2015/07/14 コンプライorエクスプレイン、投資家の評価が高いのは?(会員限定)

 ソフトローであるコーポレートガバナンス・コードでは、「コンプライorエクスプレイン」という緩やかな規制手法がとられているが、「できるだけコンプライした方が投資家のウケはいいはず」と考える企業は少なくない。

 しかし、投資家はむしろ「エクスプレイン」する会社を評価している。投資家は自分の投資先の会社のことはよく理解しており、ガバナンスのレベルに対するイメージも持っている。したがって、すべてをコンプライしているからと言って「ガバナンスの優れた会社」、逆にエクスプレインしている部分があるから「問題のある会社」という短絡的な評価になることはない。

 投資家にとって「ガバナンスが優れている」というイメージがそれほどない会社が「オールコンプライです」と言った場合には、むしろ「志の低い会社」との評価を受けることになりかねない。いかに優良な会社でも全く課題がないということはあり得ないため、投資家は「課題がない」ことを「課題が認識できていない」と同義にとらえる可能性が高い。

 一方、細かな部分についても保守的にエクスプレインしている会社に対しては、「細かい部分まで真剣に検討し、対応しようとしている真面目な会社」という評価になる。投資家は、課題を認識し、真摯にそれを開示している会社については、「いずれその課題を改善してくるだろう」と考える。すなわち、“保守的なエクスプレイン”は、コンプライ以上の評価となるということだ。

 もちろん、コードの主旨自体に反するエクスプレインや、「当面コンプライしない」と宣言する場合には注意が必要になる。コードが「現在考えられるベストプラクティス」を示している以上、それと違うやり方をする場合には、「そのやり方の方が優れている」あるいは「業種や個社の特殊性を考えると自分たちのやり方の方が適切だ」ということを根拠をもって示さなければならない。コーポレートガバナンス・コードの将来を考えた場合には、会社側からこの様な問題提起が行われるのはむしろ望ましいことであり、将来的なコードの発展的見直しにもつながる建設的な意見は歓迎されるべきである。しかしながら、このような開示を行った場合には多くの投資家の関心を呼び、様々な議論が巻き起こることが予想される。したがって、会社にも相当な覚悟と準備が求められるという点は肝に銘じておきたい。

2015/07/13 【失敗学第14回】東洋ゴム工業の事例(会員限定)

概要

 東洋ゴム工業(東証第一部上場)で、免震積層ゴム製品の一部に関し次の2つの不正行為があり、該当製品が設置された建築物全209棟のうち153棟が建築基準法上の違反建築物となる事態を招いた。
・免震積層ゴム製品につき国土交通大臣認定を取得する際に、技術的根拠のない値を用いた申請を行い、不正に大臣認定を取得していた。
・免震積層ゴム製品の出荷時に、技術的根拠のない値を用いて作成した性能検査成績書を顧客に交付していた。

経緯

 東洋ゴム工業が2015年6月に「免震積層ゴムの認定不適合」に関する社外調査チームより調査報告書を受け取るまでの経緯につき、時系列で示すと、次のとおり。
<2000年~2012年>
2000年12月から2012年2月までの間、免震積層ゴムの大臣認定申請に際し、東洋ゴム化工品の担当者Aが、技術的根拠のない恣意的な数値を用いて不正に大臣認定を取得していた。
また、2000年11月から2012年12月までの間、免震積層ゴムの出荷時の性能検査に際し、技術的根拠のない恣意的な数値を用いて、免震積層ゴムの性能指標が大臣認定の性能評価基準に適合しているかのように装っていた。
その結果、2000年11月から2015年2月までの間に、実際には大臣認定の性能評価基準に適合していない積層ゴムを「免震積層ゴム」として出荷していた。
<2007年>
東洋ゴム工業で断熱パネルの問題が発生。
<2012年~2013年>
東洋ゴム化工品(東洋ゴムの100%子会社)の免震積層ゴムの性能検査担当者Aの後任の担当者Bが、免震積層ゴムの性能検査におけるデータ処理に関して漠然と問題意識を抱くようになり、そのような問題意識を上司に報告していた。
<2014年>
2月:東洋ゴム化工品の担当者Bが、免震積層ゴムの設計担当者が一部の免震積層ゴム製品の性能検査において行われている補正の根拠が不明確であることを、東洋ゴム化工品の社長に報告。
<2015年>
2月6日:該当製品の出荷停止が決定、外部の専門家で構成する社外調査チームに対し、調査を依頼。
2月9日:国土交通省に一報。
4月23日:社外調査チームによる中間調査報告書を受領。
4月24日:社外調査チームによる中間調査報告書を公表。
6月19日:社外調査チームによる調査報告書を受領。
6月22日:社外調査チームによる調査報告書を公表。

