2015/03/25 収益認識会計の導入で影響を受ける業種は?

 企業会計基準委員会(ASBJ)は、「包括的な収益認識会計基準」を策定するとともに、国際的な会計基準とのコンバージェンス(収斂)を行う方針を明らかにしたが、業種・業態によっては、収益計上が大きく変わることが予想されるので要注意だ。

 「包括的な収益認識会計基準」とは、どういう場合に収益を認識するのかなど収益認識の具体的な要件を定めた文字通り包括的な収益計上基準のこと。現在の日本の会計基準では実現主義(現金等を受領した時に収益を認識する考え方)が採用されており、「包括的な収益認識会計基準」でもこの点は変わらない。ただ、日本の会計基準には収益認識の具体的な要件や実現主義の定義が定められていない。こうした中、国際会計基準審議会(IASB)が米国会計基準審議会(FASB)と共同で収益認識の会計基準であるIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」を昨年5月に公表(すなわち、収益認識について国際会計基準と米国会計基準がコンバージェンス)、日本だけが取り残された状況になっていた。今回の企業会計基準委員会の動きの背景にはこうした事情がある。

 この改正が実現した場合に大きな影響を受けそうなのが、・・・

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2015/03/25 収益認識会計の導入で影響を受ける業種は?(会員限定)

 企業会計基準委員会(ASBJ)は、「包括的な収益認識会計基準」を策定するとともに、国際的な会計基準とのコンバージェンス(収斂)を行う方針を明らかにしたが、業種・業態によっては、収益計上が大きく変わることが予想されるので要注意だ。

 「包括的な収益認識会計基準」とは、どういう場合に収益を認識するのかなど収益認識の具体的な要件を定めた文字通り包括的な収益計上基準のこと。現在の日本の会計基準では実現主義(現金等を受領した時に収益を認識する考え方)が採用されており、「包括的な収益認識会計基準」でもこの点は変わらない。ただ、日本の会計基準には収益認識の具体的な要件や実現主義の定義が定められていない。こうした中、国際会計基準審議会(IASB)が米国会計基準審議会(FASB)と共同で収益認識の会計基準であるIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」を昨年5月に公表(すなわち、収益認識について国際会計基準と米国会計基準がコンバージェンス)、日本だけが取り残された状況になっていた。今回の企業会計基準委員会の動きの背景にはこうした事情がある。

 この改正が実現した場合に大きな影響を受けそうなのが、百貨店や総合スーパーだ。

 日本の百貨店では、「消化仕入れ」という商慣行がとられている。百貨店には多くのテナントが入居しているが、テナントに並ぶ商品の所有権は百貨店にはなく(テナント側に所有権を残した状態)、商品が売れた時点で売上とともに仕入れを計上している。このような取引形態をとることにより、百貨店は在庫リスクを抱えなくて済む。

 しかし、IFRS第15号では、「財またはサービスを顧客に移転する前に、その財またはサービスの支配を獲得していない場合には、本人ではなく代理人として取扱う」とされている。テナントに場所を貸しているに過ぎない百貨店はこの“代理人”に該当する可能性が高く、代理人に該当すると売上には「テナントから受領する手数料相当額」しか計上できなくなる。利益という点では影響はないものの、売上高は総額表示してきた従来の売上高よりも大きく減少することになる。

 同様に総合スーパーにおいても、「消化仕入れ」を行っていれば、代理人とみなされる可能性が高い。

 また、影響は百貨店やスーパーだけにとどまらない可能性もある。工事進行基準出荷基準についてはこれまでと同様に適用できるとの見方もあるが、どのような条件下において適用できるのかなど、現時点では不明確な点も多い。

工事進行基準 : 工事の完成度合いに応じて収益を見積もり計上していく会計基準のこと。これに対し、工事が完成して相手方に引渡しを行った時点で一度に収益を計上する方法を工事完成基準という。
出荷基準 : 商品や製品を出荷した日に売上を計上するという会計基準。

