2015/07/09 (新用語・難解用語)金銭報酬債権の現物出資(会員限定)

 中長期的な企業価値向上と役員報酬を連動させるため、海外ではパフォーマンス・シェア(Performance Share=中長期的な“業績目標の達成度合い”に応じて交付される株式報酬)やリストリクテッド・ストック(Restricted Stock=一定期間の譲渡制限が付された株式報酬)といった株式報酬型の役員報酬制度が普及している。日本でも、株主総会で決議した役員報酬相当額を信託に拠出し、信託がこの資金を原資にして株式市場や会社から株式を取得したうえで、一定期間経過後に業績の達成状況に応じて役員に株式を交付する「パフォーマンス・シェア型」、あるいは一定期間の経過後に役員に株式を交付する「リストリクテッド・ストック型」のスキームの商品を信託銀行が販売している(新用語・難解用語辞典「役員報酬BIP信託」)参照)。

 そして、今後登場しそうなのが、役員が職務執行の対価として報酬を得る権利である「金銭報酬債権の現物出資」を利用したスキームだ。具体的には、まず(1)会社が役員に金銭報酬債権を付与、(2)役員が当該金銭報酬債権を「現物出資財産」として会社に払い込み、その対価として会社が役員に株式を発行する――というもの。

 日本の会社法では、株式の発行は金銭等の「払込み」があることを前提としているため(会社法199条1項2号~4号)、欧米型の株式報酬のように「株式をタダであげる」ことはできない(「タダ=払込みゼロ」を意味するため)。日本で“1円ストックオプション”と呼ばれる株式報酬型ストックオプションが普及して来た理由もここにあるが、金銭報酬債権の現物出資スキームを使えば、1円ストックオプションを利用しなくても、株式報酬の支給が可能になる。

 会社が支出するのは金銭そのものでなく、あくまで「金銭報酬“相当”額」であるため、これを現物出資するというと一見“仮装払込み” に見えるかもしれないが、株主総会の報酬決議を踏み、かつ、それが職務執行の対価として実体のある支出であれば、有効な払込みに該当することになる。また、株主総会では必ずしも「確定額」を決議する必要はなく、金額が不確定の報酬として、具体的な算定方法を決議しておくことも考えられるだろう(会社法361条1項2号)。

仮装払込み : 出資の履行を仮装すること

 中長期の業績との連動性をより高めるため、株式に譲渡制限を付けることも考えられる。譲渡制限の方法としては、(1)会社と役員が契約を結び、業績に応じて譲渡制限を解除できるようにする、(2)譲渡制限をかけるとともに、業績に応じてor一定期間経過後に、取得請求権(会社法108条1項5号)や取得条項(会社法108条1項6号)を行使して普通株式に転換できる権利を付した種類株を発行する―――ことが考えられよう。

種類株 : 普通株式とは種類の異なる株式のこと。配当を優先的に受ける一方で議決権が制限される配当優先株など、株主の権利の内容を自由に設定できる。

2015/07/08 成長戦略に確定給付年金の積立不足解消策

 あらかじめ加入者に約束した「予定利率」通りに年金を給付しなければならない確定給付型年金を導入している企業は、運用環境次第で常に積立金の 「積立不足」が生じるリスクを背負っている。このリスクを避けるため、確定給付型年金から運用リスクを加入者が負う確定拠出型年金に移行する企業が増えている。

 とはいえ、いまだに確定給付型年金を維持する企業も多い。こうした企業は引き続き積立不足のリスクに晒されることになるが、これを解消する策が政府の成長戦略で実施されることになりそうだ。・・・

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2015/07/08 成長戦略に確定給付年金の積立不足解消策(会員限定)

 あらかじめ加入者に約束した「予定利率」通りに年金を給付しなければならない確定給付型年金を導入している企業は、運用環境次第で常に積立金の 「積立不足」が生じるリスクを背負っている。このリスクを避けるため、確定給付型年金から運用リスクを加入者が負う確定拠出型年金に移行する企業が増えている。

 とはいえ、いまだに確定給付型年金を維持する企業も多い。こうした企業は引き続き積立不足のリスクに晒されることになるが、これを解消する策が政府の成長戦略で実施されることになりそうだ。

