不正解です。
日本のコーポレートガバナンス・コードは「Comply or Explain」という方針を採っています。これはExplainのプレッシャーを通じてComplyを促すというソフト・ローの考え方を取り入れたものです。一方、問題文が取り上げた「Comply and Explain」は、「どのようにComplyしているのかを詳細にExplainする」というもので、一部の上場会社がコーポレート・ガバナンス報告書で、Comply済みコードのうち開示が不要なものに関しても、何故・どのようにComplyしたのかを丁寧にExplainしていることから話題になりました。「Comply and Explain」は積極的な開示姿勢の証しと言え、投資家から好感を持って受け入れられており、一部の企業に留まるのではなく上場会社中に広がることが期待されています(以上より、問題文の「投資家軽視」は間違いです)。
2016/01/31 2016年1月度チェックテスト第2問解答画面(正解)
正解です。
日本のコーポレートガバナンス・コードは「Comply or Explain」という方針を採っています。これはExplainのプレッシャーを通じてComplyを促すというソフト・ローの考え方を取り入れたものです。一方、問題文が取り上げた「Comply and Explain」は、「どのようにComply しているのかを詳細にExplainする」というものです。積極的な開示姿勢は投資家から好感を持って受け入れられており、一部の企業に留まるのではなく上場会社中に広がることが期待されています(以上より、問題文の「投資家軽視」は間違いです)。
2016/01/31 2016年1月度チェックテスト第2問解答画面(不正解)
不正解です。
良い企業風土は会社のブランドイメージを高め、顧客、社会、従業員、株主等ステークホルダーの信頼、支持の獲得をもたらします。一方、悪い企業風土は不祥事を惹起しやすく、そして一度不祥事が起これば、投資先企業のレピュテーションブランドイメージを脅かします。それはやがて売上や利益の減少などを通じて企業価値を毀損していく恐れがある以上、投資家にとってはまぎれもないリスクであり、投資において考慮せざるを得ません。このように企業風土はそれ自体が直接利益を生むものではありませんが、企業価値を左右する要素の一つと言えます(以上より、問題文は誤りです)。経営陣は企業風土の改善に努めることで中長期的・安定的な企業価値の向上につなげるべきです。
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2016/01/13 横浜マンション傾斜事件が示した企業価値を左右する要素(会員限定)
2016/01/31 2016年1月度チェックテスト第2問解答画面(正解)
正解です。
良い企業風土は会社のブランドイメージを高め、顧客、社会、従業員、株主等ステークホルダーの信頼、支持の獲得をもたらします。一方、悪い企業風土は不祥事を惹起しやすく、そして一度不祥事が起これば、投資先企業のレピュテーションブランドイメージを脅かします。それはやがて売上や利益の減少などを通じて企業価値を毀損していく恐れがある以上、投資家にとってはまぎれもないリスクであり、投資において考慮せざるを得ません。このように企業風土はそれ自体が直接利益を生むものではありませんが、企業価値を左右する要素の一つと言えます(以上より、問題文は誤りです)。経営陣は企業風土の改善に努めることで中長期的・安定的な企業価値の向上につなげるべきです。
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2016/01/13 横浜マンション傾斜事件が示した企業価値を左右する要素(会員限定)
2016/01/31 2016年1月度チェックテスト第1問解答画面(不正解)
不正解です。
収益性が低い事業に使われている不動産を売却して得られたキャッシュを、収益性の高い事業に投資できればROEの分子となる純利益の増加につながり、ROEが向上します。また、不動産売却で得られたキャッシュで自己株式を取得しても、ROEの分母の自己資本が減少し、やはりROEが上がります(以上より、問題文は正しいです)。こういったCorporate Real Estate(企業の不動産)を活用する戦略をCRE戦略と言います。ROE向上を迫られている上場会社の経営陣としては、是非ともCRE戦略を検討すべきです。
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2016/01/07 (新用語・難解用語)CRE戦略(会員限定)
2016/01/31 2016年1月度チェックテスト第1問解答画面(正解)
正解です。
