2014/07/30 外部から経営トップの登用を実現するための仕組み(会員限定)

 最近、海外競合他社の外国人幹部や異業種大手企業の社長経験者など、外部から経営トップを登用するケースが珍しくなくなってきた。2014年の株主総会でも、外部人材の取締役選任を諮る議案が複数の会社で上程され、報道や論評は「プロ経営者」の時代が来たともてはやしている。このようなケースは今後、日本企業でも増加していくだろう。

 外部の人材を経営者として招へいすることは、外部資源を取り込むM&Aに似ている。企業が長期的な成長イメージを描いた際、その実現のため必要なリソースが手元にそろっていなければ、欠如した部分を補わなければならない。企業内部にあるヒト・モノ・カネを活用して手当てできればいいが、それではスピード感に欠けるということも少なくないだろう。事業ポートフォリオやバリューチェーン*の弱点を早急に補うため、「時間を買う」ことのできるM&Aは効果的な手法と言える。

* 購買した原材料に対し、技術開発、生産、販売、人材育成といった一つひとつの企業活動が価値を付加し、これらが一連となって、最終的に顧客に対する価値が生み出されるとする考え方。

 「経営人材」というリソースに関しても同様である。企業が従来の戦略を転換して新たな方向にカジを切る場合のほか、過去の成功体験から離れた取組みが求められる場合、経営悪化に陥ったり重大な不祥事が発生し、全社的に危機感を高める必要がある場合などにおいて、必ずしも社内に適切なリーダー候補がいるとは限らない。むしろ、既定路線の内部昇格でリーダーを選んだのでは、企業に変化をもたらすことが期待できないケースも多い。トップ人事も「目的」次第で外部調達を検討すべきである。

 もちろん、極端な人選は、社内外のステークホルダーにあつれきをもたらす可能性も否定できない。役員・社員においては意欲や忠誠心の減退、顧客や取引先においては不安や不信感を呼ぶこともある。例えば、外国人経営トップを外部から招へいした際、株主総会で「これは乗っ取りだ」と拒絶反応を示した株主が出てきたり、ライバル会社からのトップ招へいに大口取引先が不快感を示した事例も報告されている。

 しかし、「目的」の達成を厳しく追求するなら、「あつれき」というリスクも相応に覚悟しなければならない。リスク・リターンがともに極大化する典型的な事例が、グローバルなエクセレント・カンパニーから外国人経営者を迎え入れるケースだろう。そこまでのリスクを負うべきでない、または負う必要がなければ、例えば外資系企業での経営経験がある日本人を招くことも選択肢となる。また、社内・グループ内であっても、非中核事業や買収会社など“傍流”の人材を抜てきすることも考えられる。

 ここで重要なポイントとなるのは、いかにして大胆なトップ人事を実現できるかである。近年における外部人材のトップ抜擢を俯瞰すると、オーナー系の企業が断行したケースが目立つ。優れたオーナー企業・オーナー経営者には、短期的な「あつれき」に腰が引けることなく、長期的な企業価値の向上にまい進することのできる風土・資質が備わっているということだろう。また、実際に選任時あるいは選任後に生じた「あつれき」を抑えるのにも、オーナー経営者が有する求心力・指導力が有効となる。

 一方、このようなオーナーシップが期待しにくい非オーナー企業では、短期的なステークホルダーの利害に左右されず、長期的な企業価値に沿ったトップ人選ができる“仕組み”が必要だ。具体的には、社外取締役を中心とする指名委員会*がその役割を果たすことが期待される。指名委員会は、必ずしも委員会設置会社(会社法改正により指名委員会等設置会社に名称変更)でなくても「任意」に設置することができる。大胆なトップ人事を実現するためには、指名委員会と同様の仕組みの導入も一考に値すると言えるだろう。

* 委員会設置会社において、監査委員会、報酬委員会とともに設けられた委員会の1つで、取締役の選任や解任に関する議案の内容を決定する。

2014/07/29 「修正国際基準」と命名された日本版IFRS、採用のメリットは?

