印刷する 印刷する

米国で“SASB”の開示義務化も 日本への影響は?

英国に倣ったコーポレートガバナンス・コードへの初期対応は一段落した感があるが、今度は米国から新たな“波”が押し寄せるかもしれない。

日本でも、機関投資家等が投資先の選定にあたり企業のE(Environment=環境)、S(Social=社会)、G(Governance=ガバナンス)への対応を考慮する「ESG投資」への注目が高まりつつあるが、米国では、ESGに関する開示基準を制度化することが検討されている。この動きのイニシアティブをとっているのが、2012年に設立された米国サステナビリティ会計基準審議会(Sustainability Accounting Standards Board=SASB)という団体だ。「FASB(財務会計基準審議会(ファスビー)」の“サステナビリティ版”と言わるSASB(サスビー)は、企業が開示すべき非財務情報(その意味では、SASBにおける「Accounting」は「会計」よりも「説明」という意味に近い)を業種ごとに公表しており、制度開示書類の中でこれらの開示を義務付けることをSEC(米国証券取引委員会)と協議している。

元々、米国企業の情報開示は、アクティビストへの警戒感や、訴訟社会という米国独自の事情も手伝い、一部企業を除き十分とは言えない。「必要最小限のことしか言わない」というのが基本的なスタンスであり、IRも日本企業より控え目というのが実情だ。こうした事情に加え、サステナビリティ・レポート自体はこれまでも出してきていることから(すなわち、ゼロから作成を求めるわけではない)、SASBの開示義務付けが実現する可能性は十分にある。SECがSASBを採用したとなれば、日本でもいずれ同様の展開が起こることも考えられる。

実際、既に日本にはその素地がある。まず・・・

このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。

続きはこちら
まだログインがお済みでない場合はログイン画面に遷移します。
会員登録はこちらから