2018/03/19 CGコード改訂 独立社外取締役に関する記述の背景と今後(会員限定)

「取締役会の3分の1以上の独立社外取締役の選任」を企業に強制するかのような新聞報道もあり、コーポレートガバナンス・コード(以下、CGコード)原則4-8の改訂の方向性に企業の関心が集まっていたが、当フォーラムが2018年2月20日のニュース「“社外取締役1/3以上説”、現時点での最新情報」でお伝えしていたとおり、原則4-8の後段部分の書きぶりを強める形で収束している。

【原則4-8.独立社外取締役の有効な活用】
独立社外取締役は会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に寄与するように役割・責務を果たすべきであり、上場会社はそのような資質を十分に備えた独立社外取締役を少なくとも2名以上選任すべきである。
また、業種・規模・事業特性・機関設計・会社をとりまく環境等を総合的に勘案して、自主的な判断により、少なくとも3分の1以上の独立社外取締役を選任することが必要と考える上場会社は、上記にかかわらず、そのための取組み方針を開示十分な人数の独立社外取締役を選任すべきである。

ただ、勘違いしないようにしたいのは、原則4-8は今回の改訂で“最終形”に到達したわけでは決してないということだ。当フォーラムが複数の関係者に取材したところを踏まえても、むしろ、次のCGコード改訂(数年後)では、「独立社外取締役の割合1/3」が事実上義務化される可能性は非常に高いと考えておくべきだろう。

その理由として、「1/3」という数字は、既にそれほど上場企業にとって高いハードルではなくなりつつあるということが挙げられる。東証の昨年(2017年7月26日)のデータでは、独立社外取締役が全取締役の3分の1以上を占める東証一部上場企業は既に27.2%にのぼっている(東証上場会社における独立社外取締役の選任状況及び委員会の設置状況(2017年7月26日) 3ページ参照)。東証二部上場企業では18.7%とまだ低いが、「社外取締役」に限れば「32.3%」と3割を超えて来る(社外取締役と独立社外取締役の違いは2014年12月26日のニュース『「社外取締役」と「独立社外取締役」の違い、明確に説明できますか?』参照)。一方、「過半数の独立社外取締役」を選任している上場企業は、東証一部でも2.9%、東証二部では1.3%に過ぎない(以上、5ページ参照)。要するに、「1/3」という数字は、数年後には東証一部・二部上場企業にとって達成可能な“現実的に達成可能な目標”と言える。

現状、独立社外取締役が取締役会に占める割合が1/3未満にとどまっている東証一部・二部上場企業は、数年後に行われる次のCGコード改訂に向け、今のうちから独立社外取締役の増員を進めておくべきだろう。

2018/03/16 続報・CGコード改訂 「ジェンダー・ダイバーシティ」のコンプライ基準

導入以来初となるコーポレートガバナンス・コード(以下、CGコード)の改訂(2018年3月13日に案が公表)では、役員構成の多様性として「ジェンダー」と「国際性」が例示されたこと(原則4-11)がポイントの一つとされている(2018年3月13日のニュース「速報・CGコード改訂の3つのポイント」参照)。このうち「国際性」については、企業(例えば国内市場のみをターゲットとしているドメスティックなビジネスを展開する企業)によってはエクスプレインのしようもありそうだが、一方の「ジェンダー」については、その余地は小さい。議決権行使助言大手のグラスルイスが・・・

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2018/03/16 続報・CGコード改訂 「ジェンダー・ダイバーシティ」のコンプライ基準(会員限定)

導入以来初となるコーポレートガバナンス・コード(以下、CGコード)の改訂(2018年3月13日に案が公表)では、役員構成の多様性として「ジェンダー」と「国際性」が例示されたこと(原則4-11)がポイントの一つとされている(2018年3月13日のニュース「速報・CGコード改訂の3つのポイント」参照)。このうち「国際性」については、企業(例えば国内市場のみをターゲットにドメスティックなビジネスを展開する企業)によってはエクスプレインのしようもありそうだが、一方の「ジェンダー」については、その余地は小さい。議決権行使助言大手のグラスルイスが日本向けの2018年版ガイドラインで「取締役会に女性役員がおらず、そのことについて十分な説明が伴っていない場合、特定の取締役の選任議案への反対または棄権を推奨する」ことを表明するなど、日本企業にとってはもはや“待ったなし”の状況が訪れつつある(2017年12月21日のニュース「グラスルイスが日本向け2018年版ガイドラインを公表」、2018年1月16日のニュース「世界的運用機関が日本企業500社に女性取締役の選任を要求も」参照)。

