2015/04/23 (新用語・難解用語)アービトラージ(会員限定)

アービトラージ(Arbitrage)は日本語では「裁定取引」と言われるが、投資ファンドが企業についてこの言葉を使う場合、少しニュアンスが異なる。

裁定取引とは、同一価値のものに対して異なる価格が付いている局面で、「割高な方を売り、割安な方を買う」取引を指す。例えば、日経平均株価指数の現物価格が先物価格より安かったとする。この場合、先物を売って現物を買えば、両者の価格差が縮小する過程で収益を得ることができる。

ある時点の日経平均株価指数の現物価格が1万8千円、先物価格が1万9千円だったとしよう。「割高な方を売り、割安な方を買う」のが裁定取引なので、この場合には、現物を買って先物を売ることになる。先物取引は満期日には現物価格で決済されるため、この時点で現物価格が2万円になっていれば、現物取引では2千円の利益(1万8千円で買って2万円で売るため)、先物取引では1千円の損失(2万円で買って1万9千円で売るため)が生じる。つまり、トータルでは1千円の利益が生じていることになる。逆に、先物取引の満期日に現物価格が1万6千円となれば、現物取引では2千円の損失(1万8千円で買って1万6千円で売るため)が生じ、先物取引では3千円の利益(1万6千円で買って1万9千円で売るため)が生じ、トータルではやはり1千円の利益となる。

このように、アービトラージ(裁定取引)とは、価格差(金利差の場合もある)を利用して利鞘(りざや)を稼ぐ取引を指すが、この意味から派生して、投資ファンドの「アービトラージ」とは、投資ファンドが投資収益を得る手段、すなわち企業の株式を「安く買って高く売る」ことを指す。具体的には、株価が本来の価値よりも低位に放置されている企業を発掘して株式を購入し、より高い株価で売却することである。

企業の株価が本来の価値よりも低位に放置されるという状況は、経営陣による自社の魅力を株式市場に伝える努力が不十分であったり、事業構造が複雑過ぎて株式市場から理解してもらえなかったり(これも経営陣の説明不足に起因することがある)する場合に生じる。投資ファンドからアービトラージの対象とされないためには、積極的なIR活動を行うなど、経営陣の努力も求められる。

なお、上場企業の買収にはTOBという手法がとられるが、実際には、TOBの前に水面下の交渉が延々と続き、そこである程度の決着が見えてきてからTOBに移行するのが通常だ。投資ファンド間の競争が厳しくなる中、この水面下の交渉の中で買収価格が釣り上っていくケースが少なくない。このような場合、投資ファンドにとってはアービトラージによる収益獲得は難しくなる。

2015/04/22 責任限定契約を締結すればD&O保険は不要か

 「社外取締役の引き受け手がなかなか見つからない」とこぼす企業は少なくないが、候補者が就任を躊躇する理由の1つが、株主代表訴訟や第三者訴訟などのリスクの存在だ。確かに、基本的に月1回の取締役会にしか出席しない社外取締役に常勤の取締役と同様の賠償責任を背負わせるのは酷であろう(社外監査役にも同じことが言える)。

第三者訴訟 : 役員の故意や重過失によって会社または役員が第三者(取引先、従業員など)に損害を与えた場合、第三者が会社法429条(役員の任務懈怠)や民法709条((役員個人の)不法行為)を根拠に役員に対して損害賠償を請求するもの。

 そこで、社外取締役や社外監査役(以下、社外役員)は選任の際に会社との間で「責任限定契約」を締結し、賠償額に上限を設ける(=上限額を超えて責任を負わないようにする)のが通常となっている。

 もっとも、責任限定契約を締結すれば社外役員のリスクを消せるわけではない。「社外役員は責任限定契約を締結しておけば、D&O保険(会社役員賠償責任保険)に入る必要はない」という話を耳にすることがあるが、結論から言うとこれは間違いだ。責任限定契約で役員の責任が限定されるのは、「善意でかつ重大な過失がない」場合に限られる。そもそも、・・・