 6月30日に閣議決定された政府の成長戦略「日本再興戦略」改訂2015には、「確定給付企業年金の制度改善」として下記の策が打ち出されている(130ページ参照)。ここではあくまで抽象的な表現にとどまっているが、「将来の景気変動を見越したより弾力的な運営を可能とする措置」という部分が積立不足の解消策を指す。

確定給付企業年金の制度改善
 企業が企業年金を実施しやすい環境を整備するため、確定給付企業年金制度について、運用リスクを事業主と加入者で柔軟に分け合うことができるようなハイブリッド型の企業年金制度の導入や、将来の景気変動を見越したより弾力的な運営を可能とする措置について検討し、本年中に結論を得る。

 具体的には、本来の積立額よりも余分に掛金を積み立てた場合には、会計上も「積立不足なし」と取り扱うことを検討する。ただ、現行法人税法上、余分に積み立てた掛金が損金不算入となってしまうという問題は残る。このため、会計上の取扱いの見直しに加え、余分に積み立てた掛金を損金算入できるよう税制改正が行われる可能性も高いだろう。

 成長戦略では「本年中に結論を得る」としている。例年の法人税制の改正スケジュール(4月1日~適用開始)を踏まえると、この積立不足解消策は平成28年4月1日から実施されることになりそうだ。

2015/07/07 四半期開示制度の行方

 日本の四半期開示制度が揺れている。伊藤レポートの第二弾「対話先進国に向けた企業情報開示と株主総会プロセス」では3つの制度開示(金商法開示・会社法開示・証券取引所開示)の一元化が提案され、6月30日に閣議決定された「日本再興戦略」改訂2015(44ページの一番下「ア」参照)でも、下記のとおり「四半期開示の一本化」が打ち出されている(海外の動きは、2015年6月23日のニュース「日本への影響は?英国で四半期開示やめる企業相次ぐ」参照))。

統合的開示に向けた検討等
 企業の情報開示については、投資家が必要とする情報を効果的かつ効率的に提供するため、金融審議会において、企業や投資家、関係省庁等を集めた検討の場を設け、会社法、金融商品取引法、証券取引所上場規則に基づく開示を検証し、重複排除や相互参照の活用、実質的な監査の一元化、四半期開示の一本化、株主総会関連の日程の適切な設定、各企業がガバナンス、中長期計画等の開示を充実させるための方策等を含め、統合的な開示の在り方について今年度中に総合的に検討を行い、結論を得る。

 では、日本の四半期開示制度はどうなっていくのだろうか。四半期開示制度の見直しに向けた政府の本気度がうかがえるのが、・・・

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2015/07/07 四半期開示制度の行方(会員限定)

 日本の四半期開示制度が揺れている。伊藤レポートの第二弾「対話先進国に向けた企業情報開示と株主総会プロセス」では3つの制度開示(金商法開示・会社法開示・証券取引所開示)の一元化が提案され、6月30日に閣議決定された「日本再興戦略」改訂2015(44ページの一番下「ア」参照)でも、下記のとおり「四半期開示の一本化」が打ち出されている(海外の動きは、2015年6月23日のニュース「日本への影響は?英国で四半期開示やめる企業相次ぐ」参照))。

統合的開示に向けた検討等
 企業の情報開示については、投資家が必要とする情報を効果的かつ効率的に提供するため、金融審議会において、企業や投資家、関係省庁等を集めた検討の場を設け、会社法、金融商品取引法、証券取引所上場規則に基づく開示を検証し、重複排除や相互参照の活用、実質的な監査の一元化、四半期開示の一本化、株主総会関連の日程の適切な設定、各企業がガバナンス、中長期計画等の開示を充実させるための方策等を含め、統合的な開示の在り方について今年度中に総合的に検討を行い、結論を得る。

 では、日本の四半期開示制度はどうなっていくのだろうか。四半期開示制度の見直しに向けた政府の本気度がうかがえるのが、上記下線部の「金融審議会において」との記述だ。四半期開示制度の見直しは伊藤レポートの第二弾が発端となったように当初は経済産業省において検討されていたが、「金融審議会において」という文言は、検討の場が経済産業省から金融庁に移ったことを意味する。開示制度を所管しない経済産業省での議論はどうしても総論的なものになりがちだが、金商法開示を所管する金融庁では、具体的な制度改正に踏み込んだ議論がなされることになろう。