断熱パネルの問題 : 硬質ウレタン製断熱パネル製品の防火認定において、国土交通大臣認定を不正取得していたことが発覚した事件。

内容・原因・改善策

 東洋ゴム工業の社外調査チームによる調査報告書によると、本件の問題点の内容とその原因と改善策は次のとおりである。

免震積層ゴムの性能評価の偽装

内容 免震積層ゴムの性能評価結果を偽装していた。
原因 ・東洋ゴム工業グループでは、免震積層ゴムの製造・開発についての能力やビジネスリスクの評価が不十分であるにもかかわらず、事業を開始・推進してしまった(事業評価の不全)。
・免震積層ゴムの販売促進のためには、大臣の認定の取得が重要になるものの、東洋ゴム工業は競合他社と比べ、大臣認定の取得が遅れていた。そのため、性能評価の担当者は上司から大臣認定を早く取得するよう強いプレッシャーを受けていた。
・同社の免震積層ゴムの性能評価業務の担当者は1名のみで、管理監督を適正に行なうに足る知識、能力を有する上司が配置されなかった。そのため、性能評価の内容につき上司や同僚・他部門から監督・牽制を受けることはなかった。また、出荷時における標準的な性能検査過程が書面化されておらず、製品出荷時性能検査の測定値についてデータ処理詳細の記録化がなされていなかった(内部統制の未構築)。
・最初に問題行為を行った性能評価担当者の上司が、担当者に性能評価データの不正操作を指示した可能性があった。
・最初に問題行為を行った性能評価担当者以外の従業員も、評価結果を加工することの問題性を認識した上で、免震積層ゴムの性能評価を偽っていた(規範遵守意識の欠如)。
・総売上高3,000億円の東洋ゴム工業グループにおいて、売上高7億円程度(総売上高の0.2%程度)の免震積層ゴム事業は、いわば傍流事業と位置付けられていた。そのため、免震積層ゴム事業では、製品品質の向上や優秀な人材の育成・確保が進まないという状況があった。
・大臣認定申請担当部門である開発技術部が不合格品の再製作に要する費用を負担するという不適切な制度運用がなされており、開発技術部としては不合格品を出しづらい環境にあった。また、製品出荷時の性能検査において、本来品質保証部門が行なうべき検証を開発技術部に頼るなど機能の分離独立がなされず、相互牽制・チェック機能の働かない仕組みの中で事業が遂行されていた。
・監査部門が複数存在するにもかかわらず、開発技術部に対する監査がほとんど行なわれなかった。
改善策 ・緊急品質監査の実施
東洋ゴム工業グループの工場において、検査工程の緊急品質監査を実施。
・品質・コンプライアンス調査委員会の設置
社長を委員長とし、取締役(社外取締役を含む)、監査役(社外監査役を含む)、コンプライアンス委員長および品質保証部門の長を委員とする「品質・コンプライアンス調査委員会」を設置する。同委員会の下には、外部の弁護士、品質保証部員および監査部員をメンバーとする「調査チーム」を編成し、従前の社内調査とは異なる次元の厳密な監査体制を整えて実施する。品質・コンプライアンス調査委員会は、東洋ゴム工業の全ての事業部門および子会社を対象として、「品質監査」「技術部門監査」「業務監査」の3種類の監査を実施する。
・コンプライアンス事案は、チーフコンプライアンスオフィサー(CCO)を中心に一元的に管理・対応する。
・品質保証部を品質保証本部に格上げし、権限強化・人員増強(大臣認定等の外部認証専門部署の新設)
・品質保証部と監査部の監査対象区分見直しと連携、一体的運用
・内部通報制度の見直し(通報ルートの複線化、通報者に対する適切なフィードバックにより、透明性を確保)
・リスクマネジメントを採り入れた事業評価(事業評価ガイドラインの策定・運営)
・トップダウンの意識改革コミットメント
社員に対して、社長自ら今回の免震ゴム問題の総括を報告し、経営陣から意識改革への覚悟を明示する。
・ボトムアップによる意識変革活動(風土改革委員会)
部長クラスを推進メンバーとして選抜し、閉鎖的なカルチャー・縦割り意識が形成されてきた原因を辿る議論を組織単位で全社的に行ない、当事者意識と帰属意識の啓発と自浄作用によるモラルアップとブランド力の再強化を目指す。
・教育研修の見直し
コンプライアンスの体系的整理、全社員を対象とした網羅性・適性の把握のため、コンプライアンス研修プログラムの見直し、再構築を行う。また、全技術者向けに倫理教育を含む研修プログラムの策定を行ない、実施する。
・就業規則の見直しと厳格運用
就業規則、懲罰規定を見直し、プロセスを整備、厳格運用を進める。会社のコンプライアンス違反に対するスタンスを明示することにより、不正に対する牽制と全社的な意識醸成を図る。
・組織人として備えるべき要件の明確化
人事部門と各事業本部で協議し、管理監督者・社員に必要な適性、知識、経験、能力を設定し、計画的な育成を実施する。