 日本企業のIFRS導入を増やすための切り札として期待されてきた「日本版IFRS(エンドースメント*されたIFRS)の開発だが、昨年(2013年)7月からの約1年間の長きにわたる議論を経て、ようやく内容が固まった。日本の会計基準を作成する企業会計基準委員会(ASBJ)は7月中にも公開草案を公表する予定だ(10月末まで意見募集)。

* IFRSの一部を自国会計基準に取り込むこと。

 企業の日本版IFRS採用意欲に大きな影響を与えかねないとして注目を集めてきた“ネーミング問題”は(2014年6月9日のニュース「IFRS採用企業数を左右する日本版IFRSの“ネーミング問題”」参照 )、「修正国際基準(国際会計基準と企業会計基準委員会による修正会計基準によって構成される会計基準)」で決着した(略称は「修正国際基準」)。英語表記では「Japan’s Modified International Standards(JMIS)、Accounting Standards Comprising IFRSs and the ASBJ Modifications」、略称は前半部分の頭文字をとって「JMIS(ジェイミス)」となった。

 ネーミング問題の焦点は「IFRS」の4文字が入るかどうかだったが、この点、IFRSを作成する国際会計基準審議会(IASB)は、自身のブランドを守るために、「IFRS」の表記が入ることを最初から拒んでいたようだ。一方で、金融庁およびASBJとしては、今回の日本版IFRSの導入が「IFRSのエンドースメント手続」と分かる名称でなければ、そもそも導入の意義が伝わらないため、是が非でも「IFRS」の表記を入れたいと主張してきた。このせめぎ合いが、カッコ内に「国際会計基準(IFRS)」という記載を入れることで折り合ったということだ。

 肝心の中身については、・・・

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2014/07/29 「修正国際基準」と命名された日本版IFRS、採用のメリットは?(会員限定)

 日本企業のIFRS導入を増やすための切り札として期待されてきた「日本版IFRS(エンドースメント*されたIFRS)の開発だが、昨年(2013年)7月からの約1年間の長きにわたる議論を経て、ようやく内容が固まった。日本の会計基準を作成する企業会計基準委員会(ASBJ)は7月中にも公開草案を公表する予定だ(10月末まで意見募集)。

* IFRSの一部を自国会計基準に取り込むこと。

 企業の日本版IFRS採用意欲に大きな影響を与えかねないとして注目を集めてきた“ネーミング問題”は(2014年6月9日のニュース「IFRS採用企業数を左右する日本版IFRSの“ネーミング問題”」参照 )、「修正国際基準(国際会計基準と企業会計基準委員会による修正会計基準によって構成される会計基準)」で決着した(略称は「修正国際基準」)。英語表記では「Japan’s Modified International Standards(JMIS)、Accounting Standards Comprising IFRSs and the ASBJ Modifications」、略称は前半部分の頭文字をとって「JMIS(ジェイミス)」となった。

 ネーミング問題の焦点は「IFRS」の4文字が入るかどうかだったが、この点、IFRSを作成する国際会計基準審議会(IASB)は、自身のブランドを守るために、「IFRS」の表記が入ることを最初から拒んでいたようだ。一方で、金融庁およびASBJとしては、今回の日本版IFRSの導入が「IFRSのエンドースメント手続」と分かる名称でなければ、そもそも導入の意義が伝わらないため、是が非でも「IFRS」の表記を入れたいと主張してきた。このせめぎ合いが、カッコ内に「国際会計基準(IFRS)」という記載を入れることで折り合ったということだ。

 肝心の中身については、これまでお伝えしてきたとおり、IFRSにおける(1)ノンリサイクリング(2014年4月16日のニュース「持合株式の売却益は“利益操作”の道具か」参照)、(2)のれんの非償却(2014年4月7日のニュース「IFRS敬遠理由の1つ「のれん=非償却」という世界の常識は変わるか?」参照)の2項目のみが削除・修正の対象となった。この2項目については「エンドースメントしない」という日本の立場を明確に表明した形だが、視点を変えれば、IFRSとの乖離が2項目という最小限にとどまったという見方もできる。今後この2項目について日本の意見が将来IASBに受け入れられれば、「修正国際基準=IFRS」となることも考えられる。日本の金融庁・ASBJの交渉力次第という面はあるが、事業を海外展開しているなどによりIFRSの採用意欲はあるものの、上述のノンリサイクリングやのれんの非償却がネックとなり採用に踏み切れない企業は、ひとまず「修正国際基準」を採用しておいて、修正国際基準の“IFRS化”に期待するというのも1つの手かもしれない。

 このように、修正国際基準では、IFRSからの削除・修正項目は上記2点に絞り込まれたが、検討の過程では、約30の論点が俎上に上っていた。その中で、「減価償却方法の選択(定額法と定率法の選択の判断)」「相場価格のない資本性金融商品への投資に対する公正価値測定(非上場株式の公正価値評価)」などは削除・修正には至らなかったものの、適用や解釈の 困難さがある項目として、ガイダンスや教育文書(適用や解釈の指針を示したり解説するもの)を作成する候補として明示された。これらの項目については、今後、ASBJにおいて、ガイダンス・教育文書の開発が本格的に行われるものとみられ、IFRS任意適用の円滑化に一役買うことになりそうだ。

