2017/04/21 業績連動給与で会計と税務に“ズレ”

インセンティブ型の役員報酬体系への改革を進める上場企業においては、譲渡制限付株式報酬(リストリクテッド・ストック)のほか、「業績連動給与」の導入を検討しているところも少なくない。

譲渡制限付株式報酬(リストリクテッド・ストック) : 一定期間の譲渡制限が付された株式報酬

「業績連動給与」とは法人税法上の用語だが、要するに業績によって金額が変動するタイプの役員報酬を指す。従来、業績連動給与は「利益連動給与」という名称であり、「利益の状況を示す指標」(純利益、業務純益EBITDA、ROE(自己資本収益率)、ROA(純資産利益率)、EPS(1株当たり利益)などでも可)によって算定されることが損金算入の要件とされていたが、平成29年度税制改正によりこの算定指標に「株価」や「売上高」が加えられ、さらに、「複数年度」を対象とする指標が追加されている。このように利益以外の指標が加えられたことでもはや「利益連動給与」とは呼べないことから、名称自体も「業績連動給与」に変更されたという経緯がある。

業務純益 : (営業利益±本業以外の利益)-(一般貸倒引当金繰入額+経費(臨時的経費を除く))
損金 : 法人税計算の基礎となる法人所得を減らす性質の支出等のこと。損金は企業会計上の費用とおおむね一致するが、役員賞与や固定資産の減損損失など「損金には該当しない費用」もある。

平成29年度税制改正の中で、役員報酬改革を進める上場企業にとって注目されるのは、・・・

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2017/04/21 業績連動給与で会計と税務に“ズレ”(会員限定)

インセンティブ型の役員報酬体系への改革を進める上場企業においては、譲渡制限付株式報酬(リストリクテッド・ストック)のほか、「業績連動給与」の導入を検討しているところも少なくない。

譲渡制限付株式報酬(リストリクテッド・ストック) : 一定期間の譲渡制限が付された株式報酬

「業績連動給与」とは法人税法上の用語だが、要するに業績によって金額が変動するタイプの役員報酬を指す。従来、業績連動給与は「利益連動給与」という名称であり、「利益の状況を示す指標」(純利益、業務純益EBITDA、ROE(自己資本収益率)、ROA(純資産利益率)、EPS(1株当たり利益)などでも可)によって算定されることが損金算入の要件とされていたが、平成29年度税制改正によりこの算定指標に「株価」や「売上高」が加えられ、さらに、「複数年度」を対象とする指標が追加されている。このように利益以外の指標が加えられたことでもはや「利益連動給与」とは呼べないことから、名称自体も「業績連動給与」に変更されたという経緯がある。

業務純益 : (営業利益±本業以外の利益)-(一般貸倒引当金繰入額+経費(臨時的経費を除く))
損金 : 法人税計算の基礎となる法人所得を減らす性質の支出等のこと。損金は企業会計上の費用とおおむね一致するが、役員賞与や固定資産の減損損失など「損金には該当しない費用」もある。

平成29年度税制改正の中で、役員報酬改革を進める上場企業にとって注目されるのは、「複数年度」を対象とする指標が追加された点だろう。従来の利益連動給与は「単年度」を前提としていたが、今後は例えば「3年間の平均ROE」「3年間の平均利益」「将来の一時点の利益」といった指標をベースに役員の給与を算定した場合でも、業績連動給与として損金算入する途が開かれたということになる。これは、コーポレートガバナンス・コード(4-2、4-2①)が求める「中長期的な会社の業績や潜在的リスクを反映させた経営陣の報酬」「中長期的な業績と連動する経営陣の報酬」とも整合する。

ただし、ここで注意したいのが、会計と税務の“ズレ”だ。例えば3年間の平均利益に基づき最大3千万円の業績連動給与(目標とする平均利益を何割達成したかにより金額が変動)が支払われるとしよう。この場合、業績連動給与の額は3年後にならないと確定しないため、会計上、1年目と2年目の決算においては例えば1千万円ずつの「業績連動給与引当金」を計上する必要がある。すなわち、会計上、業績連動給与は算定対象期間の初年度から決算数値を押し下げることになる。

一方、税務においては、会計上「引当金」として計上した1年目、2年目の1千万円は損金算入することができない。引当金の計上を自由に認めると損金が増え、結果として法人税額が減る(=国にとっては税収が減る)ため、会計上は計上が求められる引当金が税務では計上できないケースが多いが、業績連動給与についても同様となる。税務上、業績連動給与が損金となるのは、業績連動給与が企業の債務として確定する3年目の事業年度末ということになる。

