同じ「リース」でも、借入れによる物の購入とみなされるファイナンス・リースではリース資産を貸借対照表(B/S)上の「資産」に計上するとともに、リース債務(未経過リース料)をB/S上の「負債」にそれぞれ計上することが求められるのに対し、「物を借りて賃借料を払う」という本来のリースであるオペレーティング・リースは、毎期の支払いリース料を費用計上するだけで済み、B/Sには何も計上しなくてもよい(=オフバランス)。ROAの分母が小さくなり数値が改善される効果もあるオペレーティング・リースを利用している企業は少なくない。しかし、IFRSや米国会計基準では、オペレーティング・リースを含むすべてのリースは「資産および負債」に計上することが求められている。そこで日本の企業会計基準委員会(ASBJ)は国際的なルールとの整合性を図るため、2023年5月2日に「リースに関する会計基準(案)」(以下、新リース会計基準案)を公表し、2023年8月4日(金)までパブリックコメントを募集していたところ(新リース会計基準案の内容や財務諸表等への影響などについては2023年6月22日『ROAの悪化は確実 上場企業の役員が押さえておきたい「新リース会計基準」が経営に与える影響』参照)。こうした中、企業の大きな関心事となっていたのが・・・
ファイナンス・リース : 「支払いリース料総額の現在価値が、見積もり現金購入価額の90%以上」または「リース期間が耐用年数の75%以上」で中途解約もできないリースを指す。
リース資産 : 新リース会計基準では、現行の「リース資産」は「使用権資産」となる。「使用権資産」とは、借手が原資産(リースの対象となる資産)をリース期間にわたり使用する権利を表す資産のことをいう。
リース債務 : 新リース会計基準では、科目名が「リース債務」ではなく「リース負債」となる。
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