 このほか問題となりそうなのが、単体の財務諸表への適用の可否だ。これまで企業会計基準委員会でコンバージェンスを行ってきた際には、連結財務諸表のみならず単体の財務諸表の見直しも行ってきた。ただ、直近で行われた「包括利益の表示に関する会計基準」や「退職給付に関する会計基準」(退職給付の負債の貸借対照表への即時認識)については、連結財務諸表についてはコンバージェンスしたものの、単体の財務諸表の取扱いについては、連結財務諸表を作成していない会社(有価証券報告書を提出している会社の中で約500社ある)の事務負担増加への懸念から反対意見が多く、改正は行われていない。

 同様に、今回の収益認識会計基準についても単体財務諸表へ適用することに対しては反対意見が出ることも予想される。ただ、収益認識会計基準は上述の包括利益の表示や退職給付とは異なり、収益という企業活動の根本に関わるものであるだけに、連結と単体で取扱いを変えるのは難しいだろう。仮に収益認識会計基準を単体の財務諸表にも適用することとした場合には、連結財務諸表作成していない会社に対しても大きな影響を与える可能性がある。

2015/03/24 東証一部企業による自己株取得額が前年80%増、M&Aは4兆円に

 上場企業に対するROE(自己資本利益率)向上のプレッシャーが強まっているが、企業がそれに応えようとしていることが数字的に裏付けられた。

 2014年10-12月期の東証一部企業による自己株式取得金額が前年同期比80%増となる1兆1,660億円を記録している。2014年2月に公表された日本版スチュワードシップ・コードにより投資家が上場企業に対し「資本効率」の改善を求める中、(ROEの分母である)自己資本を縮小させることで短期的にROEを高める動きが進行していることがうかがえる。

 もちろん、その背景には好調な企業業績もある。2014年10-12月期の法人企業統計では、全産業(金融機関を除く)の経常利益が前年比11.6%増の18兆651億円となり、1954年以降で過去最高となった。原油安が内需型企業の収益率を高めたことにより全産業の利益が押し上げられ、その結果、潤沢な現金の一部が自己株式取得にまわった格好だ。

 ただ、自己株式の取得はあくまで財務戦略の1つに過ぎない。企業の持続的成長には競争力強化および生産性の向上が不可欠であるが、経済協力開発機構(OECD)の統計によると、2013年の日本の生産性レベルはOECDに加盟する34カ国中18位と低迷している。

 こうした中、日本企業の国際競争力向上に向けた動きも活発化し始めている。これは、・・・

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2015/03/24 東証一部企業による自己株取得額が前年80%増、M&Aは4兆円に(会員限定)

 上場企業に対するROE(自己資本利益率)向上のプレッシャーが強まっているが、企業がそれに応えようとしていることが数字的に裏付けられた。

 2014年10-12月期の東証一部企業による自己株式取得金額が前年同期比80%増となる1兆1,660億円を記録している。2014年2月に公表された日本版スチュワードシップ・コードにより投資家が上場企業に対し「資本効率」の改善を求める中、(ROEの分母である)自己資本を縮小させることで短期的にROEを高める動きが進行していることがうかがえる。

 もちろん、その背景には好調な企業業績もある。2014年10-12月期の法人企業統計では、全産業(金融機関を除く)の経常利益が前年比11.6%増の18兆651億円となり、1954年以降で過去最高となった。原油安が内需型企業の収益率を高めたことにより全産業の利益が押し上げられ、その結果、潤沢な現金の一部が自己株式取得にまわった格好だ。

 ただ、自己株式の取得はあくまで財務戦略の1つに過ぎない。企業の持続的成長には競争力強化および生産性の向上が不可欠であるが、経済協力開発機構(OECD)の統計によると、2013年の日本の生産性レベルはOECDに加盟する34か国中18位と低迷している。

 こうした中、日本企業の国際競争力向上に向けた動きも活発化し始めている。これは、日本企業による海外でのM&A(合併/買収)の金額が、比較可能な1985年以来、1-3月期としては過去最大の4兆円規模に達したことからもうかがえる。日本企業が、海外企業の買収により高収益事業や成長市場における販売網を獲得し、既存事業とのシナジー効果や国際競争力の強化に打って出ていることが数字として表れたと言えるだろう。

