2015/01/31 2015年1月度チェックテスト第2問解答画面(正解)

正解です。
 “トリプルボトムライン”とは「経済」「環境」「社会」という企業のCSR活動を評価する3つの視点のことを指します。一方、“ESG”は問題文にある通り、「Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の3つを指します。どちらも「切り口が3つ」という点では同じであり、かつ、「環境」「社会」という共通の切り口を持つのですが、残りのもう一つは“トリプルボトムライン”では「経済」、“ESG”では「環境」という点で異なります。したがって、問題文は間違いです。

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2015/1/08 トリプルボトムライン(会員限定)

2015/01/31 2015年1月度チェックテスト第1問解答画面(不正解)

不正解です。
 現行の労働契約法では、「通算5年を超えて更新された有期契約」は労働者の申し出により無期契約に転換されます。そこで、文字通りの「終身雇用」になってしまうことを回避するためには、たとえ本人が5年を超えて働きたいと願い、会社もそれを求めていたとしても、5年で雇用を終わらせなければならないという問題があります。この問題は定年後の再雇用時の局面で顕著になります。この問題を解消するために2014年秋の通常国会で「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」が成立しました。2015年4月1日から「定年後も引き続いて同一の事業主等に雇用される者」を「第2種特定有期雇用労働者」と呼び、その契約期間は上記の労働契約法18条に規定する通算契約期間に算入しない特例が設けられることになります。これにより、シニアとの契約期間が通算5年を超えても“無期契約化”するリスクはなくなりました(したがって、問題文は正しいです)。労働人口が減少していく中で技能に長けたシニアを上手に活用することを検討する良い機会と言えそうです。

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2015/1/03 来年度からはシニアの積極的な活用がやりやすく (会員限定)

2015/01/31 2015年1月度チェックテスト第1問解答画面(正解)

正解です。
 現行の労働契約法では、「通算5年を超えて更新された有期契約」は労働者の申し出により無期契約に転換されます。そこで、文字通りの「終身雇用」になってしまうことを回避するためには、たとえ本人が5年を超えて働きたいと願い、会社もそれを求めていたとしても、5年で雇用を終わらせなければならないという問題があります。この問題は定年後の再雇用時の局面で顕著になります。この問題を解消するために2014年秋の通常国会で「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」が成立しました。2015年4月1日から「定年後も引き続いて同一の事業主等に雇用される者」を「第2種特定有期雇用労働者」と呼び、その契約期間は上記の労働契約法18条に規定する通算契約期間に算入しない特例が設けられることになります。これにより、シニアとの契約期間が通算5年を超えても“無期契約化”するリスクはなくなりました(したがって、問題文は正しいです)。労働人口が減少していく中で技能に長けたシニアを上手に活用することを検討する良い機会と言えそうです。

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2015/1/03 来年度からはシニアの積極的な活用がやりやすく (会員限定)

2015/01/31 2015年1月度チェックテスト

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【問題1】

例えば60歳で定年退職した元従業員と再雇用契約を締結するようなケースでは、期間が通算5年を超えると契約が“無期契約化”してしまうという問題点があるものの、この問題点は法改正により2015年4月1日から解消される。


正しい
間違い
【問題2】

「Environmental(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)」の頭文字をとった“ESG”は、“トリプルボトムライン”と称されることもある。


正しい
間違い
【問題3】

借入金により自己株式を取得するだけで値が上昇する“ROIC”は、「企業(経営者)を評価する指標」としては望ましくないと言われている。


正しい
間違い
【問題4】

非上場企業が、証券取引所への上場申請をすることなく実質的に上場に至る方法はない。


正しい
間違い
【問題5】

従業員が飲酒運転を犯した場合、会社は「飲酒運転」という企業秩序を乱す行為をした従業員に対して解雇という厳罰で臨むべきである。


正しい
間違い
【問題6】

有価証券報告書では“ESG”に関する情報は一切開示されていない。


正しい
間違い
【問題7】

「特定の取締役との対話」ではなく「複数の取締役との対話」を望む機関投資家の要望により、“投資家リエゾン委員会”が設置されるケースがある。


正しい
間違い
【問題8】

多くの日本企業が生産拠点を海外に移していることから、円安局面でも「モノ」の輸出が伸びなくなってしまった。


正しい
間違い
【問題9】

コーポレートガバナンス・コード(原案)では、集団的エンゲージメントが推奨されている。


正しい
間違い
【問題10】

社外取締役を選任していない上場会社に対して選任をするよう求めるプレッシャーが強まる中、「数多くの上場企業を見てきた経験」を有する大手監査法人の現役パートナーが監査クライアントでない上場会社の社外取締役に就任する事例が相次いでいる。


