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繰延税金資産の回収可能性、会社の裁量拡大へ 5区分は存続

 会計基準では、繰延税金資産(繰延税金資産の詳しい説明は新用語・難解語辞典の「資産負債法」参照)の将来の回収可能性を「会社の業績の良し悪し」によって5つに区分しているが(監査委員会報告第66号「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」。以下「66号」。具体的な5区分の内容は、2014年4月30日のニュース「繰延税金資産の回収可能性、会社に求められるより高い立証レベル」参照)、現在、この区分の見直しが企業会計基準委員会(ASBJ)で進行していることは、2014年8月22日のニュース「会計基準見直しで、「重要な繰越欠損金」抱える会社の業績が上振れも」でもお伝えしたとおりだ。この見直しは、企業側からの「5つの区分は画一的で、実態を反映しないケースがある」との指摘を受けたもの(ちなみに、66号はこれまで日本公認会計士協会の所管だったが、こちらも企業側から「監査上の取扱いが財務諸表作成者の会計判断に影響を及ぼすのはおかしい」との批判があったため、企業会計基準委員会(ASBJ)に移管され「会計基準の適用指針」という位置付けで、税効果会計専門委員会での見直し作業が行われている)。

 いまだ議論は続いているが、大きな方向性としては、「66号の骨格は壊さない」という点はおおむねコンセンサスが得られつつある。66号の骨格とは、「会社を5つの分類に分ける」ことと、「“1年”、“5年”という見積り可能年数は残す」ということだ。この点まで変えてしまうと、IFRSや米国の会計基準と同様に、実質的に企業が完全に「自らの判断」で繰延税金資産の回収可能性を見極めるための見積り年数を決めることにつながり、ガイダンスとしての意味をなさなくなってしまうからだ。

 とはいえ、「骨格」が変わらないだけで、大幅な見直しが行われるのは必至。具体的には、・・・

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