正解です。
東証は2019年2月にコーポレートガバナンス報告書の記載要領を変更しました。問題文のとおりの変更が加えられており、上場会社には積極的な対応が求められます。
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2019年5月8日 任意の委員会に関するCG報告書記載要領が改正、著名企業でも対応不十分(会員限定)
正解です。
東証は2019年2月にコーポレートガバナンス報告書の記載要領を変更しました。問題文のとおりの変更が加えられており、上場会社には積極的な対応が求められます。
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2019年5月8日 任意の委員会に関するCG報告書記載要領が改正、著名企業でも対応不十分(会員限定)
不正解です。
東証は2019年2月にコーポレートガバナンス報告書の記載要領を変更しました。問題文のとおりの変更が加えられており、上場会社には積極的な対応が求められます。
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2019年5月8日 任意の委員会に関するCG報告書記載要領が改正、著名企業でも対応不十分(会員限定)
不正解です。
東証の独立性基準では、「最近まで親会社・兄弟会社の取締役等であった者」は独立社外取締役の独立性を満たさないこととされていますが、親会社・兄弟会社の取締役等であったのが「1年以上前」であれば「最近」には該当しません(すなわち、独立性基準に抵触しません。東証「独立役員の確保に係る実務上の留意事項(2015年6月改訂版)」4ページ参照)。問題文の「少なくとも10年以上前」は誤りです。
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2019年5月7日 グループ・ガバナンス実務指針案、上場子会社の扱いに“特段の配慮”(会員限定)
正解です。
東証の独立性基準では、「最近まで親会社・兄弟会社の取締役等であった者」は独立社外取締役の独立性を満たさないこととされていますが、親会社・兄弟会社の取締役等であったのが「1年以上前」であれば「最近」には該当しません(すなわち、独立性基準に抵触しません。東証「独立役員の確保に係る実務上の留意事項(2015年6月改訂版)」4ページ参照)。問題文の「少なくとも10年以上前」は誤りです。
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2019年5月7日 グループ・ガバナンス実務指針案、上場子会社の扱いに“特段の配慮”(会員限定)
不動産の販売・賃貸・請負建築事業を営むレオパレス21(東証一部)で、物件の界壁(共同住宅など各住戸の間を区切る壁)等にかかる施工不備が発覚した。
レオパレス21が、2019年5月に施工不備問題に関する調査報告書を公表するまでの経緯は次のとおり。
1990年代初め
当時、不動産販売事業を主としていたレオパレス21はバブル崩壊後の不動産不況によって極めて深刻な経営危機に陥る。この経営危機から脱却するために、同社は創業者の深山祐助氏による指揮の下、請負建築事業へと大きく舵を切り、コストカットと工期短縮が可能な工法を導入した商品を次々に開発して市場に投入して、増収増益を実現。請負建築事業の急成長の裏では、施工体制、品質管理体制および工事監理体制における不備、ならびに建築確認等の軽視があった。かかる不備・軽視は、1994年頃から 2009年頃にかけて 10年以上の長期間にわたって生じていた。
2004年
3月:レオパレス21は東京証券取引所の市場一部への上場を果たす。
2006年
6月:レオパレス21の創業者であり、代表取締役社長であった深山祐助氏が、入居者から徴収した手数料のうち17億円を自らに貸し付け、29億円以上を同社の取引先でもある知人の企業に貸し付けていたことが発覚したため、同氏は代表取締役社長を辞任し、取締役も退任した。
2013年