 日本企業は現在、円安による海外事業の利益増加、原油安による原材料やエネルギーコストの減少、低金利による資金調達コストの低減という環境の中にあり、さらにアベノミクスによる成長戦略の後押しもある。日本版スチュワードシップ・コードは、機関投資家に対し、資本効率の改善のみならず、投資先企業の中長期的な企業価値向上とその持続的成長をサポートすることを求めているが、機関投資家からのプレッシャーを受けるまでもなく、現在のような好環境下で長期的な競争力強化を図らない理由はない。余剰資金による自己株式取得などの財務戦略にとどまらず、競争力を高めるための戦略的M&Aや業界再編の動きは今後も益々活発化することになりそうだ。

2015/03/23 投資家がROEにこだわる理由

 国内外の投資家が企業に対し、皆口をそろえてROE(株主資本利益率)の向上を求めている。なぜ投資家はこれほどまでにROEにこだわるのか、企業からは疑問の声も聞こえて来る。

 周知のとおり、ROEとは当期純利益を株主(自己)資本で割ったものである。当期純利益は株主の利益であり、株主資本は株主の投資額であることから、ROEは投資家にとっての「収益率」と言える。銀行借入と対比してみると、銀行(債権者)にとっては、支払利息が「利益」、借入金が「投資額」であり、利子率が「収益率」に当たる。つまり、投資家にとってROEは銀行借入における利子率に相当することになる。銀行が利子率を重視するように、投資家にとってROEが極めて重要な指標であるというのもうなずけるところだ。

 昨年(2014年)8月に公表された伊藤レポートでは、グローバルな機関投資家が日本企業に期待する資本コスト(投資家が求めるリターンの最低水準。ROEと資本コストとの差が、株主価値の創出部分となる。詳細は新用語難解用語辞典「ディスカウント・キャッシュフロー(DCF)法」参照)の平均が7%超であるとの調査結果を踏まえ、「最低限8%」のROEを目指すことを説いているが、この数字を見て「銀行借り入れよりもすいぶん高いのでは」と感じる向きもあろう。しかし、・・・

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2015/03/23 投資家がROEにこだわる理由(会員限定)

 国内外の投資家が企業に対し、皆口をそろえてROE(株主資本利益率)の向上を求めている。なぜ投資家はこれほどまでにROEにこだわるのか、企業からは疑問の声も聞こえて来る。

 周知のとおり、ROEとは当期純利益を株主(自己)資本で割ったものである。当期純利益は株主の利益であり、株主資本は株主の投資額であることから、ROEは投資家にとっての「収益率」と言える。銀行借入と対比してみると、銀行(債権者)にとっては、支払利息が「利益」、借入金が「投資額」であり、利子率が「収益率」に当たる。つまり、投資家にとってROEは銀行借入における利子率に相当することになる。銀行が利子率を重視するように、投資家にとってROEが極めて重要な指標であるというのもうなずけるところだ。

 昨年(2014年)8月に公表された伊藤レポートでは、グローバルな機関投資家が日本企業に期待する資本コスト(投資家が求めるリターンの最低水準。詳細は新用語・難解用語辞典「ディスカウント・キャッシュフロー(DCF)法」参照)の平均が7%超であるとの調査結果を踏まえ、「最低限8%」のROEを目指すことを説いているが、この数字を見て「銀行借り入れよりもすいぶん高いのでは」と感じる向きもあろう。しかし、会社が倒産した場合、債権者は株主に優先して(会社の残余財産から)債権を回収する権利がある(株主が残余財産の分配を受けるのは最後である)。株主は債権者よりも高いリスクを負っているのであり、いくら資本コストが「投資家が求めるリターンの最低水準」であると言っても、金利よりも高いのは当然と言える。

 実際にどの程度のROEが求められるかは投資する企業のリスク水準によっても異なる。当然ながらリスクが高いほど資本コストも高くなり、ROEはその資本コストを上回る必要があるため、求められるROEも高くなる(ROEと資本コストとの差は「エクイティ・スプレッド」と言われ、投資家が期待するリターンを上回って創出した利益部分の多寡を測る尺度となる)。

 最近は目標ROEを公表してこれを中長期戦略に用いる企業も増えてきている(日本IR協議会の調査によると全上場企業の22.3%)が、その一方で、「利益が出ているから」あるいは「配当を出しているから」ということを根拠に投資家が満足していると思い込み、目標ROEを設定していなかったり、目標ROEを設定していないことについて説明が十分でなかったりする企業も少なくない。投資家が本当に求めているのは利益や配当だけでなく、「株主資本に対するリターン」である。ここに、一部の企業と投資家の間に認識のギャップがある。企業はそのことを理解しなければならないし、また、投資家はそれを企業に教えてあげるべきだろう。

2015/03/20 監査等委員会設置会社への移行で監査役の処遇は?

