2015/07/21 取締役への責任追及における社外取締役の役割

 取締役が対象となる訴訟というと、株主代表訴訟や第三者訴訟のほか、会社が取締役や元取締役を提訴する「会社訴訟」もある(会社訴訟をカバーするD&O保険については、【2015年5月の課題】D&O保険(会社役員賠償責任保険)の「悩ましい会社訴訟への対応」参照)が、会社訴訟において会社側を代表することになるのが監査役だ(会社法386条1項)。会社を代表する以上、取締役を提訴するかどうかも監査役が判断するものと解されている。

第三者訴訟 : 役員の故意や重過失によって会社または役員が第三者(取引先、従業員など)に損害を与えた場合、第三者が会社法429条(役員の任務懈怠)や民法709条((役員個人の)不法行為)を根拠に役員に対して損害賠償を請求するもの。

 提訴の判断を監査役が行う趣旨は、取締役を提訴するか否かを取締役が適正に判断するのは困難であり(たとえ自分以外の取締役が提訴の対象であったとしても、“仲間意識”が働く可能性は十分にある)、取締役とは独立した立場にある監査役がこの役目を担うべきということに他ならない。

 ただ、多くの上場会社や上場持株会社の子会社で社外取締役の選任が進む中、「独立した立場」という点では、今後は社外取締役が取締役の提訴において監督的な役割を果たすことも期待されよう。社外取締役は、・・・

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2015/07/21 取締役への責任追及における社外取締役の役割(会員限定)

 取締役が対象となる訴訟というと、株主代表訴訟や第三者訴訟のほか、会社が取締役や元取締役を提訴する「会社訴訟」もある(会社訴訟をカバーするD&O保険については、【2015年5月の課題】D&O保険(会社役員賠償責任保険)の「悩ましい会社訴訟への対応」参照)が、会社訴訟において会社側を代表することになるのが監査役だ(会社法386条1項)。会社を代表する以上、取締役を提訴するかどうかも監査役が判断するものと解されている。

第三者訴訟 : 役員の故意や重過失によって会社または役員が第三者(取引先、従業員など)に損害を与えた場合、第三者が会社法429条(役員の任務懈怠)や民法709条((役員個人の)不法行為)を根拠に役員に対して損害賠償を請求するもの。

 提訴の判断を監査役が行う趣旨は、取締役を提訴するか否かを取締役が適正に判断するのは困難であり(たとえ自分以外の取締役が提訴の対象であったとしても、“仲間意識”が働く可能性は十分にある)、取締役とは独立した立場にある監査役がこの役目を担うべきということに他ならない。

 ただ、多くの上場会社や上場持株会社の子会社で社外取締役の選任が進む中、「独立した立場」という点では、今後は社外取締役が取締役の提訴において監督的な役割を果たすことも期待されよう。社外取締役は、取締役が任務を怠ったか否かという視点のみならず、例えば取締役を提訴することによる会社のブランドイメージの毀損や、今後取締役が大胆な意思決定を自粛するようになる恐れなど、会社利益への影響も総合的に勘案して提訴の可否を判断すべきだろう。

 会社が提訴しなかった場合には、「不提訴理由の通知」にその理由を記載する必要があるが(会社法847条4項、会社法施行規則218条3号)、ここに社外取締役の意見を記載することも考えられよう。

 もっとも、社外取締役自身が提訴の対象となった場合はもちろん、提訴の原因となった取締役の意思決定に社外取締役が関与していた場合(例えば取締役会決議に賛成していた場合)、取締役を提訴するかどうかの判断において社外取締役が適切に監督機能を発揮するのは困難だろう。会社訴訟の提起において社外取締役の監督機能を果たせるかどうかは、社外取締役自身が提訴原因に関与していないことが前提となりそうだ。

2015/07/17 “請負会社”も登場、投資家からのエンゲージメント、欧州の事情

 スチュワードシップ・コードの導入により、投資家から企業への「対話を通じた要求」すなわちエンゲージメントが今後増えていくことは間違いないが、日本ではまだ“夜明け前”の状態にある(2015年6月30日のニュース「変化するエンゲージメントのターゲット」参照)。

