税金は企業のキャッシュフローに直接的に影響するだけに、経営陣が「節税」に関心を持つのは当然と言える。海外の企業では税務部門に多数の弁護士(タックス・ロイヤー)を配置して徹底的に節税策を検討し、それによって達成した実効税率の低さを投資家にアピールすることも珍しくない。
実効税率 : 法人税、住民税、事業税といった会社の利益に課税される税の総合的な負担率のこと。
ただ、近年は世界的に著名な多国籍企業がグループ内の国際的な取引を使って所得を無税又は低課税の国に移転するなどして実効税率をわずか数%にまで低下させる事例が相次ぎ、「利益に応じた法人税が支払われていない」として国際問題化している。こうした中、OECD(経済協力開発機構)が現在進めているのが、BEPS(Base Erosion and Profit Shifting=税源浸食と利益移転)プロジェクトだ(ベップス・プロジェクトと呼ばれる)。これは、過度な節税の防止策を検討するものであり、15のアクションプラン(行動計画)からなる(詳細はOECDの資料の11~13ページ参照)。そのうちの1つが「行動計画12 アグレッシブ・タックスプランニングの開示」である。
「アグレッシブ・タックスプランニング」とは、要するに税負担を不当に減少させかねない積極的な節税策を指す。行動計画12は、このような節税策を税務当局に開示させることで規制することを狙いとしている。開示が求められるのは、税理士法人などの「タックスプロモーター」と企業をはじめとする「ユーザー」であり、タックスプロモーターには「どのようなタックスプランニングをどの企業に提供したか」、企業名の開示まで求められることになる。一方、企業は「どのようなタックスプランニングを利用しているのか」を開示する必要がある。
OECDは今年(2015 年)9月までに「アグレッシブ・タックスプランニングの開示ルールを国内法で定めること」を加盟国に“勧告”する予定であり、これを受け、日本でも早ければ平成28年度税制改正(年末までに内容を固め、来年4月1日から施行されるのが通常)で、この「アグレッシブ・タックスプランニングの開示制度」が実現する可能性がある。同制度が導入されれば、企業のタックスマネジメントにも決して小さくない影響を及ぼすことになりそうだ。
