2024/02/08 ESG 格付機関等にさらなる規制の動きも(会員限定)

企業のESG 関連の情報を収集して評価するESG評価機関やESGデータ提供機関の信頼性が問われる中、日本の金融庁は2022 年12 月、世界各国に先駆けてESG評価・データ提供機関の行動規範をとりまとめたところだが(2022年6月27日のニュース「ESG評価・データ提供機関の行動規範、コンプライorエクスプレイン方式に」、「2022年11月22日のニュース「速報 ESG評価・データ提供機関の行動規範案の修正事項」参照)、将来的には以下会員エリア現在のような自主規制にとどまらず、法的規制が導入される可能性が出てきた。

サステナブル・ファイナンスの急速な拡大を受け、ESG 格付・データ提供機関の影響力が強まっているが、このような状況に対し、世界各国・地域の証券監督当局や証券取引所等から構成される投資家保護などを目的とした国際的な機関であるIOSCO(証券監督者国際機構)は「潜在的に、投資家保護、市場の透明性等に関するリスクが懸念される」と指摘してきた。2021年11月にはESG 評価・データ提供機関に期待される行動規範を取りまとめた報告書を発表し、各国・地域で同報告書に準じた行動規範の導入等が進んだ。日本の金融庁がとりまとめた上記の企業行動規範も同報告書をベースとしている。


サステナブル・ファイナンス : ESG投資やグリーンボンドの発行といった「持続可能な社会を実現するための金融」を意味する。

日本に続き、シンガポールの金融管理局が 2023年12 月 13 日に同様の行動規範を発表したほか、同 20 日には、EU の欧州理事会が、ESG格付・データ提供機関を欧州証券市場監督局の認可下に置く案を発表しており、今後、EU 議会において議論される予定となっている。


欧州理事会 : 加盟国の首脳らをメンバーとし、全体的な政治指針と優先課題を決定するEUの政治的最高意思決定機関

さらに、スイスに本部を置く国際的な証券業の業界団体である国際資本市場協会(ICMA ※日本からは野村證券、みずほ証券、三菱UFJ銀行、ゆうちょ銀行、日本政策投資銀行などが加入)も、2023年12月14 日にESG 格付・データ提供機関に対する行動規範を発表している。ICMAは業界団体とはいえ、この行動規範は、英国の金融規制当局であるFCAの委嘱を受け、ロンドン証券取引所、債券等の格付会社大手のムーディーズなど証券業界関係者から構成されるワーキング・グループで検討されており、公的な性格が強い。ICMAの行動規範はIOSCOの報告書に準じて、「グッド・ガバナンス」「品質の確保」「利益相反」「透明性」「守秘義務」「エンゲージメント」の6つの原則で構成されている。特に、ESG格付・データ提供機関は、企業分析や評価の判断の独立性を担保する必要があるとともに、評価対象企業と円滑なコミュニケーションをとる「エンゲージメント」の重要性、また、ESG 格付・データ提供機関はESG格付業務のほかにコンサルティングや信用格付などの業務を行っていることがあり、同一企業内での「利益相反」の可能性が指摘された点、注目される。ちなみに、EUでは、欧州委員会がESG格付業務とコンサルティング業務を別法人に分割させることを検討したが、業界から強い反発を受けたため、現在の欧州理事会案では、ESG 格付業務とコンサルティング業務担当部署を分け、利益相反を回避するための措置を講じる限り、別法人を設置することまでは求めていない。


欧州委員会 : 加盟国の首脳らをメンバーとし、全体的な政治指針と優先課題を決定するEUの政治的最高意思決定機関

ICMAによる行動規範の発表に合わせ、英国FCAのESG担当ダイレクターが登壇して開催されたセミナーでは、グローバルで統一されたルールの重要性が強調され、すべての ESG格付・データ提供機関が行動規範を採用するよう呼びかけるとともに、FCAが「法的規制」導入の可能性を継続的に検討していることが明らかにされている。ESG 格付・データ提供機関は、現状では規制当局の監督下にないが、ICMA が今回公表した行動規範を英国のみならず国際的に共通の基準とすることを志向していることを踏まえると、仮に英国で法的規制が導入されることになれば、この動きは日本を含む世界各国に影響を与える可能性がある。英国FCAの動きが注目される。

2024/02/07 サプライチェーン全体を通じた構造的な賃上げへの経営トップと社外取締役の関わり方

最近の原材料価格や電気料金・ガソリン価格などのエネルギーコストの上昇に伴う物価上昇は著しく、企業は物価上昇を上回る賃上げを迫られている。最低賃金も上昇しており、東京都の1,113円を筆頭に1,000円超えが8つの自治体(東京以外では、神奈川県、大阪府、埼玉県、愛知県、千葉県、京都府、兵庫県)に拡大している。上場会社ともなれば、自社の従業員の賃上げはもちろんのこと、サプライチェーン全体を通じた構造的な賃上げにも配慮しなければならない。