収益性が低い事業に使われている不動産を売却して得られたキャッシュを、収益性の高い事業に投資できればROEの分子となる純利益の増加につながり、ROEが向上します。また、不動産売却で得られたキャッシュで自己株式を取得しても、ROEの分母の自己資本が減少し、やはりROEが上がります(以上より、問題文は正しいです)。こういったCorporate Real Estate(企業の不動産)を活用する戦略をCRE戦略と言います。ROE向上を迫られている上場会社の経営陣としては、是非ともCRE戦略を検討すべきです。
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2016/01/07 (新用語・難解用語)CRE戦略(会員限定)
2016/01/30 【失敗学第20回】旭化成建材の事例
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2016/01/30 【失敗学第20回】旭化成建材の事例(会員限定)
概要
横浜市都筑区のマンションで渡り廊下に段差があることが発覚し、それをきっかけに、旭化成の子会社である旭化成建材が実施した杭工事の施工不良(支持層未達)や施工報告書のデータ流用が判明した。
支持層未達 : 建物を支える杭が固い地盤に到達していない状況。
経緯
旭化成が2016年1月に外部調査委員会の中間報告書を公表するまでの経緯につき、時系列で示すと、次のとおり。
<2003年>
12月:横浜市都筑区のマンション建設工事の元請業者の三井住友建設は、杭工事に関して、日立ハイテクノロジーズとの間で下請契約を締結した。
<2005年>
12月:日立ハイテクノロジーズ(一次下請業者)は、当該マンションの杭工事に関して、旭化成建材(二次下請業者)との間で請負契約を締結。旭化成建材が杭工事に着工。

旭化成建材は、a社の社員を杭工事の期間だけ旭化成建材に出向させ、その者に現場責任者を務めさせていた。
<2006年>
3月:旭化成建材は当該マンションの杭工事を完工。
<2014年>
11月:マンション住民がL字型に接した2棟の建物のジョイント部に段差があることに気付く。マンション管理組合がマンションの販売元である三井不動産レジデンシャルに対して指摘。
<2015年>
6月~9月:三井不動産レジデンシャルが追加地盤調査を行い、マンション西棟の一部の杭が支持層に到達していないことを確認。
10月9~16日:三井不動産レジデンシャルがマンションの住民に対して状況を説明する住民説明会を開催。
10月14日:旭化成建材が「弊社施工物件における施工不具合および杭工事施工報告書のデータの転用・加筆について」を公表。また旭化成は、事実関係の調査や杭の安全性調査を目的として、社内調査委員会を設置。
10月22日:旭化成が、弁護士3名で構成される外部調査委員会を設置。
10月23日:国土交通省が、旭化成建材に対し、同社が杭打ちを行った物件(延べ全国3040か所)のうち施工データの流用が明らかになった建築物名を、住民や自治体へ情報提供するよう求める命令を発出。
11月2日:国土交通省は、旭化成建材が建設業法に違反していた疑いがあるとして、同社本社への立ち入り検査を実施。
11月4日:国土交通省が、建物の杭工事に対する問題点と対応策を検討するため、「基礎ぐい工事問題に関する対策委員会」を立ち上げる。
11月16日:杭打ち業大手のジャパンパイルが、国土交通省に対し、同社でもデータ流用があったと報告。
11月24日:旭化成建材が、国土交通省に対し、杭打ち工事3,000 件のうち360 件にデータ流用があったと報告。
11月25日:国土交通省が、旭化成建材が行った杭工事のうち施工データの流用が明らかになった建築物名(不特定多数の者が利用する建築物や公営住宅に限定)を公表。
12月25日:国土交通省の「基礎ぐい工事問題に関する対策委員会」が「基礎ぐい工事問題に関する対策委員会 中間とりまとめ報告書」を取りまとめ、公表。
<2016年>
1月8日:旭化成が外部調査委員会の中間報告書を公表。
1月13日:旭化成建材は、本件工事において主任技術者に他の工事を兼務させ工事現場に専任の主任技術者を設置しなかったことが、「主任技術者は工事現場ごとに専任の者でなければならない」旨を定める建設業法26条3項に違反するとして、国土交通省関東地方整備局より指示処分(社内の業務運営方法の調査点検、社内の業務管理体制の整備・強化など)を受けた。また、同工事において日立ハイテクノロジーズが請け負った建設工事を旭化成建材が一括して請け負った点が、建設業法22条2項(一括下請負の禁止)に違反するとして、15日間の営業停止処分も受けた。さらに、元請負人に提出する施工データの作成にあたり、データ流用等を行ったことは、建設業者として不誠実な行為であるとして、再発防止の徹底など社内体制の整備に全力を傾注するとともに、具体的に講じる措置について速やかに報告するよう処分を受けた(旭化成建材についてはこちら、日立ハイテクノロジーズについてはこちらを参照)。