断熱パネル問題発生時の再発防止策の不機能

内容 2007年に断熱パネル問題が発生した際に、下記の再発防止策を講じていた。
・社長直轄の品質監査室の設置と緊急品質監査の実施
・コンプライアンス研修の実施
・内部統制システムの強化(コンプライアンス委員会の権限強化)
・部門間人事ローテーション
・事業決定プロセスの改善・強化
・内部通報制度の活用促進
それにもかかわらず、性能評価偽装問題の再発を防ぐことができなかった。しかも、今回発覚した免震積層ゴムの性能評価結果の偽装は、断熱パネル問題が発生する前から継続的に行われていた。
原因 ・2007年に断熱パネル問題が発生した際に、東洋ゴム工業では緊急品質監査を実施したものの、国内外拠点それぞれ1か月程度の形式的な監査で終息宣言を行なってしまい、免震積層ゴムの性能評価結果の偽装を発見できなかった。
・コンプライアンス委員会とQA委員会(Quality Assurance(品質保証)委員会)の機能の区別があいまいであり、両委員会の連携もとられなかった。
・人事ローテーションが適切になされず、専門担当者への依存が進む結果となった。
・内部通報の必要性について、従業員の認識が足りなかった。
改善策 ・再発防止策の実行スケジュールを明確にし、徹底展開を図る。
・再発防止策の履行状況を定期的にチェックし、実行状況を取締役会に報告する。
・再発防止策を繰り返し社内に周知させ、その浸透度を定期的に測る。
・再発防止策の進捗に合わせて適切な対応策の更新と実施を行うといった PDCAサイクルを定着させる。

出荷停止の判断の遅れ

内容 子会社の東洋ゴム化工品において本問題に関わる疑義が認識されてから、東洋ゴム工業が出荷停止の判断をするまで約1年もの時間を費やしてしまった。
原因 ・東洋ゴム工業の経営陣に、免震積層ゴム製品についての知識が乏しかった。
・技術的な見地からの確証性の検証に固執し、出荷停止および国土交通省への一報を決断しないまま、自己解決を模索してしまった。
・経営幹部の一部には、本問題の国土交通省への通報と公表をリスクとして扱うなど、コンプライアンス意識が著しく欠如していた。
・社外取締役・監査役、コンプライアンス委員会およびQA委員会、内部通報制度といったガバナンスに関する制度が整備されてはいたものの、本件に関して、これら既存の制度が活用されることはなかった。
・有事の社内調査体制が未整備であった。
<この失敗から学ぶべきこと>

 東洋ゴム工業では、国土交通大臣認定の性能評価基準に適合していない製品等については、所有者等の関係者の意向に反しない限り、原則として、当該免震ゴム全基(納入物件数55物件、全2,052基)について、当初の設計段階において求められた性能評価基準に適合する製品へと取り替える方針です。もっとも、取り替えに際して建物をジャッキアップする等の工事が必要になり、費用が膨れ上がることが予想されます。実際に東洋ゴム工業(12月決算)が平成27年5月12日に公表した第1四半期の四半期報告書では、製品補償引当金繰入額140億円の特別損失を計上しています。東洋ゴム工業における免震積層ゴムの売上高は、年間7億円ほどでした。売上ベースで20年分(140÷7)に相当する損失です。利益ベースでは、免震積層ゴムで稼ぎ出す利益の800年分に相当する損失が発生したことになります。こういった数字を目の当たりにすると、新規事業への進出に際してビジネスリスクの見極めが不可欠であることを痛感するのではないでしょうか。目に見えない風評被害による販売ロスも含めると東洋ゴム工業が負った傷は深いと言えます。

800年分 : 140億円÷(7億円×2.5%)で算定。なお、2.5%は東洋ゴム工業の連結財務諸表のセグメント情報におけるダイバーテック事業(産業・建築資材、輸送機器、断熱・防水資材、その他資材を製造及び販売)のセグメント営業利益率。

 東洋ゴム工業の子会社社長が免震積層ゴムの性能評価結果の偽装問題を認識したのは2014年2月のことです。それから親会社の東洋ゴム工業が性能偽装の問題がある製品の出荷停止に踏み切るまでには、1年もの歳月が必要でした。その間、東洋ゴム工業グループでは、延々と会議や検証が行われ、リコールするかどうかの結論を下せないまま、問題製品を次々と出荷していました。

 国土交通大臣認定の性能評価の偽装を行ったのは、子会社の担当者でした。親会社から大臣認定に向けてのスケジュール確保のプレッシャーが強かったのではないか、気になるところです。また、子会社が偽装を行い、親会社がその責任を問われるという点で、グループガバナンスの必要性を痛感させられる事例でした。

 本来は2014年2月に問題製品の出荷を停止すべきでしたが、出荷停止が1年も遅れてしまった理由として、調査報告書では様々な要因が指摘されています。要因の一つとして、東洋ゴム工業グループでは免震積層ゴムの性能評価業務に係る知識やノウハウが属人的なものになってしまっており、知識やノウハウが組織的に蓄積されていなかった点が挙げられます。その背景には売上高が少ない免震積層ゴム事業は、社内的に傍流と位置付けられており、その性能評価業務の充実に会社のリソースが回されなかったという事情があるかもしれません。仮に事業進出前にビジネスリスクを適切に評価しておけば、免震積層ゴム事業の最大のリスクが性能評価業務の適切性にあることが判明していたはずなので、ビジネスリスクの評価の不実施が悔やまれるところです。