サプライチェーン全体での構造的な賃上げにあたっては、・・・

このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。

続きはこちら
まだログインがお済みでない場合は ログイン画面に遷移します。
会員登録はこちらから

2024/02/07 サプライチェーン全体を通じた構造的な賃上げへの経営トップと社外取締役の関わり方(会員限定)

最近の原材料価格や電気料金・ガソリン価格などのエネルギーコストの上昇に伴う物価上昇は著しく、企業は物価上昇を上回る賃上げを迫られている。最低賃金も上昇しており、東京都の1,113円を筆頭に1,000円超えが8つの自治体(東京以外では、神奈川県、大阪府、埼玉県、愛知県、千葉県、京都府、兵庫県)に拡大している。上場会社ともなれば、自社の従業員の賃上げはもちろんのこと、サプライチェーン全体を通じた構造的な賃上げにも配慮しなければならない。

サプライチェーン全体での構造的な賃上げにあたっては、内閣官房および公正取引委員会が連名で公表している「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」(以下、本指針)が参考になる(概要はこちら)。本指針は、事業者の発注者・受注者の双方の立場から労務費の転嫁に関する行動指針をとりまとめたものであり、発注者および受注者がとるべき行動、求められる行動を示している。本指針およびその内容は下表のとおり(右列は当フォーラムによる解説)。