D&O保険(会社役員賠償責任保険) : 第三者訴訟で役員が損害賠償責任を負った場合に支払われる「普通保険約款」と、株主代表訴訟で役員が敗訴した場合に支払われる「株主代表訴訟補償特約(自動で付与される)」がある。このうち「株主代表訴訟補償特約」は、あくまで会社の損害に対して役員が負う責任への保証であるため、保険料の支払いは役員の個人負担(保険料全体の約1割が一般的)となる(1人当たりの保険料は高額ではない)。保険料は役員報酬から天引きされるのが一般的だが、会社によっては、その保険料相当分を役員報酬に上乗せしたうえで、天引きしているところもある。

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2015/04/22 責任限定契約を締結すればD&O保険は不要か(会員限定)

 「社外取締役の引き受け手がなかなか見つからない」とこぼす企業は少なくないが、候補者が就任を躊躇する理由の1つが、株主代表訴訟や第三者訴訟などのリスクの存在だ。確かに、基本的に月1回の取締役会にしか出席しない社外取締役に常勤の取締役と同様の賠償責任を背負わせるのは酷であろう(社外監査役にも同じことが言える)。

第三者訴訟 : 役員の故意や重過失によって会社が第三者(取引先、従業員など)に損害を与えた場合、第三者が役員に対して損害賠償を請求するもの。

 そこで、社外取締役や社外監査役(以下、社外役員)は選任の際に会社との間で「責任限定契約」を締結し、賠償額に上限を設ける(=上限額を超えて責任を負わないようにする)のが通常となっている。

 もっとも、責任限定契約を締結すれば社外役員のリスクを消せるわけではない。「社外役員は責任限定契約を締結しておけば、D&O保険(会社役員賠償責任保険)に入る必要はない」という話を耳にすることがあるが、結論から言うとこれは間違いだ。責任限定契約で役員の責任が限定されるのは、「善意でかつ重大な過失がない」場合に限られる。そもそも、現実に起きている株主代表訴訟や第三者訴訟の多くは役員の過失を問うものであり、なかには責任限定契約の対象にならないものもある。仮にこれらの訴訟で役員が勝訴したとしても、弁護士費用もかかるため(特に高裁・最高裁まで争われた場合、その金額は大きくなる)、D&O保険への加入は必須となろう。

D&O保険(会社役員賠償責任保険) : 第三者訴訟で役員が損害賠償責任を負った場合に支払われる「普通保険約款」と、株主代表訴訟で役員が敗訴した場合に支払われる「株主代表訴訟補償特約(自動で付与される)」がある。このうち「株主代表訴訟補償特約」は、あくまで会社の損害に対して役員が負う責任への保証であるため、保険料の支払いは役員の個人負担(保険料全体の約1割が一般的)となる(1人当たりの保険料は高額ではない)。保険料は役員報酬から天引きされるのが一般的だが、会社によっては、その保険料相当分を役員報酬に上乗せしたうえで、天引きしているところもある。

 ただし、D&O保険に加入していても、保険金が支払われないケース(免責となるケース)もある。免責事項は保険会社により異なるが、一般的なものとしては以下のようなものがある。

(1)保険始期より前に行われた行為
(2)保険始期の前に既に会社に対して提起されていた訴訟、損害賠償請求がなされるおそれがある状況を知っていた場合
(3)違法に利益または便宜を得たこと、犯罪・不正・詐欺行為、法令・規則または取締法規に違反することを認識しながら行った行為等
(4)自然災害(地震・噴火・津波等)、戦争・内乱・暴動、汚染物質の排出・検査・清掃処理、身体障害・精神的苦痛、財物の滅失・毀損・紛失、人格権侵害
(5)他の被保険者からなされた損害賠償請求(役員同士の内輪もめ)等

 このうち注意したいのが(3)である。というのも、D&O保険では、保険会社側の判断で「取締役が法令に違反することを認識しながら行った行為」も免責とされているからだ。ただ、一部の保険会社は、法令違反があったかどうかを「判決・民事手続・刑事手続き等の公的な調査・調停等で免責に該当する事由が確定した場合」に判断する従来のD&O保険よりも透明性がある商品を販売している。

 なお、このように法令違反に当たることを認識していた役員はD&O保険の補償の対象外となるが、取締役相互の監視・監督義務違反(会社法362条2項2号)を追及され、連帯して損害賠償請求を受けた場合、“巻き添え”になった役員は補償対象となる。

