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有報の総会前開示につながる「総会開催日の後ろ倒し」が進まない背景

金融担当大臣が3月28日付で要請した有価証券報告書(有報)の総会前開示は、2025年6月の株主総会シーズンにおける大きなテーマとなっている(2025年4月2日のニュース「“寝耳に水” 金融担当大臣による有報の総会前開示要請に従わなかったらどうなる?」、2025年4月15日のニュース「「総会前開示」で必要になる変更箇所は限定的に」参照)。金融庁による有報レビューの審査対象になることを避けたいということもあり、相当数の上場会社が「株主総会の前日ないし数日前に提出」(要請文より引用)することを検討中、あるいは既に対応を進めている。


有報レビュー : ディスクロージャー制度の信頼性確保に向けた対応として、有価証券報告書の記載内容の適正性を確保するための審査。従来から、金融庁および財務局等が連携して実施している。毎年3月頃、金融庁のホームページにおいて、その事業年度に係る有価証券報告書の作成・提出に際しての留意すべき事項とその年度に実施される具体的なテーマが公表される。

金融庁のWEBサイトでは「定時株主総会の2週間以上前に有価証券報告書の提出を予定している上場会社一覧」が公表されており、5月30日時点でHOYA(21日前)とT&Dホールディングス(14日前)の2社(いずれも3月決算)がリストアップされている。金融庁は明日6月11日に3月決算会社全体の開示状況を公表する予定だが、過半数が総会前開示を実施することが見込まれている。それだけ金融担当大臣名での「要請」はインパクトが大きかったということだろう。

総会前開示がデファクトとなりつつある中、上場会社にとっての次の関心事は、「何日前」に開示するかということだろう。金融庁は、有報と事業報告の一体開示が可能となる「総会の3週間以上前」が望ましいとしているが、当フォーラムが2025年1月および2月決算のプライム市場上場会社について、総会開催日と有報開示日を調査したところ、総会前開示を実施したのは103社中・・・

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