<発注者側(労務費の転嫁を理由に値上げを求められた場合)の行動指針>
行動指針 内容 解説
(1)本社(経営トップ)の関与 ①労務費の上昇分について取引価格への転嫁を受け入れる取組方針を具体的に経営トップまで上げて決定すること。
②経営トップが同方針又はその要旨などを書面等の形に残る方法で社内外に示すこと。
③その後の取組状況を定期的に経営トップに報告し、必要に応じ、経営トップが更なる対応方針を示すこと。
・取引先から労務費の転嫁を理由に値上げを求められても、その是非を交渉現場の担当者だけで判断させることはやめさせるべきである。なぜなら、担当者は、業績向上に貢献し自身の評価が上がることを第一に考えがちなため、値上げ要請を一方的にはねつけて協議が終わる可能性があるからだ。そうならないためには、「経営トップが方針を示すこと」「交渉現場の担当者が当該方針を認識していること」「交渉現場の担当者から経営トップへのフィードバック」が重要となる。
・②の「社外」への方針提示のやり方としては「パートナーシップ構築宣言」が考えられる(「パートナーシップ構築宣言」については、2021年10月1日のニュース『「パートナーシップ構築宣言」を利用したSDGsウオッシュに懸念の声』を参照)。
・経営トップのコミットメントに加え、調達部門から独立して労務費の転嫁を含む価格転嫁の状況を把握する専門部署や受注者からの相談窓口を設置したり、親会社だけでなくグループ会社においても親会社に倣った対応をしたりすることも、円滑な労務費の転嫁を進める上で有効かつ適切である(本指針の4ページを参照)。
(2)発注者側からの定期的な協議の実施 ・受注者から労務費の上昇分に係る取引価格の引上げを求められていなくても、業界の慣行に応じて1年に1回や半年に1回など定期的に労務費の転嫁について発注者から協議の場を設けること。特に長年価格が据え置かれてきた取引や、スポット取引と称して長年同じ価格で更新されているような取引においては転嫁について協議が必要であることに留意が必要である。
・協議することなく長年価格を据え置くことや、スポット取引とはいえないにもかかわらずスポット取引であることを理由に協議することなく価格を据え置くことは、独占禁止法上の優越的地位の濫用又は下請代金法上の買いたたきとして問題となるおそれがある。
・少なくとも定期的な協議の場があれば、受注者としても交渉しやすくなり、協議を経た上での価格据え置きであれば、発注者としても優越的な地位の濫用や下請代金法上の買いたたきを問われにくくなる。
(3)説明・資料を求める場合は公表資料とすること 労務費上昇の理由の説明や根拠資料の提出を受注者に求める場合は、公表資料(最低賃金の上昇率、春季労使交渉の妥結額やその上昇率など)に基づくものとし、受注者が公表資料を用いて提示して希望する価格については、これを合理的な根拠があるものとして尊重すること。 ・公表数値(下記は例示)を用いることで相互に納得感のある公平な協議が可能となる。
「都道府県別の最低賃金やその上昇率」
「春季労使交渉の妥結額やその上昇率」
「国土交通省が公表している公共工事設計労務単価における関連職種の単価やその上昇率」
「一般貨物自動車運送事業に係る標準的な運賃」
「厚生労働省が公表している毎月勤労統計調査に掲載されている賃金指数、給与額やその上昇率」
「総務省が公表している消費者物価指数」
「ハローワーク(公共職業安定所)の求人票や求人情報誌に掲載されている同業他社の賃金」
・受注者から当該公表資料に基づいて提示された額は合理性を有するものとして尊重し、仮に発注者がこれを満額受け入れない場合には、その根拠や合理的な理由を説明することが求められる(本指針の7ページを参照)。
・発注者が過度に詳細な理由の説明や根拠資料を求めたり、受注者が明らかにしたくない内部情報に係るものの説明や根拠資料の提出を求めたりした結果、受注者が転嫁の要請を断念することもあるので、経営トップの方針には本指針(3)の内容を明記しておくことが望ましい。
・価格交渉を行うための条件として、公表資料に基づく労務費上昇の理由の説明や根拠資料が提出されているにもかかわらず、これに加えて詳細な資料等や受注者のコスト構造に関わる内部情報まで求めることは、そのような情報を用意することが困難な受注者や取引先に開示したくないと考えている受注者にとっては、実質的に受注者からの価格転嫁に係る協議の要請を拒んでいるものと評価され得る。こうした中、これらが示されないとして明示的に協議することなく取引価格を据え置けば、独占禁止法上の優越的地位の濫用又は下請代金法上の買いたたきとして問題となるおそれがあることに、発注者は留意が必要である(本指針の9ページを参照)。
(4)サプライチェーン全体での適切な価格転嫁を行うこと 労務費をはじめとする価格転嫁に係る交渉においては、サプライチェーン全体での適切な価格転嫁による適正な価格設定を行うため、直接の取引先である受注者がその先の取引先との取引価格を適正化すべき立場にいることを常に意識して、そのことを受注者からの要請額の妥当性の判断に反映させること 価格転嫁がサプライチェーンを通じて適切に行われるためには、発注者がサプライチェーン全体を考えて行動すべきである。本指針では、「サプライチェーン全体の付加価値向上を図るため、毎月実施している直接の取引先である受注者(一次取引先)との会合において、二次取引先以降の値上げも含めて転嫁を求めてくるように声がけをすることを要請している。具体的には、ある一次取引先が4社の二次取引先を有しており、そのうち3社と取引価格を引き上げることに合意し、その分の転嫁を求めてきたことから、残りの1社に対しても、取引価格の引上げの必要性を確認するように求めたといった取組事例が紹介されている(本指針の10ページを参照)。
(5)要請があれば協議のテーブルにつくこと 受注者から労務費の上昇を理由に取引価格の引上げを求められた場合には、協議のテーブルにつくこと。労務費の転嫁を求められたことを理由として、取引を停止するなど不利益な取扱いをしないこと。 ・エネルギーコストの上昇を理由とした取引価格の引上げは認められやすいが、労務費の上昇を理由にした場合は協議のテーブルについてもらえないケースが散見されることが、(5)の指針が制定された背景にある。
・(2)の「発注者側からの定期的な協議」があることを理由に、受注者からの協議の要請を断らないようにしたい。
・持続的な賃上げの実現の観点からは、受注者が過去に引き上げた賃金分の転嫁だけでなく、今後賃金を引き上げるために必要な分の転嫁についても同様に、協議のテーブルにつくことが求められる(本指針の11ページを参照)。
(6)必要に応じ考え方を提案すること 受注者からの申入れの巧拙にかかわらず受注者と協議を行い、必要に応じ労務費上昇分の価格転嫁に係る考え方を提案すること。 「申入れの巧拙にかかわらず」は分かりづらい表現だが、受注者の中には、労務費を理由とした取引価格の引上げの具体的な理由や要請額の算定方法などの説明が上手ではない者もいるであろうことを踏まえ、発注者は「説明の上手な受注者」が用いていた算定方法の例を「説明が上手ではない受注者」にアドバイスするなど、受注者に寄り添った対応が求められるということを指している。
<受注者側(労務費の転嫁を理由に値上げを求める場合)の行動指針>
行動指針 留意点 解説
(7)相談窓口の活用 労務費上昇分の価格転嫁の交渉の仕方について、国・地方公共団体の相談窓口、中小企業の支援機関(全国の商工会議所・商工会等)の相談窓口などに相談するなどして積極的に情報を収集して交渉に臨むこと。 相談窓口(本指針の14ページを参照)には類似の相談が寄せられている可能性があり、交渉のヒントを得ることが期待できる。
(8)根拠とする資料 発注者との価格交渉において使用する労務費の上昇傾向を示す根拠資料としては、最低賃金の上昇率、春季労使交渉の妥結額やその上昇率などの公表資料を用いること。 これらの公表資料には経済の実態が反映されていることから、根拠として用いるのは合理的と言える。
(9)値上げ要請のタイミング 労務費上昇分の価格転嫁の交渉は、業界の慣行に応じて1年に1回や半年に1回など定期的に行われる発注者との価格交渉のタイミング、業界の定期的な価格交渉の時期など受注者が価格交渉を申し出やすいタイミング、発注者の業務の繁忙期など受注者の交渉力が比較的優位なタイミングなどの機会を活用して行うこと。 発注者が翌年度の予算を策定する前は絶好のタイミングと言える。また、春闘や最低賃金切り上げが盛んに報道されているタイミングも値上げ要請の納得感を得やすい時機と言える。
(10)発注者から価格を提示されるのを待たずに自ら希望する額を提示 発注者から価格を提示されるのを待たずに受注者側からも希望する価格を発注者に提示すること。発注者に提示する価格の設定においては、自社の労務費だけでなく、自社の発注先やその先の取引先における労務費も考慮すること。 自社のことしか念頭にないまま発注者に希望価格を提示すると、発注先から値上げ要請を受けて初めて、当初の希望価格では足りなかったことが判明する可能性がある。

