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バーチャルオンリー総会が事実上恒久化へ 企業はどう運営する?

(2021年)2月5日、産業競争力強化法の改正法案が閣議決定され、同日国会に提出された(経済産業省のリリースはこちら)。コロナ禍の収束が未だ見通せない中、同法案には上場会社に「バーチャルオンリー型株主総会」の開催を認める改正(66条)が盛り込まれている(バーチャル株主総会の詳細は(新用語・難解用語)ハイブリッド型バーチャル株主総会 参照)。会社法上、株主総会を招集するには開催する「場所」を定めることが求められているため(会社法298条1項1号)、現状、バーチャルオンリー型株主総会を改正することは不可能だが、今回の改正により、上場会社には会場型のリアル株主総会を開催せずにバーチャルオンリー型株主総会のみを開催するという選択肢が生まれるとともに、その場合でも株主には議決権行使が認められることとなる。

産業競争力強化法 : 日本経済の3つの歪みとされる「過剰規制」「過小投資」「過当競争」を是正するため、収益力の飛躍的な向上に向けた事業再編などの企業の取り組みを後押しする法律。
バーチャルオンリー型株主総会 : リアル株主総会を開催せず、全出席者が遠隔地からインターネット等で参加する株主総会。日本の会社法では、株主総会を招集するには、開催する「場所」を定めることを求めていることから(会社法298条1項1号)、実現は困難とされている。

英国やドイツ、米国の大部分の州など先進諸国では既に実施可能となっているバーチャルオンリー型株主総会だが、法務省は、仮にバーチャルオンリー型株主総会を会社法改正により実現するとすれば、法制審議会を開催して時間をかけて議論する必要があるとし、会社法改正には慎重な姿勢をとってきた。こうした中、まずは“特例法”等による対応が経済界から提案されていたが、今年6月の株主総会での実現を目指すとした場合、通常国会(年明けから開催中)での審議が間に合うのかとの懸念も聞かれただけに(2020年10月6日のニュース「来年も“コロナ総会”の可能性 バーチャル総会普及へ官民が本腰」参照)、今回のバーチャルオンリー型株主総会に関する法案提出は大きな前進と言えよう。

このように、今回は会社法を改正せず、産業競争力強化法による“特例”としてバーチャルオンリー型株主総会が実現することになる。バーチャルオンリー型株主総会に関する規定は改正産業競争力強化法の「公布の日」から施行するとされている(改正産業競争力強化法附則1条1項)。現時点では公布の日は確定していないが、6月総会に向けた準備を考えると、・・・

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