 四半期開示には金融庁が所管する四半期報告書と証券取引所が所管する四半期決算短信があるが、開示内容も開示時期もさほど変わらない(四半期決算短信の開示時期は四半期末後平均34日程度であり、四半期報告書は四半期決算短信開示後概ね1週間後の開示)。このため、四半期開示の一元化議論とは、結局は「どちらを残すか」という話になる。元々、四半期開示は東証が任意で始めたものを金融庁が制度化した経緯があるうえ、金融庁の四半期報告書には統一されたフォーマット(規則)があり、公認会計士のレビューを受けているという点を踏まえても、取引所の四半期決算短信をなくすことになるだろう。これが実現すれば開示負担の軽減につながるため、企業にとっては朗報と言える。

 一方、「重複開示や相互参照の活用」の実現は困難を極めそうだ。これは、3つの開示制度間の「重複する開示」について統一的な開示を目指す取組みであり、モジュール型開示システムと呼ばれるものだが、それぞれの開示制度を所管する金融庁、法務省、証券取引所間の調整が必要であるため、抜本的な開示の簡素化に結びつく仕組みをそう簡単に構築できるとは考えにくい。また、モジュール型開示システムが実現した場合、現在は有価証券報告書を作成していない非上場の会社法上の大会社の負担が増えることになりかねないという点もネックになる可能性がありそうだ。

2015/07/06 政策保有株式に関する開示、各社の記載内容は?

 コーポレートガバナンス・コードの適用が開始(2015年6月1日~)されてから1か月余りが経過、同コードに対応したコーポレート・ガバナンス報告書を東証に提出するとともに、同コードへの詳細な対応方針を自社のホームページで公開する企業が相次いでいる。その一方で、経過措置の適用を受け、「他社の事例を参考にしながら記載内容を固めたい」というスタンスをとる企業も多い。こうした企業にとって特に関心が高いのが、政策保有株式(いわゆる持合株式)に関する方針だ。

経過措置 : 適用初年度においては、コード対応のコーポレート・ガバナンス報告書は「平成27年6月1日以後最初に開催する定時株主総会から6か月を経過する日まで」に提出すればよいことになっている。定時株主総会を平成27年6月末に開催した上場会社は、6か月後の12月末までに提出すればよい。

 コーポレートガバナンス・コードでは、政策保有株式として上場株式を保有する場合には、「政策保有に関する方針」を開示する必要があるとしている(原則1-4)。この点についてこれまで各社がどのような開示を行ったか見てみよう。・・・

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2015/07/06 政策保有株式に関する開示、各社の記載内容は?(会員限定)

 コーポレートガバナンス・コードの適用が開始(2015年6月1日~)されてから1か月余りが経過、同コードに対応したコーポレート・ガバナンス報告書を東証に提出するとともに、同コードへの詳細な対応方針を自社のホームページで公開する企業が相次いでいる。その一方で、経過措置の適用を受け、「他社の事例を参考にしながら記載内容を固めたい」というスタンスをとる企業も多い。こうした企業にとって特に関心が高いのが、政策保有株式(いわゆる持合株式)に関する方針だ。

経過措置 : 適用初年度においては、コード対応のコーポレート・ガバナンス報告書は「平成27年6月1日以後最初に開催する定時株主総会から6か月を経過する日まで」に提出すればよいことになっている。定時株主総会を平成27年6月末に開催した上場会社は、6か月後の12月末までに提出すればよい。

 コーポレートガバナンス・コードでは、政策保有株式として上場株式を保有する場合には、「政策保有に関する方針」を開示する必要があるとしている(原則1-4)。この点についてこれまで各社がどのような開示を行ったか見てみよう。

 豊田自動織機、デンソー、アイシン精機は、「事業拡大の観点から(株式保有先との)協力関係は不可欠」とし、政策保有株式を保有していく方針を示している。NTTデータや亀田製菓も同様だ。また、ニッカトーは、保有する上場会社(仕入・販売等の取引関係あり)株式を原則売買の対象とせず、長期的に政策保有することを宣言したうえで、保有する株式の名称、数、金額、取引関係を開示している。