 「コンプライアンス軽視の組織風土」も出荷停止の遅延を招いた原因の一つでした。その組織風土はQA委員会の当日キャンセルのエピソードの一端に垣間見ることができます。問題製品のリコールの是非などを検討するため2014年10月23日午後にQA委員会が開催される予定でしたが、開催当日の午前中に開かれた別の会議の席上、リコールした場合に次のようなデメリットなどがある点が指摘され、急きょQA委員会の開催はキャンセルになりました。
(1)東洋ゴム工業で過去に免震積層ゴムの交換工事を行った実績がない。
(2)リコールをしてしまうとゼネコンおよび設計事務所の東洋ゴム工業に対する信頼が失墜してしまう。
(3)リコールにより、免震積層ゴムに対する社会からの信頼性が崩壊し、他メーカー・免震業界を巻き込む大問題に発展してしまう。
(4)想定が付かないほどの補償費用が見込まれる。
 しかも、その会議の場で、リコールしない場合のリスクとして、内部通報により本問題が公になってしまうことを挙げつつ、「通報者の想定リストを作成し事前説明を行う」や「内部通報があった場合の対応シナリオを策定しておく」といった対応策も提案されるといった有り様でした。

QA委員会 : Quality Assurance(品質保証)委員会の略。東洋ゴム工業では製品の品質保証に関する問題が生じた場合に開催される。

 「リーダーシップの不在問題」も対応が遅れた理由の一つとして指摘されています。会社の存続がかかる大きな問題が生じた際には、社長が強大なリーダーシップにより問題解決の陣頭指揮を執る必要がありますが、東洋ゴム工業の社長は2014年5月以降体調不良となり、性能評価偽装の有無の検証の真っ最中の2014年11月1日付けに社長職を退くに至りました。経営トップの健康管理の重要性を改めて認識させられる事例でした。

2015/07/13 D&O保険料の会社負担は可能か?

 社外取締役の選任が急速に進む中、D&O保険への加入件数も大幅に増加している。ここ1年ほどで保険料収入が倍増した損害保険会社もあるという。こうした状況のなかクローズアップされているのが、D&O保険の保険料の負担だ。

 一口に「D&O保険(会社役員賠償責任保険)」と言っても、その中身は、第三者訴訟で役員が損害賠償責任を負った場合に支払われる「普通保険約款」と、株主代表訴訟で役員が敗訴した場合に支払われる「株主代表訴訟補償特約(自動で付与される)」に分けられる。このうち「株主代表訴訟補償特約」は、あくまで会社の損害に対して役員が負う責任への保証であるため、保険料は役員が個人負担(保険料全体の約1割が一般的)する慣行が定着している。

第三者訴訟 : 役員の故意や重過失によって会社または役員が第三者(取引先、従業員など)に損害を与えた場合、第三者が会社法429条(役員の任務懈怠)や民法709条((役員個人の)不法行為)を根拠に役員に対して損害賠償を請求するもの。

 ただ、確かに株主代表訴訟補償特約は役員の損害賠償責任を補填するものであるとはいえ、それによって結局は「会社の損害」も回復される。このため、以前から「会社が保険料を負担しても問題ないのではないか」との意見が聞かれたところだ。

 株主代表訴訟補償特約の保険料を会社が負担してはならないという意見の根拠として、「役員の損害賠償責任の発生に備える保険」の保険料の会社負担を認めるということは、「役員が“安心して会社に損害を生じさせる”ことができるよう、会社が保険料を支払う」ことを許容するに等しく、それ(=会社が保険料を負担すること)自体が会社法355条に規定する「(取締役の)忠実義務違反」に抵触しかねない、というものがある。

 ただ、D&O保険は犯罪行為や法令違反を認識しながら行った行為など悪意ある行為に基づき生じた損害は保険金の支払い対象外(免責)とし、通常の職務執行から生じる不可避的なリスクのみをカバーしている(2015年4月22日のニュース「責任限定契約を締結すればD&O保険は不要か」参照)。したがって、株主代表訴訟補償特約の保険料を会社が負担したからといって、役員に「会社に損害を生じさせる」インセンティブが働くとは考えにくい。

 こうした中、現在政府内では、・・・

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2015/07/13 D&O保険料の会社負担は可能か?(会員限定)

社外取締役の選任が急速に進む中、D&O保険への加入件数も大幅に増加している。ここ1年ほどで保険料収入が倍増した損害保険会社もあるという。こうした状況のなかクローズアップされているのが、D&O保険の保険料の負担だ。

