「濫用的買付者による権利の乱用」であるとして、違法とみなした可能性がある。

ヨロズの対応を受け、レノは株主提案議題等記載仮処分命令を申立てたが、横浜地裁は・・・

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2019/06/24 買収防衛策の廃止を目的とした株主提案を裁判所が否定(会員限定)

(2019年)6月17日、自動車サスペンション部品の大手メーカー「ヨロズ」の定時株主総会が開催された。同社の臨時報告書によると、創業家出身である志藤会長の選任議案への賛成率は82%、会長の子息である志藤社長の同議案への賛成率は83%にとどまった。アクティビストであるレノが同社株式を5.1%保有しており(5月1日時点)、経営トップをはじめ社内取締役の選任議案に反対票を投じたものと推測される。賛成率が90%を大きく割り込んでいることから、少なからぬ投資家がレノに同調した可能性がある(ROEが直近で0.5%、5期平均で3.8%と低水準であることも、多くの反対票が投じられた一因と考えられる)。

レノは本株主総会に先立ち、買収防衛策の廃止を目的とする株主提案を要請していた。これに対してヨロズは、「当該株主提案の適法性について疑義がある」として、株主総会でとり上げることを拒否した。「適法性について疑義がある」ことの明確な理由の説明はないが、同社が公表した「株主からのレター受領に関するお知らせ」の「6.これまでの経緯について」では、2014~15年に強圧的な株主還元を要求されていたこと、他社事例に照らしても真摯に自社の中長期的な企業価値の向上を検討しているかは疑わしいことなどが指摘されており、ヨロズはレノの株主提案を「濫用的買付者による権利の乱用」であるとして、違法とみなした可能性がある。

ヨロズの対応を受け、レノは株主提案議題等記載仮処分命令を申立てたが、横浜地裁はこれを却下、さらに東京高裁もレノの即時抗告を棄却している。横浜地裁および東京高裁の判断におけるポイントは以下の2点である。

1)提案株主における濫用性を認定
レノが村上世彰氏の強い影響力の下にあること、経営陣に圧力をかけ、買い付けた株式を短期間のうちに高額で売り付けることを目的としていること、その障害となる買収防衛策を廃止することを企図していること――などから、議題提案権等の権利保全の必要性はないとした(「当社株主による仮処分命令申立ての却下決定、及び抗告に対する棄却決定に関するお知らせ」の 「2. 棄却決定がなされるに至った経緯」参照)。

2)買収防衛策廃止の議題提案権を否定
ヨロズは買収防衛策の導入を株主総会で決定できると定款で定めているが、この定款規定は買収防衛策の「廃止」が株主総会の議題となることを含んでおらず、仮に廃止が含まれるとしても、直ちに議案提起が可能とはならず、当該会社の状況を踏まえて判断すべきとした「当社株主による仮処分命令申立ての却下決定、及び抗告に対する棄却決定に関するお知らせ」の 「4. 棄却決定の内容」参照。

買収防衛策の廃止を目的とした株主提案としては、昨年(2018年3月株主総会)のGMOインターネット、今年(2019年6月)の共同印刷 などいくつかの事例が見られる。今回のヨロズにおける裁判所の決定は、少なくとも会社側には株主提案としてとり上げる義務はないとした。株主はたとえ買収防衛策の「廃止」を提案できなくても、導入時の会社提案に反対すれば足りると考えたのだろう。

株主側に権利の濫用性を認めた事例としては、2007年にブルドックソースの防衛策発動を差し止めるよう求めたスティール・パートナーズを、東京高裁が「ひたすら自らの利益のみを追求しようとしている」濫用的買収者として、その請求を棄却して以来であろう。レノは個人資産を運用している模様であるため、スティール・パートナーズほどの影響は受けないだろうが、それでも「濫用的買収者」とのレッテルは“モノ言う投資家”としての活動に支障が出ることも考えられる。

ブルドックソース:’米スティール・パートナーズが、ブルドックのすべての発行済株式の取得を目指し公開買付けを公告したのに対し、ブルドックソース社が買収防衛策(新株予約権無償割当)を発動した(スティール・パートナーズは新株予約権を行使できないという差別的行使条件あり)。そこでスティール・パートナーズは裁判所に新株予約権無償割当の差止めを請求したが、最高裁はこの請求を退けている。

