東証が(2015年)7月29日に発表したところによると、東証一部・二部上場会社における社外取締役の選任割合は94.3%に至っている。ただ、独立社外取締役に限るとこの数字は87%に減少し、さらにコーポレートガバナンス・コードが求める「2名以上」の独立社外取締役を選任している割合となると、東証一部上場会社で48.4%、東証二部会社では19.6%に過ぎない(東証上場会社における社外取締役の選任状況<確報>)。このように、同コードを「コンプライ」するためにはもう1人独立社外取締役が必要な企業は多いため、まだまだ社外取締役の“選任ブーム”は続くことになろう(さらに数年経てば、今度は独立社外取締役の“入れ替えラッシュ”が起きるかもしれない)。
社外取締役を選任する際、機関投資家に意見を求める会社は多いが、機関投資家側の評価が芳しくないケースをしばしば見聞きする。例えばある大手優良企業が自社で探してきた社外取締役候補者について機関投資家に相談したところ、機関投資家に「却下」される事態となった。この候補者は著名人だが、既に3社の社外取締役を務めており、もし同社の社外取締役に選任されれば4社目となるところだった。コーポレートガバナンス・コードの補充原則4-11②では、兼任社数は「合理的な範囲にとどめるべき」とされており、その数は「2社」というのが関係者のコンセンサスとなっている(2015年3月10日のニュース「社外役員の兼任社数の上限は?」参照)。
別の企業では、ある大手上場企業の元経営者を社外取締役候補としたところ、機関投資家は首をかしげた。この候補者の経営者時代の業績が非常に悪かったからだ。会社側は前社時代の業績にまでは考えが及ばず候補者として提案したわけだが、機関投資家から「考え直してください」との要望を受ける事態となった。ただ、その時には既に候補者として対外的にアナウンス済みだったため、会社としても引くに引けない状況にあった。結局、この候補者は無事に社外取締役に選任されたが、会社としては肝を冷やすこととなった。
日本版スチュワードシップ・コードでは議決権行使結果の個別開示までは求められていないが、今後、個別開示が求められるようになれば、どの投資家がどの取締役の選任議案に反対したのかまで明らかになる(英国や米国では既に個別開示が導入)。そうなれば、投資家自身、一つひとつの案件に対してどう議決権を行使するべきか、真剣に考えなければならなくなる。社外取締役の選任議案に対する目は一層厳しくなるだろう。
個別開示 : 機関投資家がしている会社の議案別の議決権行使結果を1社ごとに開示すること。