ESG投資とともに存在感を増しつつある「(社会的)インパクト投資」だが(両者の違いについては2019年2月18日のニュース「インパクト投資とESG投資の違い」参照)、年金や保険会社といった機関投資家は世界的に拡大するESG投資では中心的な存在となっている一方、インパクト投資を実行する機関投資家はいまだ少ないのが現状となっている。
ESG投資 : ESGとは、「Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の頭文字を組み合わせたもので、近年、特にグローバル機関投資家の間で、企業の投資価値を測る評価項目としての地位を確立しつつある。ESG投資とは文字通り「Environmental(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」に優れた企業に投資することをいう。
というのも、ESG投資は長期的には収益に結びつくと考えられているため、長期投資家には不可欠なものとなっているのに対し、インパクト投資は長期的な収益も求めつつ、投資を通じた社会的なインパクトも考慮しているからだ。すなわち、ESG投資では、環境・社会・ガバナンス問題の解決が最終的には「リターン」という形で投資家にもたらされると考えられているのに対し、インパクト投資は、直接的に環境・社会問題を解決することを意図していると捉えられている。インパクト投資においても、問題解決に伴うリターンの計測方法について様々な取り組みがなされているものの、いまだコンセンサスには至っていない。そのため、最終顧客である年金受益者に対するフィデューシャリー・デューティー(受託者責任)の観点から、年金等の機関投資家が、インパクト投資を実行することは困難となっている。
こうした中、現状、世界的にインパクト投資を拡大しているのが・・・
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