2015/07/28 独立社外取締役を増やすために

 社外取締役を選任済みの企業は、東証一部上場企業で92%、二部上場企業81.4%に上る。これを独立取締役に限定すると、1名以上選任している企業は東証一部で84.7%、東証二部で62.0%に減少し、さらに2名以上選任している企業となると東証一部で46.5%、東証二部に至ってはわずか17.5%にとどまる(2015年6月16日時点。東証まとめ)。

 この数字に裏付けられるように、企業からは「独立社外取締役のなり手が足りない」という声が聞こえて来る。ただ、実際のところ、独立社外取締役が見つからないのには企業側の意識にも問題があるケースが少なくない。

 まず根本的な話として、執行上の細かいマターまで議論する取締役会に毎月参加しようという社外取締役候補がそもそも多くないということを理解する必要がある。当フォーラムで既に報じていたとおり、先週金曜日(2015年7月24日)に経済産業省のコーポレート・ガバナンス・システムの在り方に関する研究会が公表した報告書では、取締役会による経営の監督が実効性の高いものとなるよう、会社法上取締役会に上程することが強制されている「重要な業務執行の決定」の範囲を条件付きで事実上狭めることが提案されているが(2015年6月26日のニュース 「政府の成長戦略で、取締役会への上程事項の範囲限定へ」、2015年7月1日のニュース「重要な財産=総資産の1%」という常識が変わる」参照)、元々社内取締役ほどの業務知識が期待されていない社外取締役が自由闊達に議論できるようにするためにも、権限移譲による取締役会の合理化を進めるべきだろう。

 また、上場企業に話を聞いてみると、・・・

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2015/07/28 独立社外取締役を増やすために(会員限定)

 社外取締役を選任済みの企業は、東証一部上場企業で92%、二部上場企業81.4%に上る。これを独立取締役に限定すると、1名以上選任している企業は東証一部で84.7%、東証二部で62.0%に減少し、さらに2名以上選任している企業となると東証一部で46.5%、東証二部に至ってはわずか17.5%にとどまる(2015年6月16日時点。東証まとめ)。

 この数字に裏付けられるように、企業からは「独立社外取締役のなり手が足りない」という声が聞こえて来る。ただ、実際のところ、独立社外取締役が見つからないのには企業側の意識にも問題があるケースが少なくない。

 まず根本的な話として、執行上の細かいマターまで議論する取締役会に毎月参加しようという社外取締役候補がそもそも多くないということを理解する必要がある。当フォーラムで既に報じていたとおり、先週金曜日(2015年7月24日)に経済産業省のコーポレート・ガバナンス・システムの在り方に関する研究会が公表した報告書では、取締役会による経営の監督が実効性の高いものとなるよう、会社法上取締役会に上程することが強制されている「重要な業務執行の決定」の範囲を条件付きで事実上狭めることが提案されているが(2015年6月26日のニュース 「政府の成長戦略で、取締役会への上程事項の範囲限定へ」、2015年7月1日のニュース「重要な財産=総資産の1%」という常識が変わる」参照)、元々社内取締役ほどの業務知識が期待されていない社外取締役が自由闊達に議論できるようにするためにも、権限移譲による取締役会の合理化を進めるべきだろう。

 また、上場企業に話を聞いてみると、「どのような独立社外取締役が自社に必要か」という問いに対して必ずしも具体的なイメージがないまま、「なり手がいない」と言っているケースが少なからず見受けられる。株主や社内を納得させるために“立派な人”を選ぼうという心理は理解できるが、例えば著名な経営者や有名人となると既に他社から声がかかっているケースも多いため、そのような人材ばかりをターゲットにしていれば確かに「いない」と感じるかもしれない。