 エンゲージメント先進地域である欧州の現状から、日本の将来を占ってみよう。現在の日本では「単独」でのエンゲージメントが多いが、欧州ではいくつかの機関投資家が一緒になってエンゲージメントを行うケースが少なくない。こうした機関投資家を束ねてエンゲージメントを請け負う会社まで存在している。複数の機関投資家がまとまれば議決権の規模も無視できないものとなるため、企業としても対応せざるを得ない。

 エンゲージメントの内容は・・・

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2015/07/17 “請負会社”も登場、投資家からのエンゲージメント、欧州の事情(会員限定)

 スチュワードシップ・コードの導入により、投資家から企業への「対話を通じた要求」すなわちエンゲージメントが今後増えていくことは間違いないが、日本ではまだ“夜明け前”の状態にある(2015年6月30日のニュース「変化するエンゲージメントのターゲット」参照)。

 エンゲージメント先進地域である欧州の現状から、日本の将来を占ってみよう。現在の日本では「単独」でのエンゲージメントが多いが、欧州ではいくつかの機関投資家が一緒になってエンゲージメントを行うケースが少なくない。こうした機関投資家を束ねてエンゲージメントを請け負う会社まで存在している。複数の機関投資家がまとまれば議決権の規模も無視できないものとなるため、企業としても対応せざるを得ない。

 エンゲージメントの内容はESGに関するものが非常に多い。E(環境)については、カーボンの削減は業界を問わず、石炭やパーム油などは特定の業界の企業とのエンゲージメントでテーマとなる。S(社会)については、このところ労働環境が大きなテーマとなっている。ここで注意したいのは、環境・社会のいずれにおいても、自社だけではなく「サプライチェーン」にまで責任を持たなければならないということだ。いかに自社が環境・社会問題の解決に注力していても、サプライヤーにこれらの問題があれば、機関投資家から改善を求められることになる。G(コーポレートガバナンス)については、日本企業が対応に追われている「独立社外取締役の導入」といったレベルでなく、取締役のダイバーシティ(ジェンダー、国籍、キャリア等)にまで踏み込んだ議論が行われることが多い。いずれのテーマにも共通するのは「長期的な企業の課題」ということであり、この点からも、機関投資家は「短期的にコストを削減して利益還元を求める」といったことを求めていないことが分かる。

 では、企業が機関投資家からのエンゲージメントを拒絶したらどうなるのだろうか。想定されるシナリオの1つが、議決権を行使して取締役の選任に反対票を投じるか、株主提案を活用することだろう。一方、機関投資家はアクティビストではない以上、株を買い増して、企業に何らかの要求をするといったことは行わない。エンゲージメントを行った後、機関投資家の求める改善が実行されなければ、株式を売却して終わりということもある。

 このように見ると、機関投資家が企業に直接与える影響はあまり大きくはないように見えるかもしれないが、機関投資家の議決権行使により「反対票」が多くなれば、企業に対する投資家の評価は確実に下がることになる。また、機関投資家の中には、エンゲージメントに失敗した企業名を公表するとともに、その理由を開示しているところもある。これは企業により大きなダメージを与えることになろう。

 逆に、エンゲージメントを取り入れた企業名を公表し、これを賞賛する内容が公表されることも多い。投資家からの評価を上げるという側面からも、エンゲージメントを受け入れる意義は大きいと言える。

2015/07/16 (新用語・難解用語)ハイブリッド型企業年金

 運用リスクを事業主が負う「確定給付型年金」と加入者が負う「確定拠出型年金」の
中間に位置付けられる企業年金制度。2015年6月30日に閣議決定された政府の成長戦略「日本再興戦略」改訂2015ではこのハイブリッド型企業年金の導入が打ち出されている(130ページ参照)。

確定給付企業年金の制度改善
 企業が企業年金を実施しやすい環境を整備するため、確定給付企業年金制度について、運用リスクを事業主と加入者で柔軟に分け合うことができるようなハイブリッド型の企業年金制度の導入・・・について検討し、本年中に結論を得る。