7月:レオパレス21と物件のオーナーである原告との間で起きていた訴訟(以下、姫路訴訟)が和解で終結した。訴訟において、原告は自らが所有するゴールドネイルの物件に関し、建築基準法に違反する小屋裏等界壁の未施工などの瑕疵があると主張していたことから、レオパレス21は、一定の時期に建てられた該当物件を調査して必要な補修を行うかどうかを検討したものの、建築基準法上、該当物件の小屋裏等界壁の施工は不要であるとの理解であったため、特段の対応を取らなかった。
2018年
4月27日:レオパレス21は物件の一部において実際の工事と確認通知図書に相違部分があったため補修工事を実施する旨を公表(リリースはこちら)。
5月29日:レオパレス21は、1996年~2009年に建てられた同社施工物件の一部において建築基準法に違反の疑いのあるものが発見されたことを公表(リリースはこちら)。
2019年
2月7日:レオパレス21は「全棟調査進捗状況のご報告及び調査の過程で新たに確認された不備について」を公表。
2月27日:レオパレス21は外部調査委員会を設置(リリースはこちら)。
5月9日:レオパレス21は業績予想の修正および役員報酬の減額をリリース(こちらを参照)。
5月29日:レオパレス21は「外部調査委員会による施工不備問題に関する調査報告書」および再発防止策を公表。
レオパレス21が2019年5月に公表した施工不備問題に関する調査報告書によると、本件の問題点の主な内容とその原因、再発防止策は次のとおりである(このほかにも界壁発泡ウレタン問題、外壁仕様問題および天井部問題もあるがここでは取り上げていない)。
| 内容 | 建築基準法30条、同法施行令114条1項によると、「長屋又は共同住宅の各戸の界壁は、小屋裏又は天井裏に達するものとする」旨が定められており、ここで言う「達するものとする」とは、「界壁は、小屋梁又は天井面で中断せず、小屋裏までを隙間なく区画しなければならない」という意味に解されているところ、レオパレス21の物件では小屋裏部分の界壁が施工されていなかった。また、レオパレス21では、小屋裏部分の界壁を施工したかのような図面を作成し、建築主事に提出して不正に確認済証を取得していた。 |
| 原因 |
(コストカットの影響) ・レオパレス21の創業者で代表取締役社長であった深山祐助氏は「入居者にとって家賃は安い方がいいに決まっている。家賃を下げるために、とにかく『建築費のコストダウン』が必須である」との考えのもと「プラモデルのような建物」を量産することを重視していた。そのためのアイデアの 1つとして導入されたのがツーバイフォー工法外国人労働者を中心に組成されたフレーマー班であった。これは、壁パネル、床パネルおよび天井パネルを組み立て、屋根フレームを乗せる作業で、建築に関する技能をあまり有していない者でも従事できる職務であった。フレーマー班は小屋裏等界壁の施工は自分たちの作業範囲ではないと認識していた。他方、建方工事以後の内装等の施工は施工業者に発注されていたが、内装等の施工が始まる段階では既に屋根が組み上げられていたこともあり、施工業者においては、屋根部分の施工はフレーマー班の作業分担であるとの認識が生じやすく、小屋裏等界壁の施工が見落とされやすくなっていた。また、施工業者の中には、レオパレス21 が一戸建て住宅の建売販売を主に行っていた時期から施工を受注していた業者もあったところ、そのような業者は、そもそも共同住宅に要求される界壁のことを十分に認識しておらず、これも小屋裏等界壁が施工されない結果につながった。 ツーバイフォー工法 : 柱と梁の軸組によって建物を組み立てるという在来工法とは異なり、工場で製造したパネルを組み合わせて建物を組み立てる工法。在来工法に比べると、短期間での組み立てが可能であり、職人の技量に左右される余地が少ないことから、低コストでの組み立てが可能とされている。 施工状況に対するチェックの機能不全 (当事者意識の低さ) (リスク感知体制の不備および役職員のリスク感度の欠如) (請負建築事業の拡大を優先) (30年一括借上方式の存在) (専門知識のないトップによるワンマン体制) |
