今回の消費税率引上げでは、政府が消費税増税分の値引き要求など禁止する「転嫁対策」に力を入れたこともあり、順調に価格への転嫁が進んだ感があるが、その一方で、消費税を転嫁したくてもできず、頭を抱えている会社もある。具体的には、・・・
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今回の消費税率引上げでは、政府が消費税増税分の値引き要求など禁止する「転嫁対策」に力を入れたこともあり、順調に価格への転嫁が進んだ感があるが、その一方で、消費税を転嫁したくてもできず、頭を抱えている会社もある。具体的には、・・・
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今回の消費税率引上げでは、政府が消費税増税分の値引き要求など禁止する「転嫁対策」に力を入れたこともあり、順調に価格への転嫁が進んだ感があるが、その一方で、消費税を転嫁したくてもできず、頭を抱えている会社もある。具体的には、契約期間が平成26年4月1日(消費税率の引上げ日)をまたぐ長期の保守契約に基づき、保守サービスを提供しているところだ。こうした会社では、料金は契約時に一括して前受けしているものの、会計処理上は、契約期間の経過とともに毎月売上を計上するのが通常となっている。
国税庁の見解では、保守契約に基づく役務提供で「平成26年4月1日以後に役務提供が完了するもの」については新税率8%を適用することになっている。
〇国税庁「消費税率引上げに伴う資産の譲渡等の適用税率に関するQ&A」の問3参照
したがって、本来であれば、平成26年4月1日以後に提供される保守サービスについては、顧客に対し税率8%分の消費税を請求すべきなのだが、問題は、契約期間分の料金を一括して前受けしているということだ。
8%分の消費税の負担を顧客に求めるとなると、差額の3%分の消費税を改めて顧客に請求する必要があるが、顧客側には「契約時に対価は支払った」という意識があると思われるだけに、今さら差額を請求するのは気が引けるところだろう。
増税分の請求を見送った会社は、5%の消費税しか請求していない売上について、8%分の納税義務を負うことになる。システム系などの大型保守契約では、この3%分の消費税が数10億円におよぶケースもあり、会社にとっては非常に頭の痛い問題となっている。
そして、忘れてはならないのが、同様の問題は今後も起こり得るということだ。来年(2015年)10月1日からは消費税率が10%に引き上げられるし、現在の日本の財政状態を踏まえると、その後もさらに消費税率が引き上げられる可能性は高い。したがって、これから長期の保守契約を締結する場合には、「消費税率が引き上げられた際には、その差額を追加請求できる」旨の条項を盛り込んだり、対価を月払いに変更するなど、従来の契約内容を見直す必要がありそうだ。
アフリカの紛争地域(コンゴ共和国やその周辺国)で産出されるスズ(tin)、タンタル(tantalum)、タングステン(tungsten)、金(gold)の4つの鉱物のこと。それぞれの頭文字をとって「3TG」とも言われる。
これらの鉱物は、例えばタンタルが携帯電話、PC、レンズ、インクジェットプリンタに使用されるなど先進国での需要が高いが、その売上の一部が紛争地域の武装集団の資金源となっていることが問題視されてきた。
こうした中、米国政府は、・・・
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アフリカの紛争地域(コンゴ共和国やその周辺国)で産出されるスズ(tin)、タンタル(tantalum)、タングステン(tungsten)、金(gold)の4つの鉱物のこと。それぞれの頭文字をとって「3TG」とも言われる。
これらの鉱物は、例えばタンタルが携帯電話、PC、レンズ、インクジェットプリンタに使用されるなど先進国での需要が高いが、その売上の一部が紛争地域の武装集団の資金源となっていることが問題視されてきた。
こうした中、米国政府は、2010年7月に成立した金融規制改革法(ドッド・フランク法)で、米国の証券取引所に上場し、紛争鉱物を製品に使用している企業に対し、紛争鉱物の使用状況に関する情報を開示することを義務付けた。この規制は2013 年1月1日から運用が開始され、最初の報告書(2013年1月1日~2013年12月31日の期間を対象)の提出期限は今月31日(2014年5月31日)となっている。
対象企業は鉱物の原産国調査を行わなければならず、仮にコンゴ共和国やその周辺国産であれば(再生利用品およびスクラップ起源の場合を除く)、鉱物の起源や加工・流通過程、鉱物が使われた製品などをまとめた「紛争鉱物報告書」を作成し、独立した第三者(監査法人等)による監査を受けるとともに、これを開示する必要がある。
