2017/04/14 「業績」を要件とする譲渡制限付株式報酬が損金となるパターン

コーポレートガバナンス・コード(4-2、4-2①)や機関投資家の求めに応じ、よりインセンティブの効いた役員報酬体系への改革を進める日本企業にとって、譲渡制限付株式報酬(リストリクテッド・ストック)は有力な選択肢となっている。譲渡制限付株式報酬とは、一定期間の譲渡制限が付された株式報酬であり、役員は報酬として株式を手にしても一定期間は売却することはできない。また、一定期間が経過すれば無条件に売却できるというわけでもない。通常は業績の達成要件などが設定され、これを達成できなければ付与した株式を“没収”するという仕組み(以下「没収要件」)となっている。

譲渡制限付株式報酬 : 一定期間の譲渡制限が付された株式報酬’

この譲渡制限付株式報酬は、平成28年度税制改正により「事前確定届出給与」として法人税法上損金に算入できるとされたところだが(2016年3月2日のニュース「パフォーマンス・シェアの性格を持つ株式報酬も損金算入される方向」参照)、平成29年度税制改正では、「利益その他の指標」を基礎として譲渡制限が解除される数が算定される譲渡制限付株式報酬が事前確定届出給与の対象から除外されている(平成29年度税制改正 法律案要綱4ページ(3)③参照)。平成29年度税制改正を受け、「今後は利益や業績を没収要件とする譲渡制限付株式報酬は損金算入できなくなるのではないか?」との懸念が上場企業にある。・・・

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2017/04/14 「業績」を要件とする譲渡制限付株式報酬が損金となるパターン(会員限定)

コーポレートガバナンス・コード(4-2、4-2①)や機関投資家の求めに応じ、よりインセンティブの効いた役員報酬体系への改革を進める日本企業にとって、譲渡制限付株式報酬(リストリクテッド・ストック)は有力な選択肢となっている。譲渡制限付株式報酬とは、一定期間の譲渡制限が付された株式報酬であり、役員は報酬として株式を手にしても一定期間は売却することはできない。また、一定期間が経過すれば無条件に売却できるというわけでもない。通常は業績の達成要件などが設定され、これを達成できなければ付与した株式を“没収”するという仕組み(以下「没収要件」)となっている。

譲渡制限付株式報酬 : 一定期間の譲渡制限が付された株式報酬’

この譲渡制限付株式報酬は、平成28年度税制改正により「事前確定届出給与」として法人税法上損金に算入できるとされたところだが(2016年3月2日のニュース「パフォーマンス・シェアの性格を持つ株式報酬も損金算入される方向」参照)、平成29年度税制改正では、「利益その他の指標」を基礎として譲渡制限が解除される数が算定される譲渡制限付株式報酬が事前確定届出給与の対象から除外されている(平成29年度税制改正 法律案要綱4ページ(3)③参照)。平成29年度税制改正を受け、「今後は利益や業績を没収要件とする譲渡制限付株式報酬は損金算入できなくなるのではないか?」との懸念が上場企業にある。

事前確定届出給与 : いつ、いくら(確定額)を支給する」旨を“事前に”確定した上で税務署に届け出をし、それに基づいて支給するもの。ただし、譲渡制限付株式報酬については届け出は不要。
損金 : 法人税計算の基礎となる法人所得を減らす性質の支出等のこと。損金は企業会計上の費用とおおむね一致するが、役員賞与や固定資産の減損損失など「損金には該当しない費用」もある。

しかし、2016年12月14日のニュース「在任時支給の信託型株式報酬が損金に、利益連動型のRSは損金算入不可」でも触れていたとおり(下から3段落目の「ただし・・・」参照)、業績が未達の場合に「全部」の株式を没収するタイプの譲渡制限付株式報酬であれば、引き続き「事前確定届出給与」に該当する。この記事に対しては、当フォーラムの会員企業からも多くのご質問をいただいたが、これは、(2017年)3月31日に公布された改正法人税法施行令で、譲渡制限付株式報酬の没収要件について定めた部分(法人税法施行令111条の2②二)が改正されていないということから確認することができる。