 ただ、どのような社外取締役が必要かは各社の実情によって異なるはずであり、そもそも同じタイプの人材を追うことはない。例えば国内市場が先細りの企業ならグローバル化に成功した経営者、細かな消費者ニーズに応えて行く必要がある企業であれば女性、過去に不祥事を起こしたことがある企業なら弁護士といった具合である。また、各社が必要とする特有の資質や経験を持っている人材であれば、別に著名人である必要もない(実際、投資家は「著名人」ということだけでは評価しない)。役職も必ずしも社長に限定しなくても、例えば副社長や代表取締役専務などを対象に加えただけでも、候補者の裾野は飛躍的に拡大する。実はこのようなスタンスはガバナンス・コード補充原則4-11①にいう「取締役会は、取締役会の全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性及び規模に関する考え方を定め、・・・」の趣旨にもかなっている。

 企業は持続的に企業価値を創出する将来の事業ポートフォリオを考察し続けなければならないが、取締役会とはその将来像を議論する場である以上、その構成は将来の事業ポートフォリオを映す“鏡”でなければならない。したがって、企業は自社の将来像を踏まえた望ましい取締役会の姿を検討する際、“社内取締役だけでは足りない要素”を 社外取締役でカバーするという視点から、社外取締役の人選を進めるべきであり、そのことを指摘した補充原則 4-11①は極めて重要な原則と言えよう。

2015/07/27 従業員の身だしなみを会社はどこまで指導できる?

 だらしない服装や茶髪、無精ひげ、派手すぎる化粧など、身だしなみに問題のある従業員を見かけることもあろう。会社としては注意して改善を求めたいところだが、この場合に頭をよぎるのが、パワハラやセクハラに該当するリスクだ。言った本人にその自覚がなくても、ちょっとした発言がセクハラやパワハラと認定されかねない時代、役員がハラスメントの当事者になることも十分あり得る。

 確かに、どのような格好をするかは個人的な趣向の範囲の問題であり、本来、会社にどうこう言われる性格のものではない。ただし、それによって業務に支障が出るとなれば話は変わってくる。この場合、・・・

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2015/07/27 従業員の身だしなみを会社はどこまで指導できる?(会員限定)

 だらしない服装や茶髪、無精ひげ、派手すぎる化粧など、身だしなみに問題のある従業員を見かけることもあろう。会社としては注意して改善を求めたいところだが、この場合に頭をよぎるのが、パワハラやセクハラに該当するリスクだ。言った本人にその自覚がなくても、ちょっとした発言がセクハラやパワハラと認定されかねない時代、役員がハラスメントの当事者になることも十分あり得る。

 確かに、どのような格好をするかは個人的な趣向の範囲の問題であり、本来、会社にどうこう言われる性格のものではない。ただし、それによって業務に支障が出るとなれば話は変わってくる。この場合、会社が身だしなみを改善するよう求めたとしても、パワハラやセクハラに該当することはない。例えば、顧客と対面する業務(外回りであれ内勤であれ)に就いているのであれば、相手に不快感を抱かせるような身だしなみは改めさせなければならないし、業態によっては、会社のイメージに合った服装や髪型を従業員に求めることもあり得る。また、事故防止や職場の衛生状態保持の観点から指導が必要なケースも考えられる。

 逆に言うと、業務に支障がなければ基本的にこのような要求はできないということでもある。すなわち、会社が、顧客と接する業務に就いていない者の身だしなみに関して指導したり、企業イメージや事故防止等に関係なく服装や髪型を指定したりするのはパワハラやセクハラと言われるリスクがあるということだ。過去には「長髪やひげを理由とする人事評価の引き下げと賃金カットは無効」とした裁判例(神戸地判H22.3.26)もある。本件ではセクハラやパワハラが争点になったわけではないが、身だしなみはあくまで個人の趣向の範疇の問題であることを示す事例として参考になろう。