 日弁連は3月19日に社外取締役ガイドラインを改訂しており、その中で「社外取締役が希望する場合には、・・(略)・・D&O保険に加入できるようにすべきである」としている(13ページの⑥参照)。最近は未上場企業でさえ、社外取締役(候補)の要請でD&O保険に加入するところが増えている。上場企業において社外取締役がD&O保険に加入するのは当たり前の時代になっていくだろう。

2015/04/21 ガバナンスコードで変わる次期社長の選任プロセス

 コーポレートガバナンス・コードには下記のとおり社長のサクセッションプラン(後継者の選任計画)に関する原則が盛り込まれている。

補充原則4-1③
 取締役会は、会社の目指すところ(経営理念等)や具体的な経営戦略を踏まえ、最高経営責任者等の後継者の計画(プランニング)について適切に監督を行うべきである。

 この原則を“コンプライ”するための1つの方法が、・・・

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2015/04/21 ガバナンスコードで変わる次期社長の選任プロセス(会員限定)

 コーポレートガバナンス・コードには下記のとおり社長のサクセッションプラン(後継者の選任計画)に関する原則が盛り込まれている。

補充原則4-1③
 取締役会は、会社の目指すところ(経営理念等)や具体的な経営戦略を踏まえ、最高経営責任者等の後継者の計画(プランニング)について適切に監督を行うべきである。

 この原則を“コンプライ”するための1つの方法が、取締役会の中に「指名委員会」を設置することだ。指名委員会というと、指名委員会等設置会社(旧委員会設置会社)しか置けないとの誤解があるかもしれないが、監査役会設置会社が指名委員会を置いても何ら問題はない。指名委員会等設置会社に移行した場合、監査委員会や報酬委員会も置かなければならないが、「そこまでやるのは重い」という会社が、任意で指名委員会だけ置くことはあり得る。そして、この指名委員会に次期社長を選ぶ権限を持たせれば、上記原則をコンプライできる可能性が高まる。

 もっとも、形だけ指名委員会を置いたとしても、原則にいう「適切な監督」が行われるかどうかは別問題であり、当然ながら指名委員会の“中身”も問われることになる。イギリスでは、指名委員会のメンバーは全員「社外」の人間でなければならない。また、投資家も「指名委員会の委員は誰か」ということに目を光らせており、それは議決権行使の場でチェックされる。日本企業にとって「全員社外」というのはハードルが高いかもしれないが、少なくとも現役の社長が指名委員会に入っているようでは「適切な監督」が実現できるか疑問だろう。

 これは、「現社長が次期社長を選んではダメ」ということではない。別に現社長が選んだ人物でも構わないが、上場会社は社会の公器である以上、「きちんと“フィルター”を通してください」ということだ。例えば現社長が執行役員の中のある人物を可愛がっており、後継者に育てたいと考えているとしよう。その場合、「この人をサクセッションプランに入れたい」と、指名委員会に推薦すればいい。

 ただし、1人に“決め打ち”するのは問題だろう。一般に、社長は自分が「会長」になった際に自分のこれまでのやり方を覆すような人物を選びたからない傾向がある。しかし、その時代‐時代に合った社長像があり、特に今後日本企業が厳しいグローバル競争にさらされる中、ただのイエスマンでは不適格なのは明らかだ。後継者候補は社内人材・社外人材を問わないが、あくまで「複数の候補者」の中から、指名委員会の委員が面談したり、取締役会に頻繁に出席してもらったりして人となりをよく見たうえで後継者を選ぶ必要がある。

 投資家は、カリスマ性のあるワンマン社長が長年君臨し上手く行っている会社にこそリスクを感じるものだ。その社長が倒れたらどうするのか?――社会の公器たる上場会社は、その懸念に対し、きちんとしたサクセッションプランを持つことで応える必要がある。今すぐ社長が交代するわけではないにしても、サクセッションプランを設け、候補者を発掘し、ノミネートしておく。もちろん、候補者を公表する必要はない。サクセッションプランは上場会社にとって一種の「リスクマネジメント」と言える。