この規定では、没収要件の一つとして「法人の業績があらかじめ定めた基準に達しないことその他のこれらの法人の業績その他の指標の状況に基づく事由」というものを定めているが(要するに、「一定の業績等を達成できなければ株式を没収する」という没収要件)、ここでいう「業績があらかじめ定めた基準に達しない」とは「達したか」「達しないか」を問題としている。例えば「100億円の純利益を達成できれなければ株式を没収する」という没収要件が定められている場合、純利益が99億円であろうとゼロであろうと、すべての株式は没収されることになる。すなわち、「業績があらかじめ定めた基準に達したかor達しないか」の一点によって全ての株式の譲渡制限が解除されるか、逆に全ての株式が没収されるというタイプの譲渡制限付株式であれば、引き続き事前確定届出給与として損金算入の対象になるということだ。

これに対し、業績に連動して“段階的”に譲渡制限が解除されるタイプの譲渡制限付株式報酬(例えば「目標利益の50%半分しか達成できなければ50%没収、30%しか達成できなければ70%没収など)は、まさに平成29年度税制改正で事前確定届出給与から除外された「利益その他の指標」を基礎として譲渡制限が解除される数が算定される譲渡制限付株式報酬」に該当することになるので注意したい。

2017/04/14 GW休業のお知らせ

誠に勝手ながら、2017年4月29日~2017年5月7日のゴールデンウィーク期間中、事務局は休業となります。ご不便をおかけしますが、何卒ご理解いただきますようお願い致します。

2017/04/13 株主総会に向けたスケジュールで再確認しておくべきことは?

3月決算会社の決算手続きが佳境に差し掛かろうとしている。既に株主総会の開催日から逆算したスケジュールや担当割も確定し、あとは粛々と手続きを進めるだけという状態になっている会社が大半であろう。

株主総会に向けたスケジュールの中で、今一度確認しておきたいのが次の2点である。・・・

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2017/04/13 株主総会に向けたスケジュールで再確認しておくべきことは?(会員限定)

3月決算会社の決算手続きが佳境に差し掛かろうとしている。既に株主総会の開催日から逆算したスケジュールや担当割も確定し、あとは粛々と手続きを進めるだけという状態になっている会社が大半であろう。

株主総会に向けたスケジュールの中で、今一度確認しておきたいのが次の2点である。
(1)招集通知の発送日
(2)招集通知の発送前のWeb開示
これらは、ともにコーポレートガバナンス・コードで言及されているからだ。

補充原則1-2②
上場会社は、株主が総会議案の十分な検討期間を確保することができるよう、招集通知に記載する情報の正確性を担保しつつその早期発送に努めるべきであり、また、招集通知に記載する情報は、株主総会の招集に係る取締役会決議から招集通知を発送するまでの間に、TDnet や自社のウェブサイトにより電子的に公表すべきである。

会社法上、(1)の招集通知の発送日と「定時株主総会の開催日」の間は最低でも2週間空いている(=招集通知の発送日と定時株主総会の開催日の間に2週間を挟む)必要がある(会社法299条1項 招集通知の発送日については、ケーススタディ「【株主総会の運営】定時株主総会を開催する」の「株主総会スケジュールを左右する「招集通知の発送日」」を参照)。しかし、上記のとおりコーポレートガバナンス・コードの補充原則1-2②が招集通知の早期発送を求めていることを受けて、上場会社における招集通知発送の早期化の傾向は顕著となっている。

下の図1は、招集通知の発送日と定時株主総会の開催日の間の日数(暦日)を3年分比較したものである(全株懇調査報告書の調査結果をもとに当フォーラムが作成。縦軸は上場会社の社数の比率)。14日が招集通知の法定発送期日になるが、法定の発送期日ぎりぎりに発送した上場企業は2年間で半減した(図1右側の黄色矢印。2014年:14%、2015年:13%、2016年:7%)のに対し、3週間以上4週間未満に早期発送をした上場企業は年々増加の傾向にある(図1左側の黄色矢印。2014年:29%、2015年:30%、2016年:37%)。