現在レノは、買収防衛策を廃止する権限を株主総会に付与する定款変更を提起するために、臨時株主総会の招集請求を検討しているという(「株主からの臨時株主総会の招集請求の予告を含む書簡受領に関するお知らせ」参照)。株主の権利を守るべく徹底的に戦うために臨時株主総会の開催にこだわるのか、あるいはそれは経営陣に対する揺さぶりに過ぎないのか、次の一手が注目される。

2019/06/21 【失敗学第61回】くろがね工作所の事例(会員限定)

概要

家具製造・オフィス移転サービス等を手掛けるくろがね工作所(東京証券取引所市場第二部)は、売上高の前倒し計上等の会計不正が発覚し、2014年11月期まで遡って決算の訂正が必要になった(例えば2016年11月期で101百万円の売上高を取り消し)。

経緯

くろがね工作所が、2019年5月に東京証券取引所へ改善報告書を提出するまでの経緯は次のとおり。

2009年
くろがね工作所は、営業部門において管掌役員が関与した組織的な会計不正があった(以下、2009年不正)として、大阪証券取引所(当時)に改善報告書を提出(1回目の改善報告書)。

2017年
12月:くろがね工作所では、同社会計監査人の監査法人グラヴィタスに寄せられた匿名の投書をきっかけとして、同社のファシリティ環境事業本部における売上の計上時期、計上額および仕入原価の処理の妥当性に問題があることが分かり、社内調査委員会を立ち上げて調査を実施。

2018年
11月:くろがね工作所で、外部からの指摘を契機に。過年度の会計処理の一部に不適切なものがある可能性が判明。
12月7日:くろがね工作所は「不適切な会計処理に関する第三者調査委員会」を設置し、決算短信の公表を延期することをリリース

2019年
2月27日:くろがね工作所は第99回の定時株主総会を開催するも、不適切な会計処理を理由とする決算の修正等の手続きが未了のため、決算報告ができない事態となる。
3月4日:くろがね工作所は、第三者調査委員会の調査結果を公表。
3月11日:くろがね工作所は、同社の会計監査人であった監査法人グラヴィタスが、「同社の複数の担当者より事実異なる説明をされていた」ことを理由として会計監査人を退任することになった旨をリリース
3月15日:くろがね工作所は過年度の決算短信等の訂正を行う。
3月19日:くろがね工作所は監査法人やまぶきを一時会計監査人に選任した旨リリース
3月27日:くろがね工作所は過年度の有価証券報告書等の訂正報告書を提出。
3月29日:くろがね工作所は第99回の定時株主総会の継続会を開催。
4月26日:くろがね工作所は不適切な会計処理に関する再発防災策の方針を策定し、公表
5月9日:東京証券取引所はくろがね工作所に対して改善報告書の提出を求める。
5月23日:くろがね工作所は東京証券取引所に改善報告書を提出(2回目の改善報告書)。

内容・原因・改善策

くろがね工作所が東京証券取引所へ提出した改善報告書によると、本件の問題点の主な内容とその原因、再発防止策は次のとおりである(このほかにも様々な会計不正の問題があるがここでは取り上げていない)。

注文書の偽造による売上の過大計上
内容 くろがね工作所の営業担当者は、案件がまだ成約していない内談の段階で、注文書および完了証明書を偽造し、売上を前倒しまたは架空計上する手法を用いて売上高を過大計上していた。入金がないと売上高の過大計上がいずれ発覚するため、同一顧客に対して翌期以降に販売した他の物件の売上金額を、再度注文書を偽造して減額し(虚偽の売上値引きまたは売上取消処理)、当該他の物件の代金として入金された金額の一部を過大計上した売掛金の回収に充当することで、売上高の過大計上の発覚を免れていた。

原因 (非現実的な業績目標数値とその実現に向けての強いプレッシャー)
くろがね工作所では、ROE5%という同社としては実現困難な目標をもとにした非現実的な業績目標数値が設定されており、その数値をもとに上長が各営業担当者にプレッシャーをかけていた。