 コーポレートガバナンス・コードをコンプライしない場合には、その理由を“エクスプレイン”する必要があるが、まさか「ウチは同族会社だから」と書けないだろう。上記原則は、事実上、指名委員会を設けるよう求めていると解釈する専門家もいる。指名委員会までは設けないのであれば、2人以上の選任が求められる独立社外取締役がサクセッションプランの監督役を担うことになろう。

2015/04/20 【WEBセミナー】コーポレートガバナンス・コードを巡る実務対応

概略

【セミナー開催日】2015年4月10日(金)

コーポレートガバナンス・コードはcomply or explainの原則により、上場企業に対し、コードを実施するか、「実施しない理由」を説明することを求めていますが、何をすればコードを実施したことになるかは、個々の企業の判断に委ねられている部分も多くあります。特にコードで開示・公表が求められている項目については、「何を」「どのように」開示・公表すればよいのか、コードの適用を受ける上場企業の関心が非常に高まっています。そこで本セミナーでは、金融庁に出向経験があり、コーポレートガバナンス・コードに詳しいTMI総合法律事務所の宮下央弁護士に、コードに定められている方針や基準(例えば「原則1-4:いわゆる政策保有株式」に関する方針の開示や、「原則4-8:独立社外取締役の有効な活用」など)について、実務的な対応として、取締役会その他の機関において、どのようなことを具体的に実施することが考えられるのか、また、「何を」「どのように」開示・公表することが考えられるのかという点に踏み込んでお話しいただきます。

【講師】
TMI総合法律事務所
弁護士 宮下 央 様
 2004年弁護士登録。TMI総合法律事務所パートナー弁護士。
 主な取扱分野はM&A・組織再編、コーポレート・ファイナンス、課徴金・インサイダー取引規制をはじめとした法令違反事件の対応、コーポレートガバナンスを含む会社法・金融商品取引法全般。2007年から2010年まで任期付公務員として金融庁の企業開示課に在籍し、公開買付制度、課徴金事案等を担当。
主要著作として以下など多数。
著書
『詳説 公開買付制度・大量保有報告制度Q&A』(商事法務、2011)
『金融商品取引法判例百選』(有斐閣、2013)(第90事件を執筆)
『実務に効く M&A・組織再編判例精選』(有斐閣、2013)
『専門訴訟講座7 会社訴訟』(民事法研究会、2013)
『企業法務のための金融商品取引法』(中央経済社、2015)
雑誌
「改正会社法と実務対応Q&A Ⅰ企業統治(ガバナンス)に関連する改正項目」(金融法務事情、2014)
「金融商品取引法制」(金融法務事情、2014)
「金商法改正によるM&A実務への影響 -インサイダー取引規制の改正を中心に-」(金融法務事情、2013)
「立会外取引をめぐる金融商品取引法の論点」(旬刊商事法務、2013)
「インサイダー取引規制の見直しと実務上の留意点―金融審議会WG報告を踏まえて」(金融法務事情、2012)
「有価証券届出書の虚偽記載に対する課徴金決定と実務への影響 -JVCケンウッドの事例を参考に-」(旬刊商事法務、2011)

セミナー資料 コーポレートガバナンス・コードを巡る実務対応

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セミナー動画

動画1:全体像/対応の必要性が高い事項(1)議決権行使結果の分析/(2)招集通知の事前公表


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動画2:(3) 議決権の電子行使・招集通知の英訳/(4)実質株主による議決権行使の対応検討/(5)資本政策の基本的な方針についての説明/(6)政策保有株式に関する方針の開示等/(7)関連当事者間取引に係る手続の枠組みの開示/


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動画3:(8) 行動準則の策定・改訂/(9)内部通報に係る適切な体制整備等/(10)コーポレートガバナンスに関する基本方針等の開示/(11)英語での情報開示/(12)経営陣に対する委任の範囲の概要の開示


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動画4:(13) 中期経営計画の分析・説明/(14)最高経営責任者等の後継者の計画(プランニング)の監督/(15)経営陣報酬の内容の検討/(16)内部統制・リスク管理体制の整備等/(17)独立社外取締役の活用/(18)独立社外者間の情報交換・認識共有/(19)経営陣・監査役との連携等に関する体制整備/(20)独立性判断基準の策定・開示