一口に「D&O保険(会社役員賠償責任保険)」と言っても、その中身は、第三者訴訟で役員が損害賠償責任を負った場合に支払われる「普通保険約款」と、株主代表訴訟で役員が敗訴した場合に支払われる「株主代表訴訟補償特約(自動で付与される)」に分けられる。このうち「株主代表訴訟補償特約」は、あくまで会社の損害に対して役員が負う責任への保証であるため、保険料は役員が個人負担(保険料全体の約1割が一般的)する慣行が定着している。

第三者訴訟 : 役員の故意や重過失によって会社または役員が第三者(取引先、従業員など)に損害を与えた場合、第三者が会社法429条(役員の任務懈怠)や民法709条((役員個人の)不法行為)を根拠に役員に対して損害賠償を請求するもの。

ただ、確かに株主代表訴訟補償特約は役員の損害賠償責任を補填するものであるとはいえ、それによって結局は「会社の損害」も回復される。このため、以前から「会社が保険料を負担しても問題ないのではないか」との意見が聞かれたところだ。

株主代表訴訟補償特約の保険料を会社が負担してはならないという意見の根拠として、「役員の損害賠償責任の発生に備える保険」の保険料の会社負担を認めるということは、「役員が“安心して会社に損害を生じさせる”ことができるよう、会社が保険料を支払う」ことを許容するに等しく、それ(=会社が保険料を負担すること)自体が会社法355条に規定する「(取締役の)忠実義務違反」に抵触しかねない、というものがある。

しかし、D&O保険は犯罪行為や法令違反を認識しながら行った行為など悪意ある行為に基づき生じた損害は保険金の支払い対象外(免責)とし、通常の職務執行から生じる不可避的なリスクのみをカバーしている(2015年4月22日のニュース「責任限定契約を締結すればD&O保険は不要か」参照)。したがって、株主代表訴訟補償特約の保険料を会社が負担したからといって、役員に「会社に損害を生じさせる」インセンティブが働くとは考えにくい。

こうした中、現在政府内では、株主代表訴訟補償特約の保険料を会社が負担したとしても会社法上は問題ない旨を明確化することが検討されている模様。ただし、その前提として、「利益相反取引」として取締役会の承認を得ることや、社外取締役全員の承認、あるいは社外取締役が過半数を占める任意の委員会の同意を得ることなどが求められることになりそうだ。

利益相反取引 : 取締役が会社の利益を犠牲にして、自己または第三者の利益を図る取引のこと。会社法は、会社の利益を保護するため、取締役会設置会社で取締役が利益相反取引を行う場合には、取締役会の事前承認や事後の取締役会への報告を求めている。

2015/07/12 【2015年6月の課題】自社使用品のネットオークションへの流出:解答(会員限定)

 本稿は、筆者が実際に関与した事案を「今月の課題」用にアレンジしたものです。実際に行われた対応を振り返ってみたいと思います。

対応するか放置するかの判断基準は?

 A社としてまずしなければならないのが、ネットオークションにA社製のタブレット端末が何台出品され、そのうち何台がA社が廃棄処分したものなのかを把握することです。A社の総務担当取締役は、これらの点について部下に調査を命じました。

 調査の結果、ネットオークションにはA社製の同種のタブレット端末が合計で5台、2名の出品者から出品されていることが判明したものの、ネットオークションの画面上、A社社員への貸与シールが確認できたものは1台だけでした。しかも、ネットオークションに出品されていたのは、そもそもA社が「価値がない」と判断して廃棄したタブレット端末です。したがって、A社としてはこの時点で「廃棄端末の流出の影響は非常に小さい」と判断し、本件について何ら対応をとらない(放置する)という選択肢もあったと思われます。

 しかしながら、総務担当取締役は、以下の理由から、ネットオークションに出品されているA社製タブレット端末すべてを落札し、A社が廃棄した端末かどうかを確認するよう指示しました。
(1)廃棄台数が多く、流出した廃棄端末が他にもまだ存在する可能性があること
(2)A社ではタブレット端末の製造番号を控えており、流出したタブレット端末との照合が容易であったこと
(3)万が一、廃棄台数のほとんどがネットオークションに流出していた場合には、風評被害などによりA社のブランド価値が毀損されるおそれがあること
(4)ネットオークションへの流出には、A社社員または廃棄物処理業者の関与が考えられ、厳正な対応が求められること

継続するオークションサイトへの出品

 実際の落札は、A社の費用負担の下、信頼のおける取引先に代行してもらうことにしました。これは、出品者が何者であるか分からない以上、A社が調査していることを伏せた方がよいとの判断によるものです。

 落札した5台のタブレット端末の製造番号を照合した結果、そのうち4台がA社による廃棄端末で、残りの1台は無関係、すなわち市販品の中古品であることが確認されました。同時に、A社の廃棄端末を出品していたのは、個人のXさん(2台出品)とY株式会社(2台出品)であることが判明しました。