2017/04/20 CGコードの遵守状況を議決権行使の判断材料としてもらうために

コーポレートガバナンス・コードの適用開始(2015年6月1日~)から3回目の株主総会(3月決算企業の場合)を目前に控える中、上場企業各社における同コードへの対応も進んでいることだろう(東証の最新の調査結果は2017年1月17日のニュース「CGコードの“フルコンプライ”企業の割合が頭打ちに」参照)。ただ、こうした努力を株主に十分アピールできていない企業が少なくない。

その最大の要因は、コーポレートガバナンス・コードの遵守状況の開示が証券取引所の要請する「コーポレート・ガバナンス報告書」にとどまっていることにある。上場企業がコーポレートガバナンス・コードへの対応に腐心する理由が株主へのアピールにあるとすれば、「株主総会招集通知」(広義の招集通知。以下、単に「招集通知」)にもコーポレートガバナンス・コードの遵守状況を開示することをお勧めしたい。しかも、議決権行使につながるという招集通知の特殊性を考慮すれば、単に遵守状況だけを開示するだけでなく、議決権行使に絡めて開示したいところだ。

広義の招集通知 : 株主総会の「日時」「場所」「報告事項」「議案」などを記した狭義の招集通知に、株主が議決権を行使する際に参考となる事項を記載した「株主総会参考書類」「事業報告」「連結計算書類」「計算書類」を加えて、広義の招集通知という。

開示内容をイメージしていただくために、実例を紹介しよう。・・・

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2017/04/20 CGコードの遵守状況を議決権行使の判断材料としてもらうために(会員限定)

コーポレートガバナンス・コードの適用開始(2015年6月1日~)から3回目の株主総会(3月決算企業の場合)を目前に控える中、上場企業各社における同コードへの対応も進んでいることだろう(東証の最新の調査結果は2017年1月17日のニュース「CGコードの“フルコンプライ”企業の割合が頭打ちに」参照)。ただ、こうした努力を株主に十分アピールできていない企業が少なくない。

その最大の要因は、コーポレートガバナンス・コードの遵守状況の開示が証券取引所の要請する「コーポレート・ガバナンス報告書」にとどまっていることにある。上場企業がコーポレートガバナンス・コードへの対応に腐心する理由が株主へのアピールにあるとすれば、「株主総会招集通知」(広義の招集通知。以下、単に「招集通知」)にもコーポレートガバナンス・コードの遵守状況を開示することをお勧めしたい。しかも、議決権行使につながるという招集通知の特殊性を考慮すれば、単に遵守状況だけを開示するだけでなく、議決権行使に絡めて開示したいところだ。

広義の招集通知 : 株主総会の「日時」「場所」「報告事項」「議案」などを記した狭義の招集通知に、株主が議決権を行使する際に参考となる事項を記載した「株主総会参考書類」「事業報告」「連結計算書類」「計算書類」を加えて、広義の招集通知という。

開示内容をイメージしていただくために、実例を紹介しよう。資生堂では、2016年12月期の定時株主総会における招集通知の末尾に「議決権行使のためのサマリー情報」欄を設けて、コーポレートガバナンス・コードの遵守状況を開示している。

27607

資生堂の2016年12月期定時株主総会の招集通知より抜粋

この表では、「会社がめざす姿」「計算書類」「政策保有株式」「剰余金の配当」「定款変更」「取締役選任」「監査役選任」「役員賞与」「退職慰労金」「役員賞与」「株式報酬型1円ストックオプション」「買収防衛策」の12のカテゴリーを設けたうえで、トータル49個の「議決権行使判断のポイント」がコーポレートガバナンス・コードの該当原則と資生堂の遵守状況に関連付けられている。表には招集通知のページ数も記載されているため、株主はコーポレートガバナンス・コードの遵守状況と照合しながら議決権行使について検討することができる。

コーポレートガバナンス・コードの該当原則と自社の遵守状況を関連付けた資料というと、オムロンなどが作成・公表しているコーポレートガバナンス・コード実施状況表を思い浮かべる向きもあろうが、これは株主の議決権行使の判断資料と関連付けたものではないため、資生堂のサマリー情報とは位置付けが異なる。その意味でも資生堂のサマリー情報は先進的な取組みと言えるが、定時株主総会招集通知の後ろのページ(正確には株主メモの前)に配置されている点は惜しいと言わざるを得ない。これでは、最後のページまでめくらなければ本サマリー情報の存在に気付かないからだ。実際、資生堂に投資している機関投資家でさえ本サマリー情報の存在に気付いていなかったほどだ。今後は、資生堂の例を踏まえて、議決権行使のためのサマリー情報を作成し、定時株主総会招集通知の冒頭に配置する上場企業が出てくるかもしれない。