図1 発送日と総会日の間の日数
27544a

コーポレート・ガバナンス報告書の記載要領によると、上場企業が招集通知を「早期発送」していると言うためには法定期日よりも3営業日以上前に発送しなければならない。今後は上図の14日・15日・16日の社数はさらに減ることが予想されるだけに、自社の招集通知の発送日程が法定期日より早期発送3営業日以上前となっているかどうか確認しておきたい。

補充原則1-2②では、前段で招集通知の早期発送を、後段で(2)の招集通知の発送前のWeb開示を推奨している。招集通知の発送前のWeb開示には、招集通知が投資家の手元に届くよりも早く議案等の情報を伝達できるというメリットがあるだけに、証券取引所も「株主総会における株主の議決権行使の促進に向けた環境整備のお願い」(東証上サ第255号)等を通じ、積極的に取り組むよう上場会社に対し要請している。

下の図2では、上場会社における招集通知の発送前のWeb開示の状況を3年分比較したものである(全株懇調査報告書の調査結果をもとに当フォーラムが作成。2014年は発送日の前日以降を一括りとしている。縦軸は上場会社の社数の比率)。これによると、2014年は発送日の翌日以降に招集通知をWeb開示する企業が全上場会社の半数にも及んでいたが、2016年には全体の1割を切る状況にまで激減したことがわかった(図2右側の黄色矢印。2014年:50%、2015年:15%、2016年:4%)。一方、招集通知発送日の5営業日以前にWeb開示を行う企業の全体に占める比率は、この1年で2倍以上になっている(図2左側の黄色矢印。2015年:10%、2016年:21%)。

図2 上場会社における招集通知の発送前のWeb開示の状況
27544b

監査法人、信託銀行、印刷会社との日程調整や取締役会の開催日を考慮すると、決算日後に(1)の招集通知の発送の更なる早期化は難しいと思われるが、(2)の招集通知の発送前のWeb開示は、招集通知の原稿がフィックスしてさえいれば社内調整だけで実施が可能。投資家との対話を促進するため招集通知の発送前のWeb開示を1日でも早めることができないか、検討したいところだ。

2017/04/13 セミナー「2017年6月株主総会の予想論点」および「投資家との対話で必要となるファイナンスの知識」を2017年4月13日(木)に開催しました。

本セミナーはすでに開催済みですが、会員の方向けにWEBセミナーを配信中です。
WEBセミナー:2017年6月株主総会の予想論点
WEBセミナー:投資家との対話で必要となるファイナンスの知識

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上場会社役員ガバナンスフォーラムでは、2017年4月13日(木)の14時30分~17時40分に下記のセミナーを開催いたします。
詳細はこちらもご覧ください。

時 間 テーマ 講 師
第一部
14:30

16:00
2017年6月株主総会の予想論点 EY総合研究所
未来経営研究部
部長 主席研究員
藤島 裕三 様
第二部
16:10


17:40
投資家との対話で必要となるファイナンスの知識 EY総合研究所
未来経営研究部
上席主任研究員
深澤 寛晴 様

■第一部の詳細

セミナー
の内容
2017年6月の株主総会に向けた準備を本格化させている上場企業も多いことでしょう。スチュワードシップ・コードの実施(2014年2月~)から3年が経過し、この3月には「議決権行使結果の個別開示」の実施を含む同コードの見直しも見込まれる中、今回の株主総会では、機関投資家が会社提案の議案に反対するケースが増加する可能性も指摘されています。このような状況において、適切な総会準備を尽くすうえでは、事前に予想される論点を潰しておくことが不可欠となります。本セミナーでは、上場企業の株主総会分析で著名なEY総合研究所 未来経営研究部 部長 主席研究員の藤島裕三様をお招きし、議決権行使助言会社の2017年版助言基準をはじめとする資本市場の動向や、金融庁「フォローアップ会議」や経産省「CGC研究会」など規制サイドの議論に加えて、2017年3月に開催された12月決算企業の株主総会における議決権行使結果(速報)なども踏まえ、2017年6月株主総会でテーマとなりそうな論点について解説していただきます。同株主総会をシュミレーションするうえで有益なセミナーとなるでしょう。