| 再発防止策 |
1 法令遵守意識の抜本的改革(コンプライアンスファーストの徹底) (1) コンプライアンスファーストの理念の定着 (2) 従業員との「対話」による組織風土改革の実現 (3) 内部通報制度の周知及び徹底 2 コンプライアンス・リスク管理体制の再構築 3 請負建築事業体制の見直し |
レオパレス21 の外部調査委員会の調査報告書では、元代表取締役社長の深山祐助氏が外部調査委員会に対して「“我々”は建築の素人であり、開発は“彼ら”に任せきりであった。」といった説明を繰り返していたことが明らかにされています。ここで「我々」とは「営業部門」を指し、「彼ら」とは「開発・設計・工事部門」を指しています。要するに、建築基準法などの法令適合性や品質の検証がおろそかになったのは、「彼ら」に原因があるのであり、「我々」は悪くないということです。こういった当事者意識の欠如は、企業が大きくなってセクショナリズムが幅を利かせるようになると目立つ事象と言えます。大企業の役職員ほど自戒したいものです。
また、レオパレス21 の外部調査委員会の調査報告書では「役職員らの品質問題への当事者意識を高めるためには、請負建築事業においては、オーナーや入居者など顧客目線に立った商品やサービスの提供を通じて、顧客から感謝される価値の創造が重要であることや、請負建築事業の社会的意義について同社の役職員らに自覚させ、それに見合った責任感を抱かせることが有効」として「レオパレス21 の役職員は、「自分自身が住みたいと思える品質を確保できているか。」、「家族や友人を住ませても安心な安全性を確保できているか。」という身近な問いかけを通じて、オーナーや入居者などの顧客の目線に立って、顧客から感謝される価値を提供することの重要性を意識すべき」としています。「顧客のために感謝される価値を提供するために仕事をしているという意識が役職員に根付けば、品質問題への当事者意識が高まり、また、再発防止策に対する負担感や「やらされている感」もなくなるはず」だからです。この「自分自身が●●したいと思える品質を確保できているか。」は業種を問わず普遍的な価値観と言えます。各企業の役職員が●●部分を自社の製商品・サービスにあてはめて品質を意識するようになれば、様々な安全・安心の偽装の問題は激減するはずです。
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会社法上、取締役、監査役、執行役など(以下、役員等)は、その任務を怠ったときは、会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う(会社法423条(役員等の株式会社に対する損害賠償責任))。もっとも、生じた損害が役員等の責めに帰すべきかどうか、判断が難しい事案もあろう(取締役の善管注意義務違反については、(新用語・難解用語)経営判断の原則 参照)。そこで役員等は、何らかの形で自らの責任を制限しておきたいと考えるのが自然だ。
執行役 : 指名委員会等設置会社において、取締役会決議によって委任された事項について会社業務を実行する役職。取締会決議により選任・解任される(登記も必要)。執行役が2人以上いる場合は会社を代表する代表執行役を選ぶ。取締役と同様、会社に対して善管注意義務および忠実義務を負い、株主代表訴訟の対象にもなる。「執行役員」も会社業務の実行に対して権限と責任を持つが、会社法上に定義はなく、あくまで重要な使用人に過ぎない点、執行役とは異なる。
現行会社法には、役員等の責任を制限する方法として以下の4つが規定されている。
(1)総株主の同意による責任免除(424条)
(2)株主総会決議による責任の一部免除(425条)
(3)定款規定と取締役会決議による責任の一部免除(426条)
(4)責任限定契約の締結(427条)※責任限定契約については、2015年4月22日のニュース「責任限定契約を締結すればD&O保険は不要か」参照
