印刷する 印刷する

コロナ禍で変貌する監査役監査・内部監査

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い上場企業のガバナンスの在り方に変化が生じている。

社外取締役や社外監査役が取締役会や監査役会にリモートで参加するようになり、その結果、社外役員の出席率が向上したこともその一つだ。リモート参加は現行会社法でも認められており(2019年4月22日のニュース「TV/電話会議の導入で取締役会規則を改正する必要は?」参照)、これまでもリモート参加を実施している企業は見受けられたが、せいぜい電話による参加であり、TeamsやZOOMによる参加は一般的ではなかった。これには、「リアルで顔と顔を突き合わせること」に重きを置く従来の価値観が、企業・社外役員双方にとって、リモート参加への心理的なハードルとなっていたという背景もあろう。ところが、コロナ禍でリモート会議が一気に普及し、取締役会や監査役会へのリモート参加がニューノーマルとなった。これにより、兼務が多い社外役員の移動時間は削減され、日程調整が容易になったことが、出席率の向上につながった。

また、リモート参加の心理的ハードルが低くなったことで、そこまで切迫性のない承認決議であっても臨時取締役会を開催しやすくなり、「次の定時取締役会まで待つ」ことをしなくてもよくなったという企業も少なくない。

さらに新型コロナウイルスの感染拡大は監査役や内部監査室の監査業務にも多大な影響を与えている。コロナ禍により、支店監査や工場監査といった遠隔地への往査は難しくなり、リモートによる監査を余儀なくされているが、監査役監査・内部監査の計画立案時にこのような事態を想定していなかった企業では、監査計画を修正してリモートによる監査を前提にした監査手続きに変更する必要性が生じている。例えば、従来は支店長や工場長、工場の総務部長などと膝と膝を突き合わせて実施していた面談は、Teamsなどを利用してのリモート面談になった。監査で必要となる書類で現地に行かなければ見ることができないものがあれば、事前に本社内部監査室に郵送してもらうか、スキャンしてメールしてもらうことで対応することとなった。新工場棟や新製造ラインの見学、危険物の保管状況や金庫の中、法定書類の整備・保管状況を確認したい場合は、・・・

このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。

続きはこちら
まだログインがお済みでない場合は
ログイン画面に遷移します。
会員登録はこちらから