内容・原因・改善策
旭化成が2016年1月8日に公表した外部調査委員会の中間報告書によると、本件の問題点の内容とその原因、改善策は次のとおりである(なお、本中間報告書は、発端となった旭化成建材における施工報告書のデータ流用にフォーカスしたものであり、本件マンションの杭が支持層に到達しているかどうかを確認した結果の報告書ではない)。
杭打ち工事のデータ流用
-前提-
杭打ちの工法は「打込み工法」と「埋込み工法」とに大別される。「打込み工法」の場合、杭が支持層に到達したこと(打ち止め)の確認は容易であるが、本件工事で旭化成建材が実施した「埋込み工法」では、杭が支持層に到達したかどうかが明確ではない。そのため、国土交通省の監理指針によると、施工業者は電流計データと流量計データを記録しておき、杭が支持層に到達したことをデータ面から確認するとともに、事後的な検証に備えて当該データを保存しておくことを求められている。
打込み工法 : ハンマーを使って地盤に杭を打ち込んでいく工法。
埋込み工法 : 地盤に杭を挿入するための孔を掘削した上で、この孔に規制杭を埋設する工法。
国土交通省の監理指針 : 国土交通省の監理指針によると、杭工事業者は電流計データと流量計データを記録した施工報告書を杭工事の契約上の注文者に提出し、コピーを保存することを求められている。
電流計データ : 掘削機の駆動装置に流れる電流値の変化状況を記録したデータ。あらかじめ実施しておいた試験杭の杭打ち時のデータと本番の杭打ち時のデータとを比較し、杭が支持層に到達したことを確認する。
流量計データ : 孔にセメントを流しこんだ量を測定し、記録したデータ。
| 内容 | 本マンションの杭工事終了後、一部の杭で電流計データや流量計データの取得漏れがあったことを隠して(他の杭工事のデータを流用して)施工報告書を作成し、元請業者に提出した(473本の杭のうち電流計データは38本、流量計データは45本のデータ流用が行われていた)。なお、本中間報告書によると、工事現場で使用されたセメントの実際使用量が使用予定量に見合うものであったため、流量計データの流用はセメント注入量の不足等を隠ぺいする目的はなかったとされているので、以下の原因・改善策は電流計データの流用にフォーカスする。 |
| 原因 | (データ取得の不備) ・杭工事の際に電流計の電源を入れ忘れたことがあった(電流計と杭打ち機が連動していないため、電流計の電源が入っていなくても杭打ち機は問題なく作動した)。 ・本件杭工事に用いられた電流計はアナログ型であり、データを電子的に保存する機能がなかった。そのため、現場責任者は、インク切れ・紙切れ・紙詰まりにより電流計データを取得できない場合があった。 ・現場責任者は、業務が多忙であり、杭打ち機のそばを離れることが多かった。 ・現場責任者に就いていたのは下請業者の従業員であり(三次下請のa社の社員が、本件杭工事の施工期間のみ旭化成建材に出向し、現場責任者に就いていただけであった)、現場を司り施工人員を指揮管理するバックグラウンドに欠ける面があった。 ・現場責任者は、自身が仕事を休んだ時に誰が現場責任者を務めるのかを把握していなかった。そのため、現場責任者は、インフルエンザに罹った際に工事日報、電流計データの取得・保管について引継ぎをしないまま仕事を休んでいた。 (データ保管の不備) ・せっかくデータを取得しても、肝心の電流計データ用紙が雨によりインクが滲み読み取れなくなったり、データ記録紙が風で飛ばされてしまい紛失したりすることがあった。 ・データ記録紙原本の保管体制が定められていなかったため、現場責任者がデータ記録紙を現場事務所にあった蓋のないレターケースに置き、いつの間にかデータ記録紙が紛失するケースもあった。 (データの流用) ・上記のとおり様々な理由でデータを取得し忘れたり、データ記録紙を紛失してしまったにもかかわらず、現場責任者がa社に提出した施工報告書は、すべての杭の電流計データが揃っているかのように装われていた(不足するデータがあってもデータの流用を行うことで、データがすべてそろっている状態を装っていた)。 ・データ記録紙原本は施工報告書の提出時まで現場責任者の手許で保管されていたため、現場責任者はデータの流用が可能であった。 ・a社が旭化成建材に提出した施工報告書はコピーであった(旭化成建材が電流計データや流量計データの記録紙原本を確認することはなかった)。旭化成建材は当該施工報告書を、日立ハイテクノロジーズを通じて三井住友建設に提出した。 ・旭化成建材、日立ハイテクノロジーズ、三井住友建設のいずれの会社も、施工報告書の電流計データが流用されていないかという観点からのチェックを怠っていた。 ・現場責任者は、本件杭工事施工当時、約10年(件数にして約40~50件)の経験を有していたが、他の物件でもデータ流用を行っており、データ流用に対する罪悪感・抵抗感が鈍磨していた。現場責任者は、別の工事現場でデータ取得の失敗を元請業者に告げた際、暗にデータを作出して施工記録を形式的に揃えておくように指示された経験があったため、データを提出できない場合にはその旨を正直に申告するのではなく、データを流用して施工報告書を形式的に整えるのが一般的な方法であるとの意識があった。 ・旭化成建材では、杭工事のデータ取得に失敗した場合や、記録紙を紛失した場合にどう行動すべきか、明確なルールやマニュアルが存在しなかった。 ・現場責任者は、支持層に達したか否かは電流値のみによって判断するわけではなく、支持層の想定深度、杭打ち機の震動、モーター音の変化なども考慮の上総合的に判断すべきものと考えていた。そのため、実際の施工さえ適切に行っていればデータが残らずとも大きな問題ではないとの意識が強く、将来の検証に耐えるためにデータを適切に取得・保管して提出すべきであるという意識が低かった。 |
| 改善策 | (データの適切な取得・保管のための措置) ・電流計などの管理装置のさらなる改善により、データを取得できないケースをゼロに近づける。また、一部の施工店(下請業者)では、 今でも古いタイプの電流計が使用されているので、更新に努める。 ・現場責任者などに対する管理装置の使用方法についての教育の機会を増やすことで、現場責任者が管理装置を適切に使いこなせるようにする。 ・現場で作業する人員の適切な配置と役割分担により、データを確実に取得できる体制を整える。 ・データ原本の取扱いについて元請業者や注文者の指示・意向に委ねるのではなく、たとえば「データ原本は毎日元請業者に提出する」「旭化成建材の担当責任者がデータ原本を確認する」などの旭化成建材としてのルールを策定し、現場責任者にもそれを徹底させる。 (データ流用を行わせないための措置) ・データ原本を工事完了まで現場責任者の手許に保管させておくことはデータ流用の温床になるので、上記のとおりデータ原本の保管に関するルールを策定する。 ・現場責任者は、万が一データ取得に失敗した場合、直ちに元請業者のみならず旭化成建材の担当責任者にも、その旨を報告するなど、報告体制をルール化する。また、報告を受ける側には、現場に対応を任せるなど、暗にデータ流用を求めているかのような誤解を与えないよう教育する。 ・現場責任者から施工報告書を受け取った担当者は、施工報告書をチェックする際に、形式的にデータが整っているかどうかの確認のみならず、データの内容についても注意深く事後チェックを行う。 ・データがない場合の事後的な対応について、予めルールを策定し、関係者間で共有する。 (適切な管理体制・教育体制の構築) ・現場責任者をはじめ、杭工事を施工する者に対し、「データは適切な施工が行われたか否かを事後的に判断できる重要な資料であり、その流用は許されない」旨の教育を定期的に行う。 ・杭工事現場における問題点が旭化成建材の管理サイドでも適切に把握できるように、施工店との定期的な情報交換、現場視察の実施を行う。 ・旭化成建材として施工品質管理や外注業務の品質管理のためのデータの保管に関するプロセス管理の重要性に着目した規程を整備する。 |
主任技術者の配置に関する法令違反
| 内容 | 建設業法では、公共性のある重要な建設工事の場合、主任技術者は工事現場ごとに専任の者であることが義務付けられているが、 本件杭工事現場における主任技術者であった者は他の杭工事現場の主任技術者も兼務しており、建設業法に違反する状態となっていた。 |
| 顛末 | 建設業法28条1項の規定に基づく指示処分、同法28条3項の規定に基づく営業停止命令および同法41条1項の規定に基づく勧告を受けた。 |
<この失敗から学ぶべきこと>
旭化成建材の杭打ち工事データ流用は、旭化成建材だけの問題に留まらず、同業他社でも同様のデータ流用があったことが次々と報告される事態につながり、杭打ち工事業界全体を揺るがす大問題の引き金となりました。データ流用は杭打ち業界内では恒常的に行われていたとの報道もあり、建設業界の多重下請け構造や完成前販売に起因する工期不足が問題の根源にあると指摘する向きもあります。
