2019/02/28 2019年2月度チェックテスト第3問解答画面(正解)

正解です。
英国スチュワードシップ・コードが2012年以来7年ぶりに大幅改訂される見込みです。パブコメ版では、コードのうち「細則」についてはこれまでと同様「コンプライorエクスプレイン」(適用するか、適用しない場合にはその理由を説明する)のアプローチが取られていますが、「原則」についてはスチュワードシップ・コードに署名した全ての機関に適用(アプライ)を求めるとともに、どのように適用したかを説明させる「アプライ&エクスプレイン」のアプローチが取られているのが特徴的です。日本のスチュワードシップ・コードへの影響が気になるところです。

こちらの記事で再確認!
2019年2月12日 英SSコード、コンプライorエクスプレイン⇒アプライ&エクスプレインへ(会員限定)

2019/02/28 2019年2月度チェックテスト第2問解答画面(不正解)

不正解です。
開示府令の改正により2020年3月31日以降終了事業年度の有価証券報告書から継続監査期間を開示することになりました。改正開示府令の公表に伴い公表された「金融庁の考え方」によると、監査法人の合併時は、当該合併前の監査法人による監査期間も含めて継続監査期間を算定することとされています。

こちらの記事で再確認!
2019年2月8日 EUでは「10年」が上限の継続監査期間、監査法人変更でも合算のケースも(会員限定)

2019/02/28 2019年2月度チェックテスト第2問解答画面(正解)

正解です。
開示府令の改正により2020年3月31日以降終了事業年度の有価証券報告書から継続監査期間を開示することになりました。改正開示府令の公表に伴い公表された「金融庁の考え方」によると、監査法人の合併時は、当該合併前の監査法人による監査期間も含めて継続監査期間を算定することとされています。

こちらの記事で再確認!
2019年2月8日 EUでは「10年」が上限の継続監査期間、監査法人変更でも合算のケースも(会員限定)

2019/02/28 2019年2月度チェックテスト第1問解答画面(不正解)

不正解です。
日本では、資金の運用先のパッシブ化(アクティブ運用から資金が流出し、パッシブ運用に流入している状況を指す)が進んでいます。この背景には「コスト」が高く「パフォーマンス」も相対的に良くない「アクティブ運用」から、「コスト」が低く「パフォーマンス」も相対的に良い「パッシブ運用」の方が人気を集めていることが指摘されています。

こちらの記事で再確認!
2019年2月7日 “パッシブ化”の進行と東証の市場構造の見直しが与える株価への影響(会員限定)

2019/02/28 2019年2月度チェックテスト第1問解答画面(正解)

正解です。
日本では、資金の運用先のパッシブ化(アクティブ運用から資金が流出し、パッシブ運用に流入している状況を指す)が進んでいます。この背景には「コスト」が高く「パフォーマンス」も相対的に良くない「アクティブ運用」から、「コスト」が低く「パフォーマンス」も相対的に良い「パッシブ運用」の方が人気を集めていることが指摘されています。

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2019年2月7日 “パッシブ化”の進行と東証の市場構造の見直しが与える株価への影響(会員限定)

2019/02/27 【失敗学第57回】東京貴宝の事例(会員限定)

概要

貴金属販売業を営む東京貴宝(JASDAQ)で、社長が会社の取引にプライベートカンパニーを介在させて不当に利益を得ていた。

経緯

東京貴宝が、2018年12月に第三者委員会の調査報告書(その1その2その3その4その5)を公表し、役員6名が辞任を表明するまでの経緯を時系列で示すと、次のとおり。

1979年
中川社長が新大光宝石を設立。

1998年~2000年
東京貴宝は、日本証券業協会への店頭登録に先立ち、関連会社の整理を図った。新大光宝石も、株主や代表取締役を変更し、形式上は中川社長の支配下ではなくなった(東京貴宝のグループ会社ではないという整理になった)。もっとも、新株主や新代表取締役は中川社長の緊密な関係者であり、実質的には中川社長の支配下にあった。実際、2000年には中川氏自らが新大光宝石の代表と株主に復帰している。

2006年3月期~2007年3月期
東京貴宝の有価証券報告書には、新大光宝石は子会社または関連当事者として記載されていた。

2008年3月期
中川社長が新大光宝石の代表取締役の地位から退いて、株式を妻と娘に譲渡。新大光宝石は社名をジョイに変更し、東京貴宝とジョイとの間の直接の取引をすべてなくした。その結果、東京貴宝の2008年3月期の有価証券報告書上、ジョイは東京貴宝の子会社ではなくなった(もっとも実際にはジョイは中川社長の支配下にあった)。