特定の取締役 : 指名委員会等設置会社では指名委員会の委員長、その他の会社では会長または社長を指す。

こうした中で、役員構成の多様性に、国際性とともに「ジェンダー」が加えられたことはごく自然な流れと言えるが、日本企業の現実に目を向けると、2017年7月現在、上場企業における女性の役員割合はわずか3.7%にとどまっている。企業からは早くも「原則4-11をコンプライしていると言えるにはどの程度の女性役員比率が求められるのか」といった疑問の声が聞こえて来るが、当フォーラムの取材によれば、同原則でいう女性役員比率としては当面「10%」という数字が意識されているようだ。これは、内閣が、上場企業役員に占める女性の割合を「5%(早期)、更に10%を目指す(2020年)」ことを盛り込んだ第4次男女共同参画基本計画(15ページ参照)を2015年12月に閣議決定していることによる。2020年まで既に2年を切っており、企業は早々に10%という数字を目指していく必要があろう。

上述のとおり、上場企業全体における女性の役員割合はわずか3.7%であることからすると、多くの上場企業にとって10%は高いハードルとなる。原則4-11の改訂に伴い、「エクスプレイン」を迫られる企業が相次ぐ可能性もありそうだ。

2018/03/15 セミナー「2017年12月決算会社・3月株主総会の主要論点」および「最新開示事例分析とあるべき開示の姿」を2018年4月18日(水)に開催しました。

本セミナーはすでに開催済みですが、会員の方向けにWEBセミナーを配信中です。
WEBセミナー:2017年12月決算会社・3月株主総会の主要論点
WEBセミナー:最新開示事例分析とあるべき開示の姿

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上場会社役員ガバナンスフォーラムでは、2018年4月18日(水)の14時30分~17時40分に下記のセミナーを開催いたします。
詳細はこちらもご覧ください。

時 間 テーマ 講 師
第一部
14:30

16:00
~3月総会から見える6月総会の予想論点は?~
2017年12月決算会社・3月株主総会の主要論点
三菱UFJ信託銀行
証券代行部 次長
中川 雅博 様
第二部
16:10


17:40
~ESG、政策保有株式、MD&A… etc. 2018年開示書類はどう書くか~
最新開示事例分析とあるべき開示の姿
一橋大学商学部・大学院商学研究科
准教授
日本IR協議会 客員研究員
円谷 昭一 様