このうち「(3)定款規定と取締役会決議による責任の一部免除(426条)」について、実際に定款規定を設けている会社は多い。しかし、この定款規定を設けたからと言って、役員等の責任の軽減手段として機能するかと言えば、必ずしもそうではない。・・・
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会社法上、取締役、監査役、執行役など(以下、役員等)は、その任務を怠ったときは、会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う(会社法423条(役員等の株式会社に対する損害賠償責任))。もっとも、生じた損害が役員等の責めに帰すべきかどうか、判断が難しい事案もあろう(取締役の善管注意義務違反については、(新用語・難解用語)経営判断の原則 参照)。そこで役員等は、何らかの形で自らの責任を制限しておきたいと考えるのが自然だ。
執行役 : 指名委員会等設置会社において、取締役会決議によって委任された事項について会社業務を実行する役職。取締会決議により選任・解任される(登記も必要)。執行役が2人以上いる場合は会社を代表する代表執行役を選ぶ。取締役と同様、会社に対して善管注意義務および忠実義務を負い、株主代表訴訟の対象にもなる。「執行役員」も会社業務の実行に対して権限と責任を持つが、会社法上に定義はなく、あくまで重要な使用人に過ぎない点、執行役とは異なる。
現行会社法には、役員等の責任を制限する方法として以下の4つが規定されている。
(1)総株主の同意による責任免除(424条)
(2)株主総会決議による責任の一部免除(425条)
(3)定款規定と取締役会決議による責任の一部免除(426条)
(4)責任限定契約の締結(427条)※責任限定契約については、2015年4月22日のニュース「責任限定契約を締結すればD&O保険は不要か」参照
このうち「(3)定款規定と取締役会決議による責任の一部免除(426条)」について、実際に定款規定を設けている会社は多い。しかし、この定款規定を設けたからと言って、役員等の責任の軽減手段として機能するかと言えば、必ずしもそうではない。
会社法425条(上記(2))も426条(上記(3))はいずれも役員等の責任の「一部免除」を目的とするものだが、仮に役員等の責任の一部免除が(2)の株主総会の決議によるしかないとすると、①役員等の責任免除のためにのみ臨時株主総会を招集するのは、費用や手続の手間を考えると困難、②定時総会まで責任の一部免除を行えないとすると、責任が免除されるかどうか不明な状態が継続し、ひいては経営陣が委縮して積極果敢な会社経営が影をひそめることになりかねない―――といった問題がある。そこで、機動的に開催できる取締役会決議による責任の一部免除を認めることととしたのが、(3)定款規定と取締役会決議による責任の一部免除(426条)というわけだ。
ただ、役員等に責任が認められるケースにおいて、会社法426条がその責任の一部を免除するための条件とする「責任の原因となった事実の内容、当該役員等の職務の執行の状況その他の事情を勘案して(責任を免除することが)特に必要」であると他の取締役が判断することは容易ではない。このため、同法426条に基づき定款規定を設けている会社は多いものの、少なくとも上場会社においては立法以来全く利用されていない制度となってしまっているという現状がある。
会社法426条が事実上機能していない中、役員等のリスクを低減する仕組みとして期待されているのが、来年の施行が見込まれている改正会社法における会社補償契約に関する規定だ。会社補償契約の詳細は下記の「会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する要綱」のとおりだが、要するに、役員等が法令に違反したことにより請求を受けた費用や、職務執行の結果、第三者に生じた損害の賠償に伴う損失などを会社が補償することを、会社と役員の間で約束する契約のことを指す。
現行会社法426条は役員の会社に対する責任の免除を定めるものであるのに対し、会社補償契約は、いわゆる防御費用(下記①ア)や、第三者に対する賠償金等(下記①イ)を対象とするものであり、会社に対する任務懈怠責任は対象とならない点、同法426条とは違いがある。