このほか、発注者・受注者の双方がとるべき行動/求められる行動として、「(11)定期的なコミュニケーション」と「(12)交渉記録の作成、発注者と受注者の双方での保管」が求められている。

これら12の指針のうち最も重要なのが、(1)の「労務費の上昇分について取引価格への転嫁を受け入れる取組方針」を経営トップが定めることだ。そもそも、「労務費も原材料価格やエネルギーコストと同じく適切に価格に反映させるべきコスト」(本指針の11ページを参照)であることには変わりはないはずだが、労務費の上昇は自社の生産性・効率性の向上により社内で吸収すべきであるとの考え方が、発注者には根強くある。このような発注者の意識改革は必須であり、そのためには経営トップ自身が本指針(1)の「労務費の上昇分について取引価格への転嫁を受け入れる取組方針」に強くコミットすることが会社全体の変革の起点になる。仮に経営トップが同取組方針を示さない場合には、社外取締役が方針策定を促すようにする必要がある。

本指針では、これら12の行動指針に加えて、「価格交渉の申込み様式」(※Wordが開きます)も示されている。本指針では、「価格交渉の申込み様式」に記載されているとおり、「原材料価格」「エネルギーコスト」「労務費」など、各コスト要素に分けて、見積もりを提示し、交渉に臨むことを推奨している。

また、本指針には、12の行動指針に沿わないような行為をすることにより公正な競争を阻害するおそれがある場合には、公正取引委員会が独占禁止法および下請代金法に基づき厳正に対処することが明記されている(本指針の3ページの波線部分)。一方で、発注者として適切な行動を全ての面でとっている場合、取引当事者間で十分に協議が行われたものと考えられ、通常は独占禁止法および下請代金法上の問題が生じない旨も明記されている(本指針の3ページの波線部分)。上場会社としては、独占禁止法および下請代金法違反行為を未然に防止する観点からも、本指針の遵守を心掛けたい。

2024/02/06 政府、自社株買いへの“ペナルティ”に関心

PBR1倍割れの企業に対する東証や投資家等の風当たりが強くなる中、PBR1倍を達成するために、自社株買いを行う企業が相次いでいるのは周知のとおり。


PBR : Price Book-value Ratio=株価純資産倍率(株価÷1株当たり株主資本)。株価が1株当たり純資産(BPS:Book value Per Share)の何倍まで買われているか(=1株当たり純資産の何倍の値段が付いているか)を指す。PBRが1.0を大幅に下回る場合、投資家が企業の将来性に疑問を持っていたり、減損リスクのように潜在的な資産の含み損が多額にのぼる可能性が株価に織り込まれていたりすることを示唆する。

PBRは株価純資産倍率と訳されるように、「株価÷1株当たり純資産(=1株当たり株主資本)」によって計算される。PBRの計算式の分母・分子に「1株当たり当期純利益」を入れ込むと、PBRの計算式は下記のように変形することができる(分母・分子の「1株当たり当期純利益」は打ち消し合うため、「株価÷1株当たり純資産(=1株当たり株主資本)」(PBR)が残る)。

PBR=「株価/1株当たり当期純利益」×「1株当たり当期純利益/1株当たり株主資本」

このうち「株価/1株当たり当期純利益」とはPER(株価収益率)であり、「1株当たり当期純利益/1株当たり株主資本」はROE(株主資本収益率)を指す。すなわち、「PBR=PER×ROE」という関係にある。そこで、PBRを上げるために、自己株式を購入してROEの分母となる株主資本を減少させようという動きが日本の上場企業の間で広がっているが、実はこれは・・・


PER : Price Earnings Ratio=株価収益率(株価/1株当たり純利益)
ROE : Return On Equity=株主資本利益率(当期純利益/株主資本)

このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。

続きはこちら
まだログインがお済みでない場合は ログイン画面に遷移します。
会員登録はこちらから

2024/02/06 政府、自社株買いへの“ペナルティ”に関心(会員限定)

