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サステナビリティ開示、社内で新たな承認プロセスが必要に

周知のとおり、財務諸表に「重要な後発事象」が生じた場合、①当該事象の原因が「決算日以前」にあれば財務諸表を修正しなければならず、②当該事象の原因が「決算日以降」であれば、財務諸表に注記しなければならないこととされている。後発事象は「サステナビリティ」の分野でも起こり得る。日本のサステナビリティ開示基準は基本的に国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が先行して開発した基準をベースとして、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)によって開発されることになるが、ISSBが2022年3月に公表した「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項」(通称「S1基準」)では、報告期末の末日後、サステナビリティ関連財務開示を公表することを承認した日までに発生する取引その他の事象及び状況に関する情報が主要な利用者の意思決定に影響を与えることが合理的に予想される場合には、その内容を開示することを求めている(IFRS S1 号「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項」[案]37ページの「71」参照)。

重要な後発事象 : 連結決算日後、連結会社並びに持分法が適用される非連結子会社及び関連会社の翌連結会計年度以降の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす事象のこと。
ISSB : 日本における非財務開示の基準を作成する団体。IFRS(国際財務報告基準)の母体であるIFRS財団が「国際サステナビリティ基準審議会(ISSB=International Sustainability Standards Board)」を設立し、非財務開示の国際的な基準「サステナビリティ報告基準」を策定することを受け、日本では財務会計基準機構(FASF)が母体となり、IFRS財団におけるISSBに相当するSSBJ(Sustainability Standards Board of Japan)が設立された。
SSBJ : 日本における非財務開示の基準を作成する団体。IFRS(国際財務報告基準)の母体であるIFRS財団が「国際サステナビリティ基準審議会(ISSB=International Sustainability Standards Board)」を設立し、非財務開示の国際的な基準「サステナビリティ報告基準」を策定することを受け、日本では財務会計基準機構(FASF)が母体となり、IFRS財団におけるISSBに相当するSSBJ(Sustainability Standards Board of Japan)が設立された。
サステナビリティ関連財務情報 : 企業価値に影響を与える持続可能性に関連するリスクと機会についての洞察を与え、一般目的の財務報告の利用者が、企業のビジネスモデルとそのモデルを維持・発展させるための戦略が依存する資源と関係を評価するための十分な基礎を提供するための情報。

 ISSBは2022年3月、①「全般的なサステナビリティ関連開示の要求事項」を定めたS1基準と、②「気候関連開示の要求事項」を定めた「S2基準」の2つの公開草案を公表している。S1基準の概要は【特集】ISSB公開草案・前編 「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項」の開示フレームワーク」、S2基準の概要は同後編参照。

こうした中、SSBJはさらに、・・・

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