 総務担当取締役は、落札後もそのオークションサイトの監視を続けるよう指示を出しました。総務担当取締役の懸念のとおり、最初の5台の落札後も、XさんとY株式会社は、同じタブレット端末の出品を続けていました。

出品者から「100台単位での仕入れが可能」との返答

 そこでA社は、落札をお願いした取引先を通じて、オークション画面に掲載されていたXさん(出品者)の連絡先に電話を入れ、「まとまった台数を調達したいが、あと何台の出品が可能か」を確認してもらいました。すると、Xさんからは「100台単位での仕入れが可能」との返事が返ってくるではありませんか。

 これを受け総務担当取締役は、廃棄したはずのタブレット端末の相当数が実際には廃棄されずに社外に流出していることを前提に、慎重に対応する方針を部下に徹底しました。そのうえで、落札をお願いした取引先に依頼し、Xさんに「取り急ぎ10台をネットオークションを通さずに購入したい」旨の連絡を入れてもらいました。こうして後日届いたタブレット端末10台は、すべてA社が廃棄したものでした。

 また、もう一方の出品者であるY社の登記簿謄本を取り寄せて調べたところ、同社は古物営業を業とする会社であることが分かったため、こちらもXさんと同じような仕入れルートがあると想定し、オークションサイトの動きを日々監視することにしました。

ネットオークション運営会社の対応は期待薄

 大手のネットオークション運営会社は、知的財産権侵害品の出品に対処するため、「知的財産保護プログラム」を用意しており、もし知的財産権の侵害に該当する出品があれば、出品画面を削除してもらうことなどができます。総務担当取締役はこのことを知っていましたが、出品されている廃棄タブレット端末がA社の真正品であることから、「知的財産保護プログラム」の適用の可能性は低いであろう、さらに今回の事案は「窃盗」や「詐欺」の類であり、ネットオークション運営会社に相談したところで「警察に相談してください」という回答しか返ってこないだろうと予想しました。

 とはいえ、“ダメ元”でネットオークション会社に問い合わせをすることにしました。総務担当取締役として、考えられる手段はすべて試みる必要があるとの判断からです。案の定、ネットオークション運営会社からは、「本件には知的財産保護プログラムは適用されない」「出品者への注意喚起もできない」「出品者の身元は教えられない」「警察に相談してください」と、予想どおりの回答が返ってきました。

引渡し時に抜け落ちた2つのオペレーション

 だからと言って、ネットオークションに出品されれば落札する対応を繰り返したところで、いつまでたっても埒があきません。今後の出品を完全に排除するには、やはり警察に捜査をお願いし、犯人を検挙してもらい、流出した廃棄端末をすべて回収するしか方法がありません。

 しかしながら、事案の内容からすると、ネットオークションに出品された廃棄端末は、(1)A社内での回収時、(2)A社内での保管時、(3)A社から廃棄物処理業者への引き渡し時、(4)廃棄物処理業者での保管時、(5)廃棄物処理業者での廃棄時――のいずれかの時点で廃棄端末が盗まれたか、故意に横流しされたとしか考えられません。警察に相談したのはよいものの自社の社員が廃棄端末の流出に関わっていたとなると、会社の信用が著しく失墜し、ブランド価値が大きく毀損することになりかねません。

 そこでA社は、(1)(2)(3)に従事した社員全員に対して、慎重にヒアリングを行いました。その結果、A社内で廃棄端末が勝手に持ち出される、あるいは盗まれるなど、A社社員が廃棄端末流出に関与した可能性は低いことが確認されました。

 その一方で、本来であれば、廃棄物処理業者への引き渡しに際してはA社側でタブレット端末を使用不能の状態にしておくべきであったところ、廃棄台数が多かったこともあり、その処理ができていなかったことが分かりました。また、A社は日頃タブレット端末を「台数」で管理していたものの、廃棄物処理業者は台数ではなく「容量管理(㎥単位)」や「重量管理(t,㎏単位)」で廃棄物を受領するため、業者への引渡し時には台数の確認を怠っていたことも判明しました。

 なお、総務担当取締役は、廃棄物処理業者に引き渡すまでの間のA社保管場所の監視カメラ映像もチェックするよう指示しましたが、残念ながら保存期間が過ぎており、映像は残っていませんでした。

「仕事が堅実」と評判の廃棄物処理業者

 総務担当取締役は、社内調査と並行して、廃棄物処理業者(株式会社)から受領したマニフェストを精査するとともに、当該業者に事情を説明して、廃棄端末の収集、処分場への運搬から廃棄処分の実施に至るまでの状況についてヒアリングを行いました。マニフェストによると、タブレット端末はA社から当該業者への引渡し日に全量廃棄処分されたことになっています。当該業者の代表者(代表取締役社長)からは、「保管されていた廃棄端末は全量引き取り、その全てを引渡し当日に廃棄しており、マニフェスト記載の事実に間違いはない」こと、「処理業者側で廃棄端末が盗まれる、横流するという事実はまったくない」との回答を得ました。また、A社内では、当該業者は「仕事が堅実」とすこぶる評判が良いことが分かりました。