■第一部の詳細

セミナー
の内容
3月決算会社においては、2018年6月の定時株主総会に向けた準備、機関投資家との対話が本格化しつつありますが、昨年(2017年5月)実施されたスチュワードシップ・コードの改訂により、機関投資家が議決権行使結果の個別開示を行うようになったことで、各社とも議案への賛否の行方にはこれまで以上に敏感にならざるを得ません。こうした中、機関投資家や議決権行使助言会社などのスタンスを把握し、自社の議案の賛否動向をシミュレーションしたり、また、株主からの質問につながりそうなトピックスを洗い出したりするうえで参考になるのが、3月に開催される12月決算会社の定時株主総会です。3月決算会社に次いで数が多い12月決算会社の3月総会は6月総会の”前哨戦”と言えるでしょう。
本セミナーでは、株主総会実務や株主総会分析の第一人者であり、全国株懇連合会の理事も務める三菱UFJ信託銀行の中川雅博様をお招きし、12月決算会社の3月総会における議案への賛否動向や議決権行使助言会社の動向、注目される株主提案や質問、コーポレートガバナンスの深化に向けた対応などについて分析していただくほか、株主総会来場者へのお土産といった運営上の論点に関する調査結果もご報告いただきます。2018年6月総会の準備を進める上場企業にとって有益なセミナーとなるはずです。
講師の
ご紹介
中川 雅博(なかがわ まさひろ)様
大阪大学法学部卒、大阪大学大学院法学研究科(修士課程)修了。1990年、東洋信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)に入社。以後、証券代行部門・法人ビジネス部門に所属し、一貫して会社法務に関するコンサルティングを行う。現在、三菱UFJ信託銀行(株)証券代行部次長、全国株懇連合会理事、東京株式懇話会常任幹事(研究部 研究第2部担当)。
ハンドブックシリーズ1「株主総会」(共著:2002年12月・商事法務)、ハンドブックシリーズ2「株式実務」(共著:2003年4月・商事法務)、「委員会等設置会社への移行戦略」(共著:2003年5月・商事法務)、「株券電子化と移行のポイント」(共著:2008年5月・商事法務)、「株券電子化-その実務と移行のすべて」(共著:2008年8月・きんざい)、「全株懇モデル[新訂2版]」(共著:2009年3月・商事法務)、「株式事務の基礎知識」(2009年11月・商事法務)、「株主総会ハンドブック第3版」(共著:2015年3月・商事法務)、「株主総会・取締役会・監査役会の議事録作成」(共著:2015年3月・清文社)、「監査等委員会設置会社の活用戦略」(共著:2015年9月・商事法務)、「新株主総会実務なるほどQ&A」(共著:2017年3月・中央経済社)、「株主総会の準備実務・想定問答」(共著:2018年1月・中央経済社)など著書多数。

■第二部の詳細

セミナー
の内容
従来、ひな形的な記述を中心としてきた日本の上場企業の開示のあり方は大きな変革期を迎えています。投資家と企業の対話が進む中、投資家側は対話のベースとなる企業の開示書類の内容に必ずしも満足していないという現状があり、こうした現状を踏まえ、政府も開示ルールの見直しを進めているのは周知のとおりです。例えば、これまで大部分の上場企業がひな形的開示しか行っておらず、投資家から「付加価値に乏しい」との批判があった有価証券報告書のMD&A(経営陣による財政状態および経営成績等の検討と分析)に「経営者の視点」の記載が求められたことなどは、今後開示のあり方が大きく変わっていく兆しと言えるでしょう。
本セミナーでは、IRを中心とするディスクロージャー研究で著名な一橋大学大学院商学研究科の円谷昭一先生をお招きし、ESG、政策保有株式、MD&A等々、機関投資家や上場企業の関心が高い開示項目を中心に、先進的な開示を行っている企業の開示例をご紹介・分析していただいたうえで、これらの事例および投資家の要望(例えば政策保有株式や社外取締役に関する開示など)も踏まえながら、統合報告書、アニュアルレポート、有価証券報告書などの開示書類にはどのような内容を盛り込んでいくべきか、円谷先生のお考えも語っていただきます。2018年版開示書類の作成に向け、参考になるお話が聞けるはずです。
講師の
ご紹介
円谷 昭一(つむらや しょういち)様
一橋大学商学部・大学院商学研究科 准教授。日本IR協議会 客員研究員
一橋大学商学部卒業、一橋大学大学院商学研究科 博士後期課程修了(伊藤邦雄研究室) 博士(商学)。埼玉大学経済学部 准教授などを経て現職。
IRを中心としたディスクロージャーを専門とし、国内外の開示制度や先進的な開示事例に精通するほか、企業との接点も多く、ディスクロージャーと関係が深いコーポレートガバナンスや議決権行使なども研究テーマとしている。
<論文・寄稿・著書(共著を含む)等>
・インベスター・リレーションズを中心としたディスクロージャー研究機関投資家ファンダメンタルズと株主総会投票行動の関連性-取締役選任議案を対象とした実証分析-」『月刊資本市場』No.373,2016年9月
・「IFRSの任意適用が経営者業績予想の精度に与える影響」『會計』第189巻第6号,2016年6月
・「本当に必要とされる「四半期情報開示」とは」『企業会計』Vol.67 No.11,2015年11月
・「日本版スチュワードシップ・コード前後での議決権行使状況」 椛田龍三編著『グローバル・ガバナンス時代におけるIR情報と会計情報の総合的な研究』,2015年3月
   ほか多数 詳細はこちら