正しい
間違い

2015/01/30 社外役員になれる会計士となれない会計士

 コーポレートガバナンス・コードが2人以上の独立社外取締役の選任を求めたことで、多くの上場企業が社外取締役の選任に動いているが、その候補に、弁護士や公認会計士をリストアップしているところも少なくないだろう。こうした中、弁護士会は「女性弁護士」の役員候補者リストを昨年(2014年)12月に公表、日本公認会計士協会も今月(2015年1月)26日、社外役員への就任を希望する会計士の募集を開始している。

 もっとも、一口に弁護士や会計士と言っても得意分野や経験は異なる。その中で、企業側のニーズの1つとして挙げられるのが、「数多くの上場企業を見てきた経験」だ。巨大企業であれば、単に「数」のみならず、見てきた企業の「規模」も求めるだろうし、グローバル企業であれば「国際経験」にも注目するであろう。

 数や規模、国際経験といった条件を満たす人材となると、やはり巨大企業、グローバル企業を含むクライアント数が圧倒的に多い大手事務所に集中しやすいのは事実。ただし、大手監査法人に勤務する会計士は、・・・

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2015/01/30 社外役員になれる会計士となれない会計士(会員限定)

 コーポレートガバナンス・コードが2人以上の独立社外取締役の選任を求めたことで、多くの上場企業が社外取締役の選任に動いているが、その候補に、弁護士や公認会計士をリストアップしているところも少なくないだろう。こうした中、弁護士会は「女性弁護士」の役員候補者リストを昨年(2014年)12月に公表、日本公認会計士協会も今月(2015年1月)26日、社外役員への就任を希望する会計士の募集を開始している。

 もっとも、一口に弁護士や会計士と言っても得意分野や経験は異なる。その中で、企業側のニーズの1つとして挙げられるのが、「数多くの上場企業を見てきた経験」だ。巨大企業であれば、単に「数」のみならず、見てきた企業の「規模」も求めるだろうし、グローバル企業であれば「国際経験」にも注目するであろう。

 数や規模、国際経験といった条件を満たす人材となると、やはり巨大企業、グローバル企業を含むクライアント数が圧倒的に多い大手事務所に集中しやすいのは事実。ただし、大手監査法人に勤務する会計士は、基本的に社外役員に就任することは難しい。通常、大手監査法人では、従業員会計士(パートナー以外の会計士)はもちろん、パートナーであっても、兼業が禁止されているからだ(ちなみに、申請・承認があれば大学の講師などになることは可能)。この点、弁護士はたとえ大手事務所所属であっても社外役員に就任しているケースが少なくないのと対照的になっている。

パートナー : 「社員」とも言われるが実は一般企業でいう取締役に当たり、監査法人の出資者でもある(ただし、大手監査法人におけるその数は企業の取締役よりかなり多い)。監査報告書に署名押印するのもパートナーの役目である。

 ただ、監査関与先の企業でない限り、監査法人勤務の会計士が社外役員に就任すること自体が法令で禁止されているわけではない。したがって、独立している会計士はもちろん、兼業を許可している監査法人の会計士(通常、従業員会計士は兼業禁止だが、パートナーは社員会での了解があれば兼業可能というケースもある)であれば、社外役員候補となり得る。

 今後、社外取締役の選任が急速に進むにつれ、必ずその内訳、すなわち「あの会社はどのような人を選任したのか」が投資家や世間の関心を集めることになるだろう。その中で会計士や弁護士が占める割合は、企業側の志向を明らかにするとともに、今後の選任のパターンを方向付ける可能性があるだけに、注目される。

