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カカクコムの買収争奪戦から読み解く「買収価格の決まり方」と「取締役会の行動指針」 【取締役会の行動指針編】

東京国際大学教授
早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター招聘研究員
吉村 一男

食べログ・価格.comを運営するカカクコムを巡り、欧州系投資ファンドEQTと、ベインキャピタル・LINEヤフー連合(ベイン・LINEヤフー連合)による争奪戦が続いている。【買収価格の決まり方編】では、買収後に見込む収益や目標とする投資収益率の違いが、両陣営の支払える買収価格の上限にどう影響するかを解説した。では、競合する提案を受ける取締役会は、何を基準に各提案への賛否を判断すべきだろうか。より高い価格を提示した陣営を支持すればよいのか、それとも買収が成立する見通しや買収後の経営方針も考慮すべきなのか。本稿では、買収される側の取締役会に視点を移し、提案を検討する際の判断基準と、株主の利益を守るために取るべき行動を見ていこう。

米国デラウェア州の判例法では、会社を売却する局面において、取締役会に対し、株主のために合理的に得られる最善の価値を確保する義務(いわゆる「レブロン義務」)を課している。一方、日本は米国とは異なり、・・・


レブロン義務 : 米国で、食品会社パントリープライドのロナルド・ペレルマン社長が、化粧品大手レブロン社に対し、現金による全株式の買収提案を仕掛けた事案を巡り、裁判所が、会社が「売り」の状態にある場合、ホワイトナイトなど特定者に有利な防衛策は過剰な措置であって、すべての買手を差別せずに交渉を行うことで、売却価格の最大化を図らなければならないとした判示を指す(1986年判決)。

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