 なお、2014年7月2日のニュース「企業の採用意欲に影響の恐れ 修正版IFRSに調整表を添付も」でお伝えしたとおり、会計監査人やアナリストからは、上記2つの修正項目とピュアIFRSとの間の差異について「調整表」を作成して開示すべきとの意見が出ていたが、この点は今回の修正国際基準には盛り込まれず、制度面で何らかの手当てをすべきかどうかについて、金融庁で検討することとされた。

2014/07/28 6月株主総会総括 買収防衛策の導入議案で初の否決、監査役への退職慰労金は過半数割れ寸前に

 2014年07月25日のニュース「議決権行使結果から見える機関投資家の関心事」では、議決権行使結果から読み取れる機関投資家の注目ポイントとして、次の3つを挙げたところだ。
(1)役員選任議案においては、取締役よりも監査役の方が賛成率は低い。
(2)退職慰労金支給議案の賛成率が著しく低く、新株予約権発行議案の賛成率も低めである。
(3)その他提案に含まれる買収防衛策の導入議案が著しく低い賛成率である。

 今回は、それぞれのポイントについて、具体例を紹介しよう。・・・

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2014/07/28 6月株主総会総括 買収防衛策の導入議案で初の否決、監査役への退職慰労金は過半数割れ寸前に(会員限定)

 2014年07月25日のニュース「議決権行使結果から見える機関投資家の関心事」では、議決権行使結果から読み取れる機関投資家の注目ポイントとして、次の3つを挙げたところだ。
(1)役員選任議案においては、取締役よりも監査役の方が賛成率は低い。
(2)退職慰労金支給議案の賛成率が著しく低く、新株予約権発行議案の賛成率も低めである。
(3)その他提案に含まれる買収防衛策の導入議案が著しく低い賛成率である。

 今回は、それぞれのポイントについて、具体例を紹介しよう。

ポイント(1)役員選任議案においては、取締役よりも監査役の方が賛成率は低い。
 独立性が特に厳しく問われるケースとして、大株主出身の社外監査役候補者が挙げられる。東急不動産ホールディングスは筆頭株主である東急電鉄の出身者、ジェイテクトは同じくトヨタ自動車の出身者を社外監査役として選任したが、賛成率は前者が58.1%、後者が63.9%にとどまった。取引金融機関の関係者に対しても厳しく、阪和興業が社外監査役候補者とした三井住友銀行の出身者は、賛成率が64.1%だった。

 一方、社外取締役は社外監査役ほど独立性を問われないが、その機能には厳しい目が向けられており、前年の取締役会出席回数が12回中の7回に止まったパナソニックの社外取締役再任者の選任議案に対しては、58.6%と著しく低い賛成率だった。

ポイント(2)退職慰労金支給議案の賛成率が著しく低く、新株予約権発行議案の賛成率も低めである。
 監査役への退職慰労金支給は特に厳しいチェックを受ける。ハマキョウレックスの監査役に対する退職慰労金支給議案は賛成率が51.1%と、かろうじて可決を得た。オービックは取締役を対象とした退職慰労金を諮ったが、62.7%の賛成率にとどまった。金額を「取締役会に一任」としたのが影響した可能性がある。オービックは役員賞与支給議案の対象に監査役も含めており、こちらの賛成率も69.4%と低水準となっている。なお、新株予約権(ストックオプション)の付与議案は、基本的にインセンティブを高める制度として好意的に捉えられており、退職慰労金ほど極端に賛成率が低い事例は少ない。

ポイント(3)その他提案に含まれる買収防衛策の導入議案が著しく低い賛成率である。
 買収防衛策の導入議案に関して、今年は初の否決事例が報じられた。カプコンの継続導入議案がそれで、賛成率は47.4%と過半数に達しなかった。過去において否決事例は存在しないが、総会直前になって導入議案を撤回した事例は2つある(2008年のワークスアプリケーション、2013年の富士フイルムホールディングス)。可決したものの極端に賛成率が低かった事例としては、住友重機械工業の53.2%、信越化学工業の55.3%などが目に付く。なお、今年は議決権行使助言の最大手ISSが、ある会社1社についてのみ買収防衛策の導入議案に賛成推奨したと伝わっている。