 ハイブリッド型の企業年金というと、いわゆるキャッシュバランス・プラン を思い浮かべるかもしれないが、今回政府が検討しているものは、キャッシュバランス・プランとは別物の模様。政府がモデルにしようとしているとみられるのが、・・・

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2015/07/16 (新用語・難解用語)ハイブリッド型企業年金(会員限定)

 運用リスクを事業主が負う「確定給付型年金」と加入者が負う「確定拠出型年金」の
中間に位置付けられる企業年金制度。2015年6月30日に閣議決定された政府の成長戦略「日本再興戦略」改訂2015ではこのハイブリッド型企業年金の導入が打ち出されている(130ページ参照)。

確定給付企業年金の制度改善
 企業が企業年金を実施しやすい環境を整備するため、確定給付企業年金制度について、運用リスクを事業主と加入者で柔軟に分け合うことができるようなハイブリッド型の企業年金制度の導入・・・について検討し、本年中に結論を得る。

 ハイブリッド型の企業年金というと、いわゆるキャッシュバランス・プランを思い浮かべるかもしれないが、今回政府が検討しているものは、キャッシュバランス・プランとは別物の模様。政府がモデルにしようとしているとみられるのが、オランダの集団型確定拠出年金だ。確定拠出型年金では個々の加入者が運用を指図するが、集団型確定拠出年金では“集団”という言葉のとおり、「会社」がまとめて運用することになる。ハイブリッド型の企業年金は成長戦略で「確定給付企業年金の制度改善」として提案されているが、実際には確定拠出型の性格が強いと言える。

キャッシュバランス・プラン :あらかじめ加入者に約束した「予定利率」通りに年金を給付しなければならない確定給付企業年金に対し、例えば国債の利回りに応じて予定利率を変動させることができるもの。「事業主と加入者が双方でリスクを分担する」という点がポイント。

 オランダでは、一定水準以上の掛金の積立てが確保され、掛金が固定されている集団型確定拠出年金は、会計上、確定給付型年金ではなく確定拠出型年金とみなすことになっている(確定拠出型年金では、積立不足は発生しない )。ただ、これを日本の財務会計基準機構(ASBJ)が簡単に認めるとも思えず、また、積立て水準を高めなければいけないとなると、現在確定給付型年金を採用している企業が導入に踏み切るかどうかは微妙だろう。

 個々の加入者に代わって企業側がまとめて運用することに対しては、個人ベースを基本とする確定拠出型年金の仕組みをないがしろにする提案だとして、証券業界から反発の声が強いほか、こうした中途半端な制度ができると、今後、確定拠出型年金の拡充策(拠出限度額の引き上げ、中途引き出しの緩和など)がおろそかになるとの懸念もある。

 具体的にどのようは制度案が出て来るのか、注目していきたい。

2015/07/16 セミナー「持株会社の子会社、未上場子会社のガバナンス」および「会社法改正がグループガバナンスに与える影響」を2015年7月16日(木)に開催しました。

本セミナーはすでに開催済みですが、会員の方向けにWEBセミナーを配信中です。
WEBセミナー:持株会社の子会社、未上場子会社のガバナンス
WEBセミナー:会社法改正がグループガバナンスに与える影響

上場会社役員ガバナンスフォーラムでは、2015年7月16日(木)の14時30分~17時40分に下記のセミナーを開催いたします。

時 間 テーマ 講 師
第一部
14:30

16:00
~ガバナンスコードは“準用”されるのか?
どこまでやるべきか?~
持株会社の子会社、未上場子会社のガバナンス
青山学院大学国際マネジメント研究科
教授 北川 哲雄 様
第二部
16:10


17:40
~親会社役員・子会社役員、
それぞれの視点から見た会社法改正~
会社法改正がグループガバナンスに与える影響
TMI総合法律事務所
パートナー 弁護士 葉玉 匡美 様