 「保有条件」を詳細に明らかにするケースも見られる。大東建託は、「業務提携、取引の維持・強化及び株式の安定等の保有目的の合理性」「連結貸借対照表への計上額が総資産の5%以下」という条件を“すべて”満たす場合に政策保有株式を保有する方針を示している。また、三菱商事は、株式取得の際の定量的なリスクや期待収益率等の経済合理性を事前に確認したうえで新規取得の是非を決定するなど、政策保有株式の新規取得ルールの詳細な開示を行っている。

 削減計画とともに保有のルールを示したのがMS&ADインシュアランスグループホールディングスだ。同社は、政策保有株式を「取引関係の維持・強化を目的とするもの」と定義したうえで、政策保有株式への投資にあたっては、発行体の財務状況、ガバナンス、株価等を総合的に判断するとしつつ、併せて4年間で3,000億円の政策保有株式の削減計画も公表している。

 さらに踏み込んで、政策保有株式を原則として保有しないとの方針を示す企業もある。例えばみずほフィナンシャルグループでは、取引先等の企業価値の維持・向上など、保有意義が認められる場合を除き、保有しないことを基本方針としている。また、新生銀行も保有しないことを原則とし、取引関係の維持など保有する必要があると判断した場合には、関係業務を主管する部門長の合議により承認したうえで保有するとしている。マネックスグループも保有しないことを原則とした。

 そもそも、コーポレートガバナンス・コードに政策保有株式保有に関する方針が盛り込まれた趣旨は、「株式の持ち合いは合理的な理由がない限り、極力縮小すべきである」ということにある。中長期的に見れば、市場全体の政策保有株式は縮小していくことになろう。

2015/07/03 業績連動型役員報酬導入のボトルネックが解消へ

 中長期的な企業価値の向上が求められる中、役員報酬も中長期的な業績に連動させることが必然となっている。この点はコーポレートガバナンス・コードにも明記されたことから、役員報酬の算定方法の見直しを検討している企業も少なくないことだろう。

原則4-2
・・・また、経営陣の報酬については、中長期的な会社の業績や潜在的リスクを反映させ、健全な企業家精神の発揮に資するようなインセンティブ付けを行うべきである。
補充原則4-2①
経営陣の報酬は、持続的な成長に向けた健全なインセンティブの一つとして機能するよう、中長期的な業績と連動する報酬の割合や、現金報酬と自社株報酬との割合を適切に設定すべきである。

 ただ、中長期的な業績に連動した報酬を導入するにあたりネックとなるのが、役員報酬に対する現在の税制だ。法人税法では、業績連動型の役員報酬を「利益連動給与」と呼び、これを損金算入できる仕組みを設けているものの、実際に損金算入が認められるには非常に厳しい要件をクリアする必要がある。このため、業績連動型役員報酬を導入している企業の中でこれを損金算入できているところは少ないのが現状だ。

 例えば、現行法人税法上、損金算入できるのは「有価証券報告書に記載された利益を基礎に算定」された役員報酬だけであり、さらに「有価証券報告書に記載される“その事業年度”の利益に関する指標の数値が確定した後“1か月以内”に支払われる(又は支払われる見込み)」ことも求められる。つまり、2年前、3年前の利益をベースに算定された報酬(=中長期的な業績と連動した報酬)は損金不算入となってしまう。

 また、近年は持株会社に移行する企業が相次いでいるが、法人税法上は「同族会社」に区分される持株会社の100%子会社が支払う業績連動型の報酬は損金算入できない。これは、現行法人税法では「同族会社」が支払う利益連動額役員報酬を損金算入の対象外としているためだ。

 さらに、非業務執行役員に支払う業績連動型の報酬は損金算入できないほか、損金算入のためには、報酬額を「業務執行役員やその関連者が委員となっていない報酬委員会」が決定することも求められている。

 このように、企業が中長期の業績と連動する役員報酬制度を導入するにあたっては、税制が大きなネックとなりかねない懸念があるが、こうした中、政府が・・・

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2015/07/03 業績連動型役員報酬導入のボトルネックが解消へ(会員限定)