東京貴宝主催の展示会等において貴金属が顧客に販売された場合、本来であれば東京貴宝→顧客として伝票を処理すべきところ、中川社長は東京貴宝→イースト(後述)またはプラス(後述)→ジョイ→顧客といった具合に赤字部分を介在させるよう指示していた。しかも、各会社間の粗利の設定はすべて中川社長が決定していた(明確な取引条件はなかった。取引条件を定めた文書もなかった)。そしてジョイが不当に得た利益から社長や社長の妻、娘へ報酬や給与が支払われており、東京貴宝に帰属すべき粗利がジョイを通じて中川家に還流されていた。これら一連の取引行為について、東京貴宝の取締役会による承認決議はなされておらず、中川社長は取締役会への報告も行っていなかった。

2011年
2011年ごろからイーストは中川社長の支配下になる。また、プラスが設立される。

2013年
中川社長がイーストの株式を譲り受ける。これにより、中川社長がイーストの単独株主となる。

2016年
イーストがプラスの単独株主となる。

2018年
10月中旬:東京貴宝は、会計監査人(太陽有限責任監査法人)より、東京貴宝の取引の一部に、中川社長のプライベートカンパニーとの取引(第三者を介在)などによる競業避止義務違反の疑いのある取引があるとの情報提供を受ける。
10月26日:東京貴宝は、社内調査をしたところ、会計監査人の情報のとおり、社長による不適切な取引の存在が認められたとして、調査委員会の設置を検討中であることを公表
11月1日:東京貴宝は、第三者委員会を設置したことをリリース。
11月14日:東京貴宝は、四半期報告書を提出期限(11月14日)内に提出できなくなったとして、関東財務局に1か月の期限延長を申請し、承認を受ける。
11月15日:東京貴宝は臨時取締役会を開催し、中川社長から代表権をはく奪し、取締役管理部長を新社長に選任。
12月14日:東京貴宝は第三者委員会の調査報告書を公表。中川社長は辞任により退任。
12月27日:東京貴宝は、100%~20%の役員報酬の減額(3か月間)と取締役3名、監査役3名の辞任を公表。

内容・原因・改善策

東京貴宝が2018年12月に公表した第三者委員会の調査報告書(その1その2その3その4その5)によると、本件の問題点の主な内容とその原因、再発防止策は次のとおりである。

社長による利益相反取引、競業避止義務違反
内容 東京貴宝の中川社長が、自らが100%株式を有するプライベートカンパニーを会社の商流に介在させることで、不当に利益を得ていた。
利益相反取引
・中川社長はイーストやプラスの1人株主(プラスはイースト経由の間接所有)であり、東京貴宝とイースト、東京貴宝とプラスの取引は利益相反取引に該当する。しかし、いずれの取引も東京貴宝の取締役会における承認はなかった(会社法365条1項、同356条1項違反)。
競業取引
・中川社長が事実上の支配をしているジョイは「宝石、貴金属製品及び装身具の販売」を主たる目的としており、東京貴宝も「宝石、貴金属、真珠製品の製造及び販売」を主たる目的としており、両者の目的は共通している。また、ジョイは東京貴宝と商圏が共通しており、ジョイの取引先の大半は中川社長が東京貴宝の営業部時代の取引であるため、ジョイが行う取引は東京貴宝の「事業の部類に属する取引」(会社法356条1項1号)にあたる。しかし、ジョイにおける中川社長の競業取引に関して東京貴宝の取締役会における承認はなかった(会社法365条1項、同356条1項違反)。
原因 (ワンマン経営)
・東京貴宝では、中川社長が強力なリーダーシップを発揮して企業経営を行っていたこともあり、あらゆる権限が中川社長に集中していた。その結果、東京貴宝では中川社長による“ワンマン経営”が常態化していた。
・中川社長は朝礼ミーティングの際に部下に対して「この組織の中で私が社長をやっています。私を尊敬しなさいとまでは言いませんが、当たり前の敬意が持てない、無視したり、バカにするなら、会社を辞めなさい。辞めるのを待つのではなく排除します。」といった強圧的な発言をすることが多かった。
・東京貴宝では、中川社長が最初に決裁印を押した稟議書が他の関係役職員に回付されるということがしばしば行われていた。