 そもそも身だしなみに関する指摘がセクハラやパワハラに発展しかねない理由として、「身だしなみに問題がある」かどうかの判断は個人の主観に左右されるということがある。指導内容が業務に必要な範囲を逸脱してしまうことを防ぐためにも、服装や髪型等に関する就業規則(服務規律)に定めたり、“社内ドレスコード”といったなどのルールを設けたりして、指導対象となるか否かの基準を明確にしておくことも検討に値しよう。

2015/07/24 訴訟増加も!営業秘密の不正使用、立証責任が転換

近年、日本企業の営業秘密が海外の競合他社に不正に取得・使用される事案が相次いでいる。2012年には新日鐵住金が韓国企業ポスコに技術情報を不正に取得・使用されたとして約1000億円の損害賠償請求訴訟を提起し、2013年には東芝がやはり韓国企業であるSKハイニックスに技術情報を不正に取得・使用されたとして約1100億円の損害賠償請求訴訟を提起したが(詳細は【役員会 Good&Bad発言集】リストラに伴う技術流出リスクへの対応参照)、このように訴訟につながった事例は氷山の一角とも言われる。

営業秘密 : 顧客名簿のような営業戦略上有用な情報のほか、企業の中で生まれた技術情報やノウハウなどを指す。特許化すると自社の研究開発状況等が他社に知られかねないため、あえて特許化せず「営業秘密」のまま保持することも多い。

その要因の1つが、不正競争防止法上、損害賠償請求訴訟(民事訴訟)では被害者である原告企業が「被告側(=加害者)が情報を入手したこと」のみならず、「これを使用して利益をあげたこと」まで立証しなくてはならないという点だ。その立証の困難さが、大事な技術情報を奪われた原告企業に訴訟提起をためらわせてきた。

 こうした中、政府は・・・

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2015/07/24 訴訟増加も!営業秘密の不正使用、立証責任が転換(会員限定)

近年、日本企業の営業秘密が海外の競合他社に不正に取得・使用される事案が相次いでいる。2012年には新日鐵住金が韓国企業ポスコに技術情報を不正に取得・使用されたとして約1000億円の損害賠償請求訴訟を提起し、2013年には東芝がやはり韓国企業であるSKハイニックスに技術情報を不正に取得・使用されたとして約1100億円の損害賠償請求訴訟を提起したが(詳細は【役員会 Good&Bad発言集】リストラに伴う技術流出リスクへの対応参照)、このように訴訟につながった事例は氷山の一角とも言われる。

営業秘密 : 顧客名簿のような営業戦略上有用な情報のほか、企業の中で生まれた技術情報やノウハウなどを指す。特許化すると自社の研究開発状況等が他社に知られかねないため、あえて特許化せず「営業秘密」のまま保持することも多い。

その要因の1つが、不正競争防止法上、損害賠償請求訴訟(民事訴訟)では被害者である原告企業が「被告側(=加害者)が情報を入手したこと」のみならず、「これを使用して利益をあげたこと」まで立証しなくてはならないという点だ。その立証の困難さが、大事な技術情報を奪われた原告企業に訴訟提起をためらわせてきた。

こうした中、政府は昨年(2014年)9月に産業構造審議会「営業秘密の保護・活用に関する小委員会」を設置し法改正に向けた検討を開始していたが、問題の深刻さから同委員会における議論は極めてスピーディーに進み、今通常国会で不正競争防止法の改正案が成立している(7月3日成立。施行は「成立から6か月以内」)。改正法では、生産技術情報等の不当な使用に関する民事訴訟上の立証責任を転換し、情報の窃取者(被告=加害者)が「窃取した技術を使っていないこと」を立証しなければならないこととされた。これにより、これまで窃取者側において見られた「確かに情報を不当に取得はしたが“使用”はしていない。製品化には自社開発の技術のみ使用した」という言い逃れは今後は許されなくなる。