(赤伝処理のエビデンス不足)
2009年不正後の改善策として、売上の赤伝処理については売上管理部の承認が必要とされるようになったものの、承認請求の際に赤伝処理の根拠となる客観的な資料(エビデンス(証憑))を添付するルールになっていなかったことから、情報が不足する中で承認だけ行われており、売上管理部が不正を発見することには至らなかった。

(売上管理部の人員不足)
2009年不正の際に不正な売上計上を防ぐための策として発足した売上管理部は、当初は東日本エリアと西日本エリアのそれぞれに1名ずつ専任者がいたものの、2014年ごろから東日本エリアの担当者が専任ではなく兼任の体制になっており、売上管理部として割くことができるリソースが減少していた(売上管理部の人員不足による機能の低下)。

(コンプライアンス意識の欠如)
会計に関するコンプライアンス意識が全社的に欠如していた。

(取締役会等における予算額の客観的な検証の不足)
取締役会、経営会議において設定予算に対する客観的な検証が不足していた。

(J-SOXに偏った内部監査)
内部監査は、いわゆるJ-SOXへの対応にリソースを多く振り分けており、結果として法令違反行為の防止等のコンプライアンス業務への対応が疎かになっていた。

再発防止策 ・社内取締役、常勤監査役、執行役員、事業部長等から構成される経営会議を廃止し、かわりに執行役員、事業部長等から構成される執行役員会議を新設。執行役員会議は、取締役会において決定された事項の周知、予算の進捗状況など事業遂行状況に関する報告、検討を行うことにする。これにより、経営の意思決定・監督機能を担う取締役会と業務執行機能を担う執行役員会議とを明確に分離する。
・内部監査を担う監査室に対して、コンプライアンス違反、リスク事案、内部通報の状況等の監査結果を取締役会へ報告することを義務化
・ガバナンス改善委員会を設置
・仕入発注および検収に係る職務分掌の見直し
・売掛債権管理の見直し(売上と請求の一致の確認の徹底)
・請求書の発送状況について監査室が内部監査を行う。
・定期的な人事ローテーション
・売上計上に係るエビデンス(証憑)についての原本確認の徹底
・売上管理部が、工事完了の確認の際に、当初見積内容との整合性を確認するようにする。
売上の分割による前倒し計上
内容 くろがね工作所の販売管理規定においては、顧客から一連・一体の取引として受注している物件については、納品日、作業完了日のいずれかもっとも遅い日にまとめて売上計上することとなっているが、受注した品目のうちの一部を恣意的な単位・計上金額で分割し、売上および売上金額の計上を行っていた(たとえば、(a)オフィス・プランニングや引越作業を行い、その後(b)什器備品を納入するという一連・一体の取引については、その注文書により手配された製品のすべてについて出荷処理が行われた後に売上計上処理をすべきところ、物件を(a)と(b)とに分割して処理をしていた)。
原因 売上管理部には注文書がばらばらに提出されるため、一連・一体の取引を分割して売上計上していたことに売上管理部が気付くことはなかった。
再発防止策 上記の「注文書の偽造による売上の過大計上」を参照
工事完了証明書の早期受領や偽造による売上の前倒し計上
内容 くろがね工作所では、内装工事の作業がすべて完了した後に営業担当者が顧客から完了証明書に社名・社判を押印してもらうルールであったが、工事の一部だけが完了した段階で、すべての作業が終了したかのような完了証明書を顧客に依頼して入手して、物件全体の工事が完了していたかのような書類を整えて売上を計上していた。また、完了証明書は原本確認が徹底されておらず、コピーでも可という運用になっていたため、顧客の社印の印影を押印欄に貼り付け、カラー印刷して売上管理部に提出するといった不正が行われていたものの、売上管理部がそれを見抜くことはできなかった。
原因 上記の「注文書の偽造による売上の過大計上」を参照
再発防止策 上記の「注文書の偽造による売上の過大計上」を参照
顧客指定場所ではない別倉庫などへの不適切な出荷手配による売上の前倒し計上
内容 くろがね工作所では、納期が今期から翌期に変更された場合に、社内システム上で出荷手配を取り消して、改めて翌期の出荷を手配するルールとなっていたが、売上の落ち込みを回避するために、本来の納入先とは異なる納入先(営業担当者が私的に指定した倉庫)へ納入するよう配送担当であるくろがね興産の配送担当者に指示し、くろがね興産の配送担当者に予定通りの出荷が完了したものと誤解させて社内システムへ出荷完了の入力させることで、今期の売上に取り込んでいた。
原因 顧客への請求は最終納品完了後となるため、売上の計上時期と請求時期にズレが生じてしまうが、くろがね工作所では1か月程度のズレであれば目立つことはなかった(もともと納品完了後のクレーム対応を理由とする1か月程度のズレは少なくなかったので目立つことはなかった)。
再発防止策 上記の「注文書の偽造による売上の過大計上」を参照
<この失敗から学ぶべきこと>