打ち込まれた杭を基礎として建物が建つ以上、杭に不備があっても建物を壊さない限りは杭を交換(打ち直し)できません。建物の安全性を揺るがす不正という点では東洋ゴム工業の免震積層ゴム製品の性能偽造問題(【失敗学第14回】東洋ゴム工業の事例を参照)に類似しているものの、免震積層ゴム製品の場合は建物を壊さずに良品へと交換できるので、免震積層ゴム製品と杭打ちでは「品質不良時の潜在的アフターコスト」に大きな差があることがわかります。杭打ち事業というビジネスは、品質不良があると最悪の場合は建物の取り壊しが必要になるため、「品質不良時の潜在的アフターコスト」がダントツで高いビジネスと言えます。そうであれば、旭化成建材の経営陣としては、現場責任者が支持層未達のまま工事を終えたり、施工報告書作成に際してデータを流用したりできないよう、工事の質を保つ内部統制の構築を図っておくべきでした。また、杭打ち業界内でデータ流用が広く行われていた以上、経営陣としてはそういった「現場でしか分からないリスク情報」を吸い上げ、管理体制の構築に活かさなくてはなりませんでした。
上場会社の経営陣には、旭化成建材の轍を踏まぬよう、「自社の提供する製商品・サービスに品質不良があった時のアフターコストが、最悪のシナリオではどれほどの額にまで膨れ上がる可能性があるのか」を探るとともに、そのリスクを軽減させるための体制や手続きは現行のものだけで十分と言い切れるのか(例えば、「データを取得して安心するのではなく、そのデータを担当者以外の者が検証しているか」「品質保証部門を設けて安心するのではなく、品質保証部門が製造部門や販売部門からプレッシャーを受けデータ偽造に追い込まれるリスクに備えて、さらなる内部統制を構築しておく」)について、改めて検討し直すことが求められます。
2016/01/29 日系資産運用会社のコーポレートガバナンス
企業がコーポレートガバナンス・コードへの対応を図るうえで気になるのは、やはり投資家、具体的には資産運用会社(投資顧問会社・投資信託会社)の視線だろう。資産運用会社は、スチュワードシップ・コードに基づき企業と対話し、企業に対しコーポレートガバナンスの改善を求める。その一方で、“資産運用会社自身のコーポレートガバナンス”が議論されることはほとんどない。
日系の資産運用会社の多くは、銀行、証券、保険会社など大手金融機関の子会社である。そして、そのCEOのほとんどは親会社から派遣されている。ここで問題になるのが、・・・
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2016/01/29 日系資産運用会社のコーポレートガバナンス(会員限定)
企業がコーポレートガバナンス・コードへの対応を図るうえで気になるのは、やはり投資家、具体的には資産運用会社(投資顧問会社・投資信託会社)の視線だろう。資産運用会社は、スチュワードシップ・コードに基づき企業と対話し、企業に対しコーポレートガバナンスの改善を求める。その一方で、“資産運用会社自身のコーポレートガバナンス”が議論されることはほとんどない。
日系の資産運用会社の多くは、銀行、証券、保険会社など大手金融機関の子会社である。そして、そのCEOのほとんどは親会社から派遣されている。ここで問題になるのが、CEOの在任期間だ。会社によって差はあるが、おおむね3~4年という短期になることが多い。その交代も、資産運用会社の事情ではなく、親会社における役員交代にタイミングを合わせて行なわれる。果たしてこのようなやり方で、日系資産運用会社のCEOは長期的な視点に立った経営を行なうことが可能なのだろうか。
スチュワードシップ・コードの冒頭では、「スチュワードシップ責任」とは「顧客・受益者の中長期的な投資リターンの拡大を図る責任」であることが明記され、コードの本文でも「中長期的」という言葉が何度も出て来るように(指針1-1、3-1、4-1参照)、資産運用会社のポートフォリオマネージャー(ファンドマネージャー)は、スチュワードシップ・コードに基づき、投資先の企業に対して、中長期的な成長を促すことが求められる。また、そもそも資産運用という事業自体、極めて長期的な視点と経営者の長期的なコミットメントが求められる。それにもかかわらず、資産運用会社の経営者が短期間で交代してしまうということは、スチュワードシップ・コードの理念や資産運用会社の事業の性格と矛盾していると言えないだろうか。
こうした中、一部の日系資産運用会社は外部からCEOを招聘し、長期的に経営を任せるところも出てきている。ただ、外部からCEOを招聘することだけが解決策ではないだろう。この分野の有識者からは、たとえCEOが親会社から派遣される場合であっても、良い業績を上げている限り交代すべきではないし、親会社の役員交代の影響も受けるべきではないという声も聞かれる。
現在、事業会社のコーポレートガバナンスばかりに注目が集まっているが、事業会社のコーポレートガバナンスをより高みへと導くためには、その改善を求める資産運用会社のコーポレートガバナンスのあり方にも関心を持つ必要がありそうだ。