この規制はあくまで米国で実施されているものではあるが、日本企業への影響は決して小さくない。米国の証券取引所に上場している日本企業は当然この規制の対象になるほか、たとえ米国の証券取引所に上場していなくても、米国の上場企業を顧客にする日本企業が顧客から紛争鉱物に関する調査・報告を求められるケースが続出している。さらに、その日本企業が仕入先の企業に調査・報告を求める場合も多く、紛争鉱物の“追跡の輪”は連鎖的に広がっている。
また、紛争鉱物の使用禁止が世界的な潮流となる中、日本の上場企業でも、自社製品に紛争鉱物を使用しないよう、サプライヤーに対し材料や部品に紛争鉱物を使用しないことを求める「調達ガイドライン」や「CSR調達基準」を独自に定めるところが増えている。そして、こうした取組みをCSR報告書等において開示するケースも一般的になりつつある。
一方で、監査法人が、紛争鉱物に関する開示や、紛争鉱物を排除するための管理体制の支援事業に乗り出しているほか、電子部品・材料、IT分野の業界団体である電子情報技術産業協会(JEITA)も、紛争鉱物の排除を支援する活動に力を入れている。「紛争鉱物の排除」は、日本の上場企業の経営課題の1つとして定着することになりそうだ。
入札談合、受注調整(注文による取引に際して、競争者間であらかじめ受注者を決定すること)、価格カルテル、優越的地位の濫用等の不公正な取引などの独占禁止法違反は、企業のレピュテーションを大きく傷つけることになる。平成24年度においては、独占禁止法違反を犯した延べ113名の事業者に対し、総額250億7,644万円の課徴金の納付命令が下されている。
“確信犯”である場合はともかく、企業が公正取引委員会(以下、公取)が行う処分に対して不服を抱くケースもあろう。このような場合に活用されてきたのが「審判制度」だ。これは、公取に対して処分の不服を申し立てる手続きだが、処分を行った公取自ら当該行政処分の適否を「審判」することは公平性に欠けるとの指摘を受け、昨秋の臨時国会で独占禁止法の改正法案が成立・公布され、公布日(平成25年12月13日)から1年6か月以内に廃止されることが決定している。
もっとも、企業にとっては実際に処分がなされた“後”の話である審判制度の廃止よりも、むしろ、それによって公取の立入検査がどのような影響を受けるのかということへの関心の方が高いだろう。これまでも、立入検査により被疑事実と無関係なものまで押収され、事業活動が行えない事態に至るといった事例も報告されており、立入検査に対する企業側の警戒感は強い。
こうした中、独占禁止法の改正議論においては、審判制度の廃止とは別に、公取が行う調査手続の適正化確保についても検討が行われてきた。昨秋の改正時点では結論が出なかったものの、改正法の附則16条において「改めて検討を行う」ことが明記された。これを受け、現在、内閣府において、・・・
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入札談合、受注調整(注文による取引に際して、競争者間であらかじめ受注者を決定すること)、価格カルテル、優越的地位の濫用等の不公正な取引などの独占禁止法違反は、企業のレピュテーションを大きく傷つけることになる。平成24年度においては、独占禁止法違反を犯した延べ113名の事業者に対し、総額250億7,644万円の課徴金の納付命令が下されている。
“確信犯”である場合はともかく、企業が公正取引委員会(以下、公取)が行う処分に対して不服を抱くケースもあろう。このような場合に活用されてきたのが「審判制度」だ。これは、公取に対して処分の不服を申し立てる手続きだが、処分を行った公取自ら当該行政処分の適否を「審判」することは公平性に欠けるとの指摘を受け、昨秋の臨時国会で独占禁止法の改正法案が成立・公布され、公布日(平成25年12月13日)から1年6か月以内に廃止されることが決定している。
もっとも、企業にとっては実際に処分がなされた“後”の話である審判制度の廃止よりも、むしろ、それによって公取の立入検査がどのような影響を受けるのかということへの関心の方が高いだろう。これまでも、立入検査により被疑事実と無関係なものまで押収され、事業活動が行えない事態に至るといった事例も報告されており、立入検査に対する企業側の警戒感は強い。
こうした中、独占禁止法の改正議論においては、審判制度の廃止とは別に、公取が行う調査手続の適正化確保についても検討が行われてきた。昨秋の改正時点では結論が出なかったものの、改正法の附則16条において「改めて検討を行う」ことが明記された。これを受け、現在、内閣府において、「独占禁止法審査手続についての懇談会」が開催されており、弁護士を関与させることによって手続の適正性を確保するという観点からの検討が行われている。例えば、公取が行政調査の一環として立入検査に入る際には、弁護士が到着するまでは立入検査の実施を待つことや、供述聴取において、誘導的な質問への防御のために弁護士の立会いを認めることなどだ。