■第二部の詳細

セミナー
の内容
2017年6月の株主総会に向け、これから機関投資家との対話も本格化していくものと思われます。機関投資家との対話を建設的なものとするために必要となるのがファイナンスの知識です。機関投資家はファイナンス理論に基づいて投資の成否を見極め、また、投資先企業に課題や改善点等を指摘してくることが多いだけに、その対話相手となる上場企業の役員等がファイナンス理論をある程度理解していなければ、両者の議論が嚙み合わないということにもなりかねません。本セミナーでは、ファイナンス分野に高い知見を持ち、上場企業向けのコンサルティング、研修などの経験も豊富なEY総合研究所 未来経営研究部 上席主任研究員の深澤 寛晴様をお招きし、機関投資家との対話を理解するために必要となるファイナンスの各理論を、それぞれの理論が使われる具体的なシーンを挙げつつ、ファイナンスの非専門家にも分かりやすく解説していただきます。上場企業の役員がファイナンスの視点を持つことは、機関投資家との対話のみならず、経営戦略を検討・立案するうえでも有益となるでしょう。

なお、セミナー参加費につきましては、上場会社役員ガバナンスフォーラムの会員のみ無料、それ以外の方は2万円(税込 ※)となっております。
※セミナーお申込み前に会員登録いただくと、セミナー参加費は無料となります。

会員登録はこちらから

会員でない方のお振込方法等の詳細はお申込みの受付けメール(下記の「お申込みはこちらから」のボタンをクリック後、お名前等をご入力いただいた後自動送信されるメール)にてご連絡いたします。
ご不明な点等がございましたら、ご遠慮なく jimukyoku@govforum.jp までお問い合わせください。

<セミナー概要>

  • 第一部 2017年6月株主総会の予想論点
  • 第二部 投資家との対話で必要となるファイナンスの知識
  • 【日時】2017年4月13日(木)14時30分~17時40分
  • 【会場】富国生命ビル14階 Aルーム(今回のセミナーは従来の会場とは異なる会場で開催するので、お間違えのないようご注意ください)
  • 【受付】14時~、セミナー会場入口で行います。
    直接セミナー会場にお越しください。
  • 【講師】第一部 EY総合研究所 未来経営研究部 部長 主席研究員 藤島 裕三 様
        第二部 EY総合研究所 未来経営研究部 上席主任研究員 深澤 寛晴 様
  • 【セミナー参加費】当フォーラム会員は無料、それ以外の方は2万円(税込)

セミナー参加費の請求書はこちらから

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2017/04/12 AIは会社組織をどう変えるか

最近、「人工知能(AI=Artificial Intelligence)にとって代わられる職業は何か?」ということがよく話題になるが、「目の前のデータを分析して」「過去の事例と照合しながら」アウトプットを作成したり異常値を見つけたりすることを得意とするAIの特性を考えると、(「職業」ではないものの)AIに代替される可能性があるのが、・・・

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2017/04/12 AIは会社組織をどう変えるか(会員限定)

最近、「人工知能(AI=Artificial Intelligence)にとって代わられる職業は何か?」ということがよく話題になるが、「目の前のデータを分析して」「過去の事例と照合しながら」アウトプットを作成したり異常値を見つけたりすることを得意とするAIの特性を考えると、(「職業」ではないものの)AIに代替される可能性があるのが、大企業の「中間管理職」だ。

中間管理職の役割の一つに日々の業務に関連する意思決定があるが、自らにリスクが降りかかるのを避けたいあまり、前例踏襲に走りがちな中間管理職は大企業に少なくない。前例踏襲とは要するに「過去の事例との照合」であり、これはAIの最も得意とするところと言える。既に「経営判断」においてもAIを活用(AIがインターネット上の膨大な情報を瞬時に収集し、理由を明らかにしつつ経営判断を下す)する実験が始まっている中、前例踏襲から抜け出せない人は、中間管理職に限らず役員でさえAIに仕事を奪われる可能性がある。中間管理職への権限移譲が不十分だったり、人事が減点主義だったりすると、中間管理職は「前例踏襲」に陥りがちになる。このような中間管理職がAI時代においても社内で価値を発揮し続けるためには、中間管理職の権限や人事評価を抜本的に見直す必要があるだろう。