■第一部の詳細

セミナー
の内容
 2015年6月1日から実施されるコーポレートガバナンス・コードは上場会社に対して適用されます。近年、持株会社体制に移行する企業グループが相次いでいますが、同コードが適用されるのはあくまで上場会社である「持株会社」であり、その傘下の子会社(未上場会社)ではありません。これは、持株会社体制を採用していない企業グループの未上場子会社についても同じことが言えます。
 未上場会社は同コードの適用対象とならない以上、独立社外取締役を2名以上置くことが求められるわけではなく、また、同コードに沿って定められた東証の上場規則に基づく開示も不要となります。
 しかし、「企業グループのガバナンス」ということを考えた場合、巨大な子会社やグループの中で重要なポジションを占める子会社等のガバナンスが重要であることは間違いないでしょう。本セミナーでは、コーポレートガバナンス・コードが適用されない「持株会社の傘下の会社」や「グループ子会社」はどこまでガバナンス体制を整えるべきなのかという点について、コーポレートガバナンス分野の第一人者であり、伊藤レポートの作成メンバーでもあった青山学院大学の北川哲雄教授に解説していただきます。また、企業グループのタイプ(同業他社が持株会社の下で並列している場合、1社が圧倒的な売上を占めている場合……etc.)別のガバナンスや、海外の事例にも言及していただきます。

■第二部の詳細

セミナー
の内容
 2015年5月1日に改正会社法が施行されました。改正会社法には、大会社である取締役会設置会社における「グループとしての内部統制システム」の整備が明記されました。この「グループとしての内部統制システム」は、あくまで親会社側の問題であり、子会社自体に内部統制システムの整備を求めるというものではありません。そこで、親会社の役員としては取締役会で具体的にどのような決議を行うことが求められ、それを受け、子会社ではどういう対応が必要になるのかが気になるところです。とりわけ100%子会社の場合、親会社の株主が子会社の役員の責任を直接追及できるようになることから(「多重代表訴訟制度」の導入)、これまで何かと後回しにされてきた子会社のガバナンス体制の整備にも、今後は力を入れざるを得ません。このほか、親会社の監査役に法令・定款違反の事実等を「報告」するための体制構築や、事業報告で親会社との取引が会社の利益を害さないかどうか(利益相反取引)についての取締役会の判断およびその理由の開示が必要になるなど、体制面・開示面からグループガバナンスの強化が図られており、会社として対応しなければならない課題は山積みです。
 本セミナーでは、会社法改正がグループガバナンスに与える影響について、親会社役員の視点と子会社役員の視点の双方の切り口から、会社法起案メンバーでもあり、会社法を知り尽くすTMI総合法律事務所の葉玉匡美弁護士に解説いただきます。

詳細はこちらもご覧ください。
なお、セミナー参加費につきましては、上場会社役員ガバナンスフォーラムの会員のみ無料、それ以外の方は2万円(税込 ※)となっております。
※セミナーお申込み前に会員登録いただくと、セミナー参加費は無料となります。

会員登録はこちらから

会員でない方のお振込方法等の詳細はお申込みの受付けメール(下記の「お申込みはこちらから」のボタンをクリック後、お名前等をご入力いただいた後自動送信されるメール)にてご連絡いたします。
ご不明な点等がございましたら、ご遠慮なく jimukyoku@govforum.jp までお問い合わせください。

<セミナー概要>

  • 第一部 持株会社の子会社、未上場子会社のガバナンス
  • 第二部 会社法改正がグループガバナンスに与える影響
  • 【日時】2015年7月16日(木)14時30分~17時40分
  • 【場所】六本木ヒルズ森タワー23階 TMI総合法律事務所セミナールーム
  • 【受付】六本木ヒルズ森タワー1階ロビー 14時より(臨時受付を設置します。お名刺をご持参ください)
  • 【講師】第一部 青山学院大学国際マネジメント研究科 教授 北川 哲雄 様
        第二部 TMI総合法律事務所 パートナー 弁護士 葉玉 匡美 様
  • 【セミナー参加費】当フォーラム会員は無料、それ以外の方は2万円(税込)