(ガバナンス不在)
・中川社長は東京貴宝の創業家出身ではないものの、創業者から厚い信任を得ており、創業者退任後は創業家の威光をバックに中川社長がワンマン経営をすることが可能となった。逆に創業家から中川社長に対する牽制は全く効いていなかった。
・東京貴宝の取締役会では中川氏が他の取締役に対して一方的に意見を述べたり説明を行ったりし、他の取締役はそれを黙って聞いていることの方が多かった。
・一部の取締役は「社長在庫」という不適切行為がうかがわれるような在庫が存在していることを知っていたにもかかわらず、監査役や会計監査人にそれを報告することはなかった(取締役の監視機能の放棄)。
・東京貴宝では、有価証券報告書やコーポレート・ガバナンス報告書において「各監査役は監査役会が定めた監査の方針、監査計画、業務分担等に従い、取締役会に出席し、意見を述べるなど、取締役の業務執行が適正かどうかの監査を行っております。また内部監査部門である経営企画室及び会計監査人と連携を密にして、監査の実効性の向上及び内部統制機能の強化に努めております。」と開示しているものの、実際には監査役が監査方針や監査計画を策定することはなく、会計監査人に対し監査の状況を報告することもなかった(監査役の監査機能の放棄)。また、経営企画室は内部監査を行っていなかった(内部監査の不存在)。
・東京貴宝では、ほとんどの取締役・監査役が自らの印章を管理部に預けており、取締役会議事録・監査役会議事録の作成・押印を管理部に任せっきりにしていた(議事録の記載事項を確認することがなかった)。年に数回は、開催されていない取締役会・監査役会の議事録が作成されることもあった(取締役・監査役が自己の業務に無関心)。

(役員のコンプライアンス意識の欠如)
・東京貴宝の役員はコンプライアンス意識が欠如しており、中には競業行為や利益相反行為の禁止等、取締役が負う義務についての知識がなかったことを明言する者など上場会社の役員としては通常考えられないレベルのコンプライアンス意識しか有していなかった者もいた。

(その他)
・東京貴宝には内部通報制度が設けられていなかった。

再発防止策 ・取締役による利益相反取引に関するチェック体制の確保
・取締役会・監査役会の機能の正常化
・内部監査機能の正常化および三様監査の体制強化
・特定の者への権限集中からの脱却
・役員に対するコンプライアンス教育

利益相反取引 : 会社が損をする半面、取締役が得をする取引。会社から取締役に会社の備品を低廉で売却するようなケースが典型。会社法上はそのような取引を行うにあたって取締役に取締役会(取締役会設置会社の場合)での事前承認と事後報告を求めている。利益相反取引により会社に損害が生じれば、その取引に関与した取締役は会社に対して損害を賠償する責任を負う。
競業取引 : 取締役が会社の業務と重複する業務を自ら行うこと。取締役には業務に関するノウハウがあるため、会社の商圏を侵食したり手法を真似したりすることで会社の売上を減らすことが容易にできる。そこで取締役には競業避止義務が課されており、会社法上は競業取引を行うにあたって取締役に取締役会(取締役会設置会社の場合)での事前承認と事後報告を求めている。競業取引により会社に損害が生じれば、その取引に関与した取締役は会社に対して損害を賠償する責任を負う。

<この失敗から学ぶべきこと>

東京貴宝の中川社長は、プライベートカンパニーで蓄積した利益を原資として、資金協力を求められた取引先メーカーや小売業者に対し、資金支援も行っていました。そこだけを切り取れば、一見“善い行い”のように錯覚しがちですが、その資金の出どころはしょせん東京貴宝から不当に得た利益であり、利息収入も得ている以上、不正の度合いが薄まるものではありません。

それにしても東京貴宝の取締役会・監査役会のレベルは上場会社ではめったに見ることができないほどお粗末なものでした。役員の中には取締役会議事録・監査役会議事録自体を確認したことが一度もない者が複数名いたとのことです(第三者委員会の調査報告書68ページの一番下の注釈を参照)。JASDAQ市場が誕生する前の「店頭登録制度」の頃は、取引所審査がなかった分、証券会社の判断次第で比較的緩い審査で上場できた企業もあったと言われています。その頃に店頭登録銘柄となり、今でもJASDAQ市場に留まっている企業の役員は、時代の趨勢に合わせて自社のガバナンス体制の水準がアップデイトできているのか、早急に点検すべきです。