なお、セミナー参加費につきましては、上場会社役員ガバナンスフォーラムの会員のみ無料、それ以外の方は22,000円(税込 ※)となっております。

※セミナーお申込み前に会員登録いただくと、セミナー参加費は無料となります。

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非会員で視聴をご希望の方はjimukyoku@govforum.jpまでご連絡いただければメールにてお申し込み方法をお知らせいたします。

その他、ご不明な点等がございましたら、ご遠慮なく jimukyoku@govforum.jp までお問い合わせください。

<セミナー概要>

  • 第一部 2017年12月決算会社・3月株主総会の主要論点
  • 第二部 最新開示事例分析とあるべき開示の姿
  • 【日時】2018年4月18日(水)14時30分~17時40分
  • 【会場】富国生命ビル14階 Aルーム(今回のセミナーは従来の会場とは異なる会場で開催するので、お間違えのないようご注意ください)
  • 【受付】14時~、セミナー会場入口で行います。直接セミナー会場にお越しください。
  • 【講師】第一部 三菱UFJ信託銀行 証券代行部 次長 中川 雅博 様
        第二部 一橋大学商学部・大学院商学研究科 准教授 日本IR協議会 客員研究員 円谷 昭一 様
  • 【セミナー参加費】当フォーラム会員は無料、それ以外の方は22,000円(税込)
お申し込みはこちら

2018/03/15 続報・CGコード改訂 企業年金への関与を求める原則に込められた“警告”

昨日(2018年3月13日 )のニュース「速報・CGコード改訂の3つのポイント」でお伝えしたとおり、導入以来初めてとなるコーポレートガバナンス・コードの改訂では、母体企業に企業年金への関与が求められたこと(原則2-6)がポイントの1つとなっている。

原則2-6は新設されたコードであり、その全文は以下のとおりとなっている。

【原則2-6.企業年金のアセットオーナーとしての機能発揮】
上場会社は、企業年金の積立金の運用が、従業員の安定的な資産形成に加えて自らの財政状態にも影響を与えることを踏まえ、企業年金が運用(運用機関に対するモニタリングなどのスチュワードシップ活動を含む)の専門性を高めてアセットオーナーとして期待される機能を発揮できるよう、運用に当たる適切な資質を持った人材の計画的な登用・配置などの人事面や運営面における取組みを行うとともに、そうした取組みの内容を開示すべきである。その際、上場会社は、企業年金の受益者と会社との間に生じ得る利益相反が適切に管理されるようにすべきである。

この中で、企業への“警告”ともとらえられるのが、・・・

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2018/03/15 続報・CGコード改訂 企業年金への関与を求める原則に込められた“警告”(会員限定)

昨日(2018年3月13日 )のニュース「速報・CGコード改訂の3つのポイント」でお伝えしたとおり、導入以来初めてとなるコーポレートガバナンス・コードの改訂では、母体企業に企業年金への関与が求められたこと(原則2-6)がポイントの1つとなっている。

原則2-6は新設されたコードであり、その全文は以下のとおりとなっている。

【原則2-6.企業年金のアセットオーナーとしての機能発揮】
上場会社は、企業年金の積立金の運用が、従業員の安定的な資産形成に加えて自らの財政状態にも影響を与えることを踏まえ、企業年金が運用(運用機関に対するモニタリングなどのスチュワードシップ活動を含む)の専門性を高めてアセットオーナーとして期待される機能を発揮できるよう、運用に当たる適切な資質を持った人材の計画的な登用・配置などの人事面や運営面における取組みを行うとともに、そうした取組みの内容を開示すべきである。その際、上場会社は、企業年金の受益者と会社との間に生じ得る利益相反が適切に管理されるようにすべきである。