親告罪 : 告訴がなければ刑事裁判を提起できない犯罪のこと

このほか、当フォーラムで報じていたとおり(2015年3月27日のニュース「技術情報流出防止のカギとなる『抑止力』」参照)、罰金額も増額されている。具体的には、個人の罰金刑の上限が従来の1000万円から2000万円、情報を海外に流出させた場合は3000万円とする(海外重課)。法人の罰金刑の上限は従来の3億円から5億円とし、情報を海外に流出させた場合は、10億円とする。さらに、個人・法人ともに不当に得た利益の没収が可能となった。

また、従来は立件には被害企業の親告が必要とされていたが、法改正により今後は親告を不要とし(非親告罪化)、捜査当局の積極的な関与を促している。

親告 : 被害者が告訴(捜査機関に対して犯罪を申告し処罰を求めること)すること。

今回の不正競争防止法の改正が営業秘密の不正使用の強力な“抑止力”となることを期待したい。

2015/07/23 (新用語・難解用語)会社補償

 役員が第三者から損害賠償責任を追及された場合において、会社が損害賠償額や争訟費用を補償すること。会社補償が対象にするのは、第三者に対する損害賠償金や、争訟費用である。なお、「会社に対する責任」は、会社法上、役員には責任減免規定が設けられていることから対象外となる。

責任減免規定 : 株主総会の特別決議(出席株主の3分の2以上の賛成)や取締役会決議、責任限定契約などにより、役員の責任の一部免除を認める規定(会社法425条~427条)。

 会社補償を巡ってしばしば議論になるのが会社と役員の利益相反の問題だ。これは、・・・

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2015/07/23 (新用語・難解用語)会社補償(会員限定)

 役員が第三者から損害賠償責任を追及された場合において、会社が損害賠償額や争訟費用を補償すること。会社補償が対象にするのは、第三者に対する損害賠償金や、争訟費用である。なお、「会社に対する責任」は、会社法上、役員には責任減免規定が設けられていることから対象外となる。

責任減免規定 : 株主総会の特別決議(出席株主の3分の2以上の賛成)や取締役会決議、責任限定契約などにより、役員の責任の一部免除を認める規定(会社法425条~427条)。

 会社補償を巡ってしばしば議論になるのが会社と役員の利益相反の問題だ。これは、役員の過失が多いほど役員が負う損害賠償額も増え、それを会社が補償すればその分だけ会社財産が減少することになるため。一方で、会社補償は、役員のリスクを軽減することにより大胆な職務執行、意思決定を後押しする効果があるため、利益相反には当たらないとする意見もある。とはいえ、会社補償が利益相反的な要素を含んでいることは否定できないため、会社補償を行う場合には、利益相反取引に対し取締役会の承認を求める会社法の規定を踏まえ(会社法365条)、会社と役員の間で締結する補償契約について取締役会の決議を経ておくのが無難だろう。さらに、社外取締役が過半数を占める任意の委員会の同意、あるいは社外取締役全員の同意を得ておくことも、当該決議を補強するうえで効果があると考えられる。

 また、会社補償が「役員報酬」に該当することを懸念する声もある(役員報酬に該当すれば、株主総会決議を経るか、過去に決議した役員報酬の枠内に収まる必要がある)。会社補償が役員報酬ではなく、あくまで「職務執行のために必要な費用」であると言うためには、当該会社補償が(1)職務執行に関するもののみを対象とし、(2)職務執行に必要であり、(3)取締役が職務を離れて私的な便益を受けていない――ことなどが条件となろう。このうち(2)の「職務執行に必要」という観点からは、役員の職務執行から生じる不可避的なリスクのみを対象にすべきであり、役員が故意に任務を怠ったり、任務を怠ったことに重過失があったりする場合には、補償の対象外とする必要がある。また、過大な補償も「職務執行に必要」な範囲を逸脱しかねないうえ、役員による違法行為を助長する恐れがあることから許されないと考えるべきだろう。