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動画5:(21)任意の仕組みの活用/(22)取締役会の人員構成/(23)取締役会のバランス、多様性及び規模に関する考え方の開示/(24)兼任状況の開示/(25)取締役会全体の実効性の評価・分析及び開示/(26)取締役会の運営/(27)取締役・監査役の支援・情報提供体制の整備/(28)トレーニングの方針の開示/(29)株主との対話に関する方針の開示/(30)資本効率等に関する目標の提示等/グループ企業に対する適用関係


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2015/04/20 【WEBセミナー】 コーポレートガバナンス・コードを巡る実務対応(会員限定)

概略

【セミナー開催日】2015年4月10日(金)

コーポレートガバナンス・コードはcomply or explainの原則により、上場企業に対し、コードを実施するか、「実施しない理由」を説明することを求めていますが、何をすればコードを実施したことになるかは、個々の企業の判断に委ねられている部分も多くあります。特にコードで開示・公表が求められている項目については、「何を」「どのように」開示・公表すればよいのか、コードの適用を受ける上場企業の関心が非常に高まっています。そこで本セミナーでは、金融庁に出向経験があり、コーポレートガバナンス・コードに詳しいTMI総合法律事務所の宮下央弁護士に、コードに定められている方針や基準(例えば「原則1-4:いわゆる政策保有株式」に関する方針の開示や、「原則4-8:独立社外取締役の有効な活用」など)について、実務的な対応として、取締役会その他の機関において、どのようなことを具体的に実施することが考えられるのか、また、「何を」「どのように」開示・公表することが考えられるのかという点に踏み込んでお話しいただきます。

【講師】
TMI総合法律事務所
弁護士 宮下 央 様
 2004年弁護士登録。TMI総合法律事務所パートナー弁護士。
 主な取扱分野はM&A・組織再編、コーポレート・ファイナンス、課徴金・インサイダー取引規制をはじめとした法令違反事件の対応、コーポレートガバナンスを含む会社法・金融商品取引法全般。2007年から2010年まで任期付公務員として金融庁の企業開示課に在籍し、公開買付制度、課徴金事案等を担当。
主要著作として以下など多数。
著書
『詳説 公開買付制度・大量保有報告制度Q&A』(商事法務、2011)
『金融商品取引法判例百選』(有斐閣、2013)(第90事件を執筆)
『実務に効く M&A・組織再編判例精選』(有斐閣、2013)
『専門訴訟講座7 会社訴訟』(民事法研究会、2013)
『企業法務のための金融商品取引法』(中央経済社、2015)
雑誌
「改正会社法と実務対応Q&A Ⅰ企業統治(ガバナンス)に関連する改正項目」(金融法務事情、2014)
「金融商品取引法制」(金融法務事情、2014)
「金商法改正によるM&A実務への影響 -インサイダー取引規制の改正を中心に-」(金融法務事情、2013)
「立会外取引をめぐる金融商品取引法の論点」(旬刊商事法務、2013)
「インサイダー取引規制の見直しと実務上の留意点―金融審議会WG報告を踏まえて」(金融法務事情、2012)
「有価証券届出書の虚偽記載に対する課徴金決定と実務への影響 -JVCケンウッドの事例を参考に-」(旬刊商事法務、2011)

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セミナー動画

動画1:全体像/対応の必要性が高い事項(1)議決権行使結果の分析/(2)招集通知の事前公表

動画2:(3) 議決権の電子行使・招集通知の英訳/(4)実質株主による議決権行使の対応検討/(5)資本政策の基本的な方針についての説明/(6)政策保有株式に関する方針の開示等/(7)関連当事者間取引に係る手続の枠組みの開示/

動画3:(8) 行動準則の策定・改訂/(9)内部通報に係る適切な体制整備等/(10)コーポレートガバナンスに関する基本方針等の開示/(11)英語での情報開示/(12)経営陣に対する委任の範囲の概要の開示