2017/04/19 外国人株主が買収防衛策の継続議案に賛成した企業の特徴

買収防衛策に対しては議決権行使助言大手のISSやグラスルイスが原則反対のスタンスをとっていることもあり(2017年2月14日のニュース「ISSとグラスルイス、厳しいのはどっち?」参照)、各社の買収防衛策の導入or継続議案の賛成率には市場関係者、企業ともに高い関心を持っている(買収防衛策を継続する上で検討すべきポイントは【2017年1月の課題】買収防衛策の継続 参照)。2017年6月総会を占ううえで、直近の株主総会における動向を見てみよう。

2017年3月までに株主総会を開催した10~12月決算企業のTOPIX500採用銘柄(59社)のうち、買収防衛策の継続議案を上程した事例は6社あった。その平均賛成率は76%にとどまっている。機関投資家の相当数による反対を受けたことが、低い賛成率につながったものと見られる。少なくとも議決権行使助言最大手のISSは、これら6社を含めた全ての買収防衛策の導入議案に対して、反対を推奨するレポートを発信した模様だ。

上述の6社について個別に賛成率を確認すると・・・

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2017/04/19 外国人株主が買収防衛策の継続議案に賛成した企業の特徴(会員限定)

買収防衛策に対しては議決権行使助言大手のISSやグラスルイスが原則反対のスタンスをとっていることもあり(2017年2月14日のニュース「ISSとグラスルイス、厳しいのはどっち?」参照)、各社の買収防衛策の導入or継続議案の賛成率には市場関係者、企業ともに高い関心を持っている(買収防衛策を継続する上で検討すべきポイントは【2017年1月の課題】買収防衛策の継続 参照)。2017年6月総会を占ううえで、直近の株主総会における動向を見てみよう。

2017年3月までに株主総会を開催した10~12月決算企業のTOPIX500採用銘柄(59社)のうち、買収防衛策の継続議案を上程した事例は6社あった。その平均賛成率は76%にとどまっている。機関投資家の相当数による反対を受けたことが、低い賛成率につながったものと見られる。少なくとも議決権行使助言最大手のISSは、これら6社を含めた全ての買収防衛策の導入議案に対して、反対を推奨するレポートを発信した模様だ。

上述の6社について個別に賛成率を確認すると下の表1のとおり、概ね60~85%の範囲でバラつきがある。

表1 買収防衛策の賛成率

キユーピー コクヨ 不二越 サッポロHD アシックス パイロット
77% 80% 76% 79% 62% 83%

このようなバラツキは、各社の機関投資家株主比率に違いがあることに起因している。特に影響が大きいのが外国人株主比率だ。各社の外国人株主比率は表2のとおりとなっているが、外国人株主の大部分を占める米英機関投資家に大きな影響力を持つISSが全ての買収防衛策議案に反対していることから、基本的には外国人の大部分は反対票を構成することになる。

表2 外国人株主比率

キユーピー コクヨ 不二越 サッポロHD アシックス パイロット
9% 11% 11% 16% 40% 27%

ところが、表1と表2を比べると、右端の2社、アシックスとパイロットでは、外国人株主比率が反対率(「100%-賛成率」と推定。以下同)を上回っている。これは、一定数の外国人株主が賛成に回ったことを示唆している(これに対し、例えば左端のキユーピーの反対率は23%となっているが、そのうち9%が外国人株主、残りは主に国内機関投資家による反対と推定できる)。

では、アシックス、パイロットとその他4社の違いは何だろうか。過去5期平均のROEに注目すると、表3のとおり、2桁あるのはアシックスとパイロットだけとなっている。機関投資家がいかにROEを重視しているか、買収防衛策の賛否にも表れていると言えそうだ。

表3 過去5期平均のROE

キユーピー コクヨ 不二越 サッポロHD アシックス パイロット
7.6% 3.6% 9.0% 4.2% 10.4% 16.4%

2017/04/18 「財団への第三者割当」を巡る投資家目線の論点

公益財団法人(以下、財団)を設立している上場企業は多い。企業が財団を設立する目的として「社会貢献」が強調されているケースが目に付くが、自社株式を財団に取得させれば、安定株主対策や買収防衛策にもなり得る()。