 その他の議案では、キーエンスの剰余金処分案が賛成率63.2%にとどまったのが注目される。自己資本比率が90%超とキャッシュリッチなのにもかかわらず、配当性向が2.1%に過ぎないことが要因となった模様。株主資本の有効活用に関しては今後、さらに厳しい目が向けられるものと考えられる。

2014/07/25 議決権行使結果から見える機関投資家の関心事

 2014年6月の株主総会シーズンが終わり、臨時報告書による議決権行使結果が出そろった。今年2月に日本版スチュワードシップ・コード(「責任ある機関投資家」の諸原則)が確定、その原則5には「機関投資家は、議決権の行使と行使結果の公表について明確な方針を持つ」と定められており、これが議決権行使にどれほどの影響を与えるか注目されていた。

 下表は、2013・14年におけるTOPIX Core30採用企業の議決権行使結果である。これを見る限り・・・

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2014/07/25 議決権行使結果から見える機関投資家の関心事(会員限定)

 2014年6月の株主総会シーズンが終わり、臨時報告書による議決権行使結果が出そろった。今年2月に日本版スチュワードシップ・コード(「責任ある機関投資家」の諸原則)が確定、その原則5には「機関投資家は、議決権の行使と行使結果の公表について明確な方針を持つ」と定められており、これが議決権行使にどれほどの影響を与えるか注目されていた。

 下表は、2013・14年におけるTOPIX Core30採用企業の議決権行使結果である。これを見る限りでは賛否の傾向は大きく変わっておらず、むしろ全般的な賛成率は向上しているように見える。今年がスチュワードシップ・コード元年とはいえ、2010年の法令改正(開示府令の改正)で議決権行使結果の開示が義務付けられて以来、機関投資家による議決権行使スタンスは年を追って厳格化されており、また、企業側も反対票を集めやすい議案の上程を見送るケースが増えてきたため、改めて大きな変化は生じなかったのだろう。

議案の種類 2013年 2014年
議案数 賛成率 議案数 賛成率
剰余金処分 26 96.4% 26 95.7%
取締役選任 333 93.8% 345 94.5%
監査役選任 29 87.6% 39 91.2%
定款一部変更 11 97.3% 9 96.2%
退職慰労金支給 2 77.8% 0 -
役員報酬額改定 2 96.6% 6 96.2%
新株予約権発行 5 92.6% 6 92.2%
その他会社提案 13 90.2% 11 91.1%
合計・平均 422 93.4% 442 94.2%

 過去2年間の議決権行使結果を議案別に見ると、次の3つのポイントを挙げることができる。
(1)役員選任議案においては、取締役よりも監査役の方が賛成率が低い。
(2)退職慰労金支給議案の賛成率が著しく低く、新株予約権発行議案の賛成率も低めである。
(3)その他提案に含まれる買収防衛策の導入議案が著しく低い賛成率である。

 以下、それぞれについて解説しよう。

ポイント(1)  役員選任議案においては、取締役よりも監査役の方が賛成率が低い。
 役員選任議案で特に反対票を集めやすいのが、独立性に問題のある社外役員の候補者である。社外役員には、企業内部の論理から離れて「株主利益の代弁者」となることが期待されているため、資本・取引関係があるなどにより独立性が疑われると反対される。特に社外監査役は会社法で選任が義務付けられていることから、社外取締役よりも厳しく独立性が要求されてきた。もっとも、今年(2014年)6月に改正会社法が成立し、社外取締役の選任も実質的に義務化されたことから、今後は両者の格差が縮小していくと見られる。

ポイント(2)  退職慰労金支給議案の賛成率が著しく低く、新株予約権発行議案の賛成率も低めである。
 役員報酬は機関投資家にとって注目度の高いテーマであり、業務執行役員に対して“健全なインセンティブ”を提供しているかどうかが問われる。米英においては、2008年のリーマンショック以降、業績向上を伴わない高額報酬に批判が集まっているが、我が国においては、業績向上に連動しない定額報酬が問題視されている。そのため、年功的かつ後払い的な要素の強い退職慰労金支給議案や、業績連動報酬になじまない監査役や社外役員に対するストックオプション(新株予約権)の発行議案などは反対されやすい。

ポイント(3)  その他提案に含まれる買収防衛策の導入議案が著しく低い賛成率である。
 我が国企業が買収防衛策の導入を株主総会に諮った場合、まず例外なく機関投資家から反対を受ける。取締役会の大部分が社内取締役で占められているため、自らの保身のため防衛策を発動する懸念が払拭できないこと、また、ROE(自己資本利益率)がグローバル水準に著しく劣っている中、経営陣を買収防衛策で守ることに合理性がないこと、などが理由として考えられる。いかに防衛策自体の設計に工夫を凝らしても、ガバナンスやROEに投資家が不満を持つ限り、防衛策に賛成を得ることは難しいだろう。

