周知のとおり、2027年にも法案が国会に提出される見込みの会社法の改正により、事業報告等の作成義務自体の免除、すなわち有価証券報告書への「一本化」が制度化される方向となっている(会社法制(株式・株主総会等関係)の見直しに関する中間試案(以下、中間試案) 30ページ「第3 事業報告等及び有価証券報告書の開示の合理化」参照)。もっとも、会社法の事業報告等と金融商品取引法(金商法)の有価証券報告書を、双方の記載要請を満たす一つの書類として作成・開示する「一体開示」は現在も可能だ。具体的には、株主総会資料として提供すべき事項を記載した有価証券報告書を、電子提供措置開始日(総会の3週間前の日または招集通知発送日の早い方)までにEDINET(金融庁が運営する電子開示システム)を通じて提出すれば、株主総会資料のウェブ掲載が不要となる(EDINET特例)。しかし、実務負担の重さからEDINET特例を利用する企業はこれまで現れていなかった。
電子提供措置 : 株主総会関係資料を、株主総会前からウェブサイト等で株主が閲覧できる状態にして提供する会社法上の手続。
こうした中、アドバンテスト(東証プライム)が、EDINET特例を利用した我が国初の有価証券報告書と事業報告等の「一体開示」を実施した。同社は2026年3月期の有価証券報告書を「有価証券報告書兼事業報告書」として提出するとともに、株主総会資料(電子提供措置事項)としても用いており、事業報告・計算書類は別途独立した書類としては作成していない。アドバンテストの事例は、一体開示時代を先取りしたモデルケースであり、株主総会前の有価証券報告書提出を実現するための実務対応を考えるうえでも示唆に富む。
電子提供措置事項 : 株主総会参考書類、事業報告、計算書類等の株主総会関係資料に記載すべき事項で、会社法の電子提供制度により、ウェブサイト等に掲載して株主に提供されるもの。
同社が実施した一体開示の特徴は4つある。第一に、・・・
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