 財団は、上場会社か非上場会社かを問わずその株式の50%までを保有することが可能(公益法人認定法施行令7条)。

12月決算会社の2017年3月株主総会シーズンでも、財団を実質的な対象(形式上は信託銀行)とした自己株式の第三者割当を図る議案(正確には、自己株式の第三者割当に関わる事項を取締役会に委任する議案)がいくつか上程されている。その中でも、工作機械大手のDMG森精機が上程した議案(56ページの第4号議案参照)は、議決権行使助言会社最大手のISSが反対推奨したことに対して同社が反論したことから大きな注目を集めた。

今回の第三者割当における割当価格は同社株式の時価を大幅に下回る1円であり、有利発行に該当する。有利発行が行われると1株当たりの単価が低下し、既存の株主は不利益を被ることから、会社法上、有利発行を行う場合には株主総会の特別決議(2/3以上の賛成)が必要となるが、本議案に対する賛成率は67.0%であり、かろうじて可決された格好となっている。同社の前期末(2016年12月)の株主構成を見てみると、・・・

有利発行 : 例えば1株当たりの時価が千円のところ5百円で新株を発行するというように、新株や新株予約権の引受人にとって“有利な”価格(無償や時価未満)で新株を発行することをいう。
特別決議 : 議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、その出席株主の議決権の3分の2以上の多数による決議。

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2017/04/18 「財団への第三者割当」を巡る投資家目線の論点(会員限定)

公益財団法人(以下、財団)を設立している上場企業は多い。企業が財団を設立する目的として「社会貢献」が強調されているケースが目に付くが、自社株式を財団に取得させれば、安定株主対策や買収防衛策にもなり得る()。

 財団は、上場会社か非上場会社かを問わずその株式の50%までを保有することが可能(公益法人認定法施行令7条)。

12月決算会社の2017年3月株主総会シーズンでも、財団を実質的な対象(形式上は信託銀行)とした自己株式の第三者割当を図る議案(正確には、自己株式の第三者割当に関わる事項を取締役会に委任する議案)がいくつか上程されている。その中でも、工作機械大手のDMG森精機が上程した議案(56ページの第4号議案参照)は、議決権行使助言会社最大手のISSが反対推奨したことに対して同社が反論したことから大きな注目を集めた。

今回の第三者割当における割当価格は同社株式の時価を大幅に下回る1円であり、有利発行に該当する。有利発行が行われると1株当たりの単価が低下し、既存の株主は不利益を被ることから、会社法上、有利発行を行う場合には株主総会の特別決議(2/3以上の賛成)が必要となるが、本議案に対する賛成率は67.0%であり、かろうじて可決された格好となっている。同社の前期末(2016年12月)の株主構成を見てみると、外国人株主比率は30.7%となっており、これに大株主である信託口を合わせると機関投資家の比率は推定41.2%に達している。少なくとも機関投資家の7割程度は反対票を投じたと考えられる。

有利発行 : 例えば1株当たりの時価が千円のところ5百円で新株を発行するというように、新株や新株予約権の引受人にとって“有利な”価格(無償や時価未満)で新株を発行することをいう。
特別決議 : 議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、その出席株主の議決権の3分の2以上の多数による決議。

機関投資家にとって、本議案の論点となるのは主に以下2点である。ISSも同様の指摘をしている模様だ。

(1)新手の安定株主作りではないか
今回の第三者割当が実施されることによって、新たな信託口が第三位の株主(2.6%)として出現することになる。形式上の株主は受託者である信託銀行だが、受益者はオーナー経営者が代表を務める財団であるため(すなわち、他益信託のスキームを採用)、信託銀行が議決権を行使する際には財団にとっての利益、すなわち経営者の利益を重視することが想定される。したがって、新たな信託口(受託者の信託銀行=受益者の財団)は、安定株主に他ならないと疑われる。

受益者 : 受託者(信託銀行等)による信託行為によって発生した利益を受け取る権利を有する者
他益信託 : 委託者以外の第三者が受益者となる信託のこと。これに対し、委託者自身が受益者となる信託を「自益信託」という。

(2)株主価値を毀損する投資ではないか
財団に(実質的に)割り当てられる自己株式は市場から買い付けられたものであり、(2017年)4/14終値(1,606円)で試算すると約56.2億円に相当する。これは会社、すなわち株主の財産であるキャッシュを使って、自己株式に56.2億円を投資したことを意味する。その株式を財団に1株1円、総額350万円で実質的に移転するということは、株主の資金を経営者の支配する財団に投資することに等しく、株主価値を向上させるどころか毀損する行為と批判され得る。