中長期的な企業価値の向上が求められる中、役員報酬も中長期的な業績に連動させることが必然となっている。この点はコーポレートガバナンス・コードにも明記されたことから、役員報酬の算定方法の見直しを検討している企業も少なくないことだろう。

原則4-2
・・・また、経営陣の報酬については、中長期的な会社の業績や潜在的リスクを反映させ、健全な企業家精神の発揮に資するようなインセンティブ付けを行うべきである。
補充原則4-2①
経営陣の報酬は、持続的な成長に向けた健全なインセンティブの一つとして機能するよう、中長期的な業績と連動する報酬の割合や、現金報酬と自社株報酬との割合を適切に設定すべきである。

ただ、中長期的な業績に連動した報酬を導入するにあたりネックとなるのが、役員報酬に対する現在の税制だ。法人税法では、業績連動型の役員報酬を「利益連動給与」と呼び、これを損金算入できる仕組みを設けているものの、実際に損金算入が認められるには非常に厳しい要件をクリアする必要がある。このため、業績連動型役員報酬を導入している企業の中でこれを損金算入できているところは少ないのが現状だ。

利益連動給与 : その事業年度の利益に関する指標に基づく「あらかじめ定められた方法」により決定されるもの

例えば、現行法人税法上、損金算入できるのは「有価証券報告書に記載された利益を基礎に算定」された役員報酬だけであり、さらに「有価証券報告書に記載される“その事業年度”の利益に関する指標の数値が確定した後“1か月以内”に支払われる(又は支払われる見込み)」ことも求められる。つまり、2年前、3年前の利益をベースに算定された報酬(=中長期的な業績と連動した報酬)は損金不算入となってしまう。

また、近年は持株会社に移行する企業が相次いでいるが、法人税法上は「同族会社」に区分される持株会社の100%子会社が支払う業績連動型の報酬は損金算入できない。これは、現行法人税法では「同族会社」が支払う利益連動額役員報酬を損金算入の対象外としているためだ。

さらに、非業務執行役員に支払う業績連動型の報酬は損金算入できないほか、損金算入のためには、報酬額を「業務執行役員やその関連者が委員となっていない報酬委員会」が決定することも求められている。

このように、企業が中長期の業績と連動する役員報酬制度を導入するにあたっては、税制が大きなネックとなりかねない懸念があるが、こうした中、政府が(2015年)6月30日に閣議決定した「日本再興戦略」改訂2015の44ページ(一番上)には、下記の記述が盛り込まれている。

経営陣に中長期の企業価値創造を引き出すためのインセンティブを付与することができるよう金銭でなく株式による報酬、業績に連動した報酬等の柔軟な活用を可能とするための仕組みの整備等を図る。

ここでは税制のことには特に触れられていないが、当フォーラムが得た情報によると、「仕組みの整備」という部分には上述した現行法人税法の見直しも含まれる模様だ。本件は平成28年度税制改正(改正内容は、平成28年4月1日から適用されるのが通常)議論の中で検討される方向。これが実現するかどうかにより、企業が利益連動給与型報酬を採用するモチベーションは大きく変わってくるだけに、当フォーラムでは今後も改正の動向をウォッチしていきたい。

2015/07/02 (新用語・難解用語)垂直的制限行為

 メーカーと当該メーカーの商品を取り扱う流通業者との“縦の関係”において、メーカーが流通業者(卸売業者や小売業者)に対し、販売価格、取扱い商品、販売地域、取引先などを制限する行為のこと。

 これまで、垂直的制限行為には常に独占禁止法への抵触リスクが付きまとってきた。これは、日本の独占禁止法が「メーカー=チャネルリーダー」を前提としていることに一因がある。しかし、近年は巨大な販買力を持つ大型小売店の登場とともに、チャネルリーダーはメーカーから小売店側に移りつつあり、厳しい価格競争にさらされるメーカー側からは、現行の独占禁止法による規制への不満の声が上がっていたところだ(2014年4月5日のニュース「シェアは低い方がマーケティングがやりやすくなる?」参照)。

チャネルリーダー : 商品の流通をコントロールする地位にある者。「チャネルキャプテン」とも言われる。

 こうした中、今年(2015年)4月には、・・・

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