動画4:(13) 中期経営計画の分析・説明/(14)最高経営責任者等の後継者の計画(プランニング)の監督/(15)経営陣報酬の内容の検討/(16)内部統制・リスク管理体制の整備等/(17)独立社外取締役の活用/(18)独立社外者間の情報交換・認識共有/(19)経営陣・監査役との連携等に関する体制整備/(20)独立性判断基準の策定・開示

動画5:(21)任意の仕組みの活用/(22)取締役会の人員構成/(23)取締役会のバランス、多様性及び規模に関する考え方の開示/(24)兼任状況の開示/(25)取締役会全体の実効性の評価・分析及び開示/(26)取締役会の運営/(27)取締役・監査役の支援・情報提供体制の整備/(28)トレーニングの方針の開示/(29)株主との対話に関する方針の開示/(30)資本効率等に関する目標の提示等/グループ企業に対する適用関係

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2015/04/20 【WEBセミナー】コーポレートガバナンス・コードの全容と企業の情報開示

概略

【セミナー開催日】2015年4月10日(金)

今年6月1日からの適用開始が予定されるコーポレートガバナンス・コードは、上場企業に対しガバナンスの充実に向けた様々な取組みの実施を促すとともに、その遵守状況などを株主等のステークホルダーに対して説明することを求めています。ただ、プリンシプルベース・アプローチ(原則主義)をとる同コードは、企業の自主性に委ねる部分も多いがゆえに、「何をしたらいいのか」頭を悩ませている企業も少なくないようです。本セミナーでは、コーポレートガバナンス・コードを金融庁と共同して策定し、同コードの導入に伴う上場制度の見直しを進める株式会社東京証券取引所から、上場部 統括課長の林謙太郎様をお招きし、各コードの制定の趣旨や意図を紐解きながら、同コードが企業に求める取組みからそれをどのように開示していくのかまで、同コードの全容を解説していただきます。また、コードを実施しない場合に必要になる「実施しない理由」の説明についても言及していただきます。

【講師】
株式会社東京証券取引所 上場部 統括課長
林 謙太郎 様
1994年4月に東京証券取引所に入社後、債券部門、上場部門における勤務、証券保管振替機構への出向を経て、2009年6月から現職。証券保管振替機構への出向中には、株式のDVP決済、株券電子化の制度創設に携わったほか、現職就任後は、2010年における独立役員制度の導入から今般のコーポレートガバナンス・コードの導入に至る一連の取組みの企画・立案業務を担当。

セミナー資料 コーポレートガバナンス・コードの全容と企業の情報開示

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動画1:コード導入目的/コードの基本構造


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動画2:コード対応の基礎知識/コード対応にあたって


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動画3:コードの制定に伴う企業行動規範の改正点/実施しない理由の開示に関する取扱い/ガバナンス報告書の様式/実施しない場合に理由の説明が必要となる範囲

動画4:コードに基づく開示事項の取扱い/特定の事項の開示を要求する11の原則/ガバナンス報告書の様式


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動画5:よくあるご質問/適用初年度における取扱い/適用初年度の提出時期/社外役員の独立性に関する開示内容の見直し/見直し後の独立性に関する開示制度/独立役員届出書の様式の一部変更/新様式による独立役員届出書の提出時期/(補足)独立役員制度とコードの原則4-8


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2015/04/20 【WEBセミナー】 コーポレートガバナンス・コードの全容と企業の情報開示(会員限定)

概略

【セミナー開催日】2015年4月10日(金)

今年6月1日からの適用開始が予定されるコーポレートガバナンス・コードは、上場企業に対しガバナンスの充実に向けた様々な取組みの実施を促すとともに、その遵守状況などを株主等のステークホルダーに対して説明することを求めています。ただ、プリンシプルベース・アプローチ(原則主義)をとる同コードは、企業の自主性に委ねる部分も多いがゆえに、「何をしたらいいのか」頭を悩ませている企業も少なくないようです。本セミナーでは、コーポレートガバナンス・コードを金融庁と共同して策定し、同コードの導入に伴う上場制度の見直しを進める株式会社東京証券取引所から、上場部 統括課長の林謙太郎様をお招きし、各コードの制定の趣旨や意図を紐解きながら、同コードが企業に求める取組みからそれをどのように開示していくのかまで、同コードの全容を解説していただきます。また、コードを実施しない場合に必要になる「実施しない理由」の説明についても言及していただきます。