 今年(2015年)5月1日から施行される改正会社法で創設された新たな機関設計である「監査等委員会設置会社」への移行を検討する監査役会設置会社も少なくない(2015年2月18日のニュース「6社が監査等委員会設置への移行を表明」参照))。

 これにはコーポレートガバナンスの強化という目的もあるが、一方で、監査等委員会設置会社に移行すれば現在の社外監査役を社外取締役に“横滑り”させることができるという点にメリットを感じている会社もある。

 2003年の商法改正により創設されたものの普及しなかった「委員会設置会社(改正会社法により「指名委員会等設置会社」に改称)」では、指名委員会、監査委員会、報酬委員会の3つの委員会が設けられるが、監査等委員会設置会社では、委員会設置会社の「監査委員会」に相当する「監査等委員会」だけを置くことになる。

 この監査等委員会は3名以上の「監査等委員」で構成されるが、同委員は全員が「取締役」で、また、その過半数は「社外取締役」でなければならない。ここでのポイントは、監査等委員には、現在の監査役が横滑りで就任できるということだ。つまり、・・・

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2015/03/20 監査等委員会設置会社への移行で監査役の処遇は?(会員限定)

 今年(2015年)5月1日から施行される改正会社法で創設された新たな機関設計である「監査等委員会設置会社」への移行を検討する監査役会設置会社も少なくない(2015年2月18日のニュース「6社が監査等委員会設置への移行を表明」参照))。

 これにはコーポレートガバナンスの強化という目的もあるが、一方で、監査等委員会設置会社に移行すれば現在の社外監査役を社外取締役に“横滑り”させることができるという点にメリットを感じている会社もある。

 2003年の商法改正により創設されたものの普及しなかった「委員会設置会社(改正会社法により「指名委員会等設置会社」に改称)」では、指名委員会、監査委員会、報酬委員会の3つの委員会が設けられるが、監査等委員会設置会社では、委員会設置会社の「監査委員会」に相当する「監査等委員会」だけを置くことになる。

 この監査等委員会は3名以上の「監査等委員」で構成されるが、同委員は全員が「取締役」で、また、その過半数は「社外取締役」でなければならない。ここでのポイントは、監査等委員には、現在の監査役が横滑りで就任できるということだ。つまり、監査役会設置会社が監査等委員会設置会社に移行する際に、現在の監査役が監査等委員である「取締役」になり、従来の監査役としての仕事の多くを引き継ぎつつ、取締役会での議決権ももらえることになる。監査役のうち社外性の要件を充たす者(社外監査役および「使用人の時期が10年以上前であった社内監査役」()は社外取締役に就任することが可能である。

 定年間近の従業員(例えば経理部長)や取締役を退任した者が社内監査役に就任するケースが多いことや、役員に定年制を導入している(=役員の在任期間が短い)企業が少なくないことを考慮すると、「使用人の時期が10年以上前であった社内監査役」は多くないのが現状である。なお、過去10年間に使用人であった時期がある社内監査役は、社外取締役にはなれないものの、「監査等委員である取締役」や「監査等委員ではない取締役」に就任することは可能である。

 ただ、責任が重くなることなどを理由に、監査等委員である取締役への移行を望まない監査役も出て来るかもしれない。また、「監査等委員会設置会社への移行により取締役の人数がいたずらに増加してしまうことは避けたい」という声があるのも事実だ(2014年12月3日のニュース「「取締役会のあり方」機関投資家の本音」参照)。コーポレートガバナンス・コードでも社外取締役は最低2名いれば足りるとされている。そこで、例えば監査役5人体制(社外監査役3人、常勤監査役2人)の監査役会設置会社が監査等委員会設置会社に移行する場合、一部の監査役には(社外)取締役への就任を依頼しないという選択肢もあり得る。このような監査役の処遇はどうすればよいのか頭を悩ませる企業もあるが、例えば、顧問契約や雇用契約を締結し「監査等委員のスタッフ(上述のとおり監査等委員は全員が「取締役」でなければらならいため、スタッフ等にならざるを得ない)」や内部監査室で「監査役」としての知見を活かす仕事をしてもらうことが考えられる。