ただ、法制度として弁護士の関与が認められるかは微妙と言える。弁護士が到着するまでの間に証拠隠滅が行われる恐れや、事情聴取の中断により円滑な調査が阻害されると指摘する声も強いからだ。
調査に関係ない書類の押収を拒否することさえも難しい企業としては(公取は、「直接的な証拠でなくとも、違反行為に関連する資料は、他の資料と関連付けることにより立証に資することから、関連資料も立入検査の際に収集することが不可欠」との立場。強制調査に従わない場合には、刑事罰(独禁法94条3号)の対象になる)何とも厳しい状況だが、審判制度の廃止がこの状況を多少なりとも変える可能性はある。審判制度の廃止により、公取にとっては自ら行った処分の適否がそのまま裁判で争われることになるため、これまで以上に調査過程の重要性が高まるからだ。公取はこれまでよりも調査に慎重になり、執行実務がやりにくくなることも考えられる。
もちろん、企業としては、そもそも公取が立入検査に入るような事態を起こさないようコンプライアンスを徹底することが何よりも重要だが、審判制度の廃止が、冒頭でも紹介した独占禁止法違反事件の処理状況にどのような影響を与えるのか、審判制度廃止以降の動向が注目される。
金融業界が真に恐れるべきライバルは、現在の金融業界にはいないかもしれない。
新たなライバルとなり得るのが、グーグルやアップル、フェイスブック、アマゾンなどのIT企業だ。実際、グーグルは既にオンライン決済サービスという金融ビジネスに進出しているほか、フェイスブックも同様のサービスを開始する見込みである。さらに、アマゾンはKindle Fire(電子ブックリーダー)ユーザー向けに、現金と同じように課金に使用できる仮想通貨「アマゾン・コイン」を2013年から導入している。
これらのIT企業が既存の金融業界を脅かす可能性がある理由としてまず挙げられるのが、若年層に対する高い認知度と膨大なネットワークだろう。この認知度とネットワークは、既存の金融業界が浸透し切れていない若年層が有する資金の獲得に大きな力を発揮すると見る金融関係者は少なくない。
もう1つの理由が、・・・
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金融業界が真に恐れるべきライバルは、現在の金融業界にはいないかもしれない。
新たなライバルとなり得るのが、グーグルやアップル、フェイスブック、アマゾンなどのIT企業だ。実際、グーグルは既にオンライン決済サービスという金融ビジネスに進出しているほか、フェイスブックも同様のサービスを開始する見込みである。さらに、アマゾンはKindle Fire(電子ブックリーダー)ユーザー向けに、現金と同じように課金に使用できる仮想通貨「アマゾン・コイン」を2013年から導入している。
これらのIT企業が既存の金融業界を脅かす可能性がある理由としてまず挙げられるのが、若年層に対する高い認知度と膨大なネットワークだろう。この認知度とネットワークは、既存の金融業界が浸透し切れていない若年層が有する資金の獲得に大きな力を発揮すると見る金融関係者は少なくない。
もう1つの理由が、あくなき技術革新へのチャレンジだ。グーグルは人工知能の研究・開発を行っているが、こうした技術革新に取り組む姿勢は、若年層が求める最先端の分析ツールや柔軟な資金移動を可能にする新たな仕組みを産み出す可能性がある。
多様な個人情報にアクセスすることができるIT企業の金融業界進出を懸念する声があるのは事実だが、一方で、中国最大手のオンラインマーケットであるアリババ、SNSやインスタントメッセンジャーネットを通じてリアルタイムコミュニケーションを実現するアプリを展開するテンセントが既存のアセット・マネジメント会社と提携し、短期間での膨大な資金集めに成功しているという実例もある。
金融業界がIT企業の本格参入に備えるためには、昔ながらの対面による顧客面談にとどまることなく、最先端の分析ツール等の開発に努める必要があろう。「金融事業とITの融合」が金融業界の将来を大きく左右することになりそうだ。
3月決算法人の株主総会が目前に迫る中、日本版スチュワードシップ・コードの導入とともにいわゆる「モノ言う投資家」であるアクティビストに注目が集まっているが、株主提案や委任状争奪戦といった、株主総会を舞台とした直接的な攻防は減少傾向にある。実際、2013年シーズン(2012年7月~2013年6月)に株主提案を受けた企業数は27社で、アクティビストによるものは英チルドレンズ・インベストメントなどごく少数にとどまっている。ちなみに、2012年シーズン(2011年7月~2012年6月)は38社と過去最高だったが、これは電力会社に対する反原発関連の議案が急増したからに過ぎない。