もっとも、既に多くの企業が、経営陣と現場の距離を近付けるため役職の階層を減らすとともに経営陣と現場の間に位置するポジションへの権限移譲を進めることで、組織をフラット化しようと考えている。ところが、現実には権限移譲は進んでいないケースが少なくない。その大きな要因として指摘されているのが、人間による情報処理能力の限界だ。役職の階層を減らし、特定の人に権限が集中すれば、当然ながら部下の数も増え、一人で処理しなければならない業務(業務上の判断事項を含む)も増える。その結果、形だけは権限委譲を進めたものの、実際には期待された役割を果たせていない(処理しきれない)とうことが少なくない。企業は、権限移譲は進めたいが、一人で担える権限の限界を考えると中間管理職的なポジションの人を増やさざるを得ない、というジレンマに陥っているというのが現状だろう。

これを解決するのがAIだ。AIを活用すれば大量の情報を処理することが可能になり、管理職はAIにはできないようなイレギュラーな判断業務などに専念することができる。AIによって「人間の処理能力の限界」という課題が解決されれば、いよいよ中間管理職は不要になっていくことになる。

中間管理職がなくなれば、給与体系も変えざるを得ないだろう。前例踏襲のようなAIで代替できる付加価値の低い仕事しかできない社員に高い給料が支払われることはなくなるはずだ。逆に、企業のイノベーションを担う研究開発職や、顧客との人的リレーションを構築する営業職など、AIにできない職種に高い給料が払われる時代がそう遠くないうちに訪れることが予想される。

2017/04/11 (新用語・難解用語)時価発行新株予約権信託

費用計上が必要ないことから多くの上場企業に採用されてきた有償ストックオプションだが、会計基準を開発している企業会計基準委員会(ASBJ)は、有償ストックオプションを「将来の労働サービスの提供に対する対価」とし、その費用計上を求める方向となっていることは、2017年1月18日のニュース「有償ストックオプション、費用計上が求められるのはいつから?」などでもお伝えしたとおりだ。これを受け、有償ストックオプションの代わりに導入する企業が増えているのが時価発行新株予約権信託である。

時価発行新株予約権信託とは、・・・

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2017/04/11 (新用語・難解用語)時価発行新株予約権信託(会員限定)

費用計上が必要ないことから多くの上場企業に採用されてきた有償ストックオプションだが、会計基準を開発している企業会計基準委員会(ASBJ)は、有償ストックオプションを「将来の労働サービスの提供に対する対価」とし、その費用計上を求める方向となっていることは、2017年1月18日のニュース「有償ストックオプション、費用計上が求められるのはいつから?」などでもお伝えしたとおりだ。これを受け、有償ストックオプションの代わりに導入する企業が増えているのが時価発行新株予約権信託である。

時価発行新株予約権信託とは、その名のとおり、「時価」により発行した新株予約権を受託者()が保管しておき、一定の期日になった時点で条件(業績への貢献度など)を満たした役員や社員に交付するというもの。時価発行新株予約権信託の最大の特徴は、オーナー個人が「委託者」となって金銭を信託するという点だ。本受託者は、オーナーから拠出された金銭を原資として、会社から新株予約権を引き受けることになる。

 通常であれば信託銀行等に支払うことになる信託報酬を節約するため、信託報酬が生じない民事信託を採用。営利を目的としない民事信託では、信託銀行等以外でも受託者となることが可能である。実際、時価発行新株予約権信託では個人(顧問税理士など)が受託者になっている。

民事信託 : 営利を目的としない(運用益を期待しない)信託のこと。営利を目的とする「商事信託」は信託銀行等しか受託者になれないが、民事信託では個人もっ受託者になれる。

上述のとおり、有償ストックオプションについては費用計上が求められる方向だが、時価発行新株予約権信託では金銭を拠出するのがオーナー個人であるため、端から「会社の費用」にはなり得ない(すなわち、会社の決算を悪化させることはない)。

時価発行新株予約権信託を導入した企業は既にかなり出ているが、オーナー個人が委託者になるという特徴を持つだけに、その多くがオーナー色の強い上場企業(新興上場企業も目に付く)となっている。今後もオーナー系企業が中心にはなると思われるものの、費用計上が求められることとなる有償ストックオプションの受け皿として普及する可能性もありそうだ。