2015/01/29 (新用語・難解用語)集団的エンゲージメント

複数の機関投資家が連携して、トータルの株式保有割合を背景に、共同で企業との対話に臨むこと。共同エンゲージメントとも言われ、英国で広まった。

英国で集団的エンゲージメントが普及した理由はいくつかある。まずは法規制上の懸念がなかったことだ。

仮に日本で集団的エンゲージメントを行おうとすれば、金融商品取引法上の大量保有報告制度に基づき、「共同して株主としての議決権その他の権利を行使することに合意している者」として各投資家の保有割合を合算し、大量保有報告を行わなければならなくなる可能性がある。また、同じく金融商品取引法上の公開買付制度では、会社支配権に影響を与えるような取引の公平性・透明性を確保する観点から、主に市場外で株券等の大量買付けをしようとする者に対し、当該買付けについてあらかじめ情報開示を行うともに、すべての株主に公平に売却機会を付与すること(公開買付け)を義務付けているが、「大量の買付け」に該当するかどうかの判定は、「共同して株主としての議決権その他の権利を行使することに合意している者」の保有割合を合算して行わなければならない。金融庁は、集団的エンゲージメントが「話し合い」にとどまる限り、「共同して株主としての議決権その他の権利を行使することに合意している者」には該当しないものの、共同で議決権を行使すること合意した場合には、その時点で該当するとの見解を示している。

一方、英国では、機関投資家による集団的エンゲージメントは、大量保有報告や公開買付けに関する法規制の対象外とされている。このことが、英国における集団的エンゲージメントを後押ししたのは間違いない。

また、英国では、上場会社株式の実に3分の1程度を国内の主要機関投資家が運用するという時代が1980年代、90年代を通じて続いたため、集団的エンゲージメントがやりやすかったという事情もある。さらに、国内の主要機関投資家同士が均質的でつながりも強かったことも、集団的エンゲージメントを容易にした。

ただ、近年の英国では、国内機関投資家の株式保有割合は4分の1程度に低下するとともに、外国人投資家やヘッジファンドの台頭により、機関投資家間の均質性、一体感も薄れており、集団的エンゲージメントは難しくなっている。こうした中、2012年に策定された英国のスチュワードシップ・コードの原則5では「機関投資家は、適切な場合には、他の投資家と協調して行動すべきである」としているほか(日本版スチュワードシップ・コードには同様の原則は盛り込まれず)、英国株式市場の構造的問題や上場企業行動、コーポレートガバナンスについて調査・分析を行ったレポート「ケイレビュー(日本の伊藤レポートに相当)」では、投資家間の意見交換などを後押しする「投資家フォーラム」の立ち上げを推奨するなど、英国は経営者に対する牽制効果の高い集団的エンゲージメントを再び活発化させることを志向している。

この「投資家フォーラム」は、日本でも設立準備が進められているのは周知のとおり(2014年12月10日のニュース「機関投資家が企業に投げかけたい質問の一覧が明らかに」、2015年1月6日のニュース「変革著しい三菱重工と富士重工が“模擬エンゲージメント”で投資家と対話」参照)。そこで気になるのが、日本も英国のように集団的エンゲージメントを志向し、またこれが普及してくのかどうかということだ。結論から言うと、・・・

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2015/01/29 (新用語・難解用語)集団的エンゲージメント(会員限定)