2015/07/22 海外トップ企業の「役員に対するトレーニングの方針」

 我が国のコーポレートガバナンス・コードでは、役員に対するトレーニングの機会の提供・斡旋、費用の支援と、適切な対応がとられているかどうかについての取締役会による確認(原則4-14)、さらに、取締役・監査役に対するトレーニングの方針の開示(補充原則4-14②)が求められているが、どのようなトレーニング方針を立てればよいか悩む企業は少なくない。

 当フォーラムを利用していただくことはコーポレートガバナンス・コードが求める役員トレーニングに十分資するものと確信しているが、参考に米国や英国のトップ企業が役員のトレーングについてどのような開示を行っているのか見てみよう。

 その前に、両国における役員トレーニングに関するルールを確認したい。周知のとおり、英国には日本がモデルとしたコーポレートガバナンス・コードがあり、(1)すべての取締役が就任ガイダンスを受け、さらにスキルと知識を随時更新・アップデートする、(2)会社が必要なリソースを提供する、(3)取締役会議長が取締役会の研修・研鑽ニーズについて随時レビューする――ことが求められている。一方、米国にはコーポレートガバナンス・コードに相当するコーポレートガバナンス・ガイドラインというものがあり、そこでは「取締役のオリエンテーションと継続教育の開示」が求められている。

 具体的な開示例を見ると、Google(米)では、・・・

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2015/07/22 海外トップ企業の「役員に対するトレーニングの方針」(会員限定)

 我が国のコーポレートガバナンス・コードでは、役員に対するトレーニングの機会の提供・斡旋、費用の支援と、適切な対応がとられているかどうかについての取締役会による確認(原則4-14)、さらに、取締役・監査役に対するトレーニングの方針の開示(補充原則4-14②)が求められているが、どのようなトレーニング方針を立てればよいか悩む企業は少なくない。

 当フォーラムを利用していただくことはコーポレートガバナンス・コードが求める役員トレーニングに十分資するものと確信しているが、参考に米国や英国のトップ企業が役員のトレーングについてどのような開示を行っているのか見てみよう。

 その前に、両国における役員トレーニングに関するルールを確認したい。周知のとおり、英国には日本がモデルとしたコーポレートガバナンス・コードがあり、(1)すべての取締役が就任ガイダンスを受け、さらにスキルと知識を随時更新・アップデートする、(2)会社が必要なリソースを提供する、(3)取締役会議長が取締役会の研修・研鑽ニーズについて随時レビューする――ことが求められている。一方、米国にはコーポレートガバナンス・コードに相当するコーポレートガバナンス・ガイドラインというものがあり、そこでは「取締役のオリエンテーションと継続教育の開示」が求められている。

 具体的な開示例を見ると、Google(米)では、新任役員に対しては、教材や経営幹部との会合、会社のビジネスや戦略に精通するためのプログラムが提供される。また、取締役が会社の認める取締役教育プログラムを利用する場合には、費用が支払われることになっている。

 GE(米)では、新任取締役に対しては法務責任者やCFOによるオリエンテーションが実施され、経営幹部よる会社の戦略等に関する説明も行われることになっている。また、財務計画や財務分析、コーポレートガバナンス等、GEの取締役としての職責を果たすために必要な事項について継続的な学習の機会を提供しているほか、スタンフォード大学が開校している「取締役大学(法律専門家や大学教授、企業のCEOなどが講師を務める)」など、外部の教育プログラムへのアクセスも提供している。

 HSBC(英)では、新任取締役に対しては、個人ごとのスキルや経験に応じたプログラムを用意している。また、取締役会を開催する際には、取締役に対する研修も多数実施している。取締役会議長は、各取締役の研修や研鑽について定期的にレビューし、さらに、各取締役が年間でどのようなトレーニングを受けたのかを開示するという徹底ぶりだ。

 ここで挙げた企業はいずれも著名なグローバル企業であり、その取締役に選任される人材がとびきり優秀であることは想像に難くないが、それでもこれだけのトレーニングに取り組んでいるという点は特筆に値しよう。