キャッシュフローに大きな影響を与える税負担に経営陣が関心を持つのは当然であり(むしろ関心がない方が問題)、「節税」は経営陣として合理的な行動と言える。もっとも、節税は、税務当局から追徴課税を受けかねない「租税回避」と紙一重であることも少なくない。
節税とは、「税法が予定する範囲内」で税負担を減少させる行為であり、あくまでも“合法”である。これに対し、例えば売上を意図的に計上しない(いわゆる売上除外)など、“不正”によって税を免れる行為は「脱税」と呼ばれ、違法に当たる。
節税と脱税の中間に位置付られるのが「租税回避」だ。租税回避とは、「経済合理性のない異常な取引」などにより税負担を減少させる行為を指す。租税回避は形式的には税法の規定を満たしている点で脱税とは異なるが、実際には税法の規定を満たしているように仮装しているケースもしばしばあり、脱税との区分は曖昧である。また、何をもって「経済合理性がない」「異常な」と言えるかの判断は難しいため、「節税」との区分も難しく、しばしば企業と税務当局の紛争の一因となっている。
こうした租税回避を防止する税法上の規定が「行為計算否認規定」である。行為計算否認規定とは、たとえ税法の規定を形式的には満たしていたとしても、実は法人税などの負担を“不当に”減少させることを目的としている取引や計算を適正化するため、法人等により行われた行為又は計算を否認(認めないこと、承認しないこと)する規定。法人税法では、(1)同族会社の行為計算否認(法人税法132条)、(2)組織再編に係る行為計算否認(法人税法132条の2)、(3)連結法人に係る行為計算否認(法人税法132条の3)の3つが設けられている。
このうち「組織再編に係る行為計算否認」規定が適用された初のケースとして話題になったのが、ヤフーの事例だ。税務当局は、ヤフーおよびその子会社が行った合併や会社分割が、子会社の欠損金などを使って税負担を減らすことを目的とした「租税回避」行為に当たるとして、ヤフーおよびその子会社に対し、総額でおよそ500億円もの追徴課税を行っている。ヤフー側はこの処分を不服とし、訴訟の場で国と争っていたが、2014年11月5日には東京高裁でヤフーが敗訴する判決が下されている(子会社の裁判はいまだ東京高裁で進行中)。
この判決をきっかけに、税務当局が組織再編に対する税務調査を強化するとの観測もある。過去に組織再編を行った、あるいはこれから組織再編を行う予定のある企業は「行為計算否認規定」に要注意である。