マニフェスト : 産業廃棄物の行き先を管理し、不法投棄を未然防止するために、産業廃棄物の排出事業者と処理業者との間でやり取りされる産業廃棄物管理票のこと。マニフェストを使用しない場合、廃棄物処理法により罰則の対象となる。

 A社はこれらを踏まえ、警察に相談する旨を当該業者に伝えて、了解を得ました。

強制捜査のプレッシャーが呼んだあっけない結末

 A社は、A社の本店を管轄する警察署に本事案を報告したところ、A社(本店)管轄警察署、廃棄物の引渡し場所を管轄する警察署、廃棄物処理業者の所在地を管轄する警察署がそれぞれ異なることから、警察本部に相談するのがよいとのアドバイスを受け、実際に警察本部で本件を扱ってもらえることになりました。

 捜査過程の説明は省略しますが、警察本部にとても丁寧に対応してもらえたことは、A社にとって非常に幸運でした。

 警察への相談から3か月が経過した頃、廃棄端末の流通ルートが解明され、いよいよ流出元を特定するための強制捜査に踏み切るかどうかという局面になり、警察から正式な被害届を提出するよう打診がありました。また、被害届をA社が出すのか、廃棄物処理業者が出すのか、両者で調整して欲しいとのことでした。

 これをA社が廃棄物処理業者に伝えたところ、当該業者は「実は自分(代表取締役社長)の独断で端末を廃棄処理せずに、ある会社に全量を横流しした。マニフェストには虚偽の記載をした。今まで嘘をついていた」と白状しました。警察の強制捜査となれば、これ以上ごまかせないと思ったのでしょう。事件の結末は実にあっけないものでした。

 廃棄物処理業者はA社から廃棄処分委託代金を受け取り、中古品販売業者からは有価物売却代金を受け取っており、代金の二重取りをしていたことになります。A社としては、廃棄端末の流出の原因がわかりましたので、刑事事件化せずに、当該業者との間で民事的な解決を図ることとしました。もちろん、尽力いただいた警察本部には十分なお詫びをするとともに、その後の顛末を報告したことは言うまでもありません。

廃棄物処理業者との契約を解除するまで

 警察が動いていることが影響したのか、その後、ネットオークションでの出品はパタリと止まりました。

 廃棄物処理業者には、警察の捜査により廃棄端末の在庫が判明しているXさんやY社、その他の廃棄端末保有者から、自己の責任と費用負担において廃棄端末を回収することを約束させ、A社も、映像と写真により間違いなく回収・廃棄が行われたことを確認しました。ただし、今回の回収・廃棄分は、A社が廃棄処理を委託した全量ではありませんでした。そこで、今後廃棄端末が発見された場合には、やはり当該業者が費用を負担し、責任をもって回収・廃棄することを約束させました。さらに、これまでに要したオークションサイトからの落札代金を当該業者に請求し、その入金を確認しました。

 以上の手続の完了を待って、当該業者との「産業廃棄物処分/収集・運搬委託契約」を解除しました。

排出事業者にも廃棄物処理法上の順守義務

 廃棄物処理業者はもちろん、廃棄処理を委託する排出事業者(ここではA社)も「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(以下、廃棄物処理法といいます)に従わねばなりません。

 本事案において、排出事業者であるA社は廃棄物処理法を順守しており、排出事業者としての責任を問われることはありませんでした。ただし、産廃物処理法上、「措置内容等報告書」の提出を求められ(産廃物処理法規則8条の29)、所管の地方自治体に提出しました。

 一方、廃棄物処理業者は、マニフェストの虚偽記載として廃棄物処理法違反に問われましたが、初犯ということもあり、非常に軽い行政処分を受けるにとどまりました。

措置内容等報告書 : マニフェストに虚偽の記載などがあった場合に提出を求められる書類。

反省と再発防止策

 総務担当取締役は、次のとおり今回の事案の反省、教訓を総括し、社内の関係部門に報告、共有して、再発防止を徹底しました。
(1)廃棄物は必ず使用不能状態にして排出すること
・排出者には無価値であっても、第三者には価値がある
・機器類は、排出前に必ず破砕、水没などを実施する
(2)廃棄物処理法の順守徹底
・廃棄処分委託者も排出事業者責任を問われる
・産廃業者との契約締結、マニフェストの内容の確認を怠らないこと
(3)排出時には必ず廃棄台数の確認を行うこと
・排出者側は「台数管理」をしていても、産廃業者は「容量または重量管理」をしている
(4)信頼できる産廃業者かどうか常時見極めること

2015/07/12 【2015年7月の課題】ストレスチェック制度

2015年7月の課題

 労働安全衛生法の改正により平成27年12月1日から会社に「ストレスチェック」の実施が義務付けられます。

 では、実際にストレスチェックに引っかかった従業員が出て来た場合、会社としてはどのように対応するべきでしょうか?
 また、従業員のストレスを減らすために、役員としてはどういう職場作りを心掛ければいいのか、貴方の考えを述べてください。