 日本版スチュワードシップ・コードの原則4は、「機関投資家は、投資先企業との建設的な『目的を持った対話』をする」旨を定めている。この「目的を持った対話」であるエンゲージメントでは、上記の各ポイントが機関投資家の関心事として取り上げられるだろう。企業においては、社外役員の独立性や役員報酬の業績連動性といった個別のテーマはもちろんのこと、株主利益を重視するコーポレートガバナンスの在り方やROE向上に対する考え方などより幅広いテーマについても、投資家と十分に議論できるよう準備しておくことが望まれる。

2014/07/24 (新用語・難解用語)リニエンシー

談合カルテルが行われた場合、公正取引委員会により事業者に対して「ペナルティ」としての課徴金が課されることになる。談合やカルテルなど「不当な取引制限」に対する課徴金の額は、「違反行為の実行期間中(最長3年間)の売上額又は購入額」に対し、製造業の場合は10%、小売業の場合は3%、卸売業の場合は2%となっている(中小事業者の場合、それぞれ4%、1.2%、1%)。

談合 : 公共工事や物品の公共調達の札の際、入札に参加する事業者同士で話し合い、入札価格を調整すること。競争入札を骨抜きにする行為であり、あらかじめ予定した事業者が高値で落札することが可能になる。同業者間で、落札者を持ち回りすることが多い。カルテルの一形態である。

カルテル : 事業者間で、価格や生産量、販売地域などについて協定を結ぶこと。これにより、価格競争による価格低下を防ぐことができる。

リニエンシー(leniency=寛大さ、慈悲。「リーニエンシー」とも言われる)とは、・・・

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2014/07/24 (新用語・難解用語)リニエンシー(会員限定)

談合カルテルが行われた場合、公正取引委員会により事業者に対して「ペナルティ」としての課徴金が課されることになる。談合やカルテルなど「不当な取引制限」に対する課徴金の額は、「違反行為の実行期間中(最長3年間)の売上額又は購入額」に対し、製造業の場合は10%、小売業の場合は3%、卸売業の場合は2%となっている(中小事業者の場合、それぞれ4%、1.2%、1%)。

談合 : 公共工事や物品の公共調達の札の際、入札に参加する事業者同士で話し合い、入札価格を調整すること。競争入札を骨抜きにする行為であり、あらかじめ予定した事業者が高値で落札することが可能になる。同業者間で、落札者を持ち回りすることが多い。カルテルの一形態である。
カルテル : 事業者間で、価格や生産量、販売地域などについて協定を結ぶこと。これにより、価格競争による価格低下を防ぐことができる。

リニエンシー(leniency=寛大さ、慈悲。「リーニエンシー」とも言われる)とは、独占禁止法が禁止する「不当な取引制限」を行った事業者が、独占禁止法に違反した事実を公正取引委員会に自主的に報告し、資料を提出すれば、課徴金の免除や減額を受けられる制度。違反者からの協力を得ることにより談合やカルテルの実態を解明しようというのがその趣旨である。

減免の割合は申告のタイミングと順番により異なる。具体的には、「公正取引委員会の調査開始日前」に最初に申告した会社は課徴金の全額、2番目は50%、3番~5番目は30%、「調査開始日以後」の申告では、1~3番目とも30%となっている。ここに表示した順位後に申告を行っても、課徴金は減免されない。

また、課徴金が減免されるのは調査開始日の前後合わせて「最大5社」となっているため、「調査開始日前」に既に5社から申告が行われていれば、「調査開始日以後」に申告を行った会社は一切減免を受けることができない。

その一方で、「調査開始日前」に最初に申告を行った事業者については、上述のとおり全額課徴金が免除されることに加え、刑事告発の対象からも外れる。要するに“早い者勝ち”がリニエンシーの特徴と言えよう。

なお、過去に違反行為を行った事業者であっても、課徴金減免制度の対象となる。

関連記事  「リニエンシー制度」と日本企業の価値観

2014/07/23 “官製個人情報”が新たな情報漏えいの火種に?

 ベネッセコーポレーションで発生した大量の個人情報流出とその後の度重なる同社に関する報道は、個人情報流出のリスク管理の重要性を改めて企業に認識させたことだろう。

 こうした中、もし漏えいすれば大問題に発展することが確実な“官製個人情報”への対応が企業を悩ませている。それが、・・・

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