2019/02/26 導入検討の価値あり 「連結納税制度」が大幅に使いやすく

企業グループにとって、グループ内のすべての企業を黒字にすることは容易ではない。このような場合、・・・

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2019/02/26 導入検討の価値あり 「連結納税制度」が大幅に使いやすく(会員限定)

企業グループにとって、グループ内のすべての企業を黒字にすることは容易ではない。このような場合、グループ内の各社の黒字と赤字を相殺してグループ全体の税負担を減らす効果のある連結納税制度の導入は検討に値するはずだが、実際には多くの企業が連結納税の導入を見送っている。その最大の理由が、「現行の連結納税制度は複雑すぎて、経理部門等に大きな負担がかかる」というものだ。経団連が企業に実施したアンケートでも、企業が連結納税制度を適用しない理由としては「事務手続きの負担が大きい」(51社中35社)が最多となっており、それに次ぐ「損益通算等のメリットがない/少ない」(51社中28社)を上回っている(2019年2月14日公表の「連結納税制度に関するアンケート結果概要」11ぺージ参照)。連結納税制度の節税効果よりも事務負担の重さが重視されているということからすると、現行連結納税制度は「仕組み」として大きな欠陥があると言わざるを得ないだろう。

連結納税制度 : 100%の持株関係にある企業グループに属する各企業の所得金額(≒黒字)と欠損金額(≒赤字)を通算して「連結所得金額」を計算し、この連結所得に対する法人税を親会社がまとめて納税する仕組み。例えば親会社の所得金額が100、子会社の欠損金額は100である場合、連結納税制度を採用していなければ親会社は所得金額100に対する法人税を負担しなければならないが、連結納税制度を採用していれば、親会社の所得金額100は子会社の欠損金額100と相殺され、税負担はゼロとなる。

この点については政府(財務省)も問題意識を持っており、連結納税制度の簡素化に向けて検討を始めたことは、2018年11月6日のニュース「連結納税の導入、経営判断は来年12月以降に」でお伝えしたとおり。そしてこのほど、新たな連結納税制度の仕組みが判明した。連結納税制度の見直しは内閣府に設置された「連結納税制度に関する専門家会合」で検討されているが、(2019年)2月14日に開催された第2回会合で、財務省が新たな連結納税制度の仕組みについて踏み込んだ説明を行っている(財務省の説明資料はこちら)。

新たな連結納税制度では「個別申告方式」という方式が採用されることになる。現行の連結納税制度では、連結グループ各社の所得(≒黒字)と欠損(≒赤字)を通算したうえで、「親会社」が税務署に申告・納税を行うことになっている。例えば、A~D社で構成される企業グループが連結納税を行っており、各社の所得がA社(親会社)100、B社(子会社)50、C社(子会社)▲50、D社(子会社)▲50だったとすると、連結所得は50(100+50-50-50)となり、これに法人税率を乗じて算出した「連結税額」をA社がまとめて申告・納付する。

これに対し「個別申告方式」では、文字通り各社が「個別」に申告・納税を行う。すなわち、上記例で言えば、A~Dの各社がそれぞれ申告・納税を行うことになる。もっとも、C社とD社はともに▲50の欠損が発生しているため、納税額は発生しない(ただし、申告は必要)。

個別申告方式の最大のポイントと言えるのが、C社とD社それぞれに生じている欠損▲50の取扱いだ。この点について財務省からは、連結グループ全体の欠損の合計額を、所得が発生しているグループ企業の「所得金額の比」により按分するというアイデアが示されている。

上記例を使って説明しよう。C社とD社それぞれに生じている欠損▲50が生じているため、連結グループ全体の欠損金額は▲100(▲50+▲50)となる。当該連結グループでは、A社に100、B社に50の所得が発生しているが、この欠損金額は▲100を、A社とB社の所得金額の比により按分することになる。具体的には下記の算式のとおり。

〇A社に配分される欠損金=67(※)
※▲100×A社の所得100/(A社の所得100+B社の所得50))
〇B社に配分される欠損金=33(※)
※▲100×B社の所得50/(A社の所得100+B社の所得50))