PBR1倍割れの企業に対する東証や投資家等の風当たりが強くなる中、PBR1倍を達成するために、自社株買いを行う企業が相次いでいるのは周知のとおり。


PBR : Price Book-value Ratio=株価純資産倍率(株価÷1株当たり株主資本)。株価が1株当たり純資産(BPS:Book value Per Share)の何倍まで買われているか(=1株当たり純資産の何倍の値段が付いているか)を指す。PBRが1.0を大幅に下回る場合、投資家が企業の将来性に疑問を持っていたり、減損リスクのように潜在的な資産の含み損が多額にのぼる可能性が株価に織り込まれていたりすることを示唆する。

PBRは株価純資産倍率と訳されるように、「株価÷1株当たり純資産(=1株当たり株主資本)」によって計算される。PBRの計算式の分母・分子に「1株当たり当期純利益」を入れ込むと、PBRの計算式は下記のように変形することができる(分母・分子の「1株当たり当期純利益」は打ち消し合うため、「株価÷1株当たり純資産(=1株当たり株主資本)」(PBR)が残る)。

PBR=「株価/1株当たり当期純利益」×「1株当たり当期純利益/1株当たり株主資本」

このうち「株価/1株当たり当期純利益」とはPER(株価収益率)であり、「1株当たり当期純利益/1株当たり株主資本」はROE(株主資本収益率)を指す。すなわち、「PBR=PER×ROE」という関係にある。そこで、PBRを上げるために、自己株式を購入してROEの分母となる株主資本を減少させようという動きが日本の上場企業の間で広がっているが、実はこれは日本に限ったことではない。米国企業でも同様の動きがあり、米国政府はこれを問題視している。こうした中、米国では2022年にインフレーション抑制法(IRA=the Inflation Reduction Act of 2022)が成立し、2023年1月1日以降に行われた自己株式取得から適用されている。IRAとは、上場企業に自社株買いよりも人的資本投資や研究開発投資などを行うよう促すため、自社株買いを行った場合、買付け金額に対し1%の付加税を課すもの。付加税率を4%に引き上げることも検討されている。


PER : Price Earnings Ratio=株価収益率(株価/1株当たり純利益)
ROE : Return On Equity=株主資本利益率(当期純利益/株主資本)

そして、日本でも自社株買いに走る上場企業が相次ぐ中、当フォーラムの取材により、政府内でもIRAへの関心が高まっており、“日本版IRA”の導入の是非を検討すべく、政治サイドから担当当局に対し、米国のIRAについて調査するよう指示があったことが確認された。

仮に“日本版IRA”が導入されれば、PBRの引上げを目的とした自社株買いに急ブレーキがかかる可能性がある。当フォーラムの取材によると、政権幹部はIRAについて「大変興味を持っている」とコメントしている。“日本版IRA”の導入が実現するかどうかは現時点では未知数だが、政府がPBR引上げのための自社株買いにネガティブな考えを持っていることは間違いない。上場企業は成長投資によりPBRを引き上げることに邁進する必要があろう。

2024/02/05 【新任役員向けトレーニングプログラム】内部統制報告制度(J-SOX)の更新

下記の【新任役員向けトレーニングプログラム】につき、法令等の改正や実務動向の変化に対応するため、講義内容(動画およびレジュメの双方)を更新いたしました。本動画は新任役員向けトレーニングプログラムの受講の契約をされている方のみが閲覧可能です。

概略

内部統制報告制度(J-SOX)に対して「面倒」「コストがかかる」といった印象を持つ経営陣も少なくありません。また、取締役会で内部監査室などから「全社(レベル)統制」「業務プロセス統制」といった用語を交えた報告を受けても具体的にイメージできないものの「自分には関係ない」とスルーしてしまう経営陣も少なくないのではないでしょうか。しかし、経営陣には適切な内部統制を構築する義務がある以上、J-SOXへの理解を深めることは「経営陣の義務」と言っても過言ではありません。本講義では、J-SOXの概要やいわゆる3点セット(フローチャート、業務記述書、RCM)の位置付けなどを説明した上で、内部統制を構築する際の不備事例とその対応策(是正結果)を確認します。特に、内部統制の重要な欠陥に該当する恐れがある経営者不正、従業員不正、子会社での不正については掘り下げて解説します。また、J-SOXとコーポレートガバナンス・コードとの関係についても言及します。

【講師】EY新日本有限責任監査法人 菅沼 淳 公認会計士
【講義時間】47分00秒
【目次】
1. 内部統制報告制度(J-SOX)とは
2. 内部統制評価の概要
3. 内部統制構築の事例
4. 不正事例
5. コーポレートガバナンス・コードへの対応

講義資料 内部統制報告制度(J-SOX).pdf
講義

内部統制報告制度(J-SOX)
newseminar17630

新任役員向けトレーニングプログラムの受講者は、資料名や講義画像をクリックすることで、
受講者限定コンテンツ(講義および資料)をご覧いただけます
(まだログインがお済みでない場合はログイン画面になります)。