| ① 株式会社が、役員等(第423条第1項に規定する役員等をいう。以下第1において同じ。)に対して次に掲げる費用等の全部又は一部を当該株式会社が補償することを約する契約(以下2において「補償契約」という。)の内容の決定をするには、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならないものとする。
ア 当該役員等が、その職務の執行に関し、法令の規定に違反したことが疑われ、又は責任の追及に係る請求を受けたことにより要する費用 ② 株式会社は、補償契約を締結している場合であっても、当該補償契約に基づき、次に掲げる費用等を補償することができないものとする。 ③ 補償契約に基づき①アに掲げる費用を補償した株式会社が、当該役員等が自己若しくは第三者の不正な利益を図り、又は当該株式会社に損害を加える目的で①アの職務を執行したことを知ったときは、当該役員等に対し、補償した金額に相当する金銭を返還することを請求することができるものとする。 ④ 取締役会設置会社においては、補償契約に基づく補償をした取締役及び当該補償を受けた取締役は、遅滞なく、当該補償についての重要な事実を取締役会に報告しなければならないものとする。 ⑤ 第356条第1項及び第365条第2項(これらの規定を第419条第2項において準用する場合を含む。)、第423条第3項並びに第428条第1項の規定は、株式会社と取締役又は執行役との間の補償契約については、適用しないものとする。 ⑥ 民法(平成29年法律第44号による改正後の民法をいう。以下同じ。)第108条の規定は、①の決議によってその内容が定められた⑤の補償契約の締結については、適用しないものとする。 |
会社補償契約は、役員等による過度なリスク回避行動を防ぐ効果や優秀な人材の確保につながるという点では責任限定契約(427条)と同様の効果がある一方、責任限定契約と異なり、業務執行取締役も対象とできる点、社内取締役等 にとってはメリットがある。また、役員が損害賠償請求等を受けた場合に、「防御活動」のために必要十分な争訟費用等をかけられず、結果として適切な防御活動が行われないことにより、かえって会社の損害が拡大してしまうというリスクを低減する効果も期待されている。
このようなメリットがある会社補償契約は、会社法施行後、多くの会社に利用されることが予想されるが、同時に、会社補償の範囲が従来よりも広くなった結果、役員等のモラルハザードを引き起こすリスクも指摘されている。会社補償契約の締結後、経営陣は投資家等からそのような指摘を受けないよう、気を引き締めて職務にあたりたいところだ。
社外役員(社外取締役および社外監査役 以下同)が他企業の役員等を兼任していることは少なくない。米国の調査会社Spencer Stuartによると、日経225社とTOPIX100社の社外役員のうち、他企業の役員を兼任している者は164人おり、そのうち事業会社出身者は68人で全体の41.5%と、最大の割合を占めている。さらに、事業会社出身者の68人のうちの73.5%が社長・会長・CEOとなっている(Spencer Stuartの調査結果の23ページ参照)。つまり、日経225社とTOPIX100社の社外役員のうち50人は他企業(本人にとっては自社)の社長・会長・CEO(のいずれか、もしくは複数の役職を兼任)ということになる。
現役の社長等が、(親会社の社長等との兼務ではなく)純粋な第三者として社外役員(特に社外取締役)に就任してくれれば、企業にとっては極めて有益だろう。現役社長等には、経営の知見はもとより、現在の経営環境も肌感覚で分かっている強みもある。実際、米国のS&P 500企業を対象に行った2018年の調査によると、45%のCEOが社外取締役に就いているという(Spencer Stuartの調査結果の8ページ CEO profile「 % of CEOs serving on one or more outside boards」参照)).
