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統合報告書の作成を阻む壁とは?

RIDEAL 代表 三代 まり子

2010年に国際統合報告評議会(International Integrated Reporting Council, 以下「IIRC」)が発足したことをきっかけに、今や「統合報告書」を投資家とのコミュニケーション・ツールとする流れはグローバルなトレンドになっている。日本でもコーポレートガバナンス・コードの柱となる5つの「基本原則」の1つに「適切な情報開示と透明性の確保」(基本原則3)が盛り込まれる中、上場企業を中心に、投資家への新たな情報開示のツールとして、統合報告書の作成に取り組む企業が増えている。現在、「統合報告書」という名称で投資家向けのレポートを発行している日本企業は200社を超える。その一方で、”壁”にぶつかる企業も少なくない。

統合報告書 : 統合報告とは「企業の持続的な成長を伝えるプロセス」であり、統合報告書は統合報告の成果物(アウトプット)を指す。IIRC(International Integrated Reporting Council=国際統合報告評議会)が2013年12月に公表した「国際統合報告フレームワーク」では、統合報告を「企業がどのように持続的な成長を実現しようとしているのかについて報告するもの」と定義している。具体的には、ビジネス上の様々な問題にどう対処するのか、自社の将来性をどうとらえているのか、中長期的な経営戦略をどう描くのか、どのように長期的な企業価値を作り出そうとしているのか、といった内容の報告であり、そこには「非財務情報」が多数含まれる。

企業はこれまでにも投資家をはじめとする様々な外部の情報ニーズに応えるべく情報を開示してきた。ただ、統合報告書は、「統合」という言葉が示すとおり、断片的に開示されてきた情報を統合し、一つの”ストーリー”として提供するという点で、従来の開示とはスタイルが異なる。具体的には、・・・

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