※本トレーニングプログラムは、上場会社役員ガバナンスフォーラムの会員資格だけでは
ご利用できないオプションのサービスです。
上場会社役員ガバナンスフォーラムの会員は、
本トレーニングプログラムを会員向けの割引価格(会員価格)でご利用できます。
上場会社役員ガバナンスフォーラムの会員ではない方が、
本トレーニングプログラムのみを受講することもできます。
詳細は、下の「お申込み」ボタンを押してご確認ください。
bluebtn_omoushikomi

2024/02/02 ビジネスメール詐欺の手口と被害防止に向けた対策

サイバー空間をめぐる脅威というとランサムウェアを想起しがちだが、ランサムウェアよりも被害額が大きいと言われているのがビジネスメールによる送金詐欺だ。ビジネスメールによる送金詐欺とは、経営者や取引先からの正当なビジネスメールを騙って偽の銀行口座への振込を誘導する手口の詐欺であり、いわば企業をターゲットにした“振り込め詐欺”と言える。BEC(Business E-mail Compromise)と称されることもある。2017年12月に3.8億円の被害にあった日本航空や2019年8月に約40億円の被害にあったトヨタ紡織ヨーロッパの事例など、上場会社グループがビジネスメール詐欺による被害を蒙るケースも少なくない。

このビジネスメール詐欺による送金被害にあったことを公表したのが、・・・

このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。

続きはこちら
まだログインがお済みでない場合は ログイン画面に遷移します。
会員登録はこちらから

2024/02/02 ビジネスメール詐欺の手口と被害防止に向けた対策(会員限定)

サイバー空間をめぐる脅威というとランサムウェアを想起しがちだが、ランサムウェアよりも被害額が大きいと言われているのがビジネスメールによる送金詐欺だ。ビジネスメールによる送金詐欺とは、経営者や取引先からの正当なビジネスメールを騙って偽の銀行口座への振込を誘導する手口の詐欺であり、いわば企業をターゲットにした“振り込め詐欺”と言える。BEC(Business E-mail Compromise)と称されることもある。2017年12月に3.8億円の被害にあった日本航空や2019年8月に約40億円の被害にあったトヨタ紡織ヨーロッパの事例など、上場会社グループがビジネスメール詐欺による被害を蒙るケースも少なくない。

このビジネスメール詐欺による送金被害にあったことを公表したのが、東証グロース市場に上場しているバイオベンチャーのスリー・ディー・マトリックスだ。

スリー・ディー・マトリックスが2024年1月25日に行ったリリースによると、2023 年 12 月下旬から 2024 年1月上旬にかけて、取引先から同社に支払い指示のメールが届き、同社はこれに応じて合計136万USドル(「1ドル=147円」換算で約2億円)を、メールで指示された銀行口座(当該取引先の真実の銀行口座と異なる別の銀行口座)に振り込んだが、実は当該指示メールは取引先を騙った偽メールであり、当然ながら取引先も関知していなかった。現時点で犯人は不明。過去のビジネスメール詐欺の事案から想定すると、既に当該銀行口座から資金が引き出されているはずであり、同社が資金を回収できる可能性は残念ながら低いと言わざるを得ない。

ビジネスメール詐欺の怖さを知らない者は、「なぜ偽メールに気付かなかったのか」と首をかしげるかもしれない。しかし、ビジネスメール詐欺は取引先の社長や担当者などのメールアドレスを乗っ取って行われることも少なくない。メールアドレスが本人と同じであれば、偽メールだと気付かなかったとしてもやむを得ないところであり、それに取引先との過去のやり取り、メールが届いたタイミング、担当者や上司のチェック不足や思い込みなどが不幸にも重なれば、どんな企業でも被害を蒙る可能性は十分にある。


ランサムウェア : システムへのアクセス等を制限する不正プログラムで、システムの利用者に制限解除のための身代金を要求することを目的とする。感染ルートとしては、メールの添付ファイルを不用意にクリックしてしまったケースや、改ざんされたサイトに誤ってアクセスし、意図せずしてプログラムをダウンロードしてしまったケースなどがある。

