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ISSBのサステナビリティ開示基準基準が確定、サステナビリティ報告書等とは「マテリアリティ」に相違

2023年6月、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は2022年3月31日に公開草案を明らかにしていたグローバルなサステナビリティ開示基準基準であるIFRS S1号(以下、S1基準(*1))およびIFRS S2号(以下、S2基準(*2))をようやく確定した(ISSBのリリースはこちら)。

ISSB : International Sustainability Standards Board(国際サステナビリティ基準審議会)。資本市場向けのサステナビリティ開示の包括的なグローバル・ベースラインを開発するため、IFRS財団が2021年11月に設立した団体。

*1 全般的なサステナビリティ関連開示の要求事項を定めたもの(IFRS S1号「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項」)。詳細は、【特集】ISSB公開草案・前編 「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項」の開示フレームワーク 参照。
*2 気候関連開示の要求事項を定めたもの(IFRS S2号「気候関連開示」)。詳細は、【特集】ISSB公開草案・後編 「気候関連開示」のフレームワーク 参照。

S1基準は、企業が短期のみならず、中長期にわたって直面するサステナビリティ関連のリスクおよび機会を企業が投資家に伝えるための開示基準であり、S2基準は気候関連開示を求めつつ、S1基準とセットで利用されるように設計されている。現状では、「個別テーマ」についての基準はS2基準の気候変動しかないため、他のテーマ(例えば人的資本、人権、生物多様性)について開示する場合はS1基準に基づくことになる。

S1基準およびS2基準は「グローバル・ベースライン」と位置付けられており、このベースラインに乗っていれば、詳細な基準は各国が自国の実態に合わせて作成することが許容される。日本では、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)がサステナビリティ開示基準を開発中だが、同基準もS1基準およびS2基準をベースにしている。SSBJが開発したサステナビリティ開示基準はあと1年程度で公表されることが見込まれ、有価証券報告書における開示事項となる。このため、S1基準およびS2基準の開示内容を理解することは、日本の有価証券報告書における“サステナビリティ開示の近未来”を知るうえでも重要と言える。

S1基準では、企業の見通しに影響を及ぼすと合理的に予想される、重要性があり、持続可能性に関連するリスクおよび機会に関する情報の開示を求めている。「企業の見通しに影響を及ぼすと合理的に予想されるリスクおよび機会」とは、・・・

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