この中で、企業への“警告”ともとらえられるのが、「その際」以降の一文だ。「企業年金の受益者と会社との間に生じ得る利益相反」として、例えば、母体企業の取引先に企業年金の運用委託機関が投資しているケースにおいて、母体企業がその議決権行使に干渉したり(反対しないよう圧力をかける)、場合によっては議案に反対の意向を示している運用委託先を解約するよう指示したりするといったことが想定される。実はこうした事例は現実に存在しており、それもこの一文が入る大きなきっかけになったものとみられる。通常、母体企業における企業年金の管理には財務部門(一部、人事・労務部門など)があたることが多いが、CFOが率いる財務部門はまさに経営直轄の部門であることを考えると、もし上述したような利益相反が生じれば、それは経営陣により引き起こされたと見られても仕方がない。

我が国には米国のエリサ法のような従業員の受給権保護に関する法律はないが、企業年金(およびその理事等)側の受託者責任については、厚生年金基金および確定給付企業年金の資産運用関係者の役割および責任について定めた年金局長通達である「厚生年金基金の資産運用関係者の役割及び責任に関するガイドライン」「確定給付企業年金に係る資産運用関係者の役割及び責任に関するガイドライン」において定められている。これらには母体企業側の関与についての明確な規定は見当たらないものの、仮に経営陣による利益相反行為が発覚すれば、企業のレピュテーションに傷がつくのはもちろん、受益者である従業員の信頼も失うことになるのは間違いない。

米国のエリサ法 : 企業年金等に加入する従業員の受給権保護を最大の目的とした法律。ERISA(エリサ)とは「Employee Retirement Income Security Act(従業員退職所得保障法)」の頭文字をとった作られた通称である。

企業年金の母体企業の経営陣は、新設された原則2-6の「企業年金の受益者と会社との間に生じ得る利益相反」に関するくだりは、自身に向けられたメッセージであることを認識する必要があろう。

2018/03/14 「投資家と企業の対話ガイドライン」はコンプライする必要があるのか

金融庁に設置されている「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」は昨日(2018年1月14日)、コーポレートガバナンス・コード(以下CGコード)の改訂案を公表したが、これと同時に公表されたのが「投資家と企業の対話ガイドライン(案)」と「コーポレートガバナンス・コードの改訂と投資家と企業の対話ガイドラインの策定について(案)」だ。

企業の間では、これらの文書の関係がよく分からないという声がある。特に「投資家と企業の対話ガイドライン(案)」については、“ガイドライン”という名称から「CGコードと同様、実質的にコンプライorエクスプレインが求められるのではないか」といった懸念も聞かれる。

結論から言うと、・・・

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2018/03/14 「投資家と企業の対話ガイドライン」はコンプライする必要があるのか(会員限定)

金融庁に設置されている「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」は昨日(2018年1月14日)、コーポレートガバナンス・コード(以下CGコード)の改訂案を公表したが、これと同時に公表されたのが「投資家と企業の対話ガイドライン(案)」と「コーポレートガバナンス・コードの改訂と投資家と企業の対話ガイドラインの策定について(案)」だ。

企業の間では、これらの文書の関係がよく分からないという声がある。特に「投資家と企業の対話ガイドライン(案)」については、“ガイドライン”という名称から「CGコードと同様、実質的にコンプライorエクスプレインが求められるのではないか」といった懸念も聞かれる。

結論から言うと、「投資家と企業の対話ガイドライン」(以下、対話ガイドライン)についてコンプライorエクスプレインが求められることはない。対話ガイドライン案は今回のCGコード改訂案に先立ち(2018年)2月15日に公表されており(2018年2月15日のニュース『対話の重点項目を5つに分類 「投資家と企業の対話ガイドライン」の詳細』参照)、また、その内容はCGコード改訂案と内容と重なっている部分が多いことからも分かるように(例えば、CGコード改訂案原則4-11では、役員構成の多様性に「ジェンダー」と「国際性」が挙げられているが、対話ガイドライン案の3-6にも同様の記載がある)、両者は、まず“CGコードの趣旨に沿った具体的な取組み”として対話ガイドラインが作成され、その中でも特に重要な要素がCGコード改訂案に落とし込まれたという関係にある。

