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「労働時間の状況」の把握とは?

労働基準法41条は、管理監督者()には労働時間等に関する規定を適用しない旨を定めている。そのため、出退勤管理にタイムカードやICカード等を導入している企業であっても、管理監督者に該当する従業員についてはこれらによる管理の対象外とする、あるいは出勤時のみ打刻する(退勤時は打刻しない)例が見受けられた。といっても、これは今年(2019年)3月までの話である。

 ここで言う「管理監督者」とは、一般的な「管理職」とは若干意味が異なり、「経営者と一体的な立場にある者」を指す(S22.9.13発基第17号)。

4月からは、働き方改革関連法の一つとして労働安全衛生法が改正され、管理監督者や裁量労働者(裁量労働の詳細は2018年3月12日のニュース『「裁量労働制」を巡る誤解』参照)を含むすべての労働者(ただし、高度プロフェッショナル制度(詳細はこちら)の適用者を除く)について、「事業者は(中略)労働時間の状況を把握しなければならない」こととされた(同法66条の8の3、H30.12.28基発1228第16号9ページ 問10参照)。具体的には、タイムカード、パソコン使用時間の記録、事業者の現認等の客観的な記録により、労働日ごとの出退勤時刻や入退室時刻の記録等を把握しなければならない(同通達8ページ 答8参照)。

労働安全衛生法 : 職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境を形成する目的で制定された法律(昭和47年10月1日施行)。労働者の安全と衛生についての基準が定められており、事業者にはこれらの基準を守ることや、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにすることなどが求められる。
裁量労働 : 業務の遂行方法を大幅に労働者の裁量に委ねる制度であり、逆に言えば、同制度の対象となる労働者は業務遂行の手段や時間配分を自らの裁量で決められることになっている。したがって、会社(上司)は、業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し、具体的な指示をしてはならない。
高度プロフェッショナル制度 : 職務の範囲が明確で一定の年収(1,075万円以上)の労働者が高度な専門的知識を必要とする業務(例えば、金融商品の開発業務、金融商品のディーリング業務、アナリスト業務、コンサルタント業務、研究開発業務)に従事する場合、これらの労働者を労働基準法上の労働時間、休日、深夜の割増賃金等の規定の適用対象外とする措置。ただし、高度プロフェッショナル制度を導入する際は、経営側と労働者側の委員で構成される労使委員会で5分の4以上の賛成多数で決議が行われ、さらに対象労働者本人の同意を得る必要がある。また、健康確保措置を講じることが要件となるほか、いったん同制度の適用を受けることに同意した後でも本人の意思で離脱することが可能。

ここで注意したいのが、「労働時間の状況」という文言だ。

そもそも・・・

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