セミナー参加費の請求書はこちらから

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2015/07/15 監査役と社外取締役の役割分担は必要か

 社外取締役を選任していない会社が少数派となる中、社外取締役と監査役の役割分担に頭を悩ませる会社も増えているようだ。監査役会設置会社が監査等委員会設置会社に移行する際には、社外監査役が社外取締役に“横滑り”することが認められているように(2015年3月20日のニュース「監査等委員会設置会社への移行で監査役の処遇は?」参照)、社外取締役と特に「社外監査役」の立ち位置が被り、両者の重複感を感じている会社は少なくない。

 一般的には、社外取締役は取締役会の議決権を持ちながら経営へのアドバイスを行い、時には経営者の意思決定を後押しする“アクセル”の役目を果たす一方、監査役は違法性のチェック機能や経営への“ブレーキ”役を果たすと理解されている。また、監査役設置会社の監査役は違法性(適法性)監査の権限のみを有し、妥当性監査の権限まで有しないとの説もある。このため、社外監査役には弁護士や会計士が就任するケースが多く、また、ある会社では、監査役は基本的に社外取締役の発言を待ってから発言しているという。

違法性(適法性)監査 : 取締役の職務執行が法令および定款に適合しているかどうかについての監査。

妥当性監査 : 業務執行の妥当性についての監査。

 ただ、大部分の会社では、社外取締役と監査役の間でこのような明確な棲み分けが出来ているわけではないだろう。実際ある会社では、・・・

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2015/07/15 監査役と社外取締役の役割分担は必要か(会員限定)

 社外取締役を選任していない会社が少数派となる中、社外取締役と監査役の役割分担に頭を悩ませる会社も増えているようだ。監査役会設置会社が監査等委員会設置会社に移行する際には、社外監査役が社外取締役に“横滑り”することが認められているように(2015年3月20日のニュース「監査等委員会設置会社への移行で監査役の処遇は?」参照)、社外取締役と特に「社外監査役」の立ち位置が被り、両者の重複感を感じている会社は少なくない。

 一般的には、社外取締役は取締役会の議決権を持ちながら経営へのアドバイスを行い、時には経営者の意思決定を後押しする“アクセル”の役目を果たす一方、監査役は違法性のチェック機能や経営への“ブレーキ”役を果たすと理解されている。また、監査役設置会社の監査役は違法性(適法性)監査の権限のみを有し、妥当性監査の権限まで有しないとの説もある。このため、社外監査役には弁護士や会計士が就任するケースが多く、また、ある会社では、監査役は基本的に社外取締役の発言を待ってから発言しているという。

違法性(適法性)監査 : 取締役の職務執行が法令および定款に適合しているかどうかについての監査。

妥当性監査 : 業務執行の妥当性についての監査。

 ただ、大部分の会社では、社外取締役と監査役の間でこのような明確な棲み分けが出来ているわけではないだろう。実際ある会社では、社外監査役からの指摘が社内のダイバーシティが進むきっかけになり、別の会社では監査役が経営戦略に対して意見を述べることも少なくないという。

 こうした実態が存在することからも分かるように、社外取締役と監査役の役割を明確に分け、監査役の発言に制限をかけることが会社にとってメリットがあるとは考えにくい。会社にとって意味のある区分は、「取締役か監査役か」ではなく、むしろ「社内か社外か」、あるいは個人のバックグラウンドや専門性の違いである、との意見も会社側からは聞こえて来る。

 結論として、社外取締役と監査役の役割分担は、各社のプラクティスに委ねられるべきであり、あらゆる人材が取締役会 で自由闊達に発言できる環境、雰囲気を整えることこそが、社外取締役や監査役の能力を最大限に経営に活かすポイントと言えそうだ。

2015/07/14 コンプライorエクスプレイン、投資家の評価が高いのは?

 ソフトローであるコーポレートガバナンス・コードでは、「コンプライorエクスプレイン」という緩やかな規制手法がとられているが、「できるだけコンプライした方が投資家のウケはいいはず」と考える企業は少なくない。・・・

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