そして、こうした両者の関係を踏まえ、ガイドライン案とCGコード改訂案について一体的に説明する文書が必要との判断から取りまとめられたのが「コーポレートガバナンス・コードの改訂と投資家と企業の対話ガイドラインの策定について(案)」ということになる。本文書は、CGコードと対話ガイドラインを取りまとめた有識者会議によって作成され、今回のCGコード改訂・対話ガイドライン策定作業の背景、趣旨、コードとガイドラインの性質と位置づけについて、概要が説明されている。

なお、CGコードは従来通り東京証券取引所が所管するのに対し、対話ガイドラインは金融庁の所管となる。

2018/03/13 速報・CGコード改訂の3つのポイント

金融庁に設置されている「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」は本日、コーポレートガバナンス・コードの改訂案を明らかにした。

今回の改訂における“新味”と言えるのが下記の3点だ。・・・

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2018/03/13 速報・CGコード改訂の3つのポイント(会員限定)

金融庁に設置されている「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」は本日、コーポレートガバナンス・コードの改訂案を明らかにした。

今回の改訂における“新味”と言えるのが下記の3点だ。

・政策保有株式について規律が設けられたこと(原則1-4、補充原則1-4①、同②)
・企業年金に母体企業への関与が求められたこと(原則2-6)
・役員構成の多様性に「ジェンダー」と「国際性」が挙げられたこと(原則4-11)

具体的に見てみよう。

まず政策保有株式関係では、
・「保有目的が適切か」「保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか」等を具体的に精査し、保有の適否を検証するとともに、検証の内容を開示すべき(原則1-4)。
・政策保有株主(自社の株式を政策保有株式として保有している会社)から株式の売却等の意向が示されたとしても、取引の縮減を示唆することなどにより売却等を妨げるべきではない(補充原則1-4①)。
・政策保有株主との間で取引の経済合理性を十分に検証しないまま取引を継続するなど、会社と株主の共同の利益を害するような取引を行うべきではない(補充原則1-4②)。
――との新たな規律が示されている。

次に企業年金関係では、母体となる上場会社が運用に詳しくない人材を企業年金に配置したため、運用機関に運用を丸投げせざるを得ないなど、(母体企業による企業年金の)チェック機能が働いていないといった指摘を踏まえ「企業年金の運用に当たる適切な資質を持った人材の計画的な登用・配置など人事面や運営面における取り組みに上場会社が関与し、その取り組みを開示すべき」とされたほか、「上場会社と企業年金の受益者(役職員)との間に生じ得る利益相反が適切に管理されるようにすべき」とされた(原則2-6)。

役員構成の多様性に「ジェンダー」と「国際性」が加えられた(原則4-11)のは世界的な潮流に沿ったものであり、説明は不要だろう。

このほか、企業側の関心が高かった独立社外取締役の増員については、2018年2月20日のニュース「“社外取締役1/3以上説”、現時点での最新情報」でお伝えしたとおり、原則4-8の後段部分の書きぶりを下記のとおり強める形となっている。

また、業種・規模・事業特性・機関設計・会社をとりまく環境等を総合的に勘案して、自主的な判断により、少なくとも3分の1以上の独立社外取締役を選任することが必要と考える上場会社は、上記にかかわらず、そのための取組み方針を開示十分な人数の独立社外取締役を選任すべきである。

もっとも、この改正は、一部の新聞報道に見られた「取締役会の3分の1以上の独立社外取締役の選任」を企業に強制しているわけではない。あくまで「必要と考える企業はそうしてください」としか書いていないため、「実質的には現行のコードと大差ない」と評価する専門家もいる。「業種・規模・事業特性・機関設計・会社をとりまく環境」等についても特段のルールがあるわけではなく、その判断は企業に委ねられる。これまでどおり、コーポレートガバナンス・コードのプリンシプルベースの精神に沿った内容と言えよう。

プリンシプルベース : 大まかな原理・原則だけを定め、細かな運用は現場の判断に任せるという規制方法のこと。プリンシプルベース(原則主義)の反意語は「ルールベース(細則主義)」である。