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2015/07/10 執行役員を社外取締役に

 1名以上の社外取締役選任を求める改正会社法、「少なくとも2名以上」の独立社外取締役の選任を求めるコーポレートガバナンス・コード(原則4-8)を踏まえ、多くの上場会社が社外取締役の選任に動いたが、まだ2名以上選任していない会社はもちろん、既に2名以上選任している会社であっても、さらに増員する場合や、現社外取締役の任期が切れ、重任しないという場合には、再び候補者探しに頭を悩ませることになる。

 つまり、社外取締役候補者へのニーズは今後も継続的に発生する可能性が高い。社外取締役の最有力候補となるのが企業経営経験者だが、日本ではまだまだ経営者出身の社外取締役が少ないのが現状だ(2015年2月16日のニュース「経営者出身の社外取締役が少ない理由とその解決策」参照)。この点については、(2015年)6月30日に閣議決定された政府の成長戦略「日本再興戦略」改訂2015にも下記の記述が盛り込まれ、経営経験者の社外取締役就任の推進が打ち出されたところだ(44ページ上から5行目~)。

 さらに、経営経験者が異業種の社外取締役に就任すること等によりそれまでに培ってきた知識・経験を幅広く活用できるよう、国内外の具体的事例の収集・普及促進を通じて、独立社外取締役となる人材の確保を推進する。

 当然のことながら多くの会社では「自社における社外取締役の選任」への関心が高いが、自社の幹部を他社の社外取締役として送り込むことも検討に値する。当フォーラムの役員人材バンクには、他社の社外取締役への就任を希望する上場会社の代表取締役からの登録が複数あるが、特にお勧めしたいのが、・・・

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2015/07/10 執行役員を社外取締役に(会員限定)

 1名以上の社外取締役選任を求める改正会社法、「少なくとも2名以上」の独立社外取締役の選任を求めるコーポレートガバナンス・コード(原則4-8)を踏まえ、多くの上場会社が社外取締役の選任に動いたが、まだ2名以上選任していない会社はもちろん、既に2名以上選任している会社であっても、さらに増員する場合や、現社外取締役の任期が切れ、重任しないという場合には、再び候補者探しに頭を悩ませることになる。

 つまり、社外取締役候補者へのニーズは今後も継続的に発生する可能性が高い。社外取締役の最有力候補となるのが企業経営経験者だが、日本ではまだまだ経営者出身の社外取締役が少ないのが現状だ(2015年2月16日のニュース「経営者出身の社外取締役が少ない理由とその解決策」参照)。この点については、(2015年)6月30日に閣議決定された政府の成長戦略「日本再興戦略」改訂2015にも下記の記述が盛り込まれ、経営経験者の社外取締役就任の推進が打ち出されたところだ(44ページ上から5行目~)。

 さらに、経営経験者が異業種の社外取締役に就任すること等によりそれまでに培ってきた知識・経験を幅広く活用できるよう、国内外の具体的事例の収集・普及促進を通じて、独立社外取締役となる人材の確保を推進する。

 当然のことながら多くの会社では「自社における社外取締役の選任」への関心が高いが、自社の幹部を他社の社外取締役として送り込むことも検討に値する。当フォーラムの役員人材バンクには、他社の社外取締役への就任を希望する上場会社の代表取締役からの登録が複数あるが、特にお勧めしたいのが、執行役員クラスの人材を他社の社外取締役に就任させることだ。

 将来の取締役候補である執行役員クラスの人材にとって、他社の社外取締役としての経験により得た会社経営に対する知見は、いずれ自社の経営を担った際に極めて有益となろう。もちろん、受け入れる側の会社が他社の執行役員クラスの人材を社外取締役にすることを了解するとは限らないが、例えばグループ会社の経営経験がある執行役員クラスの人材であれば、社外取締役に就任することにも説得力があると思われる。是非検討してみてはいかがだろうか。

2015/07/09 (新用語・難解用語)金銭報酬債権の現物出資

 中長期的な企業価値向上と役員報酬を連動させるため、海外ではパフォーマンス・シェア(Performance Share=中長期的な“業績目標の達成度合い”に応じて交付される株式報酬)やリストリクテッド・ストック(Restricted Stock=一定期間の譲渡制限が付された株式報酬)といった株式報酬型の役員報酬制度が普及している。日本でも、株主総会で決議した役員報酬相当額を信託に拠出し、信託がこの資金を原資にして株式市場や会社から株式を取得したうえで、一定期間経過後に業績の達成状況に応じて役員に株式を交付する「パフォーマンス・シェア型」、あるいは一定期間の経過後に役員に株式を交付する「リストリクテッド・ストック型」のスキームの商品を信託銀行が販売している(新用語・難解用語辞典「役員報酬BIP信託」)参照)。

 そして、今後登場しそうなのが、・・・

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