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自社の「ESG格付け」を知ってますか?

日本の二大公的年金であるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)、企業年金連合会がともにUN PRI(国連責任投資原則:PRI(United Nations Principles for for Responsible Investment)に署名し(GPIFの署名は2015年9月、企業年金連合会の署名は2016年5月)、このうちGPIFは先月(2016年7月)22日からESG要素を考慮した国内株式のパッシブ運用を実現するべくESG指数の公募を始めている。また、投資先企業のモニタリングを求める日本版スチュワードシップ・コード(原則3、指針3-1~3-3参照)に署名している212機関(2016年7月28日時点)のうち26機関を年金基金等のアセット・オーナーが占めており、ESG投資を求めるアセット・オーナーから運用機関(アセット・マネージャー)へのプレッシャーはますます強まる傾向にある。

GPIF : 厚生年金と国民年金の積立金の管理・運用を行う厚生労働省所管の独立行政法人。運用資産の規模が100兆円を優に超える世界最大の機関投資家である。
UN PRI(国連責任投資原則:PRI(United Nations Principles for for Responsible Investment) : 機関投資家に対し、投資判断プロセスにESGを反映することや、投資対象企業にESGに関する情報開示を求めることなどを提唱するもの。これに署名した機関投資家は、国連に投資の状況を報告する義務が生じるため、ESGを重視した投資を実践せざるを得ない。
パッシブ運用 : パッシブ(「消極的」なという意味)運用とは、東証のTOPIXのような株価指数(インデックス)の値動きに連動する運用成果を目指し、株価指数を構成する銘柄をポートフォリオに組み入れるなどして、運用会社は定性的な判断を入れずに機械的に投資判断を行う運用手法であり、ファンド・マネージャーが独自に銘柄を選択して運用する「アクティブ運用」とは対極の関係にある。
アセット・オーナー : 年金基金をはじめとする、資産(アセット)を保有する者のこと。

こうした中、企業を財務面だけではなくESGの観点からも評価・格付けし、格付けデータをはじめ、独自の基準に基づいた詳細なESG評価レポート、不祥事等のニュースレポート等を投資家に提供する「ESG評価機関(ESG格付け機関)」が既に多数存在している。投資家がESGを考慮した投資を行う場合、インハウスでのESG調査に加え、このような第三者によるESG格付けデータを活用する場合もある。例えばドイツ銀行では6つの機関(Sustainalytics, MSCI, Ethix SRI Advisors, RepRisk, SIGWATCH, oekom research)のリサーチを活用していることを開示している。日本の運用機関では、野村アセットマネジメントがMSCI ESGリサーチを導入したことが公表されている。また、金融機関向け情報端末であるBloombergは、自社で調査したESGデータに加え、Susutainalytics ESGデータやISSガバナンス・クイックスコアといった第三者機関の情報を提供しているほか、2016年9月にはDow Jones Sustainability Indexの調査会社として知られるRobecoSAM社のESGデータもリリースすることが発表されている。

ところが、企業側は・・・

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