日本でもコーポレートガバナンス・コードが独立社外取締役の増員へのプレッシャーを高める中(2018年3月19日のニュース「CGコード改訂 独立社外取締役に関する記述の背景と今後」参照)、取締役会の実効性を高めたいという思いが強い企業ほど、社長等を独立社外取締役に迎えたいと考えたとしても不思議ではない。ただ、この場合にネックとなるのが「兼任」の上限問題だ。コーポレートガバナンス・コード補充原則4-11②では、「取締役・監査役が他の上場会社の役員を兼任する場合」について、「その数は合理的な範囲にとどめるべきであり、上場会社は、その兼任状況を毎年開示すべきである」とし、“多すぎる兼任”をけん制しているものの、それが何社なのかまでは明示していない。
こうした中、日本企業に最も影響力のある海外の大手パッシブ運用投資家の一つに数えられる米国の大手投資信託運用会社・・・
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社外役員(社外取締役および社外監査役 以下同)が他企業の役員等を兼任していることは少なくない。米国の調査会社Spencer Stuartによると、日経225社とTOPIX100社の社外役員のうち、他企業の役員を兼任している者は164人おり、そのうち事業会社出身者は68人で全体の41.5%と、最大の割合を占めている。さらに、事業会社出身者の68人のうちの73.5%が社長・会長・CEOとなっている(Spencer Stuartの調査結果の23ページ参照)。つまり、日経225社とTOPIX100社の社外役員のうち50人は他企業(本人にとっては自社)の社長・会長・CEO(のいずれか、もしくは複数の役職を兼任)ということになる。
現役の社長等が、(親会社の社長等との兼務ではなく)純粋な第三者として社外役員(特に社外取締役)に就任してくれれば、企業にとっては極めて有益だろう。現役社長等には、経営の知見はもとより、現在の経営環境も肌感覚で分かっている強みもある。実際、米国のS&P 500企業を対象に行った2018年の調査によると、45%のCEOが社外取締役に就いているという(Spencer Stuartの調査結果の8ページ CEO profile「 % of CEOs serving on one or more outside boards」参照))。
日本でもコーポレートガバナンス・コードが独立社外取締役の増員へのプレッシャーを高める中(2018年3月19日のニュース「CGコード改訂 独立社外取締役に関する記述の背景と今後」参照)、取締役会の実効性を高めたいという思いが強い企業ほど、社長等を独立社外取締役に迎えたいと考えたとしても不思議ではない。ただ、この場合にネックとなるのが「兼任」の上限問題だ。コーポレートガバナンス・コード補充原則4-11②では、「取締役・監査役が他の上場会社の役員を兼任する場合」について、「その数は合理的な範囲にとどめるべきであり、上場会社は、その兼任状況を毎年開示すべきである」とし、“多すぎる兼任”をけん制しているものの、それが何社なのかまでは明示していない。
こうした中、日本企業に最も影響力のある海外の大手パッシブ運用投資家の一つに数えられる米国の大手投資信託運用会社「バンガード」はこのほど、自社の新たなコーポレートガバナンス指針に、「自社を含めて3社以上」の取締役を兼任している取締役の選任議案に反対票を投じる方針を打ち出している。「3社以上」兼任している場合には反対票が投じられるということは、許容される兼任社数は自社を除き「1社」だけということになる。バンガードの預かり資産残高はトップの米国ブラックロックに次ぐ世界2位であり、3位のステート・ストリートと合わせ、この3運用機関が日本企業への影響力という点でもトップ3と言える(預かり資産残高等はWillis Towers Watson(英国)による。2017年末時点における調査結果 2018年11月19日のニュース「強まる大手運用機関の影響力」参照)。そのバンガードが打ち出した方針の意味は重い。
バンガードが懸念しているのは、取締役を複数社兼任することで、時間や労力が分散してしまうという点に他ならない。特に日本企業の場合、欧米企業と比べ取締役会の開催回数が2倍近くあり、その分、たとえ1社社外取締役を兼任するだけでも負担は小さくない(Spencer Stuartの調査(27ページ参照)によると、欧米企業が年間平均6〜9回であるのに対し、日経225社・TOPIX100社ともに年間平均約14回となっている)。
議決権行使助言会社大手のグラスルイスも業務執行者の兼任は2社(「複数のグループ会社(親会社と子会社など)」は1社とカウント)までしか兼任を認めておらず(非業務執行者は5社まで。2017年12月21日のニュース「グラスルイスが日本向け2018年版ガイドラインを公表」参照)、バンガードの方針と一致する。社長等の社外取締役兼任は「1社」がベストプラクティスとして定着することになろう。
業務執行者 : 会社法上の「業務執行者」に限らず、広く業務執行を担当する役員(業務執行取締役、執行役員)。グラスルイスは「平取締役の会長で、執行関与がないことが開示で明らかな場合、業務執行者には該当しない」と説明している模様。