 なお、監査等委員である取締役の任期は2年間となっており(短縮は不可)、監査役会設置会社が監査等委員会設置会社に移行した場合、監査役の任期に残りがあっても引き継がれない(監査役と取締役というポジションはあくまで別モノであるため)。例えば、監査役会設置会社での任期があと3年残っていた監査役であれば、監査等委員会設置会社移行後に監査等委員である取締役に就任しても、残り3年間の任期は引き継がれず、「監査等委員である取締役」としての任期(2年間)になるということだ。

2015/03/19 (新用語・難解用語)CRO

 CEO(最高経営責任者)、COO(最高執行責任者)、CFO(最高財務責任者)はもちろん、CTO(最高技術責任者)、CIO(最高情報責任者)、CMO(最高マーケティング責任者)といった役職はだいぶ日本企業でも普及してきた。

 これらに加え、最近注目を集めているのが「CRO(最高リスク管理責任者)」だ。CROとは「Chief Risk Officer(チーフ・リスク・オフィサー)」の略であり、企業における横断的なリスクマネジメントを担う最高責任者を指す。特に2008年の金融危機以降規制強化が進む欧米の金融機関ではCROの設置は一般化しており、欧州では保険会社のCROを対象とした「CROアセンブリ」と呼ばれる大規模な会議も開かれている。

 CFOなどとともに、CEOを補佐する経営幹部に位置付けられるCROだが、CROは時にCEOに対する“ブレーキ役”も担う。CEOが推し進めたいと考える経営方針に対し、リスクマネジメントの観点から見直しを迫らなければならないこともあろう。CEOが企業の成長に責任を負うのに対し、CROは「企業の健全な経営に対して責任を負う」立場にあると言える。このため欧米では、・・・

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2015/03/19 (新用語・難解用語)CRO(会員限定)

 CEO(最高経営責任者)、COO(最高執行責任者)、CFO(最高財務責任者)はもちろん、CTO(最高技術責任者)、CIO(最高情報責任者)、CMO(最高マーケティング責任者)といった役職はだいぶ日本企業でも普及してきた。

 これらに加え、最近注目を集めているのが「CRO(最高リスク管理責任者)」だ。CROとは「Chief Risk Officer(チーフ・リスク・オフィサー)」の略であり、企業における横断的なリスクマネジメントを担う最高責任者を指す。特に2008年の金融危機以降規制強化が進む欧米の金融機関ではCROの設置は一般化しており、欧州では保険会社のCROを対象とした「CROアセンブリ」と呼ばれる大規模な会議も開かれている。

 CFOなどとともに、CEOを補佐する経営幹部に位置付けられるCROだが、CROは時にCEOに対する“ブレーキ役”も担う。CEOが推し進めたいと考える経営方針に対し、リスクマネジメントの観点から見直しを迫らなければならないこともあろう。CEOが企業の成長に責任を負うのに対し、CROは「企業の健全な経営に対して責任を負う」立場にあると言える。このため欧米では、CEOをはじめとする他の経営幹部と同列でCROが給与の一部を「株式」で受け取ることに対しては批判的な声もあり、「CROは給与の一部を債券で受け取る方が職務上のインセンティブの観点からは理にかなっている」という指摘もなされている(CFOについても同じことが言える)。

 今後は日本企業においても増加が見込まれるCROだが、形だけCROという役職を作っても、経営トップがその重要性を認識していなければ絵に描いた餅になる可能性がある。米国では、某大手投資銀行のCEOが自社のCROの氏名を把握しておらず、ガイトナー前米国財務長官が同社のリスク管理意識に疑念を抱いたというエピソードもある。CROを中心とした横断的なリスクマネジメントを実現するためには、経営トップが率先して社内にリスク管理に対する意識(リスク文化)を浸透させることが必要になる。こうした中、米国の銀行業界では、想定した損失と実際に発生した損失の比較結果の開示や、取締役会がどれほど活発に経営監視に参画しているかを明らかにするために、取締役会における意思決定の結果の開示を求める声も上がっている。