役員に占める女性比率の向上を目指す民間団体である「30%クラブ」は(2019年)5月1日、日本での活動をスタートした。2010年に英国で30%クラブが立ち上がった当初は12.6%にとどまっていたFTSE100企業の女性役員比率は2018年には30%にまで向上したが、そこに至るまでの同クラブの貢献度は高い。30%クラブはこれまで、英国のほか米国、カナダ、香港、マレーシアなど世界13カ国・地域で活動を展開してきたが、このほど「30%クラブ・ジャパン」を立ち上げている(30%クラブ・ジャパンのリリースはこちら)。
FTSE:ロンドン証券取引所に上場する時価総額上位100銘柄で構成される株価指数である「FTSE100」のほか、FTSE100に次ぎ時価総額が大きい250銘柄で構成される「FTSE250」、FTSE100とFTSE250の両指数の銘柄で構成される「FTSE350」、小型株で構成される「FTSE SmallCap Index」、FTSE350とFTSE SmallCapの両指数の銘柄で構成される「FTSE All Shares」、ロンドン証券取引所の新興市場(AIM)の銘柄で構成される「FTSE AIM」がある。
30%クラブジャパンの創立メンバーには、日本の上場企業のほか、外資系金融機関、大学、在日英国商工会議所などのトップ30名が名を連ねており、内閣府男女共同参画局局長や経済産業省大臣官房審議官官(経済社会政策担当)など政府関係者も賛同している。日本の上場企業は以下の13社で、TOPIX500に入っていない上場企業は現状、参加していない。なお、参加資格は「常時301人以上の従業員を持つ上場企業」とされている。
上記リリースによると、30%クラブ・ジャパンは、TOPIX100構成企業の取締役会に占める女性比率を現状の7.8%から2020年には10%、2030年には30%に引き上げるという数値目標を掲げている。TOPIX100における平均的な取締役会の規模は10人強であるため、今のところ女性取締役は1社あたり1人いるかいないかというのが実態だ。すなわち、30%クラブ・ジャパンのビジョンはこれを2年後には1人、10年後には3人まで引き上げようということだと考えられる。
30%クラブが女性役員比率の向上を目指すのは、それが企業にメリットがあるからに他ならない。30%クラブ・ジャパンのリリースの1ページ目には、「様々な調査結果は、企業トップの多様性と、企業の利益率や中長期的株価パフォーマンスとの間に正の相関関係があることを示唆しています」と明記されている。ここでいう「企業トップ」とは役員を示しているもの思われる。そこで当フォーラムでも、東証一部上場企業(金融業を除く)をサンプルとして、女性役員比率とROEの関係を分析してみた。・・・
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