会社側は上記の指摘に対してプレスリリースで反論した(①信託銀行の議決権行使に財団は指図できない、②財団のCSR活動は企業価値向上に資する)。しかし、反対率の高さを見た限りでは、広く機関投資家の支持を得られたとはとても言えないだろう。直近の他社における同様の議案でも、キユーピーが賛成率80.4%、小林製薬が同87.8%と、やはり反対票が目立っている。こうした中、6月株主総会シーズンでも同様の議案を上程する企業があるのか注目される。

2017/04/17 サマリー情報の記載方法に示唆を与える事例

3月決算会社では単体決算の目途が概ね立ち、経理部の業務も会計監査対応と連結決算に比重が移りつつある。これに伴い、(広義の)招集通知(以下、単に「招集通知」)のドラフトも少しずつ埋まりつつあるという状況であろう。

(広義の)招集通知 : 株主総会の「日時」「場所」「報告事項」「議案」などを記した狭義の招集通知に、株主が議決権を行使する際に参考となる事項を記載した「株主総会参考書類」「事業報告」連結計算書類」「計算書類」を加えて、広義の招集通知という。

こうした中、投資家との対話に備えて、招集通知の記載内容の充実を検討している上場会社も少なくない。そのこと自体は投資家からも評価されてしかるべきだが、同時に忘れてはならないのが・・・

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2017/04/17 サマリー情報の記載方法に示唆を与える事例(会員限定)

3月決算会社では単体決算の目途が概ね立ち、経理部の業務も会計監査対応と連結決算に比重が移りつつある。これに伴い、(広義の)招集通知(以下、単に「招集通知」)のドラフトも少しずつ埋まりつつあるという状況であろう。

(広義の)招集通知 : 株主総会の「日時」「場所」「報告事項」「議案」などを記した狭義の招集通知に、株主が議決権を行使する際に参考となる事項を記載した「株主総会参考書類」「事業報告」連結計算書類」「計算書類」を加えて、広義の招集通知という。

こうした中、投資家との対話に備えて、招集通知の記載内容の充実を検討している上場会社も少なくない。そのこと自体は投資家からも評価されてしかるべきだが、同時に忘れてはならないのが開示書類の「継続性」だ。それを示すのが、ソニーの前期(2015年度)の招集通知である。

会社法では、招集通知に、株主総会の日時・場所などのほか、議題・議案に関する事項を記載すること(会社法第299条4項)や事業報告を記載すること(同438条1項)を求めているが、それらの詳細な記載順序(記載場所)まで規定しているわけではない。ソニーは、事業報告の「新株予約権等の状況」「会社役員の状況」を切り出し、株主総会参考書類内に挿入した(下図参照)。この理由についてソニーは、事業報告の記載事項の一部には株主総会参考書類と関連性の高い内容が含まれていることから、「読み進めていただきやすくするため」に掲載場所を変更したと説明している。

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確かに、株主が議案を検討する際に必要となる情報が、議案の内容が記載されている場所(株主総会参考書類)から離れた場所(事業報告)に記載されていると、株主は株主総会参考書類と事業報告を見比べるためにページをめくらなければならず不便である。ソニーが行った記載場所の変更は株主への“ホスピタリティ”を意識したものとして評価できる。

一方で、機関投資家の一部からは、記載場所を変更したことへの戸惑いの声が上がったのも事実だ。もともと「新株予約権等の状況」「会社役員の状況」があった場所の見出しの下には移動した先のページ番号が記載されていたにもかかわらず、である。企業情報の分析を業としている機関投資家は招集通知の一般的な記載に慣れており、必要な情報が株主総会参考書類と事業報告の両方にまたがっていることに特に不便を感じていない。そうなると、むしろ「本来あるところに情報がなく、本来ないところに情報がある」ということに違和感を持つのもやむを得ないところだろう。開示にはホスピタリティのみならず「継続性」も重要な要素であるということを示す一例と言えよう。

これは、2017年3月期から記載内容の自由化が図られた決算短信のサマリー情報(従来の様式が「参考様式」と位置付けられ、その使用も「強制」でななく「要請」となった。詳細は2017年2月28日のニュース「決算短信の改正に伴い判断が求められる事項」参照)にも同じことが言える。記載内容が自由化されたとはいえ、それが様式からあまりにかけ離れたのものとなれば、従来の様式に慣れ親しんだ投資家にとっては見づらいものとなり、不評を買いかねない。改正初年度の今年はひとまず“様子見”と割り切り、様式に沿ってサマリー情報を開示することで、従来からの開示の継続性を維持しておくのが賢明と言えそうだ。