このような傾向の背景には、アクティビストが「株主提案等に訴えても経営陣の反発を煽るだけで、期待する効果(経営改善による株価上昇)は得られないのではないか」と見ていることもあろう。その一方で近年になって増えているのが、アクティビストによる“非公式”の接触である。典型的なのが、経営改革を求めるレターの送付で、ROEの改善や株主還元の充実、コーポレートガバナンスの強化などに関する考え方を提示したうえで、企業の現状とギャップがある場合は議決権行使に反映すると通告するといった内容が一般的である。
では、企業側としては、アクティビストからのこうしたアクションに対し、どのように対応すればよいのだろうか。アクティビストからのレターに対しては、・・・
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3月決算法人の株主総会が目前に迫る中、日本版スチュワードシップ・コードの導入とともにいわゆる「モノ言う投資家」であるアクティビストに注目が集まっているが、株主提案や委任状争奪戦といった、株主総会を舞台とした直接的な攻防は減少傾向にある。実際、2013年シーズン(2012年7月~2013年6月)に株主提案を受けた企業数は27社で、アクティビストによるものは英チルドレンズ・インベストメントなどごく少数にとどまっている。ちなみに、2012年シーズン(2011年7月~2012年6月)は38社と過去最高だったが、これは電力会社に対する反原発関連の議案が急増したからに過ぎない。
このような傾向の背景には、アクティビストが「株主提案等に訴えても経営陣の反発を煽るだけで、期待する効果(経営改善による株価上昇)は得られないのではないか」と見ていることもあろう。その一方で近年になって増えているのが、アクティビストによる“非公式”の接触である。典型的なのが、経営改革を求めるレターの送付で、ROEの改善や株主還元の充実、コーポレートガバナンスの強化などに関する考え方を提示したうえで、企業の現状とギャップがある場合は議決権行使に反映すると通告するといった内容が一般的である。
では、企業側としては、アクティビストからのこうしたアクションに対し、どのように対応すればよいのだろうか。アクティビストからのレターに対しては、早期に返答するのが望ましい。返信したからといって反対行使のスタンスが即、賛成に転じるといった劇的な効果は考えにくいが、株主が手間とコストをかけて「良かれ」と思ってコンタクトしてきた以上、無視や軽視するような態度は好ましくない。既に公表している経営計画や株主還元の方針、コーポレートガバナンスの取組みなどを提示したうえで、それらが株主の理解を得られるように努力するとともに、今後も株主の声を真摯に受け止めていく旨を簡潔に説明すればよいだろう。
ただし、このような対応はあくまでも“対症療法”に過ぎない。そもそも「投資先企業に経営改善を働きかける」のがアクティビストであり、換言すれば「経営に改善余地が大きい企業」であるからこそ、投資対象に選ばれているとも言える。アクティビストに狙われる企業は、非効率な事業を温存しているためROEが低い、過剰な金融資産を抱え込んでいるのに配当が少ない、といった“付け込まれる隙”があることが最大の問題なのである。アクティビスト対策を端緒として、企業価値の向上という「根治療法」に邁進することが望まれる。
また、日本版スチュワードシップ・コードでは、「機関投資家は、投資先企業との建設的な『目的を持った対話』を通じて、投資先企業と認識の共有を図るとともに、問題の解決に努めるべきである」と定めており、今後は国内外を問わずメインストリームの機関投資家(年金基金、投資信託、投資顧問など)が、投資先企業に積極的な対話(エンゲージメント)を求めることになる。レター送付や面談要求はアクティビストに限らないので、上場会社の責務として誠実に対応するべきである。
先鋭的なアクティビストになると、株主総会前に経営トップとの面談を要求してくるケースもある。面談を断った場合、株主総会に出席して経営陣を糾弾することを匂わす例もあり、企業としては慎重な対応を迫られるが、経営トップとの面談を要求されたからといって、必ずしも応じる義務はない。相手の主張や狙いを見定めた上で、経営トップと会わせる必要があるかどうか、株主総会にどのような影響があるのか、改めて検討することになる。この点については、役員会Good&Bad発言集「モノ言う株主に社長を会わせるべきか」を参照のこと。