くろがね工作所では2009年不正に対する再発防止策の柱として営業から独立した売上管理部が新設され、売上管理部が完了証明書を確認したものについてのみ売上を計上できる体制に移行しました。しかし、今度は真正でない完了証明書を売上計上のエビデンス(証憑)として使用するという抜け道が使われて、売上の前倒しを許してしまいました。上場会社の取締役や監査役としては、内部統制をどんなにがっちりと構築したとしても、その統制の裏をかく不正手法が編み出されるのは時間の問題であるという意識を持ち、現在の内部統制が十分かどうかを常に吟味する姿勢が重要と言えます。

また、くろがね工作所では、作業の完了証明書は原本を確認するルールとなっていたにもかかわらず、実際にはコピーの提出も可という運用に変更されていました。内部監査においては、内部統制は一度構築しても年月の経過や担当者の交代などで劣化していくものだということを前提に、業務記述書通りの運用がされていることを継続的に確認する必要があるのは言うまでもありません。

2019/06/20 【特集】TOPIX100企業のコーポレートガバナンス報告書の開示内容分析(2・会員限定)

2.レビューの実例(補充原則4-11①:取締役会全体の考え方)

当社のCGコードレビューの内容を理解いただくため、実例として、取締役会のメンバーのバランス・多様性・規模に関する考え方と取締役の選任に関する方針・手続きの開示を求める補充原則4-11①に係る開示事例への評価を紹介します。

2018年のCGコード改訂では、補充原則4-11①の変更はありませんでしたが、その”親原則“である原則4-11においては、改訂により、取締役会に「ジェンダーや国際性の面を含む多様性」が求められ、また、監査役には「適切な経験・能力及び必要な財務・会計・法律に関する知識を有する者が選任されるべき」とされたため(図表3)、補充原則4-11①においても、これらの点を踏まえた「取締役会全体としての考え方」の開示が必要であると考えられます。

<図表3:2018年CGコード改訂(原則4-11、補充原則4-11①>
改訂前 改訂後
【原則4-11.取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件】
取締役会は、その役割・責務を実効的に果たすための知識・経験・能力を全体としてバランス良く備え、多様性と適正規模を両立させる形で構成されるべきである。また、監査役には、財務・会計に関する適切な知見を有している者が1名以上選任されるべきである。
取締役会は、取締役会全体としての実効性に関する分析・評価を行うことなどにより、その機能の向上を図るべきである。
【原則4-11.取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件】
取締役会は、その役割・責務を実効的に果たすための知識・経験・能力を全体としてバランス良く備え、ジェンダーや国際性の面を含む多様性と適正規模を両立させる形で構成されるべきである。また、監査役には、適切な経験・能力及び必要な財務・会計・法律に関する知識を有する者が選任されるべきであり、特に、財務・会計に関する十分な知見を有している者が1名以上選任されるべきである。
取締役会は、取締役会全体としての実効性に関する分析・評価を行うことなどにより、その機能の向上を図るべきである。
4-11① 
取締役会は、取締役会全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性及び規模に関する考え方を定め、取締役の選任に関する方針・手続と併せて開示すべきである。
4-11① 
(変更なし)

図表4の開示事例は、「レベル2」に該当すると判断したものです(なお、レベル1に該当する開示事例はなし)。本事例は、社内取締役と社外取締役に分けて記載されており、社内取締役には「自社の強みや課題」に対する理解といった資質を求める一方、社外取締役については「社内取締役だけでは得られない多様な」経験という外部人材ならではの資質を重視するとしています。また、取締役会の規模や社外取締役の割合への言及が見られる点も評価できます。さらに、ダイバーシティ―がなぜ必要かという点についても、「性別、人種、国籍等のダイバーシティから生まれる多角的な視点が事業の推進やグローバル拡大、適切な監督や監査に資する」という自社の認識を示しています。

