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買収提案の競合と取締役の義務

フィデューシャリーアドバイザーズ代表
早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター招聘研究員 吉村一男

昨年(2024年)は買収提案の競合、すなわち、買収提案があると複数の対抗提案が現れる事例が目に付いた年だった。具体的には、広告・看板用インクジェットプリンターでは世界屈指のメーカーであるローランド ディー.ジー.に対するタイヨウ・パシフィック・パートナーズによる買収提案後のブラザー工業による対抗提案、低温食品物流事を得意とするC&Fロジホールディングスに対するAZ-COM丸和ホールディングスによる買収提案の後のSGホールディングスによる対抗提案、富士ソフトに対するKKRによるの買収提案後のベインキャピタルと創業者による対抗提案、そして、セブン&アイ・ホールディングスに対するアリマンタシォン・クシュタールによる買収提案後の創業家による対抗提案である。

日本では“横取り”などと報道されることが多いが、欧米では稀なことではない。なぜだろうか。これは、買収ルールの違いによるところが大きい。・・・

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