【講師】
株式会社東京証券取引所 上場部 統括課長
林 謙太郎 様
1994年4月に東京証券取引所に入社後、債券部門、上場部門における勤務、証券保管振替機構への出向を経て、2009年6月から現職。証券保管振替機構への出向中には、株式のDVP決済、株券電子化の制度創設に携わったほか、現職就任後は、2010年における独立役員制度の導入から今般のコーポレートガバナンス・コードの導入に至る一連の取組みの企画・立案業務を担当。

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動画1:コード導入目的/コードの基本構造

動画2:コード対応の基礎知識/コード対応にあたって

動画3:コードの制定に伴う企業行動規範の改正点/実施しない理由の開示に関する取扱い/ガバナンス報告書の様式/実施しない場合に理由の説明が必要となる範囲

動画4:コードに基づく開示事項の取扱い/特定の事項の開示を要求する11の原則/ガバナンス報告書の様式

動画5:よくあるご質問/適用初年度における取扱い/適用初年度の提出時期/社外役員の独立性に関する開示内容の見直し/見直し後の独立性に関する開示制度/独立役員届出書の様式の一部変更/新様式による独立役員届出書の提出時期/(補足)独立役員制度とコードの原則4-8

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2015/04/20 ガバナンスコード原案「序文」から見える社外取締役に期待される役割(会員限定)

 2015年4月5日のニュース「「ガバナンスコード原案」から「東証のコード」への引き継がれ方」でお伝えしたとおり、今年(2015年)3月5日に公表されたコーポレートガバナンス・コード原案に記載されていた「経緯及び背景」等の序文に相当する箇所は整理される見込みだが、その“精神”まで消滅するわけではない。原案の2ページ~に記載されている「本コード(原案)の目的」の「7」には、同コードが、経営陣が結果責任を問われることを懸念してリスク回避的な方向に偏ることがないよう「攻めのガバナンス」の実現を目指していることが明記されている。

 これまでコーポレートガバナンスは「不正防止」の観点から語られることが多かったため、「攻めのガバナンス」という言葉にピンと来ない向きもあるかもしれない。実際、英米では数度にわたる企業不祥事とそれに伴うコーポレートガバナンス改革を通じて、専ら経営者の行動をモニタリングする「守りのガバナンス」の構築が進められてきた。具体的には、資本主義経済の下で利潤獲得への旺盛な意欲と強大な権限を持った経営者が暴走しないよう、社外取締役が取締役会の大部分を占めるという“数の論理”によりブレーキをかける手法であり、その社外取締役が形骸化しないよう独立性を高める努力が重ねられてきたことで、現在のガバナンスの形がある。

 一方、日本企業では、「日本型社会主義」とも言われる利益配分システムの下、経営者個人の利潤追求が突出することは少なく、終身雇用と年功序列、そして労使協調が長い間尊重されてきたのは周知のとおり。その結果、既存の秩序と組織を温存する本能が日本企業の“DNA”に刻み込まれていると言っても過言ではないだろう。

 このようなリスク回避的なスタンスは、かつての右肩上がりな経済環境においては正解だったかもしれないが、低成長時代に突入し、グローバル競争にも巻き込まれるという環境下では“ジリ貧”を招くだけになりかねない。日本企業に今求められているのは、積極的にリスクテイクし、ブレークスルーを生み出していく姿勢であることは明らかだろう。日本のコーポレートガバナンス・コードが、英米とは異なる「攻めのガバナンス」というアプローチをとっている理由はここにある。

 「攻めのガバナンス」というガバナンスコードの底流に流れる思想を踏まえると、社外取締役に求められる役割も自ずと見えて来る。それは、経営陣がリスクテイクに踏み出すよう、“アクセル”の役割を果たすことだ。しかし、現状では、自らを監視役、すなわち“ブレーキ”を踏むことこそが自らの役割であると勘違いしている社外取締役(候補)が少なくない。もちろん企業の事業特性や成長ステージなどによって一概には言えないが、少なくとも「過去の経験や現状の組織を否定できる存在」として機能することが期待されていることを、社外取締役(候補)は認識すべきだろう。