<図表4:補充原則4-11① レベル2の事例>
指名方針に従い、以下の通り取締役会全体としての知識・経験・能力のバランスと多様性を確保します。また、取締役会の規模については、適正配置した執行役員への権限委譲を前提として、事業の拡大等に対応した意思決定の迅速化を図るための取締役会の簡素化と適切な審議、執行の監督を行うために必要な多様な人財のバランスを勘案し、適切な規模とします。
社内取締役については、適切な経営戦略等の立案、審議等に必要なグローバルな運営を含む、よきモノづくりに関わる研究開発、マーケティング、 ~略~ の運営経験並びに当社を取り巻く事業環境及びこれに対応するための当社の強み・課題に対する理解を重視して指名します。
社外取締役については、経営戦略等の審議等に当たって、社内取締役だけでは得られない多様な、例えば、グローバルな経験を含む当社と異なる分野の製品・サービスを提供する会社の経営経験者及びコンサルタントや学識経験者等が有する経験並びに~略~、あわせて独立性にも配慮して指名します。また、社外取締役は、取締役会の多様性及び発言力の確保のため取締役の約半数を目途とします。
~監査役に関する記載省略(取締役同様社内外に分けた記載)~
また、知識・経験・能力だけでなく、性別、人種、国籍等のダイバーシティから生まれる多角的な視点が事業の推進やグローバル拡大、適切な監督や監査に資するとの認識に立ち、これらの多様な人財の役員への登用を進めます。

続いて「レベル4」と判断した事例です(図表5)。こちらも社内取締役と社外取締役に分けた記載となっており、社外取締役に求められる「高度な専門知識」の具体的な例示も見られます。一方、性別や国際性についての記載は見当たりません。さきほど挙げた原則4-11をコンプライしている(=エクスプレインの開示がない)以上、同社は「ジェンダーや国際性の面を含む多様性」の必要性を認めており、かつ適切な対応を実施していると解されるため、何らかの言及があるのが自然であると考えられます。

<図表5:補充原則4-11① レベル4の事例>
当社グループの経営の基本方針を策定し、適切に経営を監督するため、各事業分野や経営戦略、財務、コンプライアンス及びコーポレートガバナンス、技術等の専門分野に精通した取締役を社内から選任します。また、独立した客観的な立場から 経営を監督し、多様な意見を経営に反映させるため、企業経営、社会・経済情勢、科学技術及びICT、財務及び会計、コンプライアンス等に関する高度な専門知識と高い見識を有する社外取締役を選任します。 また、取締役会の監督機能の強化を図るため、取締役の過半数は執行役を兼任しません。

最後は、記載内容が具体性を欠くことから「レベル7」と判断した事例です(図表6)。「多様な視点や経験かつ高度なスキルを持ち合わせたメンバーで構成」との説明は一般論にとどまっており、この記述からは自社独自の「考え方」はほとんど伺えないと言えるでしょう。

<図表6:補充原則4-11① レベル7の事例>
取締役会は、中長期的かつ持続的に企業価値を向上させるため、十分な議論を行い、重要な意思決定を行うとともに、業務執行を監督しています。その役割を果たすため、当社の取締役および監査役は、多様な視点や経験かつ高度なスキルを持ち合わせたメンバーで構成されることが必要だと考えております。

補充原則4-11①に対して投資家が期待しているのは、企業の戦略や課題を踏まえた取締役会の構成に関する考え方の開示であると言えます。残念ながらこの点を十分に説明したTOPIX100企業は見当たらず、いずれの企業もレベル1かゼロという結果となりました。また、多様性については、投資家は「性別」や「国籍」にとどまらず、取締役のスキルや経歴への関心も高いと考えられます。当社レビューにおいては、こうした投資家の期待に応える記載内容となっているかどうかという点を中心に、実際に女性や外国人の役員が選任されているかも加味して、評価を行っています。

3.今後の望ましいCGコード対応(会員限定)