スリー・ディー・マトリックスは上記のリリースの中で、2023年12月および2024年1月の誤送金について以下のとおり説明している。

誤送金を行ってしまった理由
「オーダーの追加、変更や支払いの時期変更等について、A 社は様々な当社の要請に対して柔軟に応じてくれており、これらの取引条件の変更についてのやり取りも少なくありませんでした。今回犯人から送付されてきた口座変更を依頼するメールも、このような取引条件の変更に関するやり取りの一部と捉えておりました。なお、担当者間でのやり取りであったため、念のため A 社社長に確認しようとしていたところ、A 社社長の名を謳ったメールで A 社担当者からの要請を確認する内容のメールを受信したため、最終確認が取れたと思い込んでしまい、電話等での確認は行わなかったという事実がございます。」
「契約上の支払期限を合意の上延期した上で、当社の資金状況により早期支払に努めることとしていたもので、A 社社長の名を謳った犯人から送られてきたのは、A 社の資金繰りの理由により即時の支払いを要請する内容のメールでしたが、2023年12月からの一連のやり取りに続くものであったため、本要請についても A 社からのものであると信じ込んでしまいました。当社としてはこれまでの度重なる要請に対し、気持ちよく応じてくれているA社の好意に対して少しでもお返しないといけないという思いがあったため、本支払の要請に応じることとし、また、A 社は交渉の際も期間をかけて交渉するようなことはせず、いわば一発回答で合意してくれていたので、当社としても要請に応じるならばすぱっと応じることとしたいと考えたため、あえて電話等で確認することなく、約 50 万ドルを虚偽の口座に支払ってしまいました。」

同社は「犯人は、ある程度の期間当社の取引先とのやり取りを観察し、商業条件だけでなく個人的な関係性も理解した上で絶好のタイミングを狙って当該取引先の名を騙ったメールを送付してきたと思われ、巧妙な手口の詐欺である」と分析している。

ここで注意したいのが、「絶好のタイミングを狙って」という部分だ。ビジネスメール詐欺について警鐘を鳴らすIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が公表している「ビジネスメール詐欺(BEC)の特徴と対策」によると、ビジネスメール詐欺には大きく分けて、準備段階のステップと、金銭を詐取するステップがあり、「準備段階のステップではメールの盗み見等で情報収集を行い、その後、金銭を詐取するステップでメールのやりとりを行って相手を騙し、金銭の詐取を試みる」という流れとなっている(8ページ参照)。スリー・ディー・マトリックスの事例でも、たまたま運悪く“絶好のタイミング”で詐欺のメールが届いたのではなく、犯人が入念な情報収集を経て“絶好のタイミング”を見計らって詐欺を実行したものと思われる。

「ビジネスメール詐欺(BEC)の特徴と対策」には、振込先口座の変更依頼の手口として、「攻撃者が事前になんらかの方法で、取引に係るメールを盗み見ていて、全く不自然さがないよう支払いのタイミングを見計らって、支払側へ偽の口座情報を送る」際に、「監査によって一時的にいつもの口座が使えないので別の口座へ振り込んで欲しい」「支払い内容に一部間違いがあったので修正した請求書を送る(支払先の口座を修正した請求書を添付している)」といった理由で、別の口座への支払いを要求する手口が紹介されている(9ページ参照)。また、本物の請求書を流用して振込口座を改変して送ってくるといった、請求書が偽物であることが判別しづらい事例も紹介されている。

では、企業はどうすればビジネスメール詐欺を見破ることができるのだろうか。メールアドレスのドメインが微妙に違うケースなどは注意力次第で見破ることができるが、ビジネスメール詐欺では、攻撃者が取引先のメールアカウントをのっとってから行われるケースが多く、メールアドレスが正しいものであって信用できるとは限らない。メールにより振込先の銀行口座の変更依頼を受けた場合に、「メールではなく電話やFAXなど別の手段で当該変更内容を再確認する」といった内部統制を設けている企業も少なくないが、ここで注意したいのは、メールの「署名部分」を信用してはならないということだ。これは、攻撃者が取引先のメールアカウントをのっとっている場合には、攻撃者は署名部分に記載されている電話番号やFAX番号も改変している可能性があるため。電話やFAXによる確認にあたっては、メールの署名部分に記載されている番号ではなく、信頼できる方法で入手した連絡先を利用すべきだ。

AIの発達に伴い、社長の音声を真似たディープフェイク音声を用いた電話による偽の振り込み指示も想定しなければならない時代になった。上場会社は、自社が被害にあわないよう、ビジネスメール詐欺についての知見を高めるための社内研修を早急に実施すべきである。また、経営陣宛に取引先の社長を装ったビジネスメール詐欺が届くケースも考えられるため、まずは経営陣自らIPAのビジネスメール詐欺(BEC)対策特設ページを一読して知見を高めておくことをお勧めしたい。

2024/02/01 サステナビリティ関連の株主提案への支持率が低下

日本の上場会社の2023年3月株主総会~6月株主総会では78社に対して株主提案があり、議案の総数は305議案、そのうち122議案で賛成率が20%を超え、19議案は可決に至るという、いずれもここ10年間において最多を記録したところ(2023年7月5日のニュース「本格的な株主アクティビズムが開始した2023年株主総会、企業の反論は苦しいものに」、【WEBセミナー】2023年6月株主総会の状況参照)。しかし、・・・

このコンテンツは会員限定です。会員登録(有料)すると続きをお読みいただけます。

続きはこちら
まだログインがお済みでない場合は ログイン画面に遷移します。
会員登録はこちらから

2024/02/01 サステナビリティ関連の株主提案への支持率が低下(会員限定)