この結果、A社の所得金額は100から「33(100-67)」へ、B社の所得金額は50から「17(50-33)」へと減少し、その分、納税額も減少することになる。

この「個別申告方式」が導入されることにより、企業の事務負担は大幅に低下することが見込まれる。現行の連結納税制度では、親会社がまとめて申告・納税するという方式をとっているため、連結グループ内の企業の一つにでも計算ミスや税務調査による所得の変動が生じた場合、連結グループ内の全企業において所得の再計算等が必要になるという問題がある(財務省の説明資料9ページ参照)。これに対し新たな連結納税制度では、上記のように一度配分した欠損金は、計算ミスの発覚や税務調査等で所得の増減があったとしても「考慮しない」という方法で、一企業の所得の変動の影響が連結グループ内の他企業に及ばないようにする。

例えば、仮にD社で計算ミスが見つかり、所得が▲50⇒100に増えたとしても、D社の所得を50(▲50+100)とは考えず、▲50は既にA社およびB社に “配分済み”として無視する。すなわち、税務署は単純に所得の増額分の150に対する税額をD社からから追徴することになる。逆にD社の所得が▲50⇒▲200にさらに減少した場合は、D社の所得を▲150(▲200-▲50)とは考えず、▲50は既にA社およびB社に “配分済み”として無視する。そして、欠損金の増額分▲150を翌期に繰り越すことになる(翌期にD社において所得が発生すれば、これと相殺可能)。このように、連結グループの一部の企業で所得の修正があったとしても、当該企業法人だけで修正計算が完結するとなれば、連結納税を採用する企業グループの事務負担は劇的に減ることになる。

また、現行の連結納税制度では、基本的に(1)連結納税開始時や新たに連結グループに子会社が加入した際には子会社の資産を時価評価し、含み益があればそれに対して課税されるほか、(2)連結納税開始前あるいは連結グループ加入前の子会社の赤字(欠損金)を切り捨てる(=親会社の黒字(所得)との通算ができない)ことが求められ、これらも企業に連結納税制度の導入を躊躇させる一因となってきたが、個別申告方式では個別企業における所得計算が尊重され、逆に「連結グループ」という単位での所得計算はなくなるため、上記(1)(2)とも廃止もしくは大幅に緩和される可能性が高い。

以上のような見直しの結果、連結納税制度は、グループ経営を行う企業の多くが現実に採用を検討し得る制度として生まれ変わることになりそうだ。新たな連結納税制度が導入されるのは2020年4月1日となる見込み。経営陣は、一度導入の是非を取締役会で検討しておくべきだろう。

2019/02/25 デリバティブ取引を行う企業の内部統制

2019年2月20日のニュース『金融商品の時価の「レベル別開示」義務化で上場会社への影響は?』でお伝えしたとおり、経営者(会社)と投資家との間で「情報の非対称性」を生みやすい「金融商品」に関する会計基準を改正する案(以下、時価算定基準案)が先月(2019年1月)企業会計基準委員会(ASBJ)から示され、金融商品の時価を算定する際に使われるインプット(=時価の算定式に入力する数値)の影響度(重要度)のレベルに応じて、時価を客観性の高い順に「レベル1の時価(上場株式の時価など)」「レベル2の時価(金利スワップの時価、為替予約の時価など)」「レベル3の時価(複雑なデリバティブ取引など)」の3つに分類し、各レベル別に開示することが求められる方向となっている。

情報の非対称性 : 自社の情報については、経営陣など社内の人間の方が投資家よりも詳しいということ。
金利スワップ : 固定金利と変動金利をスワップ(交換)するデリバティブ契約。変動金利で借り入れをした企業が、金利を固定化するために「変動金利を受け取り、固定金利を支払う」金利スワップ契約を利用するケースが多い。
為替予約 : 金融機関との間で、将来、外国通貨を一定の為替レートで購入または売却することを予約する契約。為替リスクをヘッジ(為替レートの変動により受け取る(または支払う)自国通貨の額が変動することを回避)するのが目的。

客観的に把握することが容易な「レベル1の時価」「レベル2の時価」に対し、企業にとって問題となるのが、複雑なデリバティブ取引など「レベル3の時価」をいかに評価するのかということだ。

現状、複雑なデリバティブ取引を行う企業は、当該デリバティブ取引の時価として、金融機関が算定した時価をそのまま使用していると思われるが、時価算定基準案においては、金融機関等の第三者から入手した相場価格をそのまま「時価」として使用することは認められてない。第三者から入手した時価を利用するためには、当該時価が時価算定基準案に沿って算定されたものであることを企業が自ら検証しなければならない。このため、第三者から入手した相場価格を利用する場合、経営者は例えば次のよう内部統制を整備・運用することが求められると考えられる。・・・

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