複数の機関投資家が連携して、トータルの株式保有割合を背景に、共同で企業との対話に臨むこと。共同エンゲージメントとも言われ、英国で広まった。

英国で集団的エンゲージメントが普及した理由はいくつかある。まずは法規制上の懸念がなかったことだ。

仮に日本で集団的エンゲージメントを行おうとすれば、金融商品取引法上の大量保有報告制度に基づき、「共同して株主としての議決権その他の権利を行使することに合意している者」として各投資家の保有割合を合算し、大量保有報告を行わなければならなくなる可能性がある。また、同じく金融商品取引法上の公開買付制度では、会社支配権に影響を与えるような取引の公平性・透明性を確保する観点から、主に市場外で株券等の大量買付けをしようとする者に対し、当該買付けについてあらかじめ情報開示を行うともに、すべての株主に公平に売却機会を付与すること(公開買付け)を義務付けているが、「大量の買付け」に該当するかどうかの判定は、「共同して株主としての議決権その他の権利を行使することに合意している者」の保有割合を合算して行わなければならない。金融庁は、集団的エンゲージメントが「話し合い」にとどまる限り、「共同して株主としての議決権その他の権利を行使することに合意している者」には該当しないものの、共同で議決権を行使すること合意した場合には、その時点で該当するとの見解を示している。

一方、英国では、機関投資家による集団的エンゲージメントは、大量保有報告や公開買付けに関する法規制の対象外とされている。このことが、英国における集団的エンゲージメントを後押ししたのは間違いない。

また、英国では、上場会社株式の実に3分の1程度を国内の主要機関投資家が運用するという時代が1980年代、90年代を通じて続いたため、集団的エンゲージメントがやりやすかったという事情もある。さらに、国内の主要機関投資家同士が均質的でつながりも強かったことも、集団的エンゲージメントを容易にした。

ただ、近年の英国では、国内機関投資家の株式保有割合は4分の1程度に低下するとともに、外国人投資家やヘッジファンドの台頭により、機関投資家間の均質性、一体感も薄れており、集団的エンゲージメントは難しくなっている。こうした中、2012年に策定された英国のスチュワードシップ・コードの原則5では「機関投資家は、適切な場合には、他の投資家と協調して行動すべきである」としているほか(日本版スチュワードシップ・コードには同様の原則は盛り込まれず)、英国株式市場の構造的問題や上場企業行動、コーポレートガバナンスについて調査・分析を行ったレポート「ケイレビュー(日本の伊藤レポートに相当)」では、投資家間の意見交換などを後押しする「投資家フォーラム」の立ち上げを推奨するなど、英国は経営者に対する牽制効果の高い集団的エンゲージメントを再び活発化させることを志向している。

この「投資家フォーラム」は、日本でも設立準備が進められているのは周知のとおり(2014年12月10日のニュース「機関投資家が企業に投げかけたい質問の一覧が明らかに」、2015年1月6日のニュース「変革著しい三菱重工と富士重工が“模擬エンゲージメント”で投資家と対話」参照)。そこで気になるのが、日本も英国のように集団的エンゲージメントを志向し、またこれが普及してくのかどうかということだ。結論から言うと、現時点ではその可能性は低いだろう。

その理由として、まず、上述した大量保有報告書制度や公開買付制度という法規制上の問題がある。この規制に抵触しないことが明確にされない限り、日本の機関投資家も“集団的”な行動はやりにくい。また、日本ではまだ本格的なエンゲージメントの歴史がないうえ、機関投資家同士の緊密なコミュニティーも存在していない。日本でも設立される「投資家フォーラム」が機関投資家同士のコミュニティー作りに貢献するのは間違いないと思われるが、集団的エンゲージメントを可能とするレベルまで主要機関投資家を1つの勢力にまとめるのは容易ではない。法規制の問題が解決されるとともに、日本版スチュワードシップ・コードが集団的エンゲージメントを推奨し、さらに英国の1980年代、1990年代のような機関投資家による高い株式保有比率が実現しない限り、日本で集団的エンゲージメントが実現することは考えにくいだろう。

2015/01/28 過去最大の知財使用料収支黒字が示す“日本企業の進むべき道”

 海外からの知的財産権使用料収入の上昇が顕著だ。財務省が1月13日に発表した2014年11月の国際収支状況によると、特許やライセンス等の無形資産からの収入を表す知的財産権使用料収支は、11月の数字としては1996年以来過去最大となる3,089億円の黒字となった。