日本の上場会社の2023年3月株主総会~6月株主総会では78社に対して株主提案があり、議案の総数は305議案、そのうち122議案で賛成率が20%を超え、19議案は可決に至るという、いずれもここ10年間において最多を記録したところ(2023年7月5日のニュース「本格的な株主アクティビズムが開始した2023年株主総会、企業の反論は苦しいものに」、【WEBセミナー】2023年6月株主総会の状況参照)。しかし、世界に目を向けると、様相は異なる。

株主提案というと、環境や社会課題などサステナビリティ関連のテーマがまず思い浮かぶが、責任投資を推進する英国のNGOであるShareActionが世界の大手運用会社69社を対象に調査(英語版)を実施したところ、サステナビリティ関連の株主提案に対する支持率の顕著な低下が見られた。具体的には、サステナビリティ(環境・社会課題)関連の株主提案257件のうち「可決」された株主提案はわずか3%にとどまった。2022年の可決割合が14%、2021年が同21%だったことを踏まえると、大幅な減少と言える。しかも、可決された提案の全てが企業に情報開示を求めるものにすぎず、サステナビリティ関連の目標設定など具体的なアクションを要求する提案は可決されなかった。


責任投資 : 近年、環境問題や人権問題などの重要な課題に注目が集まる中、企業が社会や倫理等の観点から責任を果たしているかどうかを考慮に入れ、投資先を選択するアプローチのこと。

その背景にあるのが、ブラックロック、フィデリティ、ステートストリート、バンガードといった米国の大手運用会社による賛成率の大幅な低下だ。ブラックロックなどは、環境・社会課題関連の株主提案に反対した理由として 「株主提案が過度に詳細で規範的であった」旨説明しているが、ShareActionは「多くの株主提案は情報開示を求めるものであり、企業が対応可能な提案である」と反論している。実際のところ、米国の大手運用会社の議決権行使行動には、米国でESG投資を禁止しようという動きが広がっていることが影響しているものとみられる(2023年10月20日のニュース『米国の反ESG州法が金融機関に強いプレッシャー、危うさ増す「2050年ネットゼロ」の実現』参照)。ブラックロックやステートストリートは、同じく米国の大手運用会社のゴールドマンサックス、J.P.モルガンMorganなどとともに、気候変動に関するエンゲージメントを推進する投資家イニチアティブであるClimate Action 100+のメンバーになっているにもかかわらず、エネルギー会社等に温室効果ガス排出目標の厳格化へのアクションを求める株主提案5件すべてに反対票を投じている。この点についてShareActionは、Climate Action 100+の加盟条件に議決権行使の制約はないものの、同団体の目的に反する議決権行使はグリーンウオッシュとの批判を受ける可能性があると指摘している。


Climate Action 100+ : 機関投資家が、温室効果ガスを排出する世界最大級の企業と協力し、こうした企業が気候変動に関するガバナンスを改善するとともに、排出量を抑制し、気候関連の財務情報の開示を促進するために設立された団体。世界の機関投資家700社以上が署名し、これらの機関投資家の総運用資産残高は68兆ドルにのぼる。
グリーンウオッシュ : 環境に配慮していることやエコを想起される「グリーン」と、上辺だけを飾ることを意味する「ホワイトウォッシュ」を掛け合わせた造語。一見、環境に配慮しているように見せかけておきながら実態は異なり、環境意識の高い消費者や投資家に誤解を与えることを指す。

一方、米国の運用会社との違いが浮き彫りになったのが、欧州の運用会社の議決権行使状況だ。米国の運用会社による株主提案への賛成率が25%にとどまったのに対し、欧州の運用会社は株主提案の88%に賛成している。EUには「EU株主権利指令」というものが存在しており、この中で、運用会社に対し、株主としてのエンゲージメント方針を公表するとともに、その方針に反する議決権行使をする場合にはその理由を説明することを義務付けている。この規制が、欧州の運用会社の多くが環境・社会課題に関する株主提案に賛成した大きな理由となっているのは間違いない。

サステナビリティ関連の株主提案への賛成率が低下する中で、スターバックス社に対し、同社の労働組合対応について第3者調査を要求する株主提案が52%という僅差ながら可決されたことは注目に値する。この株主提案は、同社が労働組合寄りの従業員を違法に解雇したとの報道を受け、ニューヨーク市公的年金基金等の株主が行ったもの。アマゾン社に対する同様の株主提案は否決されたものの、米国の大手運用会社のうちブラックロック、フィデリティ、バンガードは賛成票を投じており、仮にステートストリートも賛成票を投じていれば、同株主提案も可決されていた可能性が高い。人的資本経営への注目が集まる中、労働問題関連の株主提案が今後新たなテーマとなることも十分に考えられよう。