 知的財産権使用料収入は、貿易収支(モノの輸出入の収支)とともに国際収支を構成するサービス収支(運賃、旅行、情報、特許等使用料などサービスの受取り・支払の収支)の1つだが、2014年11月におけるサービス収支自体は1,063億円の赤字となっている。ただし、過去5か月間と比べるとサービス収支の赤字額は大幅に減少している(ちなみに、2014年7月は4,525億円の赤字)。その大きな要因が海外からの知的財産権使用料収入の増加であり、知的財産権使用料収入の貢献により、サービス収支が黒字化する可能性が高まってきた。

 日本経済は輸出型製造業に支えられてきたイメージが強いが、実は「モノ」の輸出は伸びていない。その背景にあるのが生産拠点の移転だ。1985年のプラザ合意以降、日本の輸出型製造業は円高による価格競争力低下を回避するため、生産拠点の海外移転を進めてきた。円は2011年10月に対ドルで75円32銭の史上最高値を付けて以降、現在は120円近辺まで下落しているが、既に生産拠点が海外にあるため、「モノ」の輸出が伸びない傾向は変わっていない。

 その一方で、「有形資産」の輸出ではなく知的財産という「無形資産」からの収入が増加しているという事実は、日本企業に重要な示唆を与えている。今後・・・

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2015/01/28 過去最大の知財使用料収支黒字が示す“日本企業の進むべき道”(会員限定)

 海外からの知的財産権使用料収入の上昇が顕著だ。財務省が1月13日に発表した2014年11月の国際収支状況によると、特許やライセンス等の無形資産からの収入を表す知的財産権使用料収支は、11月の数字としては1996年以来過去最大となる3,089億円の黒字となった。

 知的財産権使用料収入は、貿易収支(モノの輸出入の収支)とともに国際収支を構成するサービス収支(運賃、旅行、情報、特許等使用料などサービスの受取り・支払の収支)の1つだが、2014年11月におけるサービス収支自体は1,063億円の赤字となっている。ただし、過去5か月間と比べるとサービス収支の赤字額は大幅に減少している(ちなみに、2014年7月は4,525億円の赤字)。その大きな要因が海外からの知的財産権使用料収入の増加であり、知的財産権使用料収入の貢献により、サービス収支が黒字化する可能性が高まってきた。

 日本経済は輸出型製造業に支えられてきたイメージが強いが、実は「モノ」の輸出は伸びていない。その背景にあるのが生産拠点の移転だ。1985年のプラザ合意以降、日本の輸出型製造業は円高による価格競争力低下を回避するため、生産拠点の海外移転を進めてきた。円は2011年10月に対ドルで75円32銭の史上最高値を付けて以降、現在は120円近辺まで下落しているが、既に生産拠点が海外にあるため、「モノ」の輸出が伸びない傾向は変わっていない。

 その一方で、「有形資産」の輸出ではなく知的財産という「無形資産」からの収入が増加しているという事実は、日本企業に重要な示唆を与えている。今後50年で日本が本格的な少子高齢化時代に突入し、労働供給が絶対的に減少する中で、世界における日本の産業の戦略的な立ち位置を示していると言っても過言ではないだろう。

 一般に「無形資産」というと、法的に保護されている特許や商標権が思い浮かぶ。製薬企業が、自社で開発した化合物特許と製造技術を海外子会社や第三者にライセンスし、その対価として、ロイヤリティーを受け取るというパターンが典型例だ。しかし、企業が持つ顧客網や調達網、生産ノウハウ、ブランドイメージなども、企業にとっては超過収益を生む源泉となる重要な「無形資産」である。無形資産の構築にはリスクも伴うが、その反面リターンも大きい。無形資産を伴う製品やサービスは、無形資産に対する法的保護やその特殊性により、(無形資産を伴わない)単純な製品・サービスに比べ、市場における高い価格決定力を維持しやすい。成熟した市場で、価格競争にさらされにくい(価格弾力性の低い)製品やサービスを持つことは、企業経営上、大きな意味を持つ。無形資産が生んだ利益を次の開発に投資し、持続的にその市場における優位性や競争力を維持することが可能になるからだ。

 このような“知的財産戦略”は、今後本格的な人口減少時代を迎え、国際競争にさらされる日本企業が市場での優位性を維持するうえで益々重要度が高